IS Striker   作:アーヴァレスト

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絶望がその身を包み、前を見つめられずにいる青年の前に立ち塞がるのは彼の背中を見てきた少年

それは過去の自分が望んだこと、ここに未来と現在(いま) のすり合わせが始まる


未来を望む者

「セリア、俺にカズマを倒す方法を教えてくれ!!」

「自分の未来を閉ざす覚悟はあるか?」

 

カズマは俺が倒すと意気込んだ一夏の翌日のセリフがこれだった、舌の乾かぬ内に自分だけの能力では不可能だとわかったらしい

 

「俺はかつて、自らの愛機を2度と使用出来なくなるのを覚悟の上でカズマと戦い、辛くも勝利した···お前は、白式を失う覚悟はあるか?」

「覚悟ならある、白式を失う事になっても、カズマを連れ戻すんだからなっ!!」

 

強い力を宿した目が俺を見つめている、そこには今にも溢れ出さんとする様々な感情があった

その瞳を見て、俺は···

 

「いいだろう、その方法はちゃんとある」

 

俺と同じ事を一夏にさせる事にした、幸いにもその為の装置は既に揃っていたのだから

 

「電脳ダイブ?」

「そうだ、白式のAI人格の空間にお前の意識をダイブさせる。そして対話して体得しろ」

 

方法を伝えると一夏は黙り込んだ、過去に似た経験をしてるからだろう

しかし方法はそれしかない、やるしかないのだ

 

「白式が教えてくれるかは分からん、それでも挑むか?」

「あぁ、やるさ」

「そうか、あとは好きにしろ、勝てない訳では無いからな」

「あぁ、そうする」

 

賽は投げられた、その先にあるのは絶望か希望なのか俺でも分かりはしないが、やる事に意味がある

やりもせずに立ち止まることなら誰でも出来よう、しかしそこから前に行くことには、それまで以上の覚悟と試練を自らに課さねばならない

それは使命なのだ、そして運命でもある

かつて俺はそれと戦い、この身体を血に染め上げたのだから···

 

「お前が少し、羨ましいな···」

「そういうお前らは、自分の行く道を選べなかったんだろ···()()()()()()()()と、追い詰められていたんだからな···」

「そうだな、俺達は()()()()()()、だからこそ未練がある、その未練が俺達の渇望だ」

 

機体のワンオフアビリティにも影響するほどのソレは正しく渇望そのものだった

俺は誰よりも早く仲間の元に駆けつけ、敵を討ちたいという渇望から天霆の轟く地平に、闇は無く(ガンマレイ·ケラウノス)を顕現させ、カズマは己の敵を確実に撃滅したいという渇望から闇の竪琴、謳い上げるは冥界賛歌(ハウリング·スフィアライザー)を顕現した

 

それは呪いであると同時に与えられた恩恵(ギフト)、運命を呪い、運命に救われた俺達への皮肉であった

 

「後悔はないのか?」

「ないよ、そう生きることを選択したのだから」

 

転生してもなお変わらないのは、救える命を可能な限り救う事、ただそれだけ

そして、穏やかに生きていきたい

しかしそれがどうしてこうも難しいのだろうか···切に願うことから乖離していく自分にはどうしても抗う事しか出来ないのだ

 

「だから、お前達、この世界に生きる者に世界は委ねられるべきだ、俺達はそのための舞台装置に過ぎない」

 

そうだ、俺達は本来、そうあるはずだろう····カズマ?

この思いは伝わらないだろうけど、それでも···

 




さて、次話にて急展開か?ドキドキするようなネタでないことは事実だっ!!


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