IS Striker   作:アーヴァレスト

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それは再戦するために用意された戦場、その場に立つのはオリジナルである藍澤・カズマとクローンであるノインツェーン


再戦のクローン

「電脳空間で再戦とはな!!」

「こうした方がいいだろう?」

 

情報を互いに接続すれば普通の人間は脳死(フラットライン)に陥っている

そんな空間で戦闘を開始するのはオリジナルである藍澤・カズマと私、ノインツェーンだ

 

「では、こういう催し物はどうだね?」

「がっ・・・!!あぁ・・・!!」

(攻性防壁が全面に稼動中です!!逃げ場ありません!!)

 

私の機体に搭載されているAIがそう告げる、それでも!!

 

(状態(コンディション)さらに悪化、このままでは脳死(フラットライン)です!!)

「それは、嫌だな・・・」

 

なんとか立ち上がり、目の前にいるオリジナルを睨みつける

 

(直ちに撤退してください!!ここで貴女が死ぬ必要はありません!!)

「私は何京回も、あの人が誰かを忘れてしまうくらい、殺してきたんだ・・・」

(・・・っ!!)

「この身体を得ても、すぐ近くにいたのに取り戻せなかった・・・何回も!!」

 

ボロボロに成り果てた身体を奮い立たせ、身に纏った相棒に告げる

 

(それがどうかしたんですか!?このまま放置してもやがて機能を停止するんですよ!?)

「まだだ!!あと、少しで・・・!!」

(撤退してください!!)

「私の退路は、前だ!!」

 

オリジナルはさらに出力を上げ、殺しにかかってきている

それでも抗っている自分に驚いているようだ

 

(馬鹿ですか!?)

「悪い、我侭だ」

(理解できません!!)

「こんな馬鹿者だが、付き合ってくれ!!」

 

互いに言葉が詰まる、先に切り出したのはAIの方だった

 

(自己判断による情報管制法則(ロジック)第三条に基づいて、余剰処理能力の全てを貴女の効率的な戦闘に寄与します!!反応装甲(リアクティブアーマー)のように過負荷が閾値を超える度、リセットのために電脳空間における身体機能の一部を爆破・制限。戦闘続行とともに現実でも肉体の機能に欠損が生じますがよろしいですね!?)

「あぁ、ありがとう!!」

 

 

そのお陰で体が軽くなった、これで、行ける!!

 

「こんなものが、いまさら効くものか!!」

「ノインツェーン、何故そこまでする。何を以って、捉えてみせる。そこにどのような理由がある?」

「前にも、聞かれたな」

「お前が追いかけている人間は、この世界で戦死した人間の固有無意識を誰かが出力した効果(エフェクト)に過ぎない」

 

あぁ、それはもう

 

「聞いたさ、既に。何処にもいないことだって知っている」

「あれは、蜃気楼のようなものだぞ」

「オリジナル、私には正しさなんてものは分からない。お前の方法が、一番適切なのかもしれない」

 

それでもやっぱり、惚れたのだ

 

「あの人はいつも他人に面倒をかけていないか考えていて、泣き虫で、優しくて・・・戦争なんて似合わない。欠点ばかりが目立つ(ひと)なんだ。その意志が、戦争で犠牲になっていくこの世界の総体から出力されている効果(エフェクト)だというのなら」

「・・・」

「そんなのは、悲しすぎるじゃないか・・・」

「そうか・・・」

 

少しだけ悲しそうにしたオリジナルに私は告げる

 

「それを正しいというのなら・・・やはり、今のお前は間違っているんだ!!藍澤・カズマ!!」

「だから来たのか・・・」

「だから行くんだ!!」

「ならば行け、俺も行く」

 

それに私の返す言葉は

 

了解(ヤー)!!」

 

そして、攻撃は交差し、同時に覚醒した

 

「勝ったぞ、今回は私の勝ちだ!!」

「・・・ぬぅ」

 

勝った、ギリギリだが勝った!!

 

「認めよう、今はお前が強い」

「やったぁ!!」

「で、どうして欲しい?」

「そうだな・・・」

 

少しだけ悩み、そして告げる

 

「私の戦いを、手伝って欲しい」

「だとしたらお前の機体を大規模に改修する必要がある」

(触られたくありません)

 

AI・エックスが拒否を表明する、しかし

 

「してくれ」

(そんなぁ!!)

「了解した」

(ふえぇぇ!!)

 

泣き始めたエックスを叩いて黙らせ、話を続ける

 

「お前の脳の処理効率は恐ろしい領域に達している、しかし脳内に残っているブラックボックスデータはまだ2層残っている為どうしようもない」

「そこで確認したいんだが、一体どうやって開放しているんだそれ?」

「あぁ、それについては最初から説明しなければならんな」

 

モニターに表示されるのは私の脳の活動領域を表したデータだ、一部が黒くなっているのはその部分が活動していないからだろう

 

「まず、脳の過負荷を巻き込んで自動的に最適化する同調(シュミットトリガー)。これは簡単言うと味噌汁にラーメンを付け加えて味を変えるようなものだな」

「ゲロマズ」

「黙らっしゃい」

 

パシンッ!!と叩かれた、痛くはないが・・・

 

「次に同調(シュミットトリガー)とは異なる再構成、復旧(リカバリー)、これはまぁ、バイクを一回完全に分解(バラ)して再度組み立てるようなものだな」

「うわ、めんどくさ」

「やかましい」

 

再び叩かれる、今度は少し痛い

 

「残りは接続(リンクアップ)とオーバーラップだが、前者が仲間との絆と考えて後者は自分の信念か」

「・・・」

「やっぱ黙るな、何考えているかわからん」

「ひどすぎるぞ!!」

 

否定できない自分がいる気がした

 

「じゃあ、具体的にはエックスと決める形でいいか?」

(是非ともそうしてください、マイスターにペタペタ触られたくありません)

「エックス、それ以上ふざけた事言うと分解(バラ)すぞ」

(ぴぃ・・・)

 

また泣き始めた・・・




作者のお楽しみ回です。反省はしている(`・ω・´)キリッ

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