胎動は既に始まっていたもの、それが表面化を始める
「・・・♪」
鼻歌を歌いながら俺は優雅に散歩していた、今日は珍しく平日に学園外に行ける日だったのだ
買いたいものも買ったし、余った金でギャンブルして十分に稼ぎ上げた絶好調の日だ
「楽しそうですね、藍澤・カズマさん」
「あぁん?」
声を聞いた瞬間に不機嫌になるまでは、だったが
「で、何の用だ?」
「はい、商談です」
「政府の高官がそんな裏仕事してもいいのかい?」
「えぇ、構いません、暇ですから」
抜けしゃあしゃあとよく言う。空いた口が塞がらなくなるぞ?
「あぁ、今日はどの役職で来た?」
「ただの会社社長ですよ」
「氷雨商会か」
「えぇ」
氷雨商会・・・IS関連の武装運送から開発まで幅広く手掛けるIS関連技術総合企業
その正体は政府の非公式IS関連技術情報収集機関にして諜報機関だ
そのトップがいきなり俺の目の前に来て
「こちらで開発した新装備のテストをしてもらいたんです。お願いできませんか?」
「内容は?」
商談場所もそれに似つかわしい場所である、なにせ本社なのだから
全くどこまで豪胆で底の見えん奴なんだか・・・
「以上です」
「ふむ・・・」
資料を貰い、見ながら説明を受ける。表面上は普通の商談に見えるが中身は指令書
全く厄介な・・・!!
「これは本当か?氷雨・アキラ?」
「えぇ、本当ですよ」
普段通りのポーカーフェイススマイルを崩さずに言いやがる。これが本当に政府高官なのか疑わしいにも程がある。あいにくと事実なんだが
「ちっくしょう・・・やるしかねぇか」
「そうですか?それは良かった」
「が、あえて聞こう。これは俺がアレを開発していると知ってのことか?」
「はい、当然ですよ?
その一言で分かった、IS学園内部にもコイツの毒手や毒牙がいる事を
全く完全に手を打たれているな・・・情報入手先は恐らく山田先生だろう。元代表候補生だから接触している可能性は非常に高い
「くくく・・・」
苦笑いにしかならないほどだが、それでもコイツの直接依頼だ。事態はそれほどに緊迫していて、尚且つ慎重と秘匿性が求められるのだろう
つまり政府にとっては何としても明かしてはならないモノだという事だ
「了解した、費用はこんなところだろう」
「ありがとうございます♪」
くそ・・・全くめんどくせぇが、金になるんだしょうがないだろう・・・
胸糞悪いことになったが、それでも・・・
「あぁ・・・今日も平和だなぁ」
平和を守ることが俺の仕事なんだ・・・
<???、???>
その頃、とある教会の礼拝堂で祈る人物がいた。白い服とズボン、そして手袋が特徴的である
その人物の前には墓が建っている。
その墓に刻まれた名前は織斑千冬、藍澤・カズマ、イセリア・アンクフレート・・・篠ノ之束の名が刻まれている
「・・・」
目を閉じていたその人物は静かに、そして確かに呟いた
「最強と天才は・・・二人も、いらない」
そしてその場を去っていく。その目は、ある種の決意ともいえる力を秘めていた
なんだかすっごく不吉な予感がっ!!これは新たな事件の前触れか!?
さぁ、主人公はどうする!?
感想ください、作者が超張り切ります