進化したその姿は・・・
「づっ!?あっ!?がっ!!」
起きたら激痛が走った、なんでこうなったのかしばらく考える
「そうか、俺もまだ人間なんだな・・・」
箒が力に少しだけ溺れて密漁船の人たちを切り捨てようとして、それを看過できなかった一夏が正気に戻したはいいがそれが原因でエネルギーが切れて落ちかけて・・・
二人纏めて落とそうとした福音の攻撃を一夏と一緒に受けたんだった
「あんの野郎・・・起こしてくれりゃいいものを」
一夏は先に出て行ったようだ、恐らく皆で今頃
「つっ!!」
軋む音がするようなぎこちない動きだが体の痛覚を押さえ込むのには成功した
後は、いつの間にかなくなっているブラックフレームの待機形態であるブレスレットを探すだけだ
「探さずともいいぞ、ここに持っている」
「くっ!!」
声にいまさら気がつき、その声の元に目を向ける
「織斑・千冬・・・」
「そら、ついてこい。お前はどうせ止めても行こうとするだろう?」
「当然だ、血反吐を吐こうが行くぞ俺は」
「そうなられては困るのだ、だから付いて来いと言っている」
仕方なく、ついていく
その先は海岸で、ホバークラフト船が停泊していた
「なんとか間に合ったな、山田先生!!」
「はい、今開けます!!」
その船の貨物室の中にあるコンテナの扉の前に山田真耶先生がいて、織斑・千冬の声でその扉を開いた
「ブラックフレーム!?」
「峰島に対してお前がBALDR・SKYを用意したように、峰島もまたお前のために用意していた機体だ」
黒の色を受け継いでいるソレには、コアだけがない
コアはブラックフレームと共通だからだ
「名称は教えられてない、お前が付けるべきだと本人も言っていたからな」
「それなら、即決だ」
見ただけで
「エヴォルツィオン・・・
進化したブラックフレームの名に相応しい、スピード&マッシブ、そして高性能さを昇華させた超世代機がここにある
「織斑がいま到着して戦闘を開始したが状況が芳しくない、全権を委任していいか?」
「後始末だけは自分たちでやってくれ、あくまでも俺たちは命令違反という形でな」
「了解した」
さて、そうと決まれば・・・
「カタパルトの用意を、一気に加速する!!」
「了解です、カタパルトは仮設のものを利用します!!」
どうやらカタパルトも事前に用意されていたようで、すぐに通電され始める
「
「
カタパルトのコントロール権を譲渡されたのを確認して、冷静に戻るため一度息を深く吸う、そして
「ブラックフレーム、藍澤カズマ、
大空へ飛翔する、即座に交戦区域がマップ上に出現し、そこへ加速する
同時に僚機判定されていた
「一夏、起こしてくれてもいいんじゃないのか?」
「おまっ!?俺より重体だったろ!?」
あ、それ?
「それなら問題ない、俺の体は頑丈だしリカバリも早いからな!!」
ここに来るまでに何とか痛覚はなくなった、それも無視できない範囲のものに限るが
「カズ・・・マ」
「由宇、大丈夫?」
そう言って、由宇の前に移動して頭を撫でる
「君のおかげで俺はもう一度空を飛べている、感謝しきれないよ」
「あぁ、後でたっぷりと聞いてやる、だから今は」
「わかってる、救うぞ、福音を!!」
福音の暴走原因はおそらく外部からの強制アクセスによるものだ、その通信さえできなくすれば勝機はある!!
「気をつけて!!収束砲撃をしてくるから!!」
「問題ない!!」
その瞬間に収束砲撃が来た、だが腹部にある新装備でそれ相殺する
「おいおい、腹部にどんなヤバイの仕込んでんだよ!?」
「発想の転換だ、手に持ったり肩や腰にあるのだけが砲撃装備ではないだろう?」
シレっとそう言ってのけた開発者である由宇に苦笑いしながら俺は指示を出す
「各自俺と一夏をサポートしてくれ、俺たちで倒す!!タイミング合わせろよ一夏!!」
「お前もな、カズマ!!」
俺の切り込みに合わせて、一夏が俺の後ろから随伴、俺が福音と交差する瞬間にセンサーが誤認識するようジャミングして一夏の零落白夜を必中させる作戦だ
言葉に出さなくてもわかってくれたらしい
「フルブラスト!!」
全門一斉発射して掃射砲撃を相殺、同時に肉薄して置き土産の対IS用フラッシュボムでセンサーをバグらせる
そして
「おぉぉぉぉ!!」
零落白夜が完全な形で決まり、福音は機能を停止してアーマーブレイク、操縦者が落ちていく
「ナイスだ、鈴、由宇」
だが、落ちていった先に待ち構えていた鈴と由宇がキャッチして事なきを得る
「終わったな」
「あぁ、やっとな」
由宇の横に止まった時、そう言ってきたので返す
これにて一件落着・・・だといいのだが・・・
「許せない、か」
「えぇ、相手が誰であれ、許せない」
どうやら事の真相は深く、闇の中にあるようだ。まず、軍事用にしては余りにも出来過ぎな感じがする
それに懸念事項を増やしていけば枚挙に暇がなさそうだ
「なら、俺の運営する
「貴方の味方になれと?」
「いいや違う、あくまでも所属だけで十分さ」
PMCを入学前に作っといて良かった、万が一、学園外で軍事行動を起こす場合には必要になりそうだったから作ったがコレがこんな形で使う日がくるとは・・・
「それで、私に得はあるのかしら?」
「あるとも、IS学園から非公式であるが生活資金が降りる。それだけじゃない、IS学園にもめでたく編入というオマケ付きだ」
これは事実である、一度も使われた事はないが
「ぷっ・・・ははははっ!!おかしいくらいに笑えちゃうわね!!」
「面白いだろう?高校生やり直し特典だぜ?」
これはこれで結構面白い特典だと思う、相手を間違えたら間違いなく地獄への案内状になるが
「条件があるわ」
「なんでしょうか?」
「織斑・一夏と同じ組にしてくれるかしら」
来ると思った、ソレ
「掛け合ってみる、おそらく可能だと思うよ?」
わずか数ヶ月で退学者が出てきたのでそろそろ転校生でもいいから欲しいと思っていたところだ、とても嬉しい事だと思う
「それじゃ、臨海学校の終わって夏休み以降で調整していいかね?」
「貴方、高校生にそれができるの?」
「特権っていう奴でね。生徒会長さんとは(あまりしたくねぇが)懇意なのさ」
「聞き取りづらかったところは聞かないほうがいいわね・・・」
ホントなんだよあの生徒会長とかいう女は、厄介な人種だぞアレ。構ってくれないとイタズラする猫の如き奴だった。人誑し属性まで付いてるとなると対処できない
「しばらくは俺の家で預かりな、由宇・・・君を抱き抱えたもう一人の女の子なんだけど、その子も同じく俺の家に泊まるから安心していい」
「えぇ、荷物はどうすればいいのかしら?」
「それについても問題ない、全てこちらでどうにかする」
暴走に関しての詳細な記録は由宇が急ピッチで進行させている。一両日あれば9割ぐらいは判明するだろうことも一緒に教える
「そう・・・」
残念な事に福音はコアだけを残して大破・損傷してしまった。おまけにコアは凍結封印というから始末に負えない
その前にせめて原因を解明したいと由宇が無理やり行っている。もちろん、その全てのデータを開示する責任も負ったが
「空を撮った写真でいいものはあるかしら?」
「あぁ、ちょうどいい物があるぞ」
俺は胸の内ポケットから一枚の写真を取り出す、ソレは俺のコレクションの一つだ
「宇宙と地球の狭間で取られた写真だ、本来の福音は君とこんな場所に行きたかったんだろう?」
「えぇ、そうね・・・コレ、大切にするわ」
「そうしてくれると嬉しい、貴重なものだからな」
なにせ一点ものだ、非常に高価だったんだからな
「じゃ、また」
「あぁ、また」
これでこの場はお開きになる、次の休日には会えるからいいか・・・
前途多難な主人公ェ・・・
PMCなんて設定の存在を今になって(主人公関連のネタ帳を見て)思い出した作者です
感想ください、作者の燃料になります