IS Striker   作:アーヴァレスト

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酒を飲みながらする話は、本来ならば会議もの
苦労人達は、共通する人物によってさらに苦労することになる


酒飲み

「なに・・・?転生者の残存集団が織斑マドカを狙っているだと?」

「あぁ、現在地は掴めているが気にしたほうがいいな」

「どうやって掴んだ?」

「情報屋」

 

織斑・千冬との会議中にそのような報告があった。

報告者は藍澤・カズマ。つまりは俺の指揮官なのだが

 

「藍澤はどうするか聞いてくれ」

「既にしている」

 

電話がかかり、出る

 

「保護できるようなら保護、できないならふん縛って連れ去れ」

「前者は問題ないとして後者は後々問題になるぞ?」

「それでも相手に利用されるよりは幾分マシさ」

 

環境音から察するに駅前だろう。時間は既に危ないが気にしていないだろうな・・・

 

「問題なのはその身柄だけだ、意志は関係ない」

「ひどい男だ」

「何を今更」

 

エンジンをかけたことからおそらく自分持つ大型バイクだろうな、年齢詐称な気がしてならない

 

「これから向かう、俺のほうが近いはずだ」

「任せていいか?」

「ちょうど今日、サイドカーが来たところでな、試しに運転したかったんだ」

 

全く、趣味に走るとどこまでも行くんだから・・・

経費のこと考えてくれよ・・・まぁ、最近はリーナ少尉がかなり絞めてるけどな

 

「位置データを寄越せ、これから向かう」

「了解した、情報を送る」

 

おそらく、成功したんだろうな・・・これからが大変だ

 

「やれやれ、途中戦闘が起こる可能性がある、気を付けろよ?」

「了解だ、今から向かう」

 

電話が切れ、通信が終了する

 

「さて、一人増えるが問題はないだろうな?」

「一人増えようと三人増えようと問題ない。だがここ最近多いな?」

「あんな奴だからな、しょうがない」

「諦めの境地か?」

 

あぁ、もうある意味で諦めだよ

 

「どうしようもないだろう?酔狂と伊達で日常生活を送るような男だぞ?」

「あぁ、それは出会った時から思っていたことだ、あれほど変な男もいるまい」

 

教師としての呆れと、女性としてのため息の混ざったそれはきっと苦労人だからだ

俺も、部下としてのストレスと悪友のため息が出るぐらいだから

 

「お互い、ヤツ関連で苦労するな」

「あぁ、本当に・・・」

 

再び同タイミングでため息をつき、互いに酒を飲む

この酒は以前、臨海学校でカズマが持ち込んでいたものを取り上げたものらしい

本人は最初からこれを渡そうとしていたものだから問題はない

 

「美味いな」

「アイツ、酒のチョイスはうまいからな」

 

悔しいことに、酒の好みが同じ連中でもある

アルコールが強めの、それでいて舌触りもよいものが好みである

 

「酒ならなんでもいけるんじゃないのか、藍澤は」

「まぁ、可能だと思うぞ、料理用にも使い分けしているくらいだからな」

「フランス料理も出来るのか・・・?」

「あぁ、そして、美味い」

 

今度近くに寄ったら作ってもらうか・・・と織斑・千冬は呟き、再び酒を飲む

酒瓶はまだ、半分近く残っていた

 

「これから、この美味い酒を飲む暇もない忙しさになるかもしれんな」

「飲めるだけ、飲んどこうぜ、明日に響かない程度にな」

「あぁ、未成年」

「年増」

 

ふん・・・と言いながら酒を飲むその姿は、見ようによってはやけ酒だった




酒飲みが好きでもないのに酒飲み回です。美味しい酒とおつまみあればいいのに・・・
次話は、視点が一夏になるかも・・・?

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