もはや正義とは言えない、と自罰しながら主人公はその手に剣を獲る
「どうやら戦術は読まれていたようだな?」
「あぁ、完全に読まれていたな。で、どうする?」
「ふん、そんなもの・・・」
戦場についたとき、思わず愕然とした。こちらの布陣、つまりは戦術すら完全に読まれていたのだ
だが、それすらも考えに入っている。正々堂々と宣戦布告をしてのけた組織がその程度を読めないはずがない
だから・・・
「読まれていようが関係ない。そんな一撃を叩き込めばいい」
「容赦ねぇな、まぁいいか・・・」
セリアは呆れてものも言えない表情で後退の指示を全軍に通達し、俺だけが前線に残る
理由としては俺以外の者がいると巻き添えを食らうからで、その余波は津波を起こして余りある
「神鳴る裁きよ、降れい雷・・・」
過去最大規模で展開されるワンオフアビリティはこれまで何度も使ってきた自分のモノだ。
その破壊力、破壊半径、衝撃度・・・全てにおいて、kinetic energy penetrator・・・その究極系に他ならない
その兵器の名は・・・
「
敵に対応される前にこちらから攻撃する、最大出力なので破壊半径は凄まじい事になっているが気にはしない
それだけの破壊力を持っていたとしても・・・
「敵の反応は健在です!!攻めてきます!!」
「有象無象の雑魚共の掃討は済んでいる!!ここから先が正念場だぞ!!」
空いた隙間から一気に侵入し、作戦は第一段階に入る。ここからは殲滅戦で、基地侵攻戦も含む複雑で難しい作戦だ。
そこで優秀な作戦指揮官であるセリアに担当させ、俺はその忠実な手足として動く・・・転生する前から、部下と上司という関係になってから永遠と繰り返してきた組み合わせだ
一般の感覚からしてみれば普通逆だろうと思われるが、これが俺たちには正しい。究極的に言えば俺は自分の事しか見えないから、適材適所でセリアが上がってきただけという理由だ
「確認できました、敵は相当の練度を誇っています!!」
「問題ない、こちらも歴戦の勇士ぞろいだ。総員、総力戦に移行、各個撃破せよ!!」
「
総員が同時に返答して各々の担当区域に行く、そして
「突入する!!」
「施設内は任せた!!」
セリアに担当を任されている施設内に入り、一直線に最深部に突入する
「行かせるかぁ!!」
「邪魔すんじゃねぇ!!」
途中、邪魔してきた人間を俺は蹴散らす、だが・・・
「俺はあの方の爪牙、ジェイル・黒崎だぁぁ!!」
「ちぃ・・・!!」
特攻してきた、しかも最大加速で
「失せろっ!!」
「がぁぁっ!!」
壁面に叩きつけるついでにそのまま突貫、次のフロアへ突入する
衝撃で腕のマニピュレーターの一部が不可に耐え切れず機能停止したが問題はないレベルと判断し継戦続行する
「総員、撃てッ!!」
「シールドにはこんな使い方もある!!」
迫り来る無数の弾丸に対してシールドを全面に展開し突撃、破壊することにもシールドは利用できると見せつけて更に次のフロアへ突入する
これでシールドの展開装置を破損してしまったが、機動で避ければ問題はないと判断して戦い続ける
そのフロアの中には、全身を鎧に包んだ男と二刀を持つ男、更には軍服を纏った女性がいる
「二人共、ここが正念場だ、迎撃するぞ」
「「了解・・・」」
「邪魔を、するな・・・そこを退け」
殺意の思念を叩きつけて二・三歩下がらせる、これだけでもかなりの強者だと判断できた。
普通の人間なら自殺を選ぶほどの殺意の波動に対して怖気づくだけという精神力を持つのだから
「退けないならば、斬り捨てる」
リミッター解除と同時にビームサーベルを展開、最大加速もかけて切り結ぶ
「これが、WALRUSの代表・・・!!」
「遅い、キサマらで俺に勝てると思うな」
切り裂いた後に後ろの壁を破壊して中に入る。敵として立ち塞がった三人はおそらく、良くても重体だろう
「これでも俺は手加減している、死なないだけいいものと思え」
中にいたのは、とある国の機関で開発されていたはずの新型量産機、ラッヘンゾルダートだった
どうやら強奪されていたようだ、この機体の特徴を検索して愕然とする
「厄介なものを、完成度で劣るとは言え・・・面倒な!!」
「まだ出てくるか・・・!!」
今度はファントムタスクが元々所有していた、ラプトルの集団が来る
これでもかとこちらに戦力を集中しているように見えるが・・・
「見え見えなんだよ時間稼ぎだという事ぐらい!!」
高速かつ繊細な機動で回避して仲間討ちを誘い、武装のダメージを最小限に済ませて最後の一人を倒し、さらに奥へ向かう
「藍澤・カズマ・・・闇の勇者よ。私たちはあなたの眷属。共に夢を見させてちょうだい」
「無論だ。俺は君たちを愛している。ゆえにもっとだ。もっと君たちを愛させてくれ。永遠に守りたいのだ。君達の人間賛歌を、俺に謡わせてくれ」
スコールがその通信を入れてきたので俺はもの凄く真面目に返した、これが俺の今、戦う理由
共に戦う仲間の事を誰よりも信じている。だから君達の人間賛歌を、一緒に謡わせてくれ!!
これはあくまで理屈の話、実際に行動へ移すわけではなく気構えの話だと考えている人間が多いけど、互いの想いを確かめたいと思うがゆえに、実行に移したいのだ!!
「そうさ、飽いていればいい・・・飢えていりゃ、いい!!」
「それがお前の答えか、WALRUS代表、藍澤・カズマ」
「あぁ、これが俺の貴様に対する答えだ」
「理由は?」
敵として最後の扉の前に立ち塞がった人間は、俺に答えを求めた
それに俺は答える
「生きる場所の何を飲み、何を喰らっても足りない。けどなぁ、それで上等だろう!?甘えるんじゃねぇっ!!」
「つっ・・・!!」
「耳が痛いだろ!?そうだろうな!!神様に頭下げて、摩訶不思議な神通力でも恵んでもらって、そんな自分は強くてすごいだぁ?ふざけんなこの根性なしども!!そんなものに価値なんて1銭たりとてあるものかボケェ!!」
転生者で8割が占められている今のファントムタスクに対して俺が最初から持っている感想はソレだ
身の丈に合わないバカバカしいにも程がある力を手にしたとて俺に勝てるはずがないだろう、絆を信じ、仲間と共に歩み、成長し続ける事を選んだ俺に!!
「邪魔だ退け」
「がはっ!!」
最後に顔面を殴って気絶させ、扉を開く。そこには・・・
「待ち焦がれていたよ、藍澤・カズマ」
「本当にソックリな顔つきじゃねぇか・・・吐き気がするほどだ」
「お前たちを見てると、ただ生きるのを勝手に難しくしているみたいだ。それじゃあ、駄目なのか?」
その質問に息を飲んだ、しかし、答えは決まっている
「そうだな。ただ生きるのは、難しい・・・」
「そうか・・・難しいな」
「だが、それでいいと思っている」
今更何を悩むという。決めたからこそ、果てなく征くのだ。それ以上の理由など俺達にとっては必要ない!!
だからこそ、今こそ討つべき敵を討つ!!
「俺はたくさんの人間を殺している、それで食べていけたんだから。なくなったら、困ってしまった」
「・・・」
「殺さなくちゃ回らないんだから、本当はいつまでも生きている俺は規格外品だ。血に濡れた男を、ココはいつまでも野放しにするような世界じゃあない」
「なら、なぜ戦う?」
その回答も既に考えがついている、そもそも、それを
「勝ちたいならば、来い。俺が相手をしてやる」
ビームサーベルの切っ先を向け、俺は続ける
「Believe your Justice・・・お前の正義を、貫いて見せろ!!」
「了解だ・・・DNAの・・・父親ッ!!」
ここに最終決戦が始まる。正義と正義の対決は、どちらに勝利をもたらすか分からない
訳あって前・後編とします。作者の現在の文章力では3000文字以上のページを作るので発作が出てくるんだ・・・これで許して、頑張って次話作るからッ!!(スライディング土下座)
感想ください、作者の励みになります!(割と本気で)