IS Striker   作:アーヴァレスト

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それは姉妹の話、弟がいる姉と兄がいる妹の話


素直になれない姉妹

「で、作れと?」

「あぁ、作ってくれないか?」

 

俺は緊急であるモノを作ってもらう取引をしていた

 

「で、仮名がゼロ組だと?ふざけてるのか?名折れどころの話してではないぞ?」

「あぁ、あくまでも学園の予備戦力だからな」

 

学園への予備戦力配置。それが正体だが、粒揃いの人間が揃ったことでついに実行に移せる時が来たのだと判断している

 

「IS委員会にも知らせるなとはどういう意味だ?」

「最近のIS委員会の動きがどうにも妙だ」

「・・・?」

「なぜか管理官が急遽変わる、それも増員までする。更にはこちらで保護している人物の一斉引渡しを要求する・・・明らかにおかしいだろう」

 

この一ヶ月の間にこれだけの事をしている、それがおかしい

 

「気のせいではないのか?」

「それだけならいい、だが、テロも多くなっていておかしくない(・・・・・・)というのがおかしいだろう?ソレ関連の動きも抑制するのがIS委員会だろうが」

「確かに・・・」

「ゆえ、内通者のいる可能性を考えたわけだ」

 

内通者・・・IS学園にも黒羊歯という例があったように、IS委員会にもいる可能性がある

 

「過去の例から考えていけば、最適のメソッドはそれぐらいしかない。それでも、時間稼ぎ程度だろうけどな」

「それでも、やるだけの事はしないといけない・・・か」

「あぁ、そうだ」

 

それが有効活用できるのなら、最大限まで有効活用するだけだ

特に・・・

 

「風鳴・翼を含めたシンフォギア装者は特に潜在戦力として最高水準だ、元教え子でもあるしな」

「ほお・・・?」

「でも、お前みたいに人間やめてる系じゃないからな?」

「・・・チッ」

 

うわ、物凄くあからさまな舌打ちだよ・・・

 

「で、その条件はこちらからも出せるんだな?」

「もちろん、こちらから願い出していることだからな」

「地下になるがいいな?」

「あぁ、構わん」

 

その程度の事は予測できたことだ、窓の当たる部分に自然と間違うほどの映像を流せば良いだけで済む

 

「地下は案外とストレスが掛かるぞ?」

「窓枠に映像を流す、自然と間違うほどのな」

「流石だな、穴倉暮らしが長かっただけはある」

「ほっとけ」

 

あくまでも生活の基盤を地上に起き、学生と同じ時間を地下で過ごすだけのことだ

そこに何の問題が・・・あるな、うん

 

「問題は学生同士の付き合いが出来なくなる事だな」

「それに関してはこちらから考えよう」

「手があるのか?」

「ある、それもとびっきりのな」

 

気になる、同時に嫌な予感もする

 

「とりあえず聞こう」

「専門分野の特殊組」

「ブフォ!!」

「なぜ笑う?」

 

いや、だってさぁ!!

 

「確かにそうだが!!あぁ、うん、なんだ、これだけ面白ネタ突っ込んでくると笑い出したくもなる!!」

 

確かにそうだな、うん・・・転生者に、歌いながら戦う連中に、ISでないナニカなんだからそれは確かに言える

だがそれで1クラス纏めて作るなんて誰が考えるよ、しかも公開するんだと!!

 

「潜在戦力持ってるという言葉よりも強烈な打撃だな!!」

「敵を誘っていながら騙す、お前の常套手段を真似ただけだ」

「俺も上手く踊らされるかもな?」

「お望みならそうするが?」

 

はん、そんなの!!

 

「誰がさせるかっつの、一回程度で調子づくなよ?」

「そのうち出し抜いてやるから覚悟しろ、小僧」

「言ってろ脳筋」

「「あ゛?」」

 

あ、なんかやばい気がしてきたなぁ・・・何気に二人目がいる・・・マドカが

 

「マドカ、来ていたのか?」

「あぁ、つい先日、ようやく全ての仕事を終えたのでな」

「あれ、なんで直属の上司である俺に先に言わないのかな」

「チッ!!」

 

なんだろう、最近の俺は妙に激しく舌打ちされている気がする

 

「自分がした事を忘れたのか?」

「忘れてはいないさ、その結果君も自分の間違いに気づいんだろう?」

「それはそうだが・・・」

 

トゥーレとの決戦の時、彼女は全ての記憶を取り戻したらしい

それもギリギリの、敵にやられる寸前に

 

「でもあのような回りくどい事はとても嫌いだ、真正面から叩き潰された方がどれほど良かった事か・・・」

「それをすると一夏が黙ってないんだよ、それをしたら?って聞いたらなんて言ったと思う?」

「知らん」

「俺を殺して、自分がなんとしてもマドカを止める。だとよ」

 

マドカが、ポカン・・・とした表情になった、その気持ちすごくわかる

 

「は・・・?」

「家族として愛しているからさ、千冬以外に初めてわかった家族の存在だ、それを臆面もなく言い放つほど真剣なのだろうよ」

 

真に恐ろしく、強いのは()だ、家族に向ける愛、友や恋人に向ける親愛や恋愛感情

それは魔道や邪道に行かせたり、戦う理由にも化ける凄まじい汎用性を持つ

 

「良かったな、お前の兄貴、すっごく真剣な目でそれを言うもんだから俺も思わずたじろいだぜ」

「そのバカさ加減にだろう?」

「うん」

 

馬鹿になるのもいい時がある、それが一夏にも来た瞬間がアレだったのだろう

鈍感なくせによくまぁ・・・

 

「で、そういうお前は一夏の前でちゃんと話せているのか?」

「う・・・それは」

「出来てない訳だ、似たもの兄妹め」

「悪いか!!」

「悪い」

 

それはいかんなぁ、非常にいかん

 

「おい、姉上が教えてやれよ」

「・・・どう教えろと?」

「あれ・・・そういえばこの人もだった」

 

素直になれないがゆえに少し(少し?)厳しい事もするが、それはそれだけ心配している事の証でもあるのは、超がついてもおかしくない鈍感の一夏も知っている

 

「要はお前ら二人共不器用なんだよ、伝えたくても素直になれないんだ」

「「・・・」」

「おい、何だその目は?事実だぞ、他人から見た。なぁ、そこで温かい目をしている山田先生!?」

「は、はい!!」

 

ほら見ろ、事実だろうが。変なもの見る目でこっちを見るなっての

 

「カズマ君の言うとおり二人共素直ではないと思いますよ?」

「山田先生、後で藍澤と一緒に組手を」

「ふえぇぇ!!」

 

ご苦労さん、山田先生

 

「自覚はあるのか、二人共」

「む・・・」

「ん・・・」

 

あれ、だんまりだ・・・って事は

 

「まさか・・・なかったのか!?」

 

最悪だ、無自覚なんて!!

 

「「自覚ぐらいある!!」」

 

同時に否定ですか、そうですかそうですか

 

「じゃあ、頑張りたまえ、あぁでも」

「・・・?」

「自分の出来る範囲でな、あまり背伸びするなよ、千冬は特にな」

 

そう言うと織斑・千冬は顔を赤らめながら俺に叫んだ

 

「どういう意味だ!?」

「まんまだよ、年甲斐もなく張り切るなよ?」

「この、待て!!」

「待ちませーん!!」

 

脱兎の如く逃走し、一夏にエンカウントできる場所までわざと向かう

 

「おーい、一夏ぁ!!」

「どうした、カズマ?」

 

俺後ろから追いかけてくる千冬を見て、一夏はなんとなくわかったようだ

 

「あぁ、納得」

「俺を逃がしてくれい!!」

「ほらよ、裏口から逃げろ」

「サンキュ!!後で焼串奢るぜ!!」

 

そのまま逃げ去り、俺の作戦通りに物事は進むのであった




特殊な組を作らせて、後はいつの間にか姉妹を・・・からかって楽しんでますね!!


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