対策は一つだけでなく複数あって、公開することも出来ない困難さが問題
「確保した敵の1人から証言が得られました、確実に転生者です」
「ふむ、学園を強襲した理由は?」
「証言者本人は織斑マドカを連れ去るように命令されただけなので分からないそうです」
報告を聞いていた織斑千冬はため息をつく、末端の戦闘員であろう証言者にこれ以上聞いても有力な情報は得られないからだ
だがしかし、それを補って余りある情報を持つ者がいる、それは正しく、俺、藍澤·カズマだ
「藍澤、どう思う?そちらの情報と照らし合わせて」
「転生者の寄せ集めにしては情報統制と秘匿性が高すぎる、可能性程度であるがかなり強権で高効率な組織運用がなされていると見ていいだろう」
「それは、つまり?」
山田先生からの質問に俺は答える
「敵は手ごわい、という事です。俺としては、転生者の中でも組織統率力に優れ、カリスマ性もある人物であり、なおかつ俺の事を知っている人間だと思います」
「藍澤と同じ世界の人間か、あるいはかつての同業者ないし敵の1人と言いたいのだな?」
「えぇ、おそらくその中のいずれかです」
可能性としての話なので確証はない。
しかし現有するパーツを嵌めていけば繋がるのはそれしかないのも事実だ
依然として正体がつかめない、掴ませない組織ほど身内にいたりするものだから、恐ろしさは何倍にも膨れ上がる
「でも、ここまで巧妙だと、かえってそれがカギになっているところもありますよね···」
「あるいはそれも敵の掌なのかもしれないな」
恐ろしさは疑心暗鬼に変換される
それがやがて不和を呼ぶことになる危険性でもあるのだが···
「どうします?これからも襲われますよ?」
「撃って出たら敵の勝ち、引いて待っても敵の勝ち···八方塞がりだな」
ならばどうするか?
ならば···最後の手を使うまで
「餌を撒くかねぇ···」
「エサ?何がある」
「織斑マドカ、スコール、オータムの3人だよ」
取り戻したくば本気でかかってこい、と挑発し来た方が残存、残りは転生者
そして残った方を強襲する。
作戦としては二面展開が強いられ、戦力分割も大変なことになるが仕方あるまい
「ですが、ものすごく危険です」
「スコールもオータムもその危険を承知済みだよ、問題は記憶を失っているマドカだけどな」
記憶を失っている彼女にその危険を負わせたくはない
むしろ避けたいところであるがこうなれば仕方なかろう
「山田先生、現有戦力で効率的な分割は可能か?」
「難しいです、連戦している影響から専用機の回復が急務ですね」
ここの所激しい戦闘を繰り返しており、ダメージからの回復がなかなか難しくなっている
ブラックフレーム、ブルーフレーム、グリーンフレームの3機はISと異なる技術体系のために問題こそないが、戦力としてはバランスが非常に危うい
最悪、俺が単騎で防衛を担当し、2人が強襲という形にせざるを得なくなるかもしれん
「期間が必要ですね···」
「まだ暇はある、ゆっくり回復してもらおう、精神的にも、な」
「あぁ、そうだな」
今回の会議では時期尚早と判断した、ボロボロでこそないがソコソコに痛いダメージを負っている今、無茶はできない
無謀な手段に出たところで敵の思惑通りになってしまうのだから
暗躍する組織の事が次話で判明する···か?
そしてその目的とは?
次話、久しぶりの急展開!!
感想ください、作者のエンジンです