その覚悟の前に、少年の心は
「目が覚めたか?」
「セリア···俺は」
「言うな、分かっている」
「そうだな···」
ふっ···とセリアが笑うのを見て、俺は考える
「敵は最悪だな···俺達の全ての力を持っている」
「あぁ、それゆえに···」
俺達の闘いは最終章を迎えた
それについては言うまでもなかろう
そして···
「俺の狂気に、また付き合ってもらえるか?」
「いいぜ、地獄の果てまで付き合ってやる」
そう、ここに俺は決意する
「セリア、俺はこれから神を殺す」
「やるか、遂に」
「あぁ···」
俺が倒れてからまだ数時間、学園にいるという事は···
「お前が運んだのか?」
「そうだ、復活したらお前の横で、肝心要のお前は倒れているとはな···復讐以前の問題だ」
「そうか···」
「俺はお前の存在を許さない、だが同時に俺の好敵手はお前しかいない···だから助けた、殺す為に」
部屋の中、別途から少し遠いところにあるテーブル席に俺を助けた存在···19番目のクローン、ノインがいた
俺の行く先々の世界にコイツもセットで転生して、仲間になるか敵になるかのどちらかを好きに選んでいる
先の戦闘では敵であったが、今回は味方のようだ
「お前を倒していいのは私だけだ、ほかの奴には···牧瀬以外には絶対に許さん」
「おいカズマ、告白されてるぞ?」
「転生しても相変わらずヤンデレのようで···」
「真面目な話を茶化すな!!」
場の空気を爽やかにしたところで、本題に入る
「敵の正体は俺達を転生させた神、使う機体はストライカーシステム搭載機、ウェポンジャックプログラムを追加搭載している」
「それは確か、藍澤が搭載を見送ったほど危険なシステムだったはずだが?」
「脳に対する負荷があまりにも高すぎたから見送った、しかし元が人間とは次元の異なる存在であれば話は違う」
「相手するのは化物という認識で良いのだな?」
そう、ここまで来れば化物としか形容できない。仮にも神であった存在に対して失礼ではあるが
「その認識で行かなければいかんだろう」
「具体的な方法は?」
「そうだな、現人神化しているならば勝機はこちらにある」
勝機はそれでも存在していた
かなり危ない橋を渡ることになるし、
「お前なぁ···マジでやるから怖ぇよ」
「やるさ···そうしなければこの戦争、勝てないからな」
すべてを話し終え、俺はベッドから降り、立ち上がる
「俺がやるしかない、始まりの人間である俺がな」
そう、なればこそ···
「奴は俺がこの身に変えてでも倒す···みんな、付いてきてくれるな?」
「当然だろ、俺達はどの世界でも一蓮托生、戦友なのだから」
「恋人だから当たり前じゃない」
「家族なんだからついて行くよ」
三人それぞれの回答が来る、ソレはそれぞれが既に覚悟を決めているという意味だった
「敵の名前が決まってないな、そう言えば」
「神というのもアレだから適当に名前を付けてやろう···」
「その敵から素晴らしくクソッタレな犯行声明が来ているよ」
「・・・」
犯行声明とは穏やかじゃないな、まさか···
「コレを見て!!」
「うん、もう見てる」
犯行声明に映った映像には、巨大なクレーターがあった
それを作り出した兵器の正体とは···
「破壊半径と周辺の磁場、及び重力場の変化から、使われたのは···」
「
ジー·フレイア、俺達の世界で開発された究極の大量破壊兵器だ
その威力は限界までリミットを付けても数キロ圏を消し飛ばす程であり、このリミットを外した状態であれば数100キロが地図から消えるレベルだ
比較対象となれる兵器などは当然のことながら存在などしておらず、していたとしてもその多次元レベルの破壊力の前には意味をなさないだろう
「アンチシステムは確か···」
「ブラックフレームに搭載している物のみだ」
「マジキチだな」
「それでもやるしかあるまいて···」
映像の中では敵が自分の名を告げていた、その名は
「ゴルドフレームとはね、笑わせてくれる」
「許せないな、カズマの作った技術であるフレームシリーズをパクったくせに」
「じゃあどうしようか?」
「うん、消し飛ばそう」
対ゴルドフレームの対策はそこからサクサク進んだ
どの道あそこまででかいクレーターを作るためには人工太陽に匹敵するエネルギーが必要だ
「それすら超える兵器となると···」
「
「うわぁ···無理ゲー」
「分かっているから、言わないでおこうか」
ソレも数万発同時発射というキチガイだ、呆れてくる
「やれやれ···」
「疲れてくるどころか···」
「あぁ··」
うん、ヤバイな。とにかくヤバイ
数万発同時発射とかしたこと無いし
「最後の切り札がカズマであるのに、その本人は死ぬしかない···また、あの時のような事になるの?」
「分からない、けど···あんな結果だけには、決してしない」
「うん···」
そっと、イセリアの頭を撫で、落ち着かせる
「お前のように、優しい人間がこの世界に多ければいいのにな···」
「多いさ···今回の敵が、大馬鹿者なだけだ」
最終決戦は近い、その前に···
さて、急展開だ!!
ここから、主人公への試練はさらなる過酷なモノにッ!!