IS Striker   作:アーヴァレスト

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それは新生したある組織の工作員が行ったこと
それに対して主人公は?


織斑・一夏、暗殺未遂事件

「・・・動くか」

 

一人そう言ったのは、二年生も半分まで来たある日のことだった

これからなにかの動きがあると、直感が告げていた

 

「早いな、早すぎる(・・・・)・・・」

 

拭い去れない違和感、何かの気配が傍にいるのに見えない恐怖

このような感覚を覚えた組織はこれまで一つしかない・・・

 

「ファントム・・・タスク」

 

だとしたら今度の標的は誰だ?まだ織斑・一夏を狙っているのか?

 

「だとしたら、今度こそ」

 

俺は本気で相手にしないといけないのかもしれない、前回とて本気であったが、それにも増して挑まねばならないのか・・・?

 

「カズマ」

「セリアか、どうした?」

「お前が今抱いている不快感、その正体を判明させてやろうか?」

「あぁ、是非ともお願いしたいものだ」

 

セリアはこういう時に活躍してくれる、情報操作や探査を最も得意とする彼には一番の本領であるのは間違いない

 

「お前の予測通りファントムタスクだ、最近復活したようでな、学園内にも潜り込んでいた」

「工作員の名前は?」

「聞くか?」

「処罰は俺が下す」

 

 

冷静にそう言い放ち、俺は武装を整える

 

「ダリル・ケイシーだ。目標は織斑・一夏」

「・・・ッ!!」

 

なんてことだ完全に危ないじゃねぇか!!

 

「セリア」

「なんだ?」

「途中で合流できるな?」

「あぁ、服だな。用意してある」

 

服を着替える事にする

多少は時間があるものと思うし、一夏は俺と楯無の愛弟子だ、多少のことなら対処できるだろう

問題は身内に甘すぎることだけ・・・それが命取りになるんだが

 

「ほれよ」

「すまんな」

「別にかまわねーよこれぐらい」

 

袖を通し、各部を確認する

 

「よくここまで再現したな?」

「イセリアが細部まで覚えていたからな、それを頼りに再現できた」

 

今来ている服はかつての軍服であり、俺の特攻服だ

重いが薄い素材で出来ており、対物ライフルの直撃弾でも3発まで耐えられる頑強さを持つ

 

「一夏を狙っている子を見つけたよ!!」

「イセリア、どこから見ている?」

「サーチャー張り巡らして部屋の中から」

「そうか、場所は?」

 

イセリアに場所を確認させる、彼女が告げたのは・・・

 

「急いで、一夏が狙われてる」

「問題ない、この程度予見している」

 

その程度の事は予測できていた、だから・・・

 

「狙撃ポイントまで案内しろ、イセリア」

「了解」

 

それからすぐに案内通りに進んで、屋上にたどり着いた

 

「ついてこい、フォルテ。オレと一緒に引き裂いてくれ」

「引き・・・裂く?」

「そうさ、この腐った世の中と・・・呪われた運命を、な」

 

そう言ってダリル・ケイシー・・・コードネーム、レイン・ミューゼルは強引なキスをフォルテ・サファイアにしようとした

そこに俺は声をかける

 

「いいや、そこまでだ、レイン・ミューゼル。お前の足掻きはここに終わる」

 

<IS学園校舎屋上、レイン>

 

「つっ・・・!?」

 

その声に弾かれるように振り向いたら、一人の男がいた

名前は、藍澤・カズマとか言った・・・

コツ、コツ、コツと、鳴り響くのは雄々しき足音・・・光の奏でる覇の進軍

それは自分にとって紛うことなき死の音色で、でも希望を担っている重々しい男の歩みはまるで荒野を往くような荘厳さを秘めていた

 

「・・・」

 

フォルテの動きも止まっている、さっきまで気配すらなかったのだから当然と言えるだろう

 

「ま、さか・・・」

 

そして今日、彼の英雄譚に捧げられる事になったのを私は悟った

たなびくマントに携えている剣。赤に近い髪に、情熱を宿す眼光・・・

そこにいるだけで圧倒的な存在感を醸し出すほどの男が、脇役(わたし)の暖めていた舞台へついに・・・運命を奏でる主役(・・)が登場したのだ

 

「良い目だな、報告とは違い覚悟も決まっているようだと判断できる。掴んだ決意の賜物かね?」

 

その言葉を吐いて、藍澤は剣を抜き取った

 

「だからこそ実に惜しい。非常に身勝手であるのは分かっているが、俺という人間に巻き込まれ(・・・・・)さえしなければと思わずにはいられんな」

 

その剣は断頭台を連想させるに十分だった、秘めている凶悪度で語るのなら、どんな処刑具でも遠く及ばないだろう驚異的な殺人性を宿している機体(モノ)の待機状態なのだから

 

「はぁ・・・!!はぁ!!ハァ!!」

「そうだ、それでいい。好きに足掻け、一切責めはせん。君にはこの理不尽に抵抗する権利がある」

 

巻き込まれた被害者として、同時にこの事態の当事者として自分を討つ資格があると藍澤・カズマは認めている

 

「手向けにはならんがここに誓おう。俺は必ず勝利(・・)を掴む。故に君もそうするがいい」

 

その言葉の間にも、幾多の思考をして、問いかけられたのはたった一つだった

 

「なぁ・・・教えてくれよ、藍澤」

「・・・」

勝利(・・)って、いったい何なんだ?」

 

オレにとってだとか、お前にとってだとか個人の主観で変わる言葉じゃない方で・・・

誰にとっても同じ普遍的な意味での勝利(・・)とは何だというのか

極論、人が生きていく上で勝つとは一体どういうものか・・・

連戦連勝、それを築き上げてきた男に聞いてみたかったのだ

 

<IS学園校舎屋上、カズマ>

 

「さてな」

 

俺はその質問に真摯に返した、僅かの間に浮かんだ疑問を噛み締めながら

 

「誰もがそれを探し求め、己の生涯(みち)を歩んでいる。だからこそ、俺は()くんだ」

 

それが俺の答え。運命を切り(ひら)かん。そう覚悟してそう決めているのだと理解したのか・・・

返答して、その直後、全く同時に攻撃へ移っていた

まるで示し合わせていたように、戦闘の幕を切って落とす

そう、もはや結末などとうに分かりきった、戦闘行為(よていちょうわ)を行うのだから

 

「つあぁ!!」

「ふむ・・・」

 

まずは一合、ともに最高速から放った攻撃は中空にて火花を散らせて、その刹那に届いた衝撃波で体を横に大きく傾がせた

しかしその間にこちらはそれすら利用して動いている

 

「がぁぁ!!」

「ほう・・・?」

 

続く二合、逆からの攻撃を彼女は相殺してのけた。力だけでない、技巧を駆使したその攻撃に手が痺れていることだろう。その結果が大きな隙をさらす

 

「あっ・・・がぁぁ!!」

「まだ耐えるかね?」

 

三合、皮一枚程度になったが防がれた、払いと斬り上げ、翻るマントを隠れ蓑とした連撃すら防がれたのだ

 

「けはっ!!」

 

四合、体勢を崩すことに成功する。振り下ろしと同時に手を離し、回し蹴りで蹴り飛ばして再度、剣を空中にあるままキャッチする

 

「く、ぐぅぅ!!」

 

続く五、六、七、八合、挙動の先を崩し続ける。動く場所に切っ先を向け、身体を真っ直ぐに保てなくする

 

「まだ、耐えるか・・・」

 

九、十、十一合、力で押し技も通さない。本能的に回避する場所すら予測して攻撃するもこれすら迎撃されている

 

「それも終わる」

 

十二合、武器を奪った。これで攻撃手段を失わせる

 

「もう、眠れ」

 

十三合、成す術など欠片もないのだと理解させ・・・

 

超新星(メタルノヴァ)・・・天霆の轟く地平に、闇はなく(ガンマ・レイ、ケラウノス)

「ガァァァァァ!?」

 

落とす光の刃にて、無慈悲に切り裂いた




機体を使わずとも勝てる強さ、でした・・・攻撃の手段すら考慮に入れていないバケモノとも言いますね
しかも、ものすごく恐れられているのはどういう事だろうか・・・
謎が謎を呼ぶ今話でした


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