それを可能とする存在が、ただ一人の人間のためにルールを破壊する
「さて、これで残りはIS学園の生徒達・・・」
そう言って動き始めたのは藍澤・カズマを倒した篠ノ之・束のクローンだった
後ろに向いた瞬間、声が聞こえる
「私はこんな展開など望んでない」
そう言って空間ににじみ出るように現れたのは藍澤・カズマと容姿がよく似ている人物だった
それもその筈である、彼はかつて、藍澤・カズマを生み出した人間であり、この世界では織斑・千冬を一時的でこそあるが別次元の空間に誘拐した張本人であるのだから
「あぁ・・・その事実が何故か、震える程に私の全てを打ちのめす」
溢れ出る正体の知れないモノが何か、いま戦場にいる人間全員が分からなかった
だがしかし、共通していることがある。
それは、この人間が
「未知のみを求めた、それのみを願った。その果てに筋書きを
しかし彼は自信を持って言葉を続ける
「だが違うのだよ、
だから・・・と彼は続けて、神の力を行使した
「ここからは、彼の出番だよ?」
その瞬間、光の柱が発生した、黒色の柱だ
しかも周りの光を食うかのように黒い
「さて、希望をかけた最終決戦・・・君はどうする、我が息子よ?」
そう言って彼は黒色の柱を眺める、その横顔は笑っていた
<???、カズマ>
気が付いたら謎の空間にいた。訂正、ここは一度来たことがある
転生する際に来た場所だ
しかし様変わりしていた、転生する時には明るかったし花がたくさん咲いていた場所だった
今は荒野で暗い、何があったんだ?
「あまりの転生者の多さに、世界を安定させる機構そのものが崩壊しかけているんです」
「なるほど」
あの時の神が目の前に現れ、俺にそう言ってくれた、それだけで納得した
「俺があの場で、これから戦うはずだった戦場で敵を倒せばどうなる?」
「ある程度、世界の保全を再開するには十分なほどには回復します」
「その保全とは?」
「世界を根本から自分の都合のいいように歪めようとする転生者の強制排除とそれらの予防的フィルタリングです」
なるほど、やはりな・・・
「幸い、貴方のお父上がこの世界のフェイルセーフを複数用意されたため何とか維持できていますが、これ以上は別の並行世界を巻き込んで崩壊する可能性もあります」
「うわぁお、おっかねぇ」
「お願いです」
「言うな、分かっている」
なにを言おうとしているか分かっている、だから俺は・・・
「ちぃとばっかし、無茶してみるか」
「・・・?」
「なに、俺がこれまで知り合った人達、その世界と、もう一度
正しくは俺を生かすために死んでしまった人たちだ、その中にはかつての恋人もいる
彼女をこの世界で蘇らせ、俺と共にもう一度・・・
「だから、あとは任せてくれ」
「分かりました」
そう言って神は去った、あとは俺の頑張り次第だ
「イセリア・・・俺の元に、帰ってきてくれ!!」
ブラックフレームがこの場ではかつての電子端末型として再現されている
これは俺にとって非常に好機だ。
だって、俺の元彼女は、電子の世界に囚われていた人間だったから
「もう一度・・・俺と一緒に戦ってくれ!!」
俺の声に応えるかのように、ブラックフレーム・・・いや、ゼロフレームが輝き、外装が黒に染まる
「帰ってこい、カズマ・・・!!」
だれかの声が聞こえた、おそらく今、トゥーレの殲滅に勤しんでいる一夏達だろう
その声に、応えないとな!!
「もう一度、俺に君の力を貸してくれ!!」
次の瞬間、ディスプレイに懐かしい、凛々しい顔の女性が表示された
「イセリア!!」
「カズマ・・・貴方の記憶が、貴方に賭ける皆の声が、私を蘇らせてくれたよ・・・ありがとう」
心底感慨深そうに彼女はそう言う、恥ずかしくなった俺はそれを隠すために急かす
「よし、行くぞイセリアッ!!」
「えぇ、行きましょう、カズマッ!!」
彼女も全力で答えてくれる、だから俺はまだ行ける、まだ、飛べる!!
「「クロス・ドライブッ!!」」
ゼロフレームを起動し、彼女と成し遂げた奇跡の力をここに蘇らせる
その名は・・・
<戦場、カズマ>
「やはり、復活するか」
あの空間から出てきたら気勢をそがれた、クソ親がいたのだ
「当然だクソ親、さっさと帰れ」
「ふむ、そうするか、いささか長居しすぎた」
そう言って消える父親を見送ることなく、俺はしようとしていた事を実行する
「「エクストリーム・イグニッション!!」」
主人公復活!!いや、うん、何か大変すまない事をしたような気がします。
ヒロインとどうするのかなぁ、主人公。まぁ、どちらも平等に(とは言えないけど)愛してくれますよきっと。
感想ください、作者の精神的栄養源になります