英雄伝説 斬の軌跡(凍結)   作:玄武Σ

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まず先に、今更ながらイース8クリアしました。ダーナがかわいい&健気で大好きになりましたね。
そして閃Ⅲの発売が来年秋になったので、それまでの完結を目標にしたいと思います。

ちなみに、戦闘シーンはおなじみの執行者戦BGMを推奨します。


幕間・後編

ナイトレイドのアジトに強襲してきた、三人の執行者と二人の使徒専属部隊員。未知なる力を有する強敵の襲来に、ナイトレイドの面々はどう対処するのか。

 

レオーネVSヴァルター

 

「おらぁあ!」

「はぁ!」

 

レオーネとヴァルターの拳がぶつかり合い、拳伝いにすさまじい衝撃が互いの体に走る。互角の威力をたたき出した結果だ。そこから今度は同時に蹴りが放たれるが、それも互角の威力となる。

 

「生身でこのパワーって、何すりゃそんなことが出来るんだよ!?」

「まあ、そこはあれこれ格闘術を身に着けた結果だな」

 

ヴァルターは、かつては不動のジンと同門の泰斗流拳士だったが、ある事情から流派を捨てることとなった。その際、師匠同意の下に殺し合いをし、そのまま師を殺して去っていった。そして結社にスカウトされるまでの間に、様々な流派の格闘術を会得し、泰斗流をベースとしつつ他の流派を混ぜ合わせた我流格闘術としたのだ。

その結果、ヴァルターは人外級の戦闘力を得るに至った。

そしてその後も、レオーネとヴァルターの

 

「さて。ただ力比べするのも芸じゃねえから、面白いものをいろいろと見せてやるよ」

 

そういい、ヴァルターはレオーネから距離を取る。そして、とんでもないことをやってのけた。

 

「レイザーバレット!」

「な!?」

 

なんと、ヴァルターが虚空に向けて蹴りを放ったと思いきや、そこから衝撃波が放たれてレオーネにぶつかった。そして怯んだ隙に、一気にレオーネの懐に飛び込む。

 

「ゼロインパクト!」

「ぐはぁあ!?」

 

そして拳に気を練り、それをレオーネの鳩尾にぶつける。結果、レオーネは内臓を直接殴られたかのような衝撃を受け、大きく吹き飛ぶ。そしてレオーネは、そのまま壁に叩きつけられてしまった。

 

「インフィニティコンボ!」

 

そしてダメ出しと言わんばかりに百裂拳を叩き込む。技を終わらせたヴァルターが距離を置くと、そのまま壁が崩れてレオーネの体を埋め尽くした。

 

「……とんだ期待外れだな。帝具は単なる身体強化で、一応五感も強化されてるようだから攻撃への対応はいい。が、動きに武術の素養がないから、道具頼りの力任せの戦いってところだな。でもって、流石に骨格の強化まではできないか」

 

一応警戒するも、レオーネの復活する兆しが無くがっかりした様子のヴァルター。煙草を取り出し、ふかしながらレオーネの戦闘スタイルに評価を下す。

 

「仕方ねぇ。死体、もしくは動けねぇあいつから帝具だけはぎ取って、他の奴の相手をするかな」

 

そういいつつ、レオーネが埋もれた場所に近づくヴァルター。そして瓦礫を掘り返そうとしたその瞬間、不意に強い殺気を感じる。

 

「おらぁあ!!」

「何!?」

 

いきなり瓦礫の山からレオーネが飛び出し、爪でこちらに斬りかかってきたのだ。間一髪で回避するも、頬を掠めて薄らと血を流すこととなった。

 

「おいおい。言っちゃあれだが、普通あれだけ攻撃されりゃ、生きてたとしても骨の大多数がやられてるはずだぜ。なぜ動けるんだ?」

「あんたの言うように、確かに骨までは強化されちゃいないさ。けど、その代わりに治癒力が強化されてるんだ。で、それを加速する奥の手がライオネルには備わっているんだよ」

 

ライオネルの奥の手”獅子は死なず(リジェネレーター)”。言ってみれば、シンプルな超治癒力を発動するのだ。マスティマの神の羽根、へカトンケイルの狂化のような攻撃に転用可能な奥の手ではないが、ここぞという時に使えば一発逆転が狙える力である。

 

「確かにあたしは、特別体を鍛えてるわけでも、武術の心得があるわけでもない。完全に帝具頼りの力任せで戦っている。けど、その分だけこの帝具の力をあたしは掌握しているって自負してるんだよね」

 

埋もれていながらも、聴覚が強化されていたためにヴァルターの声が聞こえていたレオーネ。そしてそのまま彼の評価に反論する。

 

「それに、あたしはスラム育ちの雑草根性でしんどい人生を送ってきた自負もある。だからなぁ……」

 

そういいながらレオーネは、置いてあった大岩に手を伸ばす。そして、そのまま持ち上げてしまった。

 

「あんたに技術や肉体の面で負けているのは認めるが、魂まで負けてやるつもりはねえんだよ!!」

 

そしてレオーネは叫び、その大岩を投げつける。しかし、ヴァルターは避ける様子が見当たらない。

 

「しゃらくせぇえ!」

 

そして、先ほど放ったインフィニティコンボでその岩を粉々に粉砕した。しかしその間にレオーネの接近を許してしまう。

 

「なるほど。心技体の心だけで、俺に勝とうってわけか。その心意気は嫌いじゃねえぜ」

 

そのまま余裕そうな表情で、ヴァルターはレオーネに反撃する。しかし先ほどの間にレオーネも学習したのか、ヴァルターの放った拳をつかんで止めた。

 

「ほら、どうせここでこのまま戦っても狭いだろ。もっと広い場所に行こうや!!」

 

そしてそのまま空いている手でヴァルターの上着をつかみ、壁の崩れた場所から一気に投げ飛ばす。そして投げ飛ばしたヴァルターを追って、レオーネもそこへと飛び込んだ。

しかしその先には、既に体勢を整え直したヴァルターの姿があった。

 

「いろんな意味で予想を裏切ってくれるが……これはスリルがあっていいねぇ」

「言うだけ言ってろ。そんでもって、後で後悔しな!!」

 

そして再び対峙する。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

「せやぁあ!」

「はぁあ!」

 

一方、アカメはナハシュと激戦を繰り広げていた。ナハシュはケルンバイターを、アカメは村雨を振るう。

その中でアカメは暗殺特化型でなおかつ女性であるため、戦闘スタイルは高速剣術となっている。しかもその攻撃は、太腿や首などの動脈部への斬撃、直接心臓を狙う刺突など、全てが急所を狙っている。掠りさえすれば殺せる村雨を持ちながら、それを過信していなかった。

 

(やはり強いな、アカメ。ここまで殺しの才能を持った人間、結社でもそうはいないだろう)

 

アカメの攻撃を防ぎながら、ナハシュは思う。ナハシュがアカメと参加した最後の任務、それはプトラという古代王国の王墓で、貢物として帝国の有する財宝を奪われたから取り返せというものだった。そこの墓守達は秘術で、危険種をはじめとした生物の力を肉体に宿すことができ、強さも段違いだ。ナハシュは別行動していたので知らなかったが、アカメはそこの長ヴェネクを倒したのだ。長は代々、超級危険種ヌビスの力を宿して強大な力を振るえるが、その長であるヴェネクをして「命を奪うことに関する天賦の才を持つ」と言わしめていた。

持ち得る武器や技術、その場の状況などありとあらゆるものを使いこなし、人も獣も問わずに生きている敵は確実に殺す。正に命を奪う才能そのもので、それ故にアカメは妖刀たる村雨の適合者に選ばれたと言ってもいい。

 

しかしそんなアカメの一斬必殺の太刀をナハシュは全て捌き、尚且つ攻撃する余裕がある。しかも、こちらはアカメのスピードでも躱しきれずに次々と掠り、じわじわとダメージを与えていたのだ。

 

(チーフ……やはり強い。元々キルランクが1位だったから強いのは当たり前だが、向こうでいい師に会えたのか、下手をすれば将軍級だ)

 

対するアカメも、ナハシュの圧倒的な強さに驚いていた。暗殺部隊が設立された時、試験でキルランクという強さの順位を決めて、上位7位を選抜部隊に組み込んだ。アカメは当時にクロメを庇いながらという悪条件ながらもギリギリの7位に組み込んだため、強さも相応に高い。

しかしナハシュはその中でも堂々の一位となっている。しかもそこに、剣帝や鋼の聖女からの手ほどきを受けての戦闘技術が合わさり、並みの帝具使いを上回る力を得られた。

 

「相変わらず、暗殺をしながらもまっとうな剣術を使うんだな。まあ、俺も人のことは言えないが」

「お互いこれが戦いやすいということだろう。チーフにはどうせばれているだろうから打ち明けるが、いざとなったら奇抜な剣術に切り替えるさ」

 

しかし、これはアカメのブラフであった。ナハシュに警戒を誘いつつ、奇抜な剣術に変わった際の対処をさせてそのまままっとうな剣術で攻める。防御スタイルの切り替えによる隙を誘うためだった。

しかしそんな中、何を思ったのかナハシュがいきなり距離を取り始める。アカメはそれを、以前に見せてきた分け身で畳みかけるのかと思い迎撃態勢に入るが、それがいけなかった。

 

「零ストーム!」

「何!?」

 

ナハシュが放ったのは、アジトに襲撃をかける前に危険種に対して使った竜巻を伴った斬撃だった。とっさに事態に驚愕するも、どうにか避けるアカメ。しかし、避けきれずに左腕を負傷することとなってしまった。

 

「分け身に並ぶレーヴェの十八番”零ストーム”。こっちに関しては一番印象に残っていたからか、完璧に使いこなせている」

「まさか……素の身体能力で竜巻を起こすとはな」

 

余りにも非常識な技を前に、アカメは驚愕する。

 

「お前は会話にブラフを混ぜて、急に剣術を奇抜なものに変えたりそう思わせて構えを変えたときにとどめに入ったりする。使える手はなんだって使って相手を確実に殺す、一番暗殺者向きの戦い方をするんだ。ならば俺も死ぬわけにいかないから、勝つために手段は択ばないで使える技はいくらでも使ってやるさ」

 

自分を知る格上という、嘗ての教育係の様な不利な相手との戦闘の困難さ、アカメはそれを改めて認識する。加えてこちらの常識から外れた戦い方をするため、その脅威度は更に跳ね上がるのだ。

 

(早くチーフを倒してラバの応援に行きたいが、難しくなった。恐らく、向こうも同じだろう)

 

応援に行けずにラバックのことを案じつつ、向こうも逆にこちらの応援が難しいことを悟っている。

 

「くそぉ!」

「ふっ!」

 

案の定、ラバックも苦戦していた。ラバックは悪態をつきながらクローステールでスピアを拘束しようとするも、スピアは軽い息遣いと同時に槍を拘束で回し、一気に巻き上げる。

 

「うぉお!?」

 

しかもその時の勢いで壁に叩きつけられる。エステルと対峙したときに似たような対処をされたが、それ以上に勢いがあり、ダメージも大きかった。しかし、ラバックもただでは転ばない。

 

「そらっ!」

 

ラバックはそのままクローステールを巻き上げながら体勢を整え、飛び蹴りのような体勢でスピアに向かっていく。

 

「見え見えです」

「えぇえ!?」

 

しかしスピアはラバックがこちらに来るより前に、槍を窓から投擲した。まだクローステールが槍に巻き付いたままのため、ラバックもそのままアジトの外に放り出されることとなる。

地面に叩きつけられたラバックが痛みをこらえながら立ち上がると、スピアがこちらに降りてきて槍を回収する。

 

「やはり殺し屋。戦士としては褒められないですが、相手を無力化する手段には事欠かないようですね」

 

そうスピアに指摘されるラバックだったが、彼の靴のつま先部に仕込み刃が生えているのが見える。先ほど阻止された蹴りで、彼女にこれを突き刺すつもりだったようだ。

 

「闇討ち上等の覚悟じゃねえと、帝国は変えられねえだろ。それに相手が女の子だからって、手加減はしねぇよ。色香に惑わされて殺られた奴もいるしな」

「なるほど。帝都を憂いて自ら闇の中に身を委ねる気高さ……私がマスターより先にあなたたちに会えたら、いい仲間になれたかもしれませんね」

 

ラバックの言動から、その決意と戦いの心得を察したスピアは、彼にそう評価を下す。しかし、すぐそのあとに槍を構えなおした。

 

「ですが、今の私は命の恩人にしてこの力を授けてくれたマスターに忠誠を誓った身。そのマスターが仕えし盟主の意志を体現すべく、戦うのみです」

「あんたも譲れない物があるのか。そこはお互い様ってことで、全力でやらせてもらうか!」

 

スピアの決意を聞いたラバックは、咄嗟にクローステールを束ね始める。それによって、大ぶりのハルバードを作り出した。そしてそれを棒術の要領で、力いっぱい振り回す。

 

「行くぜ超奥義!」

 

そして天高く飛び上がるラバック。どうやら振り回した遠心力と落下の勢いで、スピアに向けてたたきつけるつもりらしい。しかしスピアはそんな隙の大きい攻撃なのに回避するつもりが無い様で、むしろ迎え撃つつもりで槍を構えている。

 

「ワイヤーインパクトぉおお!!」

「……せやぁああ!!」

 

そしてラバックとスピアが、互いの得物をぶつけ合う。普通に考えれば、落下の勢いと遠心力が合わさったことでスピアが撃ち負けるはず。しかし……

 

 

「な!? また……」

 

またしてもラバックの糸の方が刺突で貫かれようとしていたのだ。咄嗟に攻撃を解除し、糸を解きながら距離を取る。しかしその傍ら、スピアが何もないところで槍を振り回し始める。

 

「さしずめ、小細工が効かないと判断して力任せに挑む。しかし実はそう見せかけて、攻撃の合間に別の糸で私を拘束するのが目的だったのでしょうね」

「へ……バレバレかよ」

 

スピアの指摘に苦笑いするラバックは、糸を巻き上げる動作を始める。すると、スピアの槍から月明りを反射する細い何かがラバックの方に引き寄せられるのがわかった。私的通り、スピアの周囲に糸を張り巡らせていたようだ。

 

「しかし、スゲェのがあんたの腕かその槍かは知らねぇが、束ねたクローステールが貫かれるとはな」

「私の二つ名の貫穿。これは私の帝国の安寧への願いとそのために戦う意思を貫き通す、ありとあらゆるものを物理的に穿ち貫く、という二重の意味からマスターが授けてくれました。後者は私の槍が突きに特化していたらしく、マスターが鍛えてそのための力としてこの槍を授けてくれたんです」

 

スピアが自身の二つ名の意味を語り、ラバックは警戒心を更に強めることとなる。事実、頑丈さに定評のある自身の帝具を二度も破ったため、当然であった。

 

(くそ。今の意味が眉唾じゃねえのは、ここまでやり合ったことでよくわかった。下手に対抗しようとしたら、とっておきでも勝てねぇかもしれねぇ)

 

クローステールは、ゼムリア大陸とこの大陸を隔てる東の海、そこに広がる雲海に住む龍型超級危険種の体毛を糸に加工した帝具である。そしてその危険種が急所を守るために生やした特別頑丈な剛毛を加工した、とっておきの一本が備わっている。その強度と切れ味から”界断糸”と呼ばれるそれだが、スピアの実力から下手に使えないという事態になってしまう。

ラバックが警戒する中、アジトの壁が爆音と同時に吹き飛ぶのが見えたため、互いに視線がそこに映る。すると、そこからアカメとナハシュが剣戟を繰り広げながら飛び出すのが見えた。

 

「アカメちゃん、苦戦してるみたいだな」

「私としては、ナハシュさんを相手にあそこまで戦えることに称賛したいですね」

 

互いが味方の状況を把握し、そしてそのまま戦闘が続行された。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

「ちょこまかとしない!」

「はっはっは。しないと当たってしまうじゃないか!」

 

マインはブルブランを狙ってパンプキンを乱射するが、一向に当たらない。いや、正確には当たっているが効いていない。その原因は、ブルブランが分身しているからだ。しかしナハシュが使うような分け身でなく、トリックを用いた実体のない虚像であるため、本体さえ叩けばすぐにでも消えるはずだ。しかし、それを簡単にはさせないのが、執行者としての腕の見せどころでもある。

しかしブルブランも勝負している以上、防御や回避だけでは終わらない。

 

「奇術・アカシックレイン!」

「え? ……きゃあ、何!?」

 

ブルブランが叫んだ直後、マインの周囲にエネルギー弾のようなものが雨のように降り注いだ。正体不明の攻撃でなおかつ範囲が広く、マインも回避ができなかった。

 

「マイン、無事か……うぉお!?」

「よそ見をしてる余裕はありませんのよ!」

 

ブラートがそちらに気を回した隙に、デュバリィが急接近して斬りかかる。そしてそこから、高速の剣戟に突入した。

 

(ちぃ! この子、力は俺より劣るが技で互角、スピードは圧倒的に上だ。単純な速さだけなら、アカメ以上か?)

 

神速の二つ名を関するだけあり、デュバリィはアカメに匹敵、もしくはそれ以上のスピードでの攻撃を仕掛けてくる。加えて、インクルシオの連続使用で少なからず疲労しているため、こちらが攻撃する隙を与えられていない。

幸いなのは、インクルシオ自体の防御力もあってダメージが少ないことだろう。

 

「見切ってみなさい!」

「な!?」

 

そんな中、ブラートの周囲にデュバリィの生み出した分け身が二体出現。本体を含めて三人になった彼女に、一斉に斬りかかられた。

 

「うごぉお!?」

 

更に、今の攻撃で怯んだところに何かが投げられる。ブラートに投げられたそれはトランプで、しかも鎧の関節部に的確に刺さっている。

 

「一対一の果し合いに、無粋なことをするんじゃありません!」

「なに。あの鎧では、君の剣だとダメージが薄いのではないかと思ってな」

 

直後にデュバリィがブルブランに憤慨したかと思いきや、何かを投げた後と思しき手つきで佇んでいる。自信もマインと交戦中にも関わらず、ブラートに対して投擲攻撃、しかもピンポイントで命中という結果をたたき出した。

しかし直後、マインがブルブランに発砲するも回避される。

 

「戦闘中によそ見なんて、ずいぶん余裕ね!!」

「おっと、危ない。シャドウキャスト!」

 

そしてマインが避けられたことに憤慨しつつも、パンプキンを乱射する。パンプキンはアタッチメントの換装による仕様変更が可能で、ビーム発射のロングバレルや狙撃用のスナイパーバレルが存在、そして今は連射が可能なマシンガンバレルを使用している。しかしブルブランはたやすく回避し、再び虚像を生み出してそれでマインを翻弄する。

 

(色物臭い見た目に、それを象徴したみたいなトリック主体の搦め手戦法……厄介すぎるわ。しかもブラートと戦ってるあいつも、アカメ並みかそれ以上のスピードで強い。しかも状況的にこいつらの仲間もいるっぽいし、すっごいピンチ)

 

マインもマインで、ブルブランとデュバリィの戦闘力を分析、危機を察知している。

 

「けど、そんなピンチの中でこそあたしは強くなる!」

 

しかし直後、叫びながらマインはロングバレルに付け替えてパンプキンを構える。するとその銃口に、眩い光が集っている様子が見えた。

 

「喰らいなさい!!」

 

直後、極太のビームがパンプキンの銃口から放たれる。先ほど、重装甲人形兵器のヴァンガードを全滅させた物と同じ極光が、ブルブランを虚像諸共飲み込んだ。しかもマインは、そのまま銃口を薙ぎ払ってデュバリィも狙う。

 

「な!?」

「やべ!」

 

流石にデュバリィも危機を感じ、残像が見えるスピードで撤退する。ブラートも巻き込まれないように、咄嗟に飛び上がってビームを回避する。

 

「マイン、助かったけど巻き添えも考慮してくれよな」

「うるさいわね。そんな余裕なかったの、見てたらわかるでしょ」

 

流石にブラートも、インクルシオを解除しながらマインにボヤキを入れる。重装甲兵器を一瞬で破壊した攻撃は、流石にインクルシオの防御力でも無事じゃすまないだろうから当然だ。

 

「あの胡散臭い臭いマント野郎は流石に倒せたが、あの嬢ちゃんには避けられたから気を付けねぇとな」

「ええ。でも、流石に二対一なら勝ち目はさっきよりあるでしょう」

 

そして二人して警戒態勢に入ると、爆音が近くから聞こえる。しかしその直後にレオーネが吹き飛んできたのだ。

 

「レオーネ、どうしたの一体!?」

「いてて……マイン、気づいてると思うけどやばい敵が」

「へぇ……他のナイトレイドがこんなところに」

 

しかしすぐにヴァルターが指と首を鳴らしながらこちらに近寄ってくるのが見える。

更にそれだけでなく、金属音が聞こえ始めた。案の定、アカメとラバックがそれぞれの相手と攻防を繰り広げながらこちらに近寄るのが見えてきた。

 

「みんなも、交戦中か」

「ああ。マインがようやく、一人倒してくれたがピンチには変わんねぇ」

「俺らの相手でも厄介なのに、もっと強そうなのが居やがるな」

 

ラバックが辺りを見回していると、先ほど撤退したデュバリィが戻ってくるのが見えた。

 

「さて。一人減ったんだから、もう数の差で勝ち目はないんじゃないかしら?」

 

そしてそのまま、マインがデュバリィに勝ち誇った様子で告げる。しかし、彼女の返答は予想だにしないものだった。

 

「……このことを認めるのは癪ですが、彼はそう簡単にはくたばりませんのよ」

「え?」

 

そのデュバリィの言葉に、一瞬呆けてしまうマイン。しかし、その言葉がすぐに現実のものとなった。

 

「はーーっはっはっはっはっはっは!!」

 

直後に聞き覚えのある高笑いと、バラの花びらを巻き込んだつむじ風が発生。消し飛んだはずのブルブランが、再び現れたのだ。

 

「あ、あんた……あの攻撃からどうやって?」

「奇術とは相手の虚を突いて初めて成功するもの。攻撃のためにあの場に本体が残っているという先入観を持たせ、あの場に虚像のみを残したのだよ」

 

ブルブランが無事だった理由が本人の口から語られ、再び危機に陥ってしまう。以前ピンチではあるが、マインも帝具の酷使で疲労が見え始めているため、先ほどのような大規模な攻撃は続けては使えない。

 

「さて。ここに大体の面子が集合したが、どうするか?」

「まあ、この状況なら乱戦に持ち込むのもありかもな」

「だね。相手もその方が勝率が上がるだろうし、サービスの一環としてはいいかもしれないね」

「全く……なんで貴方たちはそう遊び半分な気持ちで任務に取り組むんですかね」

「筆頭、抑えて抑えて」

 

挙句、会話を始めてしまう執行者軍団。明らかに余裕が見えている。

 

「拙い……このままじゃ全滅するかもしれない」

「アカメちゃん、縁起でもないことを言わないでよ。でも、やばい状況なのはマジだからな」

 

逆にアカメたちは余裕がない。明らかに危機的状況だ。

更に、そこからダメ出しが始まる。

 

「ふはははははははは! 例のナイトレイドとやら、既にボロボロじゃないか!!」

 

すぐさま新しい男の声が聞こえたと思いきや、声の主らしき強化猟兵の鎧を着た青髪の青年が、人形兵器とクーガーの大群を率いてきたのだ。

青年の名はギルバート・スタイン。元はリベール王国の一都市で市長秘書をしていたが、市長と供に汚職をしたため逮捕。しかしその後、結社入りして強化猟兵の一員となった。率いている人形兵器は、獅子を模したデザインの四足歩行型”ライアットアームズ”と、後継機の”ライアットセイバー”だ。

 

「……おい雑魚、お前には待機命令を出していたはずだが」

「生憎だけど、ここでナイトレイドと帝具の全滅という手柄を僕に持って行かせてもらうよ。そしてあわよくば、僕も新しい執行者に……」

 

ナハシュによれば、ギルバートは無断で襲撃してきたらしい。しかし、結果的にナイトレイドをさらなる危機に陥れたのには変わりなかった。

そんな中、アカメがある提案を告げる。

 

「みんな、私が隙を作るからタイミングを図って逃げるんだ」

「アカメ、何言ってるんだ!?」

「私はたぶん、経歴的にここで一番命を奪っている。だから一番先に報いを受けて、それがここで果てることかもしれない」

 

アカメもそんな後ろ向きなことを言い始め、危機に拍車をかけている。

 

「あんたはうちの切り札なんだ。囮だったら、戦闘が帝具頼りのアタシにした方が得策だろ」

「姐さんまで、何後ろ向きなことを……」

 

挙句レオーネまで、アカメを止めるためとはいえ自らを囮にするという発言をしてしまう。かなり切羽詰まった状況と化している。

 

 

 

 

 

 

 

しかし、それと同時に光明が差した。

その時、空に何やら巨大な影と風を切る音が現れたため、結社もナイトレイドも戦闘を中断してそれに視線を向けてしまう。

現れたのは、巨大なエイのような生命体だった。

 

「何だこりゃ? あれも危険種の類だろうが……」

「エアマンタ。特急危険種だが、クーガー同様に調教されているな」

「まさか、ナイトレイドの援軍?」

 

ヴァルターが現れたその影に首をかしげるが、ナハシュとスピアが帝国出身だったためにある程度の推測ができた。そんな中、マインがスコープのような物を使ってエアマンタの様子を調べいる。

 

「あれは……ボスだわ! しかも、援軍っぽいのが二人いる」

「なるほど。向こうで新戦力を補充してくれたのか」

 

マインが見たのは、ナジェンダとナイトレイドのエンブレムが入ったフード付きの外套を纏った二人組が、エアマンタの背に乗る姿だった。

すると新人のうち一人とナジェンダがエアマンタから飛び降りて、こちらに向かってきた。

 

「みんな、待たせたな。占いの帝具でアジトに凶とあったが、新戦力で何とかするぞ」

 

ナジェンダが着地と同時に口を開き、続いて降りてきたもう一人が外套を脱ぎ捨て戦闘態勢に入る。そしてその新戦力だが、なにか可笑しい。

見た目は白い胴着のような衣服を纏った、青髪と無精髭の青年だった。しかし、彼の側頭部からなんと角のようなものが生えているのだ。

 

「なんだ、こいつ? 明らかに普通じゃねえな」

「何かしらの帝具で強化した影響、と見るのが自然だが……」

「まあなんにせよ、初見の相手にいきなりぶつかるのも得策じゃないな。ギルバート、奴に狙いを定めろ」

「え!? ……まあ、手負いじゃない奴を倒した方が手柄になるからいいか」

 

ヴァルターもブルブランも、突如現れた男に警戒し、ナハシュもそれに合わせてギルバートに指示を送る。

 

「さて、それでは小手調べと行こうか!」

「まあこれで死んだら、それだけ歯ごたえのない奴だったってことだな」

「……ああ、もう! 総攻撃、開始だ!!」

 

ブルブランの言葉と同時に、ギルバートが人形兵器と魔獣の大群が青年へと攻撃を仕掛ける。

 

「スサノオ、目の前の敵を駆逐しろ。機械も獣も、従えている人間もすべてだ」

「わかった」

 

ナジェンダに名前を呼ばれた青年、スサノオは手に持っていた白い巨大な混のような武器を振るう。飛びかかってきたクーガーが攻撃する前にその武器に殴られ、装甲越しに肉を潰されて絶命する。二、三匹と立て続けに倒されて残りのクーガーたちも距離を置く。だがそれと同時にライアットアームズ数体がオーラを纏い、突撃してくる。

しかしスサノオは大ジャンプでそれを回避し、武器を振り下ろす。大ぶりの武器と落下の勢いが合わさった一撃で、ライアットアームズも破壊される。そしてそのまま薙ぎ払い、残りのライアットアームズも破壊してしまった。

 

「隙だらけだぜ」

 

ヴァルターがつぶやいた直後、なんと今度はクーガーが十数匹の大群で飛びかかってきたのだ。流石にこれは、スサノオがいかに強くても多勢に無勢だが……

 

「いや、おびき寄せるためにわざと隙を作ったんだ」

 

直後にスサノオが口を開いたと思ったら、なんと彼の武器から刃が飛び出し、それが高速回転し始める。そしてそれを振り回し、飛びかかってきたクーガーたちをまとめて切り刻んでしまった。

 

「つ、強ぇ」

「ボス、とんでもない逸材を連れてきたみたいだな」

 

スサノオのあまりの強さと、その淡々と戦いを作業のようにこなす様子にラバックとブラートが驚嘆、残り女性陣も思わず見とれてしまう。

 

「行け、プラズマボール!」

 

しかし、ギルバートの指示とともにライアットセイバーが、強力な電撃弾を一斉発射して攻撃する。その大規模な攻撃に、流石のスサノオも隙があったため諸に喰らってしまう。

攻撃が収まったところで、スサノオの片腕が焦げて落ちてしまったところが見えた。加えて体の軟化初夏も焦げているのが見え、明らかに戦闘継続は絶望的だった。ナイトレイドの面々も顔を青ざめてしまうが、その直後にあり得ないことが起こった。

 

「な!?」

「ちぎれた腕が……」

「まさかこれって」

 

なんとスサノオの腕が消し飛んだ跡から、メキメキと音を立てて肉が盛り上がっていき、それが腕の形になったのだ。そう、無くなった人体が再生したのである。しかも再生する傍ら、得物を投げつけてライアットセイバーを吹き飛ばしてしまう。

マインはスサノオの再生を見て、これと同じことができる相手と交戦したことからその正体を察した。

 

「強化してるにしても、再生能力が常軌を逸している……新種の魔獣の類か?」

「いいえ、彼の正体はおそらく生物型帝具。適合者の命令に従い自立行動する帝具があると聞いたことがあります。そしてそれは高い再生能力を有していて、核を破壊しない限り半永久的に戦えるそうです」

「なるほど。その生物帝具とやらの人型、さしずめ帝具人間というわけか」

「あ、あり得ませんわ……スピアさんも、冗談はやめてください」

「筆頭、残念ですが事実です。これでも貴族の出で、教養の一環で帝具の文献にも目を通したことがあるので」

 

スピアの口からスサノオの正体が語られ、執行者とデュバリィも感嘆や驚愕の色を見せる。再生能力を有した半永久的に戦う生物兵器。結社でもそんなもの、いまだに作られていないのでこれは当然だった。

しかもその大規模な攻撃で、いつの間にか人形兵器もクーガーも全滅してしまった。

 

「あ、あれぇ?」

 

ギルバートが呆ける中、淡々とスサノオが近寄ってくる。しかも執行者や鉄機隊をスルー、されている側も傍観している。

そんな中、ギルバートは……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ま、待て! 僕が悪かった! 許してくれ! 頼む! 仲直りをしようじゃないか! 話せばわかる! 握手をしよう!!」

 

なんと、土下座しながら許しを乞うのだった。この小物っぷりから、執行者の間での彼の扱いは玩具だったりする。

しかし、ナイトレイドからしたらそんなことはどうでもいい。

 

「いや、人も含めて駆逐しろと命令された。だからお前の命は奪う」

「こちらを殺しにかかって、それは虫が良すぎるだろ」

 

スサノオもナジェンダも、それを受け入れる気はない。もちろん、他のナイトレイドも全員だ。そしてそのまま、腰を抜かしたギルバートにスサノオが得物を振り下ろそうとする。

 

「い、いやあああああああああああああああああああああ!!?」

 

ギルバート絶体絶命。しかし……

 

 

 

 

 

「ギルバート君は執行者みんなの玩具だから、死なれちゃ困るんだよね!!」

「!?」

 

直後、一人の少女が飛び込んできて得物をスサノオに振り下ろしてきた。咄嗟ながら防御するスサノオだが、今ので攻撃のチャンスがついえた。

 

「……シャーリィ、第三柱との仕事は済んだのか?」

「モチのロン。ばっちり片付けたよ!」

 

ナハシュが割り込んできた少女の名を呼んだ辺り、結社の関係者のようだ。シャーリィと呼ばれた少女は、キャミソールとショートパンツ上からの袖なしのジャケットを羽織った、活動的な服装をした赤い髪の少女だ。屈託のない笑顔を浮かべながら、手にした得物はチェーンソーが取り付けられた大型アサルトライフルという物騒極まりないものだ。

 

「みなさん、遅くなりましたわ」

 

直後にまた別の声が聞こえたと思いきや、一人の女性が姿を現す。金髪ドリルヘアーの女性だが、服装は露出が多く且つ妙に悪者臭い黒い服を纏っている。そして手には、魔法使いを思わせる大きな杖を手にしている。

 

「初めまして。身喰らう蛇の第三柱、”黒の魔導師(マギウス)”マリアベル・クロイスと申します」

「執行者No.XVII《紅の戦鬼》シャーリィ・オルランドだよ。よろしくね!」

 

マリアベルは元はIBC(クロスベル国際銀行)総帥令嬢だが、裏では一族秘伝の錬金術を継いでいた。そしてそれをもとにある事件を起こすが、それが完遂されるとワイスマンの後任として第三柱として結社に迎え入れられた。

対してシャーリィは、ランディの従妹で元猟兵団”赤い星座”の戦闘隊長だ。クロスベルで団がマリアベルと父ディーターに雇われると、その際にともに雇われた結社からスカウトを受けた。その後、事件の渦中で特務支援課とライバル認定したリーシャに敗北、さらなる力を得ようとスカウトに応じたのだ。現在はマリアベルの護衛という立場にある。

 

「ほう……その様子から、お前がこいつらを率いるわけか」

「まあ、最高幹部の使徒が一柱ではありますね。更にその上に盟主がいますが、ここには流石に来てはいません」

 

ナジェンダもマリアベルを相手に、警戒を最大限にする。戦闘力も高いが、帝国各地の強者とは異なる得体の知れない何かを感じさせるのが大きい。

 

「まあ率直に言いますが、私たちはあなた方の実力を見定めるのが目的でここに来ました」

「何?」

 

直後のマリアベルの言葉に、ナジェンダも首を傾げる。しかし、警戒は解かない。ナイトレイドも執行者も、まだ臨戦態勢に入っている。そんな中で、マリアベルは語り始めた。

 

「私達は、まあ帝具の破壊という任務があるのでここであなた方を倒せればそれで済みますわね。でも、もし帝具と使い手の力が想定外の高さを発揮した場合を見越して、わざわざ夜襲を仕掛けたのです」

「なるほど。ここで勝てれば御の字だが、実力分析が前提というわけか」

「ええ。それに、何やら陰で隙を伺っている方もいるようですし潮時かと」

 

そういうマリアベルだったが、もう一人の増援が何処かに居ると気づいていたようだ。

 

「流石に、人形兵器ともまともに戦えて執行者相手に生き残る。それだけの実力があるなら、また万全の準備をして乗り込む方がいいですわね」

「っていうわけで、シャーリィ達はここでサヨナラするね」

 

最後にシャーリィが占めると、ギルバートを脇に抱えながら照明弾を発射する。すると、それに合わせて飛行艇が飛んできた。ギルバートがここにいるのに飛んで来たため、自動操縦がなされている模様だ。

 

「さて。ナイトレイドの諸君、一度お別れと行こうか」

「今度はもっと強くなるのを、期待してるぜ」

「わかっているとは思うが、アジトの場所も変えた方がいいだろう」

「決着が着かないのも癪ですが、撤退させていただきますわ」

 

執行者やデュバリィの言葉と同時に、そのまま飛行艇に吊るされたワイヤーに捕まって飛び去る執行者と鉄機隊たち。

 

「さて。では皆さん、ご機嫌よう」

 

そしてマリアベルは、そのまま別れの挨拶を告げて転移してしまった。思わぬ形で、ナイトレイド全滅の危機は去ったのだった。

その直後、どこからか一羽の鳥がナジェンダのそばに飛んできた。

 

「チェルシー、どうやらバレていたらしいな」

 

ナジェンダに声をかけられた直後、その鳥が煙に包まれ、中から代わりに一人の女性が現れた。ウェーブのかかった茶髪に、棒付きキャンディを加えている。そして手には、化粧箱の様な物を持っている。

 

「みたいですね。ガイアファンデーションの力はわかりませんけど、せっかくの殺し屋スキルが通じないのはショックですね」

 

どうやら彼女の帝具は変身する効果があるらしく、その効果からして化粧箱がそれのようだ。

 

「はじめまして。あたしがもう一人の増援、チェルシーよ」

 

ナイトレイドの新たな仲間、完全暗殺特化と生物帝具という、シェーレの穴を埋めるには十分すぎるものだった。




結局やっちゃいました、ギルバートの土下座(笑)。通じないもギルバート生存(当たり前か?)

追記:閃Ⅲの公式サイトにてシャーリィの紹介があったため、それに合わせて一部書き直しました。(6/13)

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