IS Striker   作:アーヴァレスト

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かつての敵が復活し、牙を剥く
これから先は、騒乱の幕内に・・・


ファントムタスク 復活

「ふむ・・・」

 

その部屋の主は、淡々と見ていた画面(モニター)を閉じたあと、ため息をついた

 

「IS学園の動きは?」

「はっ!!現在もありません、恐らくこちらには気づいていないものと思われます!!」

「上々、現状のまま待機を命じておいて」

「了解しました!!」

 

膝の上にある聖書を片手で開き、もう片方はウイスキーの注がれたグラスを取り、飲んでいる

 

「失礼いたします」

「なんだい?」

 

室内に入ってきた人間に、目線もくれずに先を促す

傲岸不遜・・・とも言えるが、それがこの人間の自然体であり、似合ってもいた

 

「WALRUSについてですが」

「あぁ、そんな話もあったね。どうするかは君に任せていたっけ?」

「はい、任されていましたので、その途中経過の報告を」

「うん、聞こう」

 

聖書を机に置き、グラスをその横に置いた部屋の主はここでようやく部屋に入ってきた人物を見た

 

「WALRUS代表、藍澤・カズマは転生者です。その使用機もまたこの世界の技術を使用こそしていますが、ソフトウェアは大幅に異なります」

「外装からは分からない性能を有している。という事かい?」

「おっしゃる通りです、ポテンシャルはISのソレを大きく上回ります。彼我の戦力差は100対1かと」

「ISが100機でも敵わない・・・か。恐ろしいくらいだ」

 

途中報告でありながら、それは重要機密であった

それほどの情報が既に流れている・・・あるいは

 

「我々の動きをおそらく彼は予測しているものと思われます」

「だろうね。そうでなければ、彼がここまでの情報流出を許すはずがない」

 

その言葉を聞きながら笑う部屋の主を見て、報告していた人物は質問する

 

「楽しそうですね?」

「うん、不謹慎だけど楽しいよ」

 

そっと近づいてきた報告者に、彼は手を差し伸べる

 

「あ・・・」

「おいで?」

「はい・・・」

 

ただそれだけで、部下と上司という関係から一転、彼氏と彼女の関係へと変わる

 

「こんなにボロボロにしちゃって・・・」

「ご、ごめんなさい・・・」

 

手のひらを見て、生傷を見つけた部屋の主は愛おしむように自分の胸に飛び込むようにやってきた女性の頭を撫でる

 

「一緒にいよう。そう誓いあっただろ?」

「はい・・・」

「だから、無茶はしちゃいけいないよ?」

「うぅ・・・」

 

これはこれでかなり恥ずかしいのだろう、頬を朱に染めながら抱かれている女性は小さくなる

そこには確かな愛があった。それは親愛と情愛という、男を奮い立たせ、女を変える力であり・・・かつて、藍澤・カズマの人生を狂わせ、同時に大切な者と巡り合わせた感情であった

 

 

「あぁ、そう言えば」

「なんです?」

 

下から覗き込むようにして聞いてくる彼女に男は告げる

 

「組織の名前は、ファントムタスク(亡国機業)で行くよ」

「そう言えば最近吸収しましたしね・・・」

「それと、僕らの生きる意味を探すには悪を背負う覚悟(・・・・・・・)が要るから、ちょうどいいかな」

「そうですね・・・」

 

彼も彼女も、共通していることがある、それは

 

「国家にモノ(・・)として扱われていた私達に、生きる意味と場所を与えてくれた貴方に、どこまでもついていきます」

「あぁ・・・」

 

夜はまだ長い、明けない夜から抜け出そうとする彼らは、眩しい夜明けを待っているのだ




珍しいことに主人公が出てこない、完全敵サイドの一話だよ!!
これが次話にどんな繋がりを見せるのか考えている最中なんだ・・・


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