玉座の間は4畳半   作:820

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なぜか、現在投稿してるものの続きで
モモンガ様視点を幕間として入れようと書いてたら
完全に別物になっていたでござるよ


文章力は相変わらずグダグダです。


設定説などは大分省いてます。


鈴木さん、がんばる

彼女の自我が目覚めるのが、少しでも遅かったなら・・・

 

この物語は始まらなかっただろう。

 

DMMO-RPG ユグドラシル

運営からの押し付けられた物語だけをプレイするのではなく、

プレイヤー自身が物語そのものを創作でき、アバターや武器・防具果ては簡単なアイテムの外装をデザインでき造り上げる自由度があった為に、国内で一大ムーブメントを起こしたゲームだったが、12年という月日は、後発のゲーム等の台頭で衰退し、サービス終了という結果に至り、今日という日を迎えていた。

 

 

ここは、ナザリック地下大墳墓の第10階層、玉座の間

41人という少数にもかかわらず、最盛期には10大ギルドの1つに数えられた

《アインズ・ウール・ゴウン》のギルドホームである。

 

今、その玉座に座るのはギルド長である、モモンガだ。

この広大な玉座の間にいるのは彼1人だけ。

ギルドのメンバーは、全員が引退状態であった。

先程まで円卓の間と呼ばれた部屋で、時間を作ってくれ会いに来てくれたメンバーと最後の挨拶をしていたのだ。

 

 

彼のそばに控える彼女、下座には執事と6人のメイド

彼、彼女達はNPCであり自我はない。

 

唯1人だけ上座で控える彼女のみ自我があった。

それは先程、モモンガ自ら設定を書き換えた為だ。

 

【モモンガを愛してる】

 

この一文で彼女はどれ程救われたであろう。

 

次々と姿を隠していく40人。

最後の時まで残ってくれた、至高の41人と呼ばれた神の頂点に立つモモンガが、自分の愛情を認めてくれたのだ。

 

「ひれ伏せ」

モモンガからの命令、オーバーロードとしての威厳ある姿が見れないではないかと

彼女は、そんな不敬な気持ちを抱いた自分に恥じながらもひれ伏す。

彼女の名は、ナザリック地下大墳墓のNPCの頂点に立つ、守護者統括 アルベド

 

 

23:59:55

違和感に包まれたアルベドは、不敬と知りつつも、上目遣いにモモンガを確認した。

彼の背後に、転移の門に似た何かが広がってゆく。

 

23:59:58

その何かが彼を包み込もうとしている。

彼を守る為に立ち上がろうとするが動けない。

「ひれ伏せ」

彼はこれ以上の命令を下していないからだ。

 

【危険です、モモンガ様どうか一言守れと仰って下さい】

アルベドの願いは叶わない。

 

00:00:00

彼は虚空へと消えていく

これで私も虚無の世界へと消えるのだろうか?

意識が遠のく。

 

00:00:02

私は、まだ存在している、アルベドは立ち上がり、未だその場にある転移の門に手を伸ばそうとした時、

「お待ち下さい、アルベド様」

背後からの制止の言葉を聞き不快げに振り向いた。

 

その言葉を発したのは、家令である、セバスだ。

 

「セバス、この虚空へとモモンガ様は消えられたのよ、お救いしに行かねば。」

「この先の世界がどのようなものかわからぬ中、あなた様1人だけ先行するのはどうかと思われますが。」

「それもそうね。わかったわセバス玉座の間に第4、第8階層守護者以外の守護者を呼んでくれるかしら」

「それと、プレアデスは第9階層の警備をお願い。」

「畏まりました、それでは行動を開始します。」

数分後、第1~第3階層守護者 シャルティア 第5階層守護者 コキュートス 第6階層守護者 アウラ・マーレ 第7階層守護者 デミウルゴス そして家令のセバスを含めた6人が集合した。

 

「いかな守護者統括である貴女でも、我々階層守護者を玉座の間に集合させるのは、いささか不敬ではないですか。」

苦言を呈して来たのは、デミウルゴスだ。

彼はナザリック一の知恵者と呼ばれ、ナザリックの防衛面の統括をしている悪魔だ。

 

「デミウルゴス、この玉座に今のいままで座られていた、モモンガ様が消えたのよ!それでもあなたはそのような言葉を発するの?」

 

デミウルゴスも玉座の背後の異質な空間を目にしていたのだが

「そ・それは誠に申し訳ございません。まさかその様な事態になっていようとは」

「わかってくれたなら問題はないわ、デミウルゴス」

 

二人の遣り取りを聞いていた残りの守護者達は口々に

「モモンガ様が消えた!」

 

「すぐに、お助けしにいかなくっちゃ」

「お・お助けしに…い・行かないと」

双子のダークエルフだ

男装している…姉のアウラ

女装している…弟のマーレ

 

「至高ノ御方ノ危機ナラバ即座二行カネバ」

蟲王のコキュートス

 

「モモンガ様が…モモンガ様が…」

ゴシックロリータの姿をした、シャルティア…真祖の吸血鬼だ

 

「いやまず、必要なのは情報ですね。うむ彼の眷属に頼みましょうかね」

デミウルゴスの言葉に、コキュートスが即座に反応する。

「オオ彼ノ眷属ナラバ問題ハナイ」

 

彼?彼の眷属?

その言葉に、女性陣の顔が引き攣る

 

「では《伝言》あ~、恐怖公かね?直ぐに玉座の間まで来て欲しいのだが」

 

転移の門が即開きそこから銀色に輝くゴーレムに乗った恐怖公が現れた。

彼の姿は体長30センチ程のゴキブリであった。

騎乗してきたゴーレムも彼と同じ姿をしていた。

 

「恐怖公、この転移の門に君の眷属を送って欲しいんだがね」

 

「ほお、この先には何が?」

「それを調べて欲しいんだが、このもののせいで、モモンガ様が消えてしまわれたのだよ、君の眷属のなら失態なく調べる事が出来ると思いますがね。」

 

「なんと、モモンガ様が消えたですと、分かりましたぞ我らの力が、モモンガ様の為になるなら、この恐怖公喜んで任務をお受けしますとも。」

「有難う、恐怖公では頼みます。」

 

 

玉座の間に、テーブルと椅子が用意され対策本部が急造された。

守護者達は椅子に座り、セバスと九階層の警備を交代したプレアデスの面々が背後で控える。

 

「では、これで皆に見えるね」

≪水晶の画面≫が準備され、恐怖公の眷属の中でも情報収集に長けた眷属からの情報を待つ。

 

 

 

~同時刻~

「終わっちゃたのか…」

そうつぶやきダイブマシンを外す、モモンガ事、鈴木 悟

 

目の前のホログラムPCのモニターには、いつもの見慣れたユグドラシルのオープニング画面、そこには[永らくのご愛顧有難う御座いました。当コンテンツはサービスを終了しました。] ログインコンソールの代わりに明滅を繰り返すメッセージ。

 

「さあ、明日は4時起きだし寝るかな。」

 

押入れを開け、明日の為に眠る準備をする。

 

 

≪水晶の画面≫は、真っ暗なままだ。

「なーんも見えんでありんすね」

「ぶー真っ暗だよ」

シャルティアとアウラが不満を口にした時。

 

画面が真っ白になった、外部からの光が入った為だ。

 

その光の中、生き物の影が映る

「人間?」

「人間ダナ」

アルベドとコキュートスが呟く

 

この外に出れるタイミングをG13号と呼ばれる恐怖公の眷属は自らの位置を移動する。

 

「これで少しは情報収集も捗りますね」

デミウルゴズは、G13号の動きを称賛する。

 

≪水晶の画面≫に先程の影だけ見えた人間の姿が確認できる。

 

黒髪・黒瞳の見た目も平凡な青年だった。

 

「パッとしない人間でありんすね」

興味はない、そんな素振りのシャルティア

 

「そうね」「そうだね」

アルベドもアウラも素っ気ない返事をする。

セバスはふと思い出したかの様に執事服の内ポケットに手を入れる。

 

「セバスどうしたのですか?」

デミウルゴスが普段とは違う動きをしたセバスに声をかける。

 

その言葉に返事をせず、セバスは1枚の紙切れを取り出し≪水晶の画面≫とその紙切れと交互に視線を動かす。

 

「あの方は…」

デミウルゴスの問いを無視し、自身の思考を整理する。

 

「間違いない、あのお方はモ・モ・ン・ガ様」

セバスの呟きに、その場は凍りついた

 

「どういう事だね、セバス!」

いつもの冷静沈着なデミウルゴスには珍しく狼狽している。

デミウルゴスはセバスが手にする紙切れを覗き込む。

「セバス、これは?」

「はい、以前たっち・みー様より頂いた物なのです。なんでもりあると言われる世界で至高の41人の皆様が集まった、おふ会の時に撮影された写真との事です。」

「中心に写っておられるのが、たっち・みー様で、たっち・みー様の右におられるのがモモンガ様と教えられました。」

「お~至高の41人の御方々の…」

 

「あたしにも、見せてよセバス。」

「あちきにも見せて欲しいでありんす」

アウラとシャルティアがセバスの背後から覗き込む。

マーレも遠慮がちにアウラの背後から覗いている。

 

「ペロロンチーノ様はおられるんでありんすか?」

「ぶくぶく茶釜様もいるの?」

 

その瞬間セバスの手から写真が消えた。

 

「くふ~モモンガ様~」

写真はアルベトが抱き締めていた。

アルベドの動きを捉えられなかった守護者を始めその場にいた者は戦慄した。

 

「ナゼモモンガ様ハ、アノ様ナオ姿ナノカ」

コキュートスは疑問する。

 

「もしかすると我々の世界とは次元の違う世界での仮の姿なのでは」

「お~」

別世界を旅するアルベド以外の全員が、デミウルゴスの回答に納得する。

 

「もう少し観察を続けましょう。モモンガ様には追加で、エイトエッジ・アサシンとシャドウ・デーモンを付けましょう」

デミウルゴスはアルベドの代わりに指示を出していく。

 

いまだに「くふ~!むふ~!」と一人身をクネクネさせているアルベドの手から写真を

奪い返したセバスは、写真を指差しシャルティア・アウラ・マーレ・プレアデスの面々にそれぞれの創造者の名を告げていく。

 

 

 

 

午前4時

目覚まし時計が鳴る

 

悟は目覚めるPCの画面は目無る前と同じままだ。

「ふ~現実か」

 

朝一は、最近食い込もうとし営業を繰り返している会社を訪問するのだが、

現状としてはあまり上手くいっていないので気分も憂鬱だった。

 

「いってきます」

PC画面に言葉をかけ、悟は部屋を出た。

 

「くふ~!いってらっしゃいませ!あ・な・た…むふ~!」

アルベドは、あれから壊れたままだった。

一応デミウルゴスの指示のもと、守護者たちは自らの準備の為に解散したが、

その後もアルベドは≪水晶の画面≫を見つめ続けていたのだ・

集合時間の指示はなかったが、ほぼ同時に守護者・セバス・プレアデスが集合した。

「各員、ご苦労様です。」

デミウルゴスは、満足気に言葉を紡ぐ。

「一応あちらとこちらは往来は可能の様ですね」

「魔法もスキルも使えるようですし」

G13号の帰還を確認し、更に追加で送ったエイトエッジ・アサシンとシャドウ・デーモンの透明化などの状態に満足する。

 

 

 

午前8時

悟は、帝国商事の応接間にて商談を開始していた。

 

「…ということです。如何でしょうか?古田部長」

「ふむそうだね~善処はしてみるかな?ところで鈴木君メリットはないのかね?私には」

「え?」

「君もまだまだだね。子安君ならね~」

子安二郎…今名の出た彼は、法国物産の第2営業部所属のエース営業マンだ。

 

「モモンガ様は、苦戦されてるようですね。」

「なぜモモンガ様程の強者が苦戦するの?デミウルゴス」

「あちきが行ってサクッと殺してきんしょうかえ?」

 

「待って下さい、シャドウ・デーモンの魔法で力の確認をしてみましょう。」

「そうですね、今あの部長と呼ばれた男のレベルを見たのですが、彼はLv3程ですね」

 

「モモンガ様はLv100でありんしたのよ、そんなLv3の者に苦戦するのは変じゃありんせんか?」

 

「不敬かと思いましたが、モモンガ様のレベルも見させて頂きましたが、今のモモンガ様のレベルはLv1にも満たないですね。」

「ソンナ馬鹿ナ、絶対デアル至高ノ御方ノレベルガ1モ無イナド、アリエルノカ?」

 

「あり得るんでしょうね、よく至高の御方々が仰ってましたが、りあるの世界は自分の力が役に立たないと…」

「オオ確カニ、武人建御雷様モ仰ッテイタ。」

「ならば、シャルティアもし君があちらに行って、あの部長といわれる者と戦闘になれば

小指1本で君は殺されるかもしれないんだよ。相手はモモンガ様の3倍以上のレベルです、ならばこちらの世界基準で考えれば、あの部長Lv300以上と見るのが正解でしょうね。」

 

「300以上!!」

その場に居た全ての者から驚愕の声が上がる。

 

 

午前11時

会社に戻った、悟に女性事務員から声がかかる。

「鈴木さん、課長が呼んでましたよ。」

「わちゃ~」

「帝国商事の件?」

「ですね。絞られてきます。」

 

 

「みな、よく聞いて欲しい我々は至高の御方の役に立ちお助けする為に創造された。そうですね?」

デミウルゴスの問いに全員は無言で頷く。

肯定を受けたデミウルゴスは言葉を続ける。

「では、これより恐れながらもモモンガ様のバックアップを行いましょう。」

 

「作戦は?デミウルゴス」

モモンガのバックアップ…この言葉を聞き復帰したアルベドが問い掛ける。

 

「そうですね、まずはこの部長を落としモモンガ様のビジネスとやらの成功を献上しましょうか」

 

「上手くいったら、モモンガ様褒めてくれるかな?」

「あ・頭…な・なでなでしてくれるかな…お姉ちゃん?」

「「なでなで…」」

若干2名はなでなでを想像し恍惚としているが…

 

「ではあの部長をナザリックにご招待し教育をしましょうか。」

デミウルゴスが不敵な笑みを浮かべる。

 

法国物産…

第2営業部の子安二郎は、今帝国商事古田部長の更なる籠絡の為に作戦を練っていた。

様々な接待を施し、自らの数字の為の駒に出来ているが、最近聞いた事もない弱小会社の営業マンが茶々をいれてきているのを警戒していた。

 

「ここは、取締役会に奏上し姫巫女組を動かしてもらおうか。」

今までも、ハニートラップ的な接待は繰り返し行ってきていたが、

「檻に囲わなければな」

 

 

 

 

ナザリック内…

第5階層 ニューロニストの部屋

「あら~可愛いおじ様ね~ふふふ一緒に楽しみましょう~」

 

寝台に横たわっているのは、帝国商事の古田部長

 

「お~お~これこそが、私が求めてやまなかった深淵な崇高な世界なんたる甘美な。」

「あら~気に入ってくれたの~おじ様~もっといじめてあ・げ・る」

ノリノリなニューロニスト

「あ・貴女様は神なのか?」

恍惚感の中、古田部長は問う。

「神は、この方ですよ。」

タイミングを見計らったのようにデミウルゴスが1枚の写真を見せる。

 

「ニューロニスト、1週間ご苦労さま」

「モモンガ様の為ならば、いつでも」

労うデミウルゴスにニューロニストは答える。

 

「こ・この方が…神」

「そうこの御方こそが神である、鈴木 悟様です。」

「この御方の為にあなたが働けば、更なる深淵の世界をお贈りしますよ。」

「よ・喜んでこの身を捧げますとも。」

堕ちた古田部長

 

 

10日後

「鈴木さん、帝国商事から電話です。」

「あ、はい」

 

古田部長からの呼び出しであった。

「今まで連絡なんて向こうから来たことなかったのに?」

悟は、途惑っていた。

 

帝国商事に着いてからも悟の戸惑いは晴れることなく更に深いものになっていた。

 

通された部屋がVIPルームであり入室すれば下座に古田部長が座っている。

出された事のない飲み物を秘書であろう女性が悟の前に置き退室する。

 

「鈴木君、これからは全ての商品を貴社から納入して貰おうかと思って来てもらったんだよ」

「えっ!」

「ここに契約書一式を揃えたよ」

瞬間

古田部長が土下座をし、悟の足元に近付く

「神よ・お~・神よ」

ブツブツと呟き続ける古田部長

その行動にドン引きする、悟

 

「な・なにが起こってるんだ。昨日までは相手にもされてなかったってのに」

 

「神よ~更なる深淵の世界を~私めに~」

呟きながら悟の靴を舐める古田部長が怖くなり、悟は契約書を鷲掴みし逃げるようにその場から走り去った。

 

茫然自失の悟は公園のベンチで座っていた。

 

なぜこうもあっさりと契約が取れたのか、部長の悟を神と呼ぶ態度の急変

考えても、考えても答えが出ない。

 

だが結果としては、超大型の契約である。

帰社後、悟は課長に報告をし自分の席に座り一息つく。

 

「やったわね、鈴木君」

「やったな、鈴木」

仲間達からの称賛。

 

その光景に、悟は気付く

 

≪アインズ・ウール・ゴウン≫41人の仲間達との、懐かしい光景を…

リアルでも経験できた。

 

「有難う…御座います…。」

悟の瞳から涙が流れる。

 

 

 

 

 

 

今日は色々な事があった。

自室前、悟は自身への褒美として自然原料で作られたショートケーキを買ってきていた。

ユグドラシルも終了し課金することが無くなったので、プチ贅沢だ。

 

 

扉を開ける。

 

 

エプロン姿の女性が居る。

「おかえりなさいませ、モモンガ様」

その奥

テーブルに様々な料理が置かれ

[モモンガ様 おめでとうございます!]

壁には誰かが書いたのであろう横断幕が掛かっている。

 

そこに居たのは、

 

 

 

「あ・アルベド、で・デミウルゴス、しゃ・シャルティア、こ・コキュートス、あ・アウラ、ま・マーレ、せ・セバス、それにプレアデス?」

全員が一斉に跪き答える。

「はい!御身の前に」

 

 

4畳半の部屋が新しい玉座の間になった瞬間

 


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