IS Striker   作:アーヴァレスト

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戦場で初めて、家族として向き合おうとする織斑・一夏
今まで向き合えなかった理由とは?


戦場にて

「怖かったんだよ」

「え・・・?」

 

俺はそう切り出した、そう・・・()()()()んだ

 

「言ったら多分、マドカに嫌われる。それがとても嫌で、怖かったんだ。笑える話だろ?」

「・・・」

「だって、もし踏み入ったら。それっきりになるかもしれないだろ?」

「一夏・・・?」

 

だから心の底から思ったんだ・・・

 

「マドカが可哀想だとか、そんなんじゃない。()()()()()()()()()()()んだ、別れたくないんだ」

「でも・・・私は」

「だからせめて、笑ってくれよ」

「あ・・・」

 

だって、それぐらいしかないじゃないか

残った感情で発露できるものなんて

 

「過去を勝手に探ったのを怒ってもいいけど、できれば今の俺を情けない奴だって笑ってくれるといい」

「それだけで・・・いいのか?」

「いろいろ考えてたんだけどな・・・お前と話していたら、どうでもよくなった」

 

だから俺は強く言い放つ、今の決意を

 

「でも、ここを退く気はないからな」

「・・・」

 

マドカは呆然としていたが、すぐに言葉を紡いだ

 

「私がまだココに・・・いや、一緒にいたいと言ったら・・・怒るか?」

「笑って、許してやるさ」

「つっ・・・」

 

マドカが何をしたいのかまだ分かってはいない、それでも、一緒に歩むことはできる

その為には許すことも必要なんだ

 

「この、馬鹿者ッ!!そんな事、誰も、言えとはッ!!」

「頼んでなくてもいくらでだってしてやるさ、今と大して変わらないしな」

「本当に・・・どうしようもない!!」

 

馬鹿だからしょうがないだろ、それに鈍感だって自覚も一応はあるんだ

 

「それは最初から分かってたことだろ?」

「あぁ・・・そうだな」

「これからも色々と世話になるけど、付き合ってくれると助かる」

「本当に情けない奴だ、少しは自分でしろ」

 

家族として・・・とは言わないのでそこを突く

 

「ならマドカはできるのか?家族として」

「・・・出来ない」

「よく聞こえなかった」

「一人じゃできないから、家族として、サポートお願いします」

 

素直になったじゃないか・・・おっと敵が来た

 

「了解」

「一夏ァ!!もっと考えて色気のある返事ができないのか!?」

「そんな余裕があるわけ無いだろ」

「・・・さっきあれだけ無駄話をしたくせに」

 

そう言いながらマドカは体から力を抜く、俺に任せるということだろう

 

「うるさい、怪我人は寝てろ」

「訂正だ、無駄話じゃなかった。ダメだな・・・いつも勢いで言って後から本当はどうかわかるなんて」

「そうか」

 

しばらく無言が続き、その間に俺は敵を倒した

 

「あの・・・だな」

「どうした?」

「嬉しかった」

「・・・寝てろ」

 

照れ隠しにそう言って、敵が再び湧いてきたので倒す

 

「一夏?」

「なんだ?」

「怒って・・・ないか?」

「怒ってない」

 

怒ってはいないけど隠したい事もあるんだよ・・・恥ずかしいから言わないだけで

 

「その・・・口数が少ないし・・・顔だってよく・・・見えないから」

「血が足りないだけじゃないのか?」

 

そう言ったら、途中でほかの人間の声が聞こえた

 

「それとも、一夏が照れているだけかな?」

「シャル!!それに皆!!ようやく来たのか!!」

「思った以上に手間取った。退屈だっただろう?」

「あぁ、死ぬかと思うほどにな!!もうちょっと労いの言葉があってもいいんじゃないのか、カズマ!!」

 

 

遅れてやってきたカズマにそう言うと、笑いながらカズマは返してくる

 

「はははっ!!何を言っている、学生は苦労するのが仕事だろうが!!」

「実感させてくれる奴を同級生に持って嬉しい限りだぜ・・・」

「そうだな、もっと敬え!!」

 

カズマが仕切り直すように全体に通信を入れて続ける

 

「では、これより侵入者の掃討作戦に移行する、背後なんて気にするな、全力でお相手してやれ」

「じゃあ、先頭は俺とカズマか?」

「嫌味かセリア。俺は一応怪我人だぞ?そんな奴が前に出ても迷惑なだけだろうが」

 

よく見るとカズマは片腕に包帯をしている、こちらに向かっている最中に怪我を負ったのだろう

 

「片腕で率先して合流に向かってたのって・・・どこの誰だったかなぁ・・・」

「どこかの頭の足りない奴だろう、俺は知らん」

「誰だろうな」

「箒!?それ言っちゃダメ!!」

「む、そうか」

 

珍しく箒がネタにしている、それに驚きながらカズマを見ると、セリアの方に向きながら

 

「・・・知らんぞ」

「俺に振るな」

 

その後、侵入者の掃討も終わらせ、全員が休みに入ったのだった




一夏の性格が変わっていますけど驚かないでね・・・本作はこうなります。
次はどうするかな・・・



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