IS Striker   作:アーヴァレスト

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それは主人公の誰にも明かしていなかった秘密


ひみつ

IS学園の医務室で、一人の"少女"が目を覚ました。

その少女はガラスに映った自分の顔を見て・・・

 

「またか・・・またなっちまったなぁ・・・」

 

そう呟いた。っていうか俺だ、うん

 

「・・・」

 

それから目線を横にずらして見上げる、そこにいるのは織斑・千冬だった

 

「お前についての説明をやり直してもらおうか・・・」

「最初からか?」

 

イラッとしたのか、織斑・千冬は無表情でありながら出席簿を少しだけ強く握り締めた

それを見て、その俺は・・・

 

「名前は言わんでもいいな?どのみち肉体関連でしかない」

「それだけでいい、さっさと言え、藍澤・カズマ」

了解(ヤー)

 

俺は、自分の肉体に関する今の時点(・・・・)で明かせる情報全てを明かす事にする

 

「答えは簡単、俺が作られた人間であり、完成していながら失敗作であるという事だよ」

「人造人間・・・という認識でいいのだな?」

「それとは少しだけ違う所があるがな」

 

山田・真耶から渡されたジュースを飲み、次に話すことを選ぶ

 

「俺が作り出されたのは、こことは別の世界だ。それについては以前話したな?」

「あぁ、覚えている」

「その理由だが、二つある。どっちを先に聞きたい?良い方か、悪い方か」

「じゃ、じゃあ、良い方で」

 

山田・真耶が恐る恐る提案してきたので俺は先にそちらを言うことにした

 

「人の進化と調和の可能性を次の世代に引き継げるだけの力。その希望の象徴であれ。という理由だ」

 

そこで織斑・千冬が気づく、それは先程、俺が言った作り出された(・・・・・・)という言葉に関連する。

つまり、俺はクローンかそれに近い何かしらの技術を利用して生み出されたのだと

 

「だが、やっている事は犯罪だ」

「俺の生まれた世界じゃ犯罪でなかったんだよ、むしろ先天的に病気に罹りにくいようにDNAを弄っていたぐらいだ」

 

それがどうしたという声で俺は反論する、俺の中ではそんな事などどうでもいいのだ

 

「では、悪い方を聞こう」

「軍事転用だよ。俺という究極の一人を先につくり、それを雛形に様々に分化させて専門特化させる。安定性を高くするがためにな」

「そんな・・・」

 

先ほどの理由を相殺するかのような、非人道的すぎる理由。

それを知った彼は、それでもなお抗う

 

「だが、技術の完成間近の時点で仕込まれたバグのお陰で俺は成功品でなくなった」

「それが今の姿に関係している・・・と?」

「あぁ、密接にな」

 

コップに残ったジュースを全て飲み干し、話を続ける

 

「人間のDNA・・・性別を決める部分はXYとXXしかない。これが基本であり普通なんだが。俺の場合、両方が奇跡的なバランスで存在している」

「それって、普通じゃないですよね・・・」

 

山田・真耶が驚きの表情でそう呟く、織斑・千冬ですら(よく見ないとわからないが)驚いていた

 

「あぁ、有り得ない(・・・・・)んだ。それを可能にしたのは俺のDNAで見た場合の母親にあたる人物らしい。名前を知る前に軍部のデータベースサーバから研究記録自体が抹消されていて掴めなかったが・・・」

 

だがしかし、重要な部分は掴めた・・・それは

 

「彼女は最後まで俺に使った技術の軍事転用を反対し、恐れていた。だから計画の中心でありながらそれに相反するバグをあえて加えて根底から覆したんだ。つまりはとんでもないちゃぶ台返しをしたんだな・・・」

「す、すごいですね・・・」

 

壮大すぎるちゃぶ台返しだ、根底から全てを不可能にしたんだから

 

「それでも俺という完成であり失敗作(・・・・・・・・)は誕生した。まぁ、軍部は失敗と聞いた途端に手を引いていたから俺を作った技術の軍事転用は見事に回避されたわけだが」

「それから様々な紆余曲折を経て、今お前はこちらにいる。という事だな?」

「まぁな」

 

やれやれ、と体を起こす。痛みが少しするのは戦闘で負ったダメージが少し残っている証拠だ。このダメージを早く癒すために自動で女としての染色体が一時的に活性化したのだろうと判断する

 

「これからどうするんですか?」

「どうせ後、一両日程度はこの体でいないといけませんし、しばらく戻れませんから、ちょうど明日は休みでしょう?外出許可をください」

「なぜだ?」

 

織斑・千冬が質問してきたので簡単に答える

 

「由宇の服類にバリエーションがなくなってきたから、サイズが足りないのかもしれないんで購入したいんだよ」

「サイズはわかっているのか?」

「幸い、この体の方だと由宇より"少しだけ"大きいから今度からこっちに合わせればいい」

 

女の子はいろいろ大変なのだ、俺は女性体の時にソレを(皮肉な事に)経験している

特に下着類とか、成長期はすぐに買い替える事も多々あるからな

 

「変態が」

「残念だが今は女の子だよ?」

 

ドガッ!!

 

「蹴り飛ばすぞ?」

「蹴り飛ばしてから言ってんじゃねぇ!!」

 

不意に蹴り飛ばされてかなり痛かった、しかも戦闘で負荷を負った部分を正確に蹴り込むという悪魔の所業だ

 

「その場で元に戻ったらどうなる?」

「あぁ、それに関しては大丈夫、戻る1時間前ぐらいから気分悪くなるんで」

 

その度にベッドに寝込むことになるんだがね

 

「まぁ、一両日程度なら問題はなかろう。外出許可証を後で書いて退出しろ。学園では男性で入学しているから理由は他の物にしておけよ?」

「了解です。理由は住居の清掃と管理保全で」

 

そう言うと、二人の先生は去っていった。ご苦労さん




主人公が女体化するだと( ゚д゚ )!?
と言っても一時的なものなので次話からは元に戻った状態です。
休日の話はまだまだ先だよ

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