本来ならできない事をしてのける敵に主人公がとる選択は···?
「やはり来たか」
キャノンボールファスト
それはISを使った高速バトルレース。妨害ありでもある。ある意味でデスレースに近い競技だ
今年度は通常参加しない1年生に専用機持ちが多数いるため急遽参加させているらしい。
俺としてはいい迷惑である。
「ふっ···」
そして、ようやく1年生の番が来た時に事件は起きた。
イギリスから強奪されたブルーティアーズの2号機であるサイレントゼフィルスが襲撃して来たのだ。
しかも、仲間連れで
「誰かといえば
「つっ···!!」
最悪な事に俺のクローンである。容姿はそっくりだし声音も同じ
違うのは使う機体と敵対している事ぐらいしかない。
「貴様、サーディ·アヴァロニクスか!?」
「そのとおりだ、オリジナル!!」
戦闘の火蓋が切っておとされる、ブラックフレームのデッドコピー機だと推測できる機体を駆る敵を相手にして一夏達が勝てる保証はない。
せいぜい総員で取り囲んで何とか五分五分と言ったところだろうから
それほどまでに相手は強い。オリジナルである俺ですら厄介だと思っているから。
「死ねぇ!!」
「甘いっ!!」
予測はしていたんだ、頭の片隅で。いずれ復活するであろう事が。俺の転生に巻き込まれるであろう事も。
なぜなら···
「俺は一度、お前を滅し損ねたっ!!」
「知らなかったのだ、当然だろう?」
こいつを一度殺した際に俺は、別の任務を抱えていてきちんとした裏取りを怠っていた。
その時は、まさか自分が人造人間だと知らなかったから
「この状況は、蘇る事を予見出来なかった俺の不明でもある!!」
「ぐっ···!!」
裂帛の勢いのまま殴りつけ、距離をとる。
そしてジレンマとトラウマを思い出した。
コイツには俺が終止符を打つと決めた。しかしここにジレンマが生じる。コイツに対して確実に息の根を止める方法は俺が死ぬかコイツが蘇るのを待つしかない。
しかしそうなれば止められる方法が無くなる可能性だってあったのだ
「だが今は違うぞ!!こうして拳がお前に届くっ!!」
「がっ···!!」
しかし、何もしていないわけでもない。むしろ予防策は無意識のうちにしていたのだ。
転生前に、こいつを殺した時に、無意識に
「転生で知った肉体の痛みはそんなにも強烈だったか!?痛みがあるから人は誰かを求め、癒されるのだ!!それがやがて絆となる!!」
肉体に痛覚がないからコイツは強い。痛覚を感じないように細工されていたのだから当然といえよう。
それがコイツに様々な影響をもたらしていたのだ。最たるものでは痛覚に対する処し方で、痛みの本質を理解出来ないから曲解している。それが攻撃が通用しないという絶対的な境界を作っていた
しかし、これに痛みが生じたら?
きっと初めての感覚に、
誰かと接することで癒される事を知らないから
「うるさい!!絆だと!?所詮我欲の押し付け合い、やりたくない事を他者にやらせるための体のいい方便だろうが!!それすら許さないのが曰く絆、曰く正義、ただの同調圧力に過ぎん!!キサマら痴れているのか!?」
このように、コイツが曲解して出した結論がこれである。
「それがお前だというのなら、専用の封神台に···永劫叩き落してくれるわぁぁぁぁ!!」
俺という自分にとっての歪みを除去しようと、奴は全力を注いでワンオフアビリティを発動する祝詞を紡ぎ始める
「天絶·地烈·風吼·寒氷·金光·化血·烈焔·紅水·紅砂·落魂ォォォン!!ワンオフアビリティ、十絶の陣ィィンッ!!」
それを聴きながら俺は攻撃しない選択を取った、何故なら
「民の怒りと鬼神の怒り、虎と成りて悪を討て!!ワンオフアビリティ、霊虎童子!!」
フィーネの機体、リインカーネーションの改修後に生まれ変わったワンオフアビリティ、霊虎童子の発動が控えていたから
思惑通り、フィーネはベストタイミングでワンオフアビリティを発動して攻撃を相殺した
「絶龍嶺、九天応元雷声普化天尊ッ!!」
続くありえないはずの二個目のワンオフアビリティの発動は俺が相殺する
「神鳴る裁きよ、降れい雷···ロッズ·フロム·ゴット!!」
完全に相殺して俺は敵である自分のクローンに接近する、そして···
「お前の封神台には、お前が殺した連中が待っている。そこで性根を叩き直されてこい!!」
最後の一撃を叩き込んで、倒した。
倒された反動で、サーディ·アヴァロニクスは地面にクレーターが生じる破壊力を受けたが
敵は死亡判定はしてないけど死んでます。
普通なら死んでないとおかしいぐらいの威力だからね。
感想ください、作者のエネルギー源になります