それは、大好きな人からのお願いという、何者ですら勝てないもの
三時間目が始まった、このままノンビリしたいと思ったらセシリア・オルコットが何やら言い始めた。
曰く、物珍しいからという理由で極東の猿にされたくないとか、クラス代表は実力トップがなるべきだとか、文化として後進的だとか言ってた。
そしたら・・・
「お前の祖国なぞ、世界一まずい料理でいったい何年覇者なんだ?」
あ、言っちゃた、言っちゃいけないことを
「なっ!?」
「それにもう一人の男の存在を忘れているぞ?だから私は藍澤・カズマを推薦する」
「俺ぇ!?」
巻き込まれた、最悪だぁ!!
「あっ、あなた方、わたくしの祖国を侮辱しますの!?」
「・・・」
俺知らね、由宇と織斑・一夏がツルッと言っちゃったことだし
「決闘ですわっ!!」
「「おう。いいぜ。四の五の言うよりわかりやすい」」
「言っておきますけど、わざと負けたりしたらわたくしの小間使い・・・いえ、奴隷にしますわよ」
あ、今度は俺と織斑・一夏の言葉がシンクロした。それと勝負にはわざと負けるという概念は存在しない
「だと言っているぞ、藍澤?」
「セシリア・オルコット」
「なんですの!?」
「「侮るなよ、真剣勝負で手を抜くほど腐っちゃいない」」
またシンクロした、なんだよこのシンクロ率・・・で、セシリアはまた織斑・一夏を向いて話を始める。シカトされているが構いはしない
「ところであなた、ハンデはどうしますの?」
「して欲しいならするけど?あぁ、刀ふた振りにしておこうか」
笑われた、だが俺にとっては最高の条件だぞ?
なにせ俺の機体は超が付く高性能機だ、下手すると模擬戦で相手を
「代表候補生を舐めていますの?」
「たかが
所詮その程度で調子に乗るなよ、小娘が。と内心毒づきながらそう答える
「さて、話はまとまったな。それでは一週間後の月曜。放課後、第三アリーナで行う。セシリア、織斑、藍澤はそれぞれ準備しておくように。それでは授業を始める」
織斑・千冬が話を締め、授業に入る。ワーイタノシイジュギョウダナー。
<放課後>
「カズマ・・・」
「なんだい?」
放課後、あてがわれた部屋に入り荷物を解きながら整理している最中、由宇が心配そうな表情で声をかけてきた
「すまない・・・」
その先を言いにくそうにしていたので、言おうとした言葉をとる
「俺が侮辱されたように感じて、我慢できなかった。かい?」
「あぁ・・・」
やっぱりな、そんなことだろうと思った
「怒っている・・・か?」
「いいや全然、むしろもう少し遅かったらキレてたからちょうどいいタイミングだったと思うよ」
俺はそう言って、俯いている彼女の頭を優しくなでる
「だが、私たちは・・・」
「大丈夫、ここの守りは万全だ」
そう、俺たちがなんでここにいるかは簡単な事。
由宇が他者と触れ合える環境にいながら安全に過ごせ、なおかつ様々なことを経験出来る場所。それはIS学園しかないだろうという判断を下したからである。
この案を提案したとき由宇は酷く驚き、葛藤していたが、敵がISを持ち出してまでも彼女を連れ去ろうとした事が後押しとなり、最終的には同意してくれた。俺との護衛の契約を、延長することを条件に
「さて、俺は行く所があるから行くね」
「どこに行くんだ?」
「寮監の部屋、一年生は織斑・千冬が担当だし、ついでに」
そう言って取り出すのアルミ缶の未成年は飲んじゃいけない飲み物
「一週間連続で放課後、整備室が使えるように根回ししてくる」
「汚い手に出るな?」
「はははっ、使えるコネはなんでも使うさ、悪いこと以外にね」
悪い事に使えば自分を滅ぼすだけの馬鹿なことになる、そんなマイナス要因に使うならプラス要因に使ったほうが100倍マシだ
「奇遇だな、ちょうど飲みたかったところだ」
「・・・!!・・・!?」
言葉にならない悲鳴が出た、いつの間にか俺の横に織斑・千冬がいる。なんとか絶叫にならないように努力した俺はきっと偉い
「いいぞ、放課後なら好きに使え。これはそれの口封じと言ったところか?」
「いいえ、俺からの
更にもう一本、今度は別のタイプの飲み物を出す、こちらも未成年は飲んじゃいけないものだ
「ほう、年代ものか、美味いんだろうな?」
「チーズ欲しくなるくらい美味いですよ」
根回しとはこうするものである。
主人公はやり方が汚い、でも卑怯ではない。
あくまでも整備室の占有だからね