IS Striker   作:アーヴァレスト

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残された手段は一つとなってしまった、それでも希望を背負う少年は立ち向かう
果たすべき約束と、いつか訪れる未来を作ろうと


最後の力

1ヶ月後、学園から数キロ沖合に俺はいた、と言うのもカズマに直接届くメールアドレス宛に果し状を送ったのだ

 

「突然ここに呼び出すとはな、一夏···お前は今でも学友でいるつもりか?」

 

そうだ、俺は今でもお前の事を···

 

「思っているさ、学友だと···そして、倒すべき(ライバル)だとな」

 

だからこそ、ここでお前を止める

お前を止めることしか、今のオレには出来ないけど···

 

「だから止めてみせる、俺はそのためにここに来た」

「そうか、分からせねばならんようだな、格の違いというものを」

 

その言葉を放った瞬間、背筋が凍った

その凄みだけで常人なら失神している程だろう、自分ですら思わず半歩引いていた

 

「・・・」

「・・・」

 

同時に駆け出すと共に攻撃を繰り出していた、その速度、正確性は同レベルだ

まだカズマに()()()()()()()()という事か!!

 

「どうした、その程度ではあるまい?」

「くっ!!」

 

剣戟は苛烈を極めていく、スピードとテクニックが重なっていく

一瞬の気の緩みが破滅に導く結果になる、それは死を意味するだろう

 

「見ろ、これが俺の力だ」

 

背後の岩壁が消し飛んでいた、わずか一撃でこの威力···だと!?

 

「どれほどの力があればこの破壊を···」

「1.7ギガジュール。大陸間核弾道弾のソレと等しい」

「なっ!?」

 

破壊半径の計算だけで凄まじい事になる、人口10万の都市を焦土に変える決戦兵器じゃないか!!

 

「先に言おう、この戦い···俺の勝ちだ」

「言わせるかよ···」

 

汗が頬を伝う、冷や汗は止まらない

それでも勝つ方法は用意してきた、後はやるだけだ!!

 

「俺も言ってやるよ···お前を倒す」

「ほう···?その手段があるとでも言うのか?」

「あるさ、お前は最初から怪しいと思っている事があるだろう?」

 

そう、カズマは俺との剣戟で怪しいと思って一度フェイントを入れてきていた、それはほんの僅かにだがブレのあるものだった

怪しいと思った時点でカズマは···いや、()()()()()()()()()()()

 

「さっきの岩山砕いた剣戟、あれがお前のものだといつわかった?」

「・・・?」

「あの一撃は、オレのものだ」

 

その言葉を言った瞬間、カズマの動きは凍った

 

「何を言っている?」

「分からないか?」

「どうでもいい、俺の本気の一振りで砕いてやろう」

 

剣が振るわれる、俺はそれを片手で掴んで止めた

後ろの岩塊が消し飛ぶぐらいの破壊力を片手で止めたのだ

 

「何を驚いているんだ?」

「つっ!?」

 

驚きの表情で止まっていたカズマに俺は話しかける

 

「俺がお前の剣を受け止めたことが、それほどに驚く事なのか?」

「な、にぃ?」

 

表情が変わる、怒りのそれだろう

それでも構わない、本気であったとしてもまだ足りないのだから

 

「怖いのか?自分の目の前で、自分の理解出来ないことが起きるのが」

「ふ···面白い」

 

今度は侮蔑する表情に変わった、普段のカズマなら絶対にしない表情をしたことで俺の中での疑惑は確信に変わった

 

「俺の理解出来ないこと···か。勝ち誇ったような口を聞くなよ小僧!!今のはお前の膂力が瞬間的に俺を上回っただけの事だ。そのような奇跡も時として起こりはしよう、だが俺はそれをも凌駕する!!だから奇跡など二度と起こらぬよう、ワンオフアビリティで消し飛ばしてくれる!!」

 

発動するのはカズマの機体、ブラックフレームのワンオフアビリティ、神の杖(ロッズ·フロム·ゴッド)

ソレを正面にしながら···

 

「行くぜ、カズマ」

 

一瞬で懐まで入り込み、右肩を切り裂いた

 

「ぐぅ···!!」

「妙な気分だな···」

 

カズマは攻撃をギリギリで躱したらしいが、それでも出血していた。間違いない、今アイツは逃げた

 

「俺を攻撃させずに倒せるはずのお前が、自分から距離を取った」

「つっ!!」

「今度は俺から聞こうか···いま、なんで距離をとった?」

 

ワナワナと震えているのは怒りからだろう、それもそのはずだ然もありなんと言える

 

「俺と同列になれた事がそれほど嬉しいか、思い上がるなよ···人間風情があぁぁぁぁ!!」

 

叫び声と同時に姿が変わっていく、本来の姿に戻ったのだろう

そこに居たのは、バケモノと融合している人間だった

 

「こんなにも早く、化けの皮を自ら剥がす事になろうとはな···神の怒りを知るがいい、小僧」

「ふざけろよ、偽物が!!」

 

こんなやつにカズマは取り込まれてしまったのか?そんな訳が無い、現に敵は焦っているのだから

 

「そうだ、この一撃にて消し飛ばしてくれる!!」

 

核爆弾に匹敵する破壊のエネルギーが放たれた、それを真正面から受ける

 

「今のを受けてその程度か、だがその左腕はもう使い物になるまい!!」

 

その言葉と共にカズマの体を奪った敵はこちらに迫り、首を絞めてきた

 

「聞こえるか、織斑·一夏?お前は確かに、一時は最強であった。だが今は手にしたモノを失い見る影すらない!!今のお前には取り込み理解するほどの価値すらないのだ!!お前は神である私の手により死を迎える!!俺はお前を殺す事で人間という愚劣にして低劣な存在から完全に決別し再び神座に上り詰めよう!!」

 

饒舌に喋る偽物の言葉の最後はなんとなくわかっていた、あぁ、カズマなら絶対に叫ばない言葉だ

 

「終わりだ、織斑·一夏ッ!!」

「終わりだと?」

「ツッ!?」

 

驚きの表情に再び変わった敵に俺は睨みながら告げる

 

「こんなモノかよ?」

 

そして首を絞めている腕を浅く切って剣圧で飛ばす

 

「もう止めにしようぜ、偽物野郎。お前の講釈や理屈は···もう、ウンザリだ」

 

こんな奴に俺はやられたくない、負けたくない、だから

 

「見せてやるよ、これが最後の···零落白夜だ」

 

白い閃光が辺りを包む、その先あるのは···




最後の零落白夜の正体とは!?次話にて明らかに!!


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