fate/zeroにカリスが参加するようです。…え?やさぐれブレイドも参加するのかい?⚠︎完結しました   作:ハクリ

39 / 42
ざっくりとしたあらすじ

渉と楓、箱のパスコード解除完了…と思いきや、ゾンビ侵入→逃げ場を失い、とりあえず撃退→綺礼と切嗣、雁夜にもゾンビが迫るが、難なく撃退→剣崎、暇になりF/GOを起動するもメンテ→渉と楓が外から扉を開け救出→始は、同じ場所をぐるぐる回っていた→全員が異界から抜け出した事により、始の異界も解除。全員で書斎へ→決戦開始…と思いきや、大量のゾンビと自動人形、3体の死体が現れ、また異界に飛ばされる。

こんな感じです。

言い訳かもしれませんが、苦手(過ぎる)な戦闘描写です。クオリティが低いかもしれません。こんな物を作るのに何ヶ月(具体的には半年以上)もかかってしまう作者をお許しいただきたいです…。

今回、多機能フォームを使ってみました。また、オリジナル魔術もあります。苦手な方はブラウザバック推奨です。

それではどうぞ。


追加分③ H達の長い夜・FILE.4/死霊vs生者

始(&剣崎)サイド

 

 

ドドサ!

 

 

「痛っ!」

 

「ヴェ!」

 

 

俺と剣崎は、いきなり異界に放り出され、床に叩きつけられた。起き上がろうとすると、

 

 

 

 

ゴキグシャァ!

 

「ぎゃあああああ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

…ん?なんか、悲鳴が…。

 

 

 

 

 

「痛!あ、ダメだこれ。絶対背骨のどっか折れてる!いや、この感じは砕けてんのか!?って、あー!首が変な方向向いてるし!?

…ふー。よし、覚悟を決めたぞ。せーの、ふん!(ベキャ!)…あ!直ったよ!クビノホウコウナオッタヨ!(←逆方向に向いただけ)」

 

 

 

「「なんだ?あいつ…」」

 

 

さっきガーネルムが出した死体に似てるが…え?あいつ、ここへの送り方を間違えたのか…?

 

 

「あ!お前ら!ちょっと今ダメなんだわ。悪りぃけど俺の首の方向直して!?どうせにしたって、お前らがちゃんと俺を倒さねぇと、ここから出られないからな!」

 

 

 

ふむ…かなり不愉快だが、出れないなら仕方ない…。

 

直してやるか…。

 

 

 

スッ…

 

 

 

(人体からあまり鳴ってはいけない音)

 

 

「ぎゃあああぁあああ…」

 

 

 

あ、激痛伴うの忘れてた。まぁいいか。

 

 

 

 

数分後

 

 

「いやー、助かった!生前からわりかし不運でなぁ!さっきのは、死んだ時を思い出した!」

 

 

…どんな死因だったんだ…?

 

 

「…とりあえず始めようか。こちらも時間がない」

 

「ああ!あいつは絶対捕まえる!」

 

「おう!では殺りあおうか!此度蘇ってからこの体、戦いを求め疼いていたからなぁ!」

 

 

 

 

そして数瞬のインターバルを挟み、

 

 

 

「「「…行くぞ!」」」

 

 

 

俺たちは、不運な剣士とぶつかった。

 

 

 

所変わって

 

雁夜(&綺礼&切嗣)サイド

 

 

「よっ」

 

「ふっ」

 

「痛!」

 

 

俺と綺礼はしっかり着地できたが、切嗣は何故か尻餅をついていた…。相変わらず締まらないな…。

 

 

「ここは…またあいつの異界か…」

 

「その通りだ雁夜。そして十中八九、出口には門番がいるだろう」

 

「ああ…きっとそうなんだろうな…。というより、なんで僕だけこんなことに…?」

 

「「そういう立ち位置だからだろ」」

 

「そんな…!僕はただ…いい父親に、なりたいだけなのに…!_| ̄|○」

 

凹む切嗣をよそに、

 

 

ビシ…

 

 

 

ビキビギ…

 

 

 

 

その物音にいち早く気づいたのは、

 

 

「_| ̄|○

 

…ん?これは…!綺礼!雁夜!離れろ!」

 

「「え?」」

 

その瞬間、

 

 

ドゴン!

 

 

 

「「「うわぁ!?」」」

 

 

床が突然揺れ始め、その形を変えていく。

 

幸い、凹んでいた切嗣が直前に気づいたから、3人で固まることができたけど…

 

 

「土系の陥没魔術…!誰だ!出てこい!」

 

 

その声に反応したのか、そいつは姿を現した。

 

「ハハ。どうかね?お気に召したかい?魔術師殺しさん」

 

「…そう見えるなら、その眼を早急に眼科医に診てもらうことをお勧めする」

 

敵の冗談に、割と本気で返す綺礼…。それを見て、俺は切嗣に尋ねた。

 

「切嗣、どうする?」

 

「こちらも応戦だ。コードは…3人だから、雁夜は『魚』確定だな。僕は『狼』、綺礼は『人造』で行くか」

 

「3人揃った時のテンプレだな。…けど、行けるか?」

 

「あいつは、僕のことは知ってるが、綺礼とか雁夜は知らない様子だった。魔術師殺し『達』って言わなかったのが根拠だ」

 

「あ…!」

 

俺は、切嗣の話す根拠に納得した。しかも、代行者とも言わないから、綺礼が何者かも知らない可能性がある。ましてや…!

 

 

「間桐の家を出て行ってた俺のことなんか、絶対に知らないはず…!」

 

「そう。この場を制圧するカギを握っているのは間違いなく、ほとんど知られていないだろう、雁夜、君の魔術だ」

 

他の奴の強さに劣等感を持ってた俺は、その言葉を聞いて、胸の中に何かが燃えるのを感じた。

 

「…ああ!やってやる…!俺だって、もう弱いままは嫌なんだ!」

 

 

 

「…作戦は決まったか?

 

…来い!叩き潰してやる!」

 

相手は1人…!あいつがどこまでの実力者かはわからない。けど、絶対に勝つ!

 

 

 

また所変わって

 

 

渉(&楓)サイド

 

 

 

「…ん?」

 

俺の視界は闇に包まれていた。

 

もしかしてヤバイとこに来たか…?それに楓がいない…。逸れたのか…?それになんか、息苦しい…。そんなことを考えていると、

 

 

 

 

 

「んゅ…渉、ちょっと待って…ふにゅー!」

 

ドッ…!

 

ガラガラガラガラ…

 

 

「ぶは!な、何だったんだ?」

 

「あ、ごめん渉。なんか瓦礫が多い場所に入っちまってて…私が上だったから、瓦礫退けたんだけど…。

 

 

 

 

渉、なんで窒息しかけてたんだ?」

 

 

 

 

…あー、そうか。息苦しさの理由が分かった。

 

そう、アレだ。あいつの胸だ。さっき、あいつが瓦礫を背中で退けただろ?その時にあいつの上半身が上に行って、息苦しさが解消された訳だ。

 

 

とりあえず頭の中で整理した時、

 

 

 

「あらー?これはこれは…。あんのクソヤロー!まぁーた土系使って撃破しようとしたなぁ!?あいつが使うと、こっちが迷惑被るんだよ!畜生が!」

 

 

 

「…なんかいるな…」

 

「なんだあいつ?」

 

そんな風に楓と話していると、

 

 

 

 

 

「あ!てめぇらか!侵入者ってのは!あーもー!ってことは今回の番人プレイヤーは俺ですか、このヤロー!面倒くさいんだって言ってんのに!あとお前ら!リア充爆発しろ!正確にはそこのリア充男!爆ぜやがれ!」

 

 

…なんてことを、あの魔術師は言いやがる…。

 

 

 

…ああ、『こいつ』が怖い。終わったら慰めよう…。

 

 

 

 

 

「おいテメェ…今、渉に爆ぜやがれって言ったか…?」

 

「は?」

 

 

 

 

 

 

 

 

こいつさっきの一瞬で血を『6』持って行きました…。ということは…。

 

 

 

 

 

 

 

 

「渉に喋るな触るな近づくな…。もし破ったら…お前が何者でも、アタシがあんたを潰してやるよ…!」

 

「…!?」

 

 

 

 

俺は、少し貧血気味になってるから、しばらくは動けない…だから、

 

 

「楓、少しの間…頼むぜ」

 

 

 

その言葉に、

 

 

 

 

 

「任せとけって。ちゃんと首持って行ってやるから」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いや、そこまでしなくていいよ!?

 

 

 

所変わって

 

始(&剣崎)サイド

 

 

ギキン!キン!

 

「クッソ!攻撃が…」

 

「通らない、だと!?」

 

俺たちは今、実のところ苦戦している。相手は1人なのにだ。

 

「ハハハハ!どうした、あれほど期待させておきながらこれか!?そんなもので、よく倒せると思うたな!」

 

チッ!ここは…

 

「剣崎、()()()()()()()()()()()

 

「…?

 

ああ!()()()!」

 

そう言うと俺たちは

 

『エボリューション』

『アブゾーブQ、エボリューションK』

 

ワイルドカリスとキングフォームとなった。そして、

 

『♠︎10、J、Q、K、A』

 

剣崎がカードを通している間に、

 

「ハァ!」

 

「ぬぐ?」

 

相手の肩を斬りつけながら敵の背後を取り、❤︎スートのラウズカードを一つにし、

 

 

『ロイヤルストレートフラッシュ』

 

『ワイルド』

 

剣崎と同じタイミングで宝具を解放する。

 

「絶望の闇を斬り裂く光の旋風よ!今ここに!その力を証明しろ!」

 

「青き5つの力よ…。王たる剣の礎となり、最たる一撃を敵に与えよ!受けるがいい!」

 

俺の武器には光の旋風が宿り、剣崎の前にも5枚のオリハルコンエレメントが出現する。なお、俺のセリフが違う点については、今回のは射出型ではなく斬撃型だからである…って俺は、誰に言ってるんだ?

 

 

「『荒々しく黒き光の旋風(ワイルドサイクロン) 』!」

 

「『至高なりて愚直なる閃光(ロイヤルストレートフラッシュ) 』!」

 

宝具の真名を開帳し敵に突っ込む。そして()()()()()()()()で叩き込まれた。

 

「ふ…ぬるあぁ!」

 

…はずだった。

 

 

「「…は?」」

 

思わず変な声を上げてしまったのは許してほしい。

 

なぜなら宝具だ。真名も開帳した。だから、死なない程度には傷つけられるはずだった。なのに!その攻撃をこいつは弾いた!こんな事態に落ち着いて考えられる頭があると思うか!?

 

「貰ったぁ!」

 

「…!ぐっ!」

 

「始!」

 

考え事をしてる暇など与えないと言うように、敵は攻めてきた。なんとか自分で後ろに飛んで勢いは殺したが…

 

「チッ…!少しマズイか…?」

 

「なにかあるはずだ…!俺と始の攻撃は確かに一致してた!それで天王寺も倒せたんだ!

…あいつは、何らかの形で防いだんじゃ?」

 

「としても、俺と剣崎の攻撃を同時にか?その方が考えにくいが…」

 

俺はそういうが、剣崎はとんでもないことを言い出した。

 

 

「待てよ…そうだ!物は試しだ!始、

 

 

 

 

 

ちょっと今だけ友情破棄で!」

 

…は?

 

え?おい、剣崎…?お前…何言ってるんだ?あれ?おかしいな…目からなにか、水みたいなものが出てきた…

 

「(あ、ごめん始!違うから!あいつは多分、『同時攻撃』だから防げたんだと思うんだ…。つまり攻撃のタイミングを少しズラせば、あいつは防げない可能性があるんだ!だから泣くな…って、お前…泣けたんだな)」

 

「…余計なお世話だ!」

 

危ない…精神的に壊れてしまうところだった…。

 

よし…タイミングをズラす…タイミングをズラす…

 

「「はぁ!」」

 

「おっと!」

 

いや、タイミングが合っちゃダメなんだ!今度こそ、タイミングをズラす…タイミングをズ

 

「始…そう考えてる間に攻撃すれば…」

 

 

 

ラす…

 

 

「早く言え!」

 

「いや、始はむしろ何で気付かなかったんだ!?」

 

と言いながら攻撃していく。

 

「ぬ、ぐ…が!?」

 

それぞれの一撃がズレにずれ、不協和音を創り上げていく。

 

剣崎の言った通り、同時攻撃は防御できるようだが…

 

「「バラバラの攻撃には、さっきのは使えないようだな!」」

 

「ええい!声だけは合わすか!面妖な!」

 

 

いや、この際はっきり言わせてもらう。

 

 

 

 

 

「「宝具防ぐとか、お前の方が面妖だよ!」」

 

俺たちはそう言いながらコンマ1秒足らずでズレた攻撃を叩き込み、

 

「そうだよなぁぁぉぁ!!!」

 

と言いながら敵は倒れ、また眠りについた。

 

「よし!」

 

「ふぅ…」

 

俺たちは何とか勝てたのを実感し、

 

「始!」

 

「剣崎…あぁ!」

 

ハイタッチを交わした。

 

そして、

 

 

 

 

 

ドゴーン!

 

 

大きな音を立てて、部屋の中央の床に穴が開いた…いや、下から壊されたのか!?

 

「剣崎…どうする?」

 

「行ってみよう。もしかしたら、あいつらの内の誰かに会えるかも」

 

「そうだな…行くか!」

 

「あぁ!」

 

そして俺たちは穴に飛び込んだ。

 

 

所変わり、時間も少し戻り

 

雁夜(&綺礼&切嗣)サイド

 

「くっ!なかなかフォーメーションが合わない!」

 

「どうしたのかね?もう終わりかい!?」

 

「んなわけ!」

 

と言いながらも水の魔術で相手に牽制を行うが、なかなか効かない。

 

あの2人はどうしたか?簡単だ。

 

「はぁ…はぁ…!」

 

「魔術師殺しも頑張りたまえよ。他の仲間の足場を、潰したくないだろう?そして、」

 

切嗣は、相手の土の陥没魔術を中和するために、俺たちも行使するのを見た事のない土系の魔術を使ってくれている。綺礼は、

 

「…!」

 

「フッ、気づいてないとでも?」

 

綺礼の不意をついた攻撃は、持ってる杖で止められた。

 

くそ、あいつの動きを止められたら…!

 

そう考えた時、ふと足元が何故か気になった。俺も一応物書きだ。小説とかもたまに読むし、実際ファンタジーみたいな事も当然ながら経験済だ。そういった話の中では、地面に固定するという形で敵の動きを止める、という類のものもある。

 

だからこそ思いついた。少し崩れてる程度の今なら、いける!

 

「2人とも!そいつから離れろ!」

 

「「…!」」

 

「む?」

 

その言葉を聞いてすぐ離れた2人の判断力は本当に優れている。俺なんか…いや、俺は俺にできることをすればいい!

 

そう思いながら水の魔力を『地面のヒビ』に向け敵の『真下』まで延ばす。そしてそれを…

 

「2人とも!飛べ!」

 

「「はっ!」」

 

一気に解放する!

 

「?…ごはぁ!?」

 

よし!一時的だが、行動を阻害できた!タイミングはここしかない!

 

 

俺が周囲に水のフィールドを張り、相手の足を鈍らせる。

 

「はぁ、はぁ…ぬ!?」

 

「『固有時制御・三倍速(タイムアルター・トリプルアクセル)』!」

 

「ぐっ!あが、ぐ!」

 

切嗣が固有時制御で加速しながら、ナイフで斬撃を入れていき、

 

「フッ…ハァッ!」

 

メキョッ…

 

「ごばぁっ…!!」

 

綺礼が八極拳で確実に仕留める!

 

これが俺たちのテンプレフォーメーション。

 

何を参考にしたか?

 

…コード名で察してくれ。

 

考える時、意外と綺礼が一番ノリよかったことは、ここだけの話な?

 

「ふぅ…何とか勝てたか」

 

「今回は、雁夜の判断力に救われたな」

 

「アレなんか、即興で考えた割にはかなりハマってたぞ。そうやって有効打を考え続けられるのは良いことだ」

 

「…そうか?偶然だろ?」

 

今日はいつになく褒めてくるな…なんか怖い。

 

「その判断力と実行力は誇って良いと思うぞ」

 

「それは僕も同感だ」

 

「「雁夜、お前(君)は弱くない」」

 

 

…なんか、自信が湧いてきた。よし、これからも頑張r

 

 

 

ドゴーン!

 

 

 

「…なんか、その…部屋の中央の床と天井に穴が開いたんだが…」

 

「見ればわかる。瓦礫の弾け具合からみて、この下で何かあったとみるのが基本だが…」

 

「…行こう。もしかすると、下で誰かが苦戦してるのかもしれない」

 

その一言でそこにいた全員の意見が固まり、穴から下に降りることにした。

 

所変わって、時間もさらに戻り

 

渉(&楓)サイド

 

どーも、渉です。目の前で俺の彼女が、ゴスロリな服装で礼装である槍をぶん回して攻撃してんだけど、なんか質問ある?無い?うん、分かってた。俺が現実逃避したいだけだし。

 

「あぁああああぁああぁあぁあああぁぁ!!!」

 

「ちょっ!?なんですかこいつ!無理ゲーにもほどがあるっしょ!」

 

「うるっせえぇぇえぇ!」

 

「面倒いなぁ!でも俺、番人なのよね!」

 

「楓!あまり焦るな!そいつ何があるか分からねぇ!」

 

「…チッ、命拾いしたな…!」

 

「いや、ほんとにね!?ウザすぎるんだよ!その槍!なに?『親の形見なんです〜』とかそのあたりかぁ?」

 

「あのクソやろ「挑発に乗るな!ああいうタイプは搦め手が多様なことが多い!」…チッ」

 

うーむ、彼女の手綱を引くのも俺の役目だけど、ちょっと難しいなぁ…。

 

「面倒くせえ…ここの掃除もしないといけないし、強制番人プレイだし…ほんと、うっぜぇえぇええぇえええええ!」

 

…!?なんだあいつ?魔力が…!

 

「来いよ使い魔!あいつらを排除しろぉぉおおぉ!」

 

あいつがそう叫んだ瞬間、コウモリやらアサルトライフル持ったゾンビやらが出てきた。

 

しかも、いきなり撃ってきたから俺を抱えて楓が物陰に置いてくれた。しかし…

 

「くそ、俺も前に出ないと…この数は…!」

 

そう、数が多い!ざっと2〜30はいる!だから前に出ようとしたけど、

 

「渉は下がってろ!まだ動けねぇだろ!」

 

「でも!」

 

止められた。確かにまだ動きにくいのも事実だ。俺は俺の心配なんかしてない、けど楓が一対多の状況を見ると、楓が死んだときのことを思い出しちまう…どうしてもあの日のことが過るんだ…!

 

「言っとくけど、あの時抑えてたのは私の方だ。もし、全力でやってたら、あいつら殺すまでで抑え効かなかったはずだからな」

 

その言葉を聞いて安心したと同時に、何処となく懺悔が入ってるように思えた。

 

「もしあの時、力を抑えてなかったら、渉に人殺しなんかさせずに済んだんだろうな…」

 

「…」

 

楓はそんな話をするような奴じゃなかったから、正直驚いた。

 

「…なんだよ、もしもの話だよ。時は戻せない。だけど今が最高だ。だって、お前がいてー綺礼さんもいてー、始さんに剣崎さんもいるんでしょ?最っ高じゃん」

 

「ああ…そうだな!」

 

「さーて、焼き尽くしますか!

 

大地を焦がす烈火のように、春に咲く桜のように!

 

十字架よ、炎のように、桜のように(クロイツ・フランメキルシュブリューテ)!」

 

「「「「「「ギリャァアぁああああぁああぁあぁあああぁぁ…」」」」」」

 

楓の魔術はいつ見てもヤバイねぇ…ここまでの多さを一焼きとか…

 

しかも職業柄、ゾンビとかには特攻付いてるんじゃねぇのかってくらいダメージ入ってるっぽいし…。

 

あ、なんかあいつ癇癪起こしてる。ま、無視む…

 

「ぁああああぁああぁあぁあああぁぁ!クッソ!役立たず共め!このクソアマ!生きて帰れると思うなよ!」

 

「…」

 

楓が、クソアマ?

 

「大体なんだよお前!女のクセして男みたいな口調だしよぉ!そのクセして胸と服装は女ってか!傑作以外の何物でもねぇな、おい!」

 

「…」

 

楓が女なのは、胸と服装だけ?

 

「男の方も、そういうとこばっか見てお前と付き合ってんじゃねぇの?可哀想だなあ!パーツしか見られてないなんてよ!」

 

俺が、楓の体しか見てない…?

 

 

 

ブチン…

 

 

 

「あーあ…」

 

「あん?なんだよ?負けでも認めるか?」

 

そこのゾンビ。

 

「ハァ?お前こそどうにかしてんのか?」

 

「何?」

 

お前は俺を、

 

「多分あんた、私以上にあいつを怒らせたな」

 

怒らせた。

 

「あん?何言って…

 

 

 

重力・十倍(グラビタ・テンス)

 

 

ぐぉおおおおぉお!?」

 

ボギメキメキメシャグシャベギベギ…

 

「ぎゃぁああああぁああぁあぁあ!な、な…なんだよコレェええぇぇぇえぇ!」

 

俺が行ったのは移動阻害の重力操作だ。こっちにも、それ相応のフィードバックが来るから、これが重力操作の限界倍率なんだ。

 

いやでも、堪忍袋の緒が切れたとはいえ、ここまで軽く放てるとは思わなかったなぁ…。

 

「楓、良いよな?俺がやって」

 

「ん?良いぞ。やっちまえ」

 

「まっ、待ってくれ!ここの空間の鍵なら渡す!お前たちも解放する!だ、だから命だけは…!」

 

ゾンビがここまできて命乞いか…

 

そう思いながらも鉈を持って敵の下へ歩く。

 

「悪いけど、これゲームじゃねぇんだわ。お前みたいに戦争ごっこでやってんじゃ…」

 

「ま、待て!ひっ!ヒィィィィイ!」

 

「ねぇんだよ!」

 

「」

 

何回も何回も斬った。割とズタボロにした。ゾンビだから死んでも大丈夫とは考えたが、二度と顔を見ないために、ここまでやれば蘇生も無理だろってくらい、ひき肉にした。割と酷い絵だ。

 

「…見なくて良いぞ」

 

「…一応、私はシスターだぜ?死者を弔うくらいの寛容さはある」

 

「俺が死んだ時もそうしてくれるか?」

 

冗談めいてそう言うと、

 

「は?やらないに決まってんじゃん」

 

と返ってくる。いつもの事だ。

 

そして、

 

「渉が死ぬ時が、私の死ぬ時だ。どんな死に方でも、あんたが死ねば後を追うよ。絶対、1人にはさせねぇからな?」

 

「…そっか。ありがとな」

 

こう返ってくるのいつもの話だ。

 

だからこそ、一度楓が死んだ時、どんなに寂しかったのか、時々よく考える。

 

聖杯の力で、こうして連続性のある命の蘇生を成し遂げた楓だけど、その生き方も変わりない。ただ、俺の命=自分の命と思ってる節があるから、それだけは直さないと…

 

「ま、渉は私が死なせないよ。死ぬ時は寿命で死のうぜ?」

 

「…分かってる。簡単に死んでたまるかよ。お前こそ、俺が守ってやるから…死ぬなよ?」

 

「何言ってんだか…ま、良いや。そんじゃここ抜け出しますか」

 

「おう。鍵はここにあるけど…」

 

と言いながら、ズタボロのひき肉にしたあのゾンビが持ってた鍵を見せる。

 

「そう言えばあいつなんか言ってたよな…?

 

 

あ!そっか!」

 

「ん?待て、微妙に繋がってない。どんな言葉を聞いて、何にたどり着いた?」

 

「ほら!さっきの奴『クソヤロー!土系の魔術使って倒そうとしやがった!』とかどうとか言ってたじゃん!」

 

「あー…そういえば」

 

で、さっきのと何が繋がるんだろうか…。

 

「私達が瓦礫に埋められてたってことは、多分あいつの仲間が土系の魔術使って、その余波でこっちの壁とかが崩れた。私達はその瓦礫の中に転送された。

 

こうは考えられない?」

 

なるほど、一理ある。

 

「で。どうするわけ?」

 

すると、とんでもないことを口にした。

 

「簡単!ここの天井を…2〜3個ぶっ壊す!

 

大地を砕く雷のように、罪を裁く鉄槌のように!

 

十字架よ、雷であれ、鉄槌であれ(クロイツ・ドンナーハンマー)!」

 

そう唱えながら槍を振り回す…あれ?なんか…デカくなっていってね?

 

そしてかなりの大きさになった槍を構え直し、

 

「おぉおおぉおおおおおらアアアァアァアアアア!!!!」

 

天井に向けてぶん投げた。

 

( ゚д゚)

 

↑こんな顔になってしまった俺を許してほしい。

 

 

 

 

ドゴーン!

 

 

あーあ…天井ぶち抜いちゃった…。俺知ーらね…

 

 

 

 

ヒューン…

 

 

あれ?

 

 

 

 

 

 

 

そして現在

 

カメラ視点

 

それぞれ上から降りてきた面々は、渉と楓に駆け寄る。

 

「渉!ここにいたか!」

 

「綺礼さん!」

 

「もしかして、さっきの天井…と言うかこちらからすれば床破壊は…」

 

「始さんの思ってる通りっす。楓がぶち抜きました」

 

「スゲェな…で、なんでこんな事を?」

 

「それについては楓から」

 

そして事の顛末を確認した一行は本棚の裏に隠されたドアを発見。鍵を開け、異界からの脱出に成功した。




というわけで、FILE.4でした。

ちなみに楓さんが使ってる槍は、長い十字架のような形をしております。

このような文を作るまでに半年以上かかってしまい、申し訳ありません。いつもの事だと流していただけるのであれば幸いです。

今後とも、ご指摘、ご指導、誤字脱字の報告、感想など、よろしくお願いします。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。