平和な日々だったのに、それを壊すものが現れて
「・・・」
夜中、突然目が覚めた。久しく感じたことのない感覚・・・殺意を感じる
距離はまだあるが、時間は限られているので急いで由宇の部屋に行き、彼女を起こす
「なん・・・だ?」
「敵襲だ、しかも数が多い」
「地下にシェルターがある、急いで向かおう」
泊まりで来ていた織斑・千冬と山田・真耶が一緒に来ていた、どうやら俺と同じモノを感じて目が覚めたようだ
「しかし、武器がないのは痛いな」
「俺のを貸す、彼女と一緒に移動してくれ」
「お前はどうする?」
「一緒に移動する」
二人に拳銃を渡し、由宇を囲むようにシェルターへ向かう
「つっ・・・!!」
視界の端に映った敵兵を確認して撃つ、由宇が悲痛な面持ちで俺を見ていた
「殺しはしない、君との約束だから」
半年前に俺は彼女に全てを打ち明けた、その上で殺しはしない・・・不殺戦法をとることを誓った
「先に行けっ!!」
三人を先に行かせ、殿を務める。数分後、何とかしてシェルターに到達した
「後ろだっ!!」
「つっ!!」
その瞬間に飛び前転をして初弾を躱し、片足で飛び側転して横の通路に入る、同時に銃の弾倉を交換、銃撃する
「はぁっ!!」
シェルターに入ると山田・真耶さんが腰を抜かした。それもそうだろう、ここまでの緊張はあまり経験がないだろうから
「なんで、ココに・・・銃なんて使って」
「しかもちゃんとした訓練を受けた連中だ」
二人の会話はどうやら敵の事のようだ、つまりは
「狙われたのは、私なのだな?」
「由宇・・・」
そう、狙われたのは由宇だ、天才の頭脳を求めての事だろう、しかし・・・
「まだ、終わってない」
全体が揺れた、つまりは
「特殊部隊だな、しかもIS装備で来てやがる!!」
「そんなっ!!」
「くっ・・・!!」
最悪だ、ISを相手にどう戦えという、一機だけならまだしも複数機と!!
「火力で押し切られたら、どうしようもないですね・・・」
「仕方あるまい!!」
織斑・千冬が由宇に視線を向け、ある言葉を放つ
「峰島、鍵は持ってきているな?」
「つっ・・・!!」
その言葉を聞いた瞬間、彼女の表情が変わった
「"扉"を開ける、仕方なかろう。それとも今ここで仲良く連れ去られたいか?」
「いや・・・だが・・・それはっ」
悲痛な声で途切れとぎれに反論する、その間に俺を一回見て、その後別の場所を見た。今いるシェルターのもう一つの扉を
「カズマ・・・」
「あ・・・」
まさか・・・彼女は、俺の機体を!?
「・・・」
由宇が再び扉を向く、その先にあるのだろう
「貸して」
「つっ!?」
俺の声に、由宇は顔をはね上げて俺を見る
「俺が開けるから」
「いや、でも・・・これは」
半歩下がり、彼女は否定しようとする。俺にもう、失って欲しくないから
「大丈夫」
「・・・!!」
「俺は大丈夫だから、由宇」
そう言って俺から彼女を優しく抱きしめ、続く言葉を告げる
「このまま何もしないで、君を守れない方が・・・今の俺には一番辛いことだよ」
「カズマ・・・」
「だから、鍵を貸して」
そう言って、由宇にお願いする。彼女は胸ポケットから小さな黒い箱を取り出し、開けた
「ありがとう」
鍵を受け取り、解錠する。同時に扉がスライドしていく
「それじゃ、行くね」
由宇に一時的にお別れを告げ、扉の向こうに入る。中にあったのは灰色の装甲の機体、姿形さえ完全再現された俺のかつての愛機だった
「・・・」
扉が閉まっていく、一歩一歩、緊張しながら進んでいき、機体の前に立つ
「久しぶりだな、相棒」
そう言って装甲に触れる、懐かしい感覚がして、次に目を開けたときはチョーカーになっていた
「行こう、ブラックフレーム・・・」
展開しシステムの再調整を一気に行う。最後にメインパワーをオンラインに切り替え、装甲に色がつき、各センサーが正常に作動する。
「ブラックフレーム、藍澤・カズマ・・・
<別荘外部、襲撃者>
「目標を探せ、シャフトの最下部にいるはずだ!!」
その瞬間、爆音とともに黒色の細い光の柱がそう発言した人間の100メートル左側で上がった。その爆煙の中から現れたのは・・・
「黒い・・・IS!?」
IS・・・インフィニットストラトスらしき機体を駆る、少年だった
「アレは・・・第二目標だ!!」
「え、えぇぇ!?」
胸部の両側から光とともに熱が解放される、その瞬間、背後から神々しいまでの後光が差し、美しさすら感じさせた
「捉えろ、操縦者もだ!!」
「りょ、了解!!」
<別荘外部、藍澤・カズマ>
外に出たらやっぱり敵がいた、別荘は既に原型すらないほど破壊されている。敵の数は3人、使用ISは
「・・・!!」
最大加速で接近と同時に右手に持っていたビームライフルを腰部背面のラッチ部分にマウント、左腰のビームサーベルを抜き払い交差とともに敵の武装とそれを使う手を使用不能にする
「ふっ・・・!!」
仲間がやられたことで正気に戻り、射撃してくる一人攻撃を水面スレスレを飛行しながら躱し、武装を持つ手と大腿部を狙って逆さのまま両肩の高出力ビームキャノンと両腰の超電磁砲を放ち戦闘不能に追い込む
「そんな馬鹿な!!」
最後の一人は
「おぉぉぉっ!!」
ナイフを展開し突撃してくる敵の前面に左手の盾を構え、掬い上げるかのように力を入れて背中から地面に叩きつける
「くぅっ!!」
敵が起き上がる間にビームサーベルを元に戻し、再度腰部背面のビームライフルを取り出し構える
「あぁぁ!!」
構えた瞬間に撃ち始め、左手・右手・左足大腿部・右足大腿部の順に撃ち抜く、どちらも血管は避けて撃っているので死なない代わりにものすごく痛いはずだ
「くっ!!」
「抵抗するな、殺しはしない」
それでも抵抗するので殺気を放って黙らせる、すると相手は恐怖しながら質問してきた
「どうして、殺さない?」
「俺が守ると決めた子との、約束だ」
シェルターの出口から俺を見ている由宇を見返し、武装を解く。相手も同時に解いた、俺にはどんなに足掻いても勝てないと悟ったようだ
主人公の無双回、この主人公強すぎぃ!!
でも不殺戦法です、シールドバリアーを貫通して絶対防御が働くか働かないかのギリギリを狙っています。