奇跡は自分で掴めると知る主人公は・・・
「カズマ!!」
「藍澤・・・!!」
手術室から出た俺を待っていたのは一夏達を含む、スコールに世話になっているメンバーだった
「成功したのか!?なぁ!!」
特に心配そうにしているのはオータムだ、無理もないだろう
「・・・」
「ウソ・・・だよな?」
俺はタバコを一本出しながら告げる事にする
「あと、400ミリ」
「え・・・?」
「あと400ミリ足りなかったら、スコールは死んでいた」
ベッドで眠るスコールが手術室から出てくる。
手術中、血液が不足し全員の血液を検査するはめになった。
奇跡的な確率だった、彼女の血液型とマッチする人間が二人見つかり、生輸血でこそあるが間に合ったのだ
「俺と、オータムの血液で間に合ったのか・・・」
「あぁ、本当に偶然だがな」
それがセリアとオータムだった、本当にびっくりだ
「良かった・・・」
「だが、今夜がヤマだな」
安心はまだ出来ない、ここから先は彼女の精神力にかけるしかないのだ
「あとは、スコールの頑張りにかけるしかないだろうな。あぁ、先に言っとくがICUだから迂闊にはいれはしないぞ」
「許可がいるんだな?」
「あぁ、残念だがな」
ICUはその構造上、入室に許可が必要だ
というのも、術痕が完全に塞がっていないため滅菌環境に患者を置く必要があり、見舞いなどで入る場合は動きやすい簡易型滅菌服を着たうえでマスクをつける必要がある
「それでも・・・良かった・・・」
「あぁ、これで数十回目だが、嬉しいな」
命を救った時の嬉しさと感動はいつまでも色濃く残るものだ
何度重ねても同じだけ嬉しいし感動する
人とはこうまでも生きるために強く在ると実感できる
「しばらく一人にしてくれ」
「屋上に出るのか?」
「あぁ・・・」
それから別れ、一人屋上に出る
「・・・」
今回わかった敵・・・トゥーレの正体は1918年に右翼政治結社・ゲルマン騎士団の委託を受けて同騎士団のバイエルン支部として設立されたモノだ。
正式名称を"トゥーレ協会・ドイツ性のための騎士団"といい、
歴史的影響もしている組織でもあり、ナチ党の前身であるドイツ労働者党とドイツ社会党を設立したアントン・ドレクスラーとカール・ハラー、ミュンヘン大学講師で地政学者のカール・ハウスホファーも教会員であった。
また、ナチ党となった以降に重要な役割を果たしたルドルフ・ヘス、アルフレート・ローゼンベルク、ディートリヒ・エッカート、ハンス・フランクも属していた組織である。
そんな組織も、1937年にフリーメーソン及びその類似団体に対して活動が禁止された事によりゲルマン騎士団共々解散したはずである。
「そんな組織が何故、今の時期に・・・」
解散したはずの組織が何故、ここに復活したか?
あり得るのならその名前を借りること・・・つまりは
「ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテの"ファウスト"、"トゥーレの王"に登場する伝説の地"トゥーレ"か・・・それとも、元素周期表No,69、ツリウムか・・・」
流石に後者はないだろう、ありえるならどう考えても前者だ
「あるいは、"既知の世界の境界線"を越えた、世界の果てを意味するのか」
こちらの可能性も大ではある、敵の目的がなんであれ、組織の名前にはちゃんとした意味が有るはずだ
例えば、俺の運営するPMC、WALRUSにも日本語訳で"未来の骨組みのための、進歩的な誠意ある血統の戦争"というちゃんとした意味があるように
「それが分かれば、苦労はしないんだが」
その名前の意味からわからない敵、だが言えることは一つである
「
ISより高度のアンチステルスシステムに加え高精度センサーにもまるで反応しない敵・・・まさかと思うが・・・
「目的は・・・俺と同じなのか?」
転生者の抹殺と減少が目的だとするのなら俺という人間を追い詰めるためにそうすることも考えるだろう
だがしかし・・・
「だとしても、許せんな」
だからこそ、今回の事は看過できない
狙うのならば俺を直接狙えばいい、逃げも隠れもしないで応戦しよう
だがネチネチと陰湿に周りの人間から
「よし・・・」
方針は決まった、ならば一つ、博打に近い事をして見せよう
という訳でスコールさんは死にませんでした。上げて(救って)落とす(殺す)のもいいかな・・・と思いもしましたが、そうなると後々響くので
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