彼がどうしてISを纏うことが出来たのか、その秘密が明らかになる
「皆、真剣な話がある」
昼休み、俺は皆の持つ電話にメールを打っていた
「放課後に生徒会室に来てくれ···っと」
俺は
〈放課後、生徒会室〉
「それで、重要な真剣な話とはなんだ?」
「まだみんな来てないだろ、もう少し待てよ」
「···」
俺と同じタイミングで来ていた箒が急かすが、みんなが来てからでないと話す気は無い
コレはそれほどに重要な事なのだから
「よし、揃ったな」
それから数10分後、生徒会室の席は全部埋まっていた
今は最後の一人、カズマを待つだけだ
「悪いな、遅れた」
その最後の一人も席に座り、全員が俺を見る
「みんな、今日は部活をサボって来てもらってすまない」
「そーね、サボって来たわよ」
「これから話すのは、俺がカズマに言って調べてもらった···俺の過去だ」
俺は小学校に入る前の記憶がない
幼いから当然、という人もいるだろうが、想起できない訳では無いはずだ
それが俺には出来ないのだ、だから第三の可能性···記憶を弄られている可能性が浮かんだのである
「そして、調べてもらった結果がコレだ」
映像としてモニターに出したのは、調査結果の書類だ
「遺伝子に改良と改造の
「つっ!?」
マドカも含めた全員が驚きに声すら出せない
カズマはその中で平然と茶を啜っていた
「思えば、そうではないか?という場面がいくつもあった。重体からの奇跡的なまでの回復、生死に関わる危険な状態に陥った時に限って一夏は切り抜けてきている」
これまでは単なる偶然で片付いていた、だが裏を返せばそれは調べる努力を怠ったという事だ
力をなくした俺がそれに気づいたのは、ある意味では必然なのかもしれない
「さらに詳しく調べてもらった結果がこれになる」
1枚めくり、詳細な検査結果を表示させる
「俺のDNAの改変されていた部分は、自己治癒力と空間認識能力の部分と判明した」
「そこまで、わかるのか···」
「カズマが調べた事だからな、カズマに聞いてくれ」
カズマに答えてもらった方がわかりやすいと判断して先を促して俺は席を立つ
「確かに一夏のDNAには改変が確認された、しかし現在は痕跡のみであり、どの様に戻されたかは判明していない」
「どういう意味だ?」
確かに改変されている、その痕跡が確認されたのに普通の人と同じ構造になっていることに疑問を感じるのだろう
みんなが頭にクエスチョンマークを浮かべている
「それはわからない、何らかの方法としか言えないのが事実だ···しかし、それこそが一夏がISを纏えた理由なのではないか?という推測はできている」
「改変されていたDNAの部分がISの適正に関わる事···か?」
「その通りだ、どのように関わるのかは研究が必要だがね」
カズマが両手を上げ、降参というようなポーズをとる
「だけど、これで本当の意味で奇跡ではなくなったという事になる」
一時は奇跡の男性適正者とまで取り沙汰された一夏のIS適正は、DNAを弄られていたからと判明した
しかし、ここで新たな謎が生まれる
「一体誰が、どうやってDNAを元に戻した?」
「考えられる可能性は2つ、一つは彼の使っていた白式、もう一つは篠ノ之束」
「姉さんは、なんと?」
「返答していないため分からない、だが何かしらの秘密を隠しているのは事実だ」
どうして隠したままにしているのかは本人に聞かなければわからないが、やましい事でないのだけはこの場にいる全員が分かっていた
優しい彼女だからこそ、知られたくない事もあるのだ
この場にいる、由宇も同じく秘密にしたまま隠している事がある
「私から一つ、いいか?」
「何だ、由宇」
「白式のコアナンバーは
コアナンバー00···白式のコアは世界初のIS、白騎士のコアを初期化、転用したものである
しかし、初期化してもなお使っていた織斑千冬の残留思念が残るなどの不可解な現象が起きている
「世界初のISのコア、そしてその使用者であった織斑千冬の弟である事、これから考えられる事は···」
「織斑一夏が再びISを纏えるかは、彼自身にかかっているという事かな?」
カズマが由宇の言葉を奪い、由宇はカズマの言葉に頷いた
「一夏、白式だが···」
「修理は出来ていない、アクセスエラーを返して無応答を貫いているそうだ」
あれから白式は修理のためのコマンドポートをも閉じて無応答のままだ
壊れているのでは?という技官もいるが、一夏とカズマは共通見解として、
「また、戦いがきたら···俺は戦う」
「それが一夏が話したかった事···だね?」
「あぁ···今日は俺の為に時間を作ってくれてありがとう、みんな」
そしてそこからは宴会のような小さな会食をし、お開きとなった
この日が、それぞれの決意の日である事を全員が思いながら
一夏の伏線をとりあえず回収してみた
ここから先は伏線回収が最優先だなぁ···
感想ください、作者がエキサイトします