IS Striker   作:アーヴァレスト

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かつての弟子が襲撃してくる。それは敵にとって最悪の事だった
同時に、主人公の義妹にも


弟子、襲撃

「フィーネ、やはりここでも立ち塞がるか」

「すまんな、今のお前を行かせる訳には行かない」

「・・・」

 

数週間穏便に過ごせたかと思えば、そんなことはなかった

あと一日、あと一日あれば良かったのだ

それを・・・!!

 

「敵に対して頭にきているのは分かるが、冷静になれ、ここでお前が前線に出ても意味はない」

「くっ・・・!!」

「その代わり、私が出る」

 

フィーネの提案に、俺は驚く

彼女の本来のポジションから考えて防衛向きなのだ

それにも関わらず前線に出るという事は、隠し玉があるのだろう

 

「それでいいか?」

「あぁ、構わん、今回の戦闘、俺の代わりに出てくれ」

了解(ヤー)

 

そう言うと敬礼して彼女は出て行った、俺はすぐに管制室に入る

 

「敵の分布は?」

「今出します!!」

 

メインモニターに出された映像から、敵は三人で組み、二段構えで襲撃していることがわかった

 

「迎撃部隊は最前線より1層後退、二重鶴翼陣で狙撃!!」

「了解!!」

「専用機持ちの全員は迎撃部隊が漏らした敵の殲滅に集中!!」

「わかった!!」

 

戦況把握が忙しい、大変な事になる前に対処せねば!!

 

「戦況情報をメインモニター半面に、こちらで対応する!!」

「り、了解!!」

 

半分割画面にメインモニターが切り替わり、戦況画面が左側に表示される

 

「迎撃部隊、陣形そのまま、前進!!」

「了解!!」

「すごい・・・こんなに混戦しているのに・・・」

「専用機持ちの各員は迎撃部隊の後方につきコレを支援しろ!!」

 

すぐに返答があり、行動に反映されていた

これでいい

 

「別の海上より超高々速度で接近する反応を確認!!は・・・早い!!」

「モニターに出せ!!」

「はい!!」

 

新たな敵の映像が出された瞬間、思考が凍りついた

それほどにありえない人間だったからだ

 

「清水・・・ハルト!!」

「えぇ!?知り合いですか!?」

「あぁ、かつての教え子だ!!」

 

転生前に唯一取った弟子であり、最終的に敵となって立ちはだかり倒した人間だ

ここでも敵として出てくるとはな!!

 

「俺が相手をする、指揮を任せるぞ織斑・千冬!!」

「わかった」

 

指揮を織斑・千冬に戻し、俺はすぐに向かう

あいつが使っている機体は俺が開発した、ブラックフレームの量産化後期試作機"ディスティニーフレーム"。

前期の試作で開発されたブルーフレームなどとは異なり、システムの一部機能を削除して軽量化、使用者のポテンシャルに合わせて進化する自己進化ロジックを最初から搭載している

前期試作モデルでは後付け搭載であったため方向性を定めなくてはならなかった自己進化ロジックを標準搭載したことで機体と使用者自身の常時最適化に成功している他、単純性能ではベース機であるブラックフレームより上だが・・・

 

「どうせまた、誰かに操られているんだろうな・・・」

 

アイツは騙されやすい、軍人にしては良人過ぎるのだ。それが仇となるんだぞ、と何度言っても聞きやしない

 

「索敵支援システム最大強度、ピンガー連続発信」

 

普段使わないアクティブセンサーに火を入れ、"ここにいるぞ、さっさと来やがれ"と言わんばかりに連続で発信する

 

「そうだ、まっすぐこっちに来い」

 

案の定引っかかり、こちらに来る

 

「アヤナめ・・・」

 

その前にアヤナが邪魔して落とされたようだ

気絶のようだな、手加減をしたのか?

ログを探った結果、会話していたようだ、内容は・・・

 

「裸の王様だな・・・」

 

腹立たしくなってきた、イライラしてきたぞ・・・

あれだけの苦しい過去を持ちながらなぜまだ学ばないのか・・・

 

「アヤナは会っていたようだな、ここまで言わなかったのは敵だと思っていなかったからか」

 

その時、データが送られて来た

発信元はアヤナ本人からだった、あらかじめ彼に倒されたとき自動送信されるよう、グリーンフレームに仕込んでいたらしい

 

「そろそろか」

 

読み終わりにはもう、残距離は100mとなっていた

 

「よう、裸の王様のお出ましだな」

「どういうことだ?」

「ん?もしかして俺一人じゃご不満か?」

 

実はセンサーを欺瞞していた、ハルトの機体に対して

 

「何故、司令室じゃない!?」

「敵に、それを教える馬鹿はいないだろう?」

「先生・・・見知った中です。今教えて逃げるなら、見逃します」

 

あぁ、同レベルだったからな、そう言えるのか・・・おかしくて・・・

 

「は・・・ふははははっ!!」

「何が、おかしいんです!?」

「教えろ?逃げろ?見逃す?随分と悠長なこと言ってんなぁ、おい?」

「つっ!!」

 

武器を構えたハルトに俺は続ける

 

「アヤナにあんだけ敵だっつって、啖呵切ったのは俺の聞き間違いか?」

「俺と先生は同レベルだと、自分でもわかっているでしょう?」

「ハンデだよ、ハンデ。それくらいくれてやななきゃな」

「話す気は、ないんですね?」

 

あぁ!?このガキが!!

 

「んなもん、ハナからないのはてめぇだろうが!!人の義妹(いもうと)に手ぇ出しやがって!!」

「・・・」

「話がしたいなら!!頭空っぽにしてリセットしてから来やがれ!!そうすりゃ、腐った細胞がキレイに消えて、少しはマトモになるだろうよ!!」

「そんな事をしている暇はないんです!!」

 

あぁ、ダメだ、コイツ本当に成長してねぇ・・・

 

「だったらウダウダ喋ってないでかかってこいよ!!お前アヤナを倒したときわざと手を抜きやがったな!?ありゃどう考えても甘えだろ?」

「あなたには、関係ない!!」

「なければこんなに怒るかよ!!あいつは、お前を助けてくれればどんな事でもすると送ってきたんだぞ!!ボロボロになっているくせしやがって!!」

「話はそれだけですか?」

 

キレかけながらそう言ってくるハルトに俺もキレかけながら答える

 

「お前の言うこともそれだけかよ、そんな調子で敵を屠って、その後どうする気だ?」

「どうもしない、それで終わりですから」

「はいはい、わかりやすい人生ありがとさん。全く、それじゃお前に関わったやつ全員が可哀想だな。かつての懸念通り、浮かばれないにも程がある」

「なんだと・・・?」

 

明らかにキレたのか、怒りの声になっている

気づかないとでも思っているのだろうか?

 

「お、怒ったってことは図星か?清水・マヤだっけか、お前の電脳空間に溶かされた姉貴は?今頃お前を見てどう思ってんだろうな?ヤメテ!とか言って、現出してくるんじゃねぇのか?」

「ふざ・・・けるな」

「ふざけてるんだよ。訳の分からねぇ相手に頭挟まれて、視界が狭まっているのも気づかねぇ狭窄野郎が!!隣の女も見えないくらいなら、いっそ昔の女に浸ってろ」

「つっ・・・!!」

 

ジリッ!!という音と共に半歩近づく彼に、俺は一歩近づく

 

「今なら動画もあるぞ?見てヌいちまうのが怖いのか?」

「黙れ・・・!!」

「あぁ、やっぱダメだ。溶けて消えてちまうからな。そりゃあぞっとしねぇわ」

「黙れっ・・・!!」

 

さらにこちらに近づいてくるので俺も一緒に近づく

 

「ところで一つ聞きたいんだがな、清水・ハルト少尉。お前、溶けた家族からアヤナに乗り換えようと思った事、本当に一度もないのか?」

「・・・殺すっ!!」

 

同時に剣戟から戦闘は開始された、剣がぶつかる火花が散り距離が離れる

離れたところで改良型ビームライフルに持ち替え、互いの装甲を削る

 

「お前、知っているのか?」

「あぁ・・・!?」

「アヤナがお前の姉貴のミトコンドリアクローンだと、知っているのかって聞いているんだよ」

「つっ・・・!!」

 

驚きの表情で俺を見ながらハルトは攻撃を緩めない、このあたりは教導の賜物だろう

 

「なぁ、聞かせてくれよ、少尉」

「ウソ・・・だ」

「てめぇの姉貴のクローンに出会っていて、元気に暮らしている様子を見て、それでも殺した気分はどういうもんだ?」

「だ、ま、れえぇぇぇぇ!!」

 

"殺した"と嘘をついたら、最後の攻撃は当たる前に落とせるほど雑だった、俺は余裕を持ってそれを迎撃し墜とし、状況は終了する

 

「勝手に、殺さないでくれるかな・・・」

「すまんな、酷い事を言った」

「後で一番高いモノ買わせるんだから・・・」

 

途中から聞いていたアヤナが俺にそう言ってくる、俺も苦笑いでそう言って、気絶したハルトを肩に担ぐ

 

「流石に、体は成長してるか」

「頭は成長していないけどね」

「言うな、それもコイツの個性だ」

「ユニークな人が兄さんの周りには集まるよね・・・」

 

そうだな、と言いながら俺は通信を切る




主人公には勝てないよ・・・主人公強すぎだろ・・・
アヤナが意外すぎる秘密持ってたし・・・


感想ください、作者の精神ダメージが回復したり減衰したりします

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