この選択であっていたのか、間違っていないだろうかという苦悩
「・・・」
IS学園の整備室、その一角にある黒塗りの機体の前に私・・・峰島・由宇はいた。
私は目の前にある機体の整備をしている
「・・・」
「峰島・由宇、もう遅いぞ?」
「ん・・・?」
考えるのをやめ、時計を見る、もうすぐで深夜になるところだった
「考え事でもしていたのか?」
「少しな・・・」
横に立った教師、織斑・千冬の質問に答える
「私は、間違えているのだろうか?もし、今私がしていることが馬鹿げた事だとしたら・・・」
「だが、大切な誰かを守ろうとする事は・・・決して馬鹿げた事でも、間違ったことではない」
その答えに、一瞬頭が真っ白になる、理解できなかったから
「えっ・・・?」
「世界の事は分からないが、その大切な者がいるからこそ、世界を愛する事が出来るのだと思うぞ?」
「・・・」
かつて、世界最強と呼ばれ・・・いや、むしろそう呼ばれる立場になったことでたった一人の弟を危険に晒したことが負い目となっている彼女はキツい言葉や行動の反面、その弟・・・織斑・一夏を大切に思っている
だからこその言葉か・・・
「きっと藍澤もそうだ・・・だから頑張るのだろう、お前の期待に応えるために。お前もそんなアイツのために答えようとしているだろう?」
「・・・」
確かにそうだ、その思いに答えたいがために作り上げたのだから・・・彼の為だけに
「ただ少し、やり方が・・・と言うより思いが違ってしまう事だってある。その誰かがいてこその世界であるはずなのに」
「つっ・・・!!」
小学校以来の付き合いで、現在は行方をくらまして何やら陰謀を張り巡らせている人物に対し、強い警戒心を抱いている彼女の言葉は重いものだった。
それに過去の経験からどれだけの覚悟でこの学園で、教師という立場にいるのだろうか余人には理解でき得ない領域だろう
「だから余計に難しくなるが・・・お前はお前で努力すればいい」
「あぁ・・・わかった」
努力の果てに振り返った時あるのは自分の歩んできた
「ではな、早く寝ろ、学生の本分は勉強だぞ」
「わかっている」
やれやれ、心配されているのか・・・いや、ダメだな私は・・・間違えていた
「道具の使い方は発明者が決めるのではない・・・使う側が決める事だ」
「そうだよ、だから君の悩む事じゃない」
「うわあぁぁ!?」
いつの間にかそこにいたカズマの声に今更気がつき、驚きながら振り返る
「い、いつから居た!?」
「ん、道具のところから」
幸いにも最初から居たわけではないようだ、セーフだ
「だが・・・本当に私はこのままでいいのか?
「いいんだよ、君はそのままで。そうやって泣けている間は哀れではないさ、涙を流せるほど大事なものがあるうちはね」
いつの間にか泣いていたその目の雫を優しく拭き、頭を撫でる
「さ、戻るよ。シャワーを先に浴びてね?」
「あぁ・・・行こう」
彼に何度救われたか、今やもう数える事さえできない。些細な事から大きな事まで助けられてきた
だから今度は私が彼の助けになりたい
「ん、どうかした?」
「いや、なんでもない」
いつの間にか足を止めていたようで、心配されたようだ
「あぁ、いま行く」
さぁ、戻ろう・・・いま自分のいるべきところへ
由宇の過去とかもっと掘り下げた内容のを書きたい作者です