IS Striker   作:アーヴァレスト

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それは戦争に狂わされた少女の名、人類にとっての聖剣であれという意味で主人公がつけた名
その少女、取り扱い注意


争乱編
エクスカリバー


「ふぁ・・・」

 

眠気からアクビをして歩き出したのは授業が終わり、仕事もなんとか終わった夕刻だった

 

「酒を飲もう、そうしよう」

 

そう思い、酒の置いてあるクローゼットを開けたら・・・

 

「な・・・い?」

 

顔面が蒼白になった、飲もうと思った酒がなくなっているんだ

 

「あんの・・・クソガキャアァァァ!!」

 

あのクソガキだな!!今日という今日は!!

そのすぐ後、電話が来たので応対する、相手は一夏だった

 

「カズマ」

「どうした?」

「生徒会からなんだけど、最近、ISのパーツが一つずつ無くなっていく事件が起きているんだ、お前のところで掴んでないか?」

「・・・」

 

心当たりがありすぎる・・・

 

「心当たりがあるのか?」

「ありすぎて怖い」

「即答かよ・・・」

「そして帰ってこないと思ってくれ」

 

これは確定だ、帰ってこないだろう

 

「理由を聞いていいか?」

「極秘情報に触れない限りで伝えると、WALRUSで保護している人間が好き勝手やって盗んでいるということになる、ちなみに俺は酒を盗まれた」

「未成年者飲酒だぞ?」

「知らぬ」

 

どれだけの金がかかったと思っているんだ!!アレは500万の一品だぞ!!

 

「とりあえず、俺の方で何とかするが、諦めてくれ」

「白式は幸いにも問題ないけど、他の奴がなぁ・・・」

「そいつと模擬戦させて憂さ晴らしすればいい」

「お前、酷いな」

 

当然の罰だ、それぐらいの事をされろ

 

「さて、行くか」

 

行き先は地下の特別区画、"彼女"がいるはずのエリアだ

 

「やはりいないかっ!!」

 

室内は空だった、誰もいない

この部屋の主は、テーブルにご丁寧にも紙を置いていた

 

「"残念でした、ここにはいません(ゝω・)"・・・だとぉ?」

 

ワナワナと震えるのを我慢できない、完全にキレた

 

「絶対に見つけ出してやる!!」

 

その紙でハリセンを作り、俺は搜索に出る

幸いにもすぐに見つけた

 

「キャハハハ!!コレすごい美味しい!!もっと飲みたいなぁ!!」

「ほう?いつ飲むのかね?」

「・・・!?」

「天誅!!」

 

フルスピードで唐竹割りを炸裂させ、頭を抱えるほどのダメージを負わせた

 

「痛い・・・」

「てめぇが原因だろうが!!」

 

首根っこを掴んで元の部屋に戻らせ、ベッドに座らせる

酒は完全に飲み干されていた

 

「このクソガキ・・・」

「ちぇ・・・」

「あぁ!?」

 

もう一本あっただとぉ!?

 

「で、ISの装備や部品を盗んでいるのは?」

「私だよ?」

「酒も?」

「私だよ?」

 

よし・・・

 

「殺そう」

「まぁまぁ、それは悪いって思ってる」

「欠片も思ってないだろうが!!」

「チッ、つまんねー」

 

バレバレだっつの!!騙せると思ってたのかよ!!

 

「で、返す気は?」

「使ったら、無理だよね!!」

 

うわ・・・凄い笑顔。被害者が見たら殺しにきそうなレベルだ

 

「それで、自分で作るって言ってた機体は完成したのか?」

「昨日完成したんだー、大変だった」

 

全くその様子がない、誰か手伝っていたな?

 

「束、手伝っていたな?」

「バレた?」

 

扉から現れたのは束だった、バツの悪そうな顔をしている

 

「基礎的なところだけだから契約違反ではないよ?」

「分かっている」

 

恐らく、レクチャー程度のレベルだろう、コア自体は既に専用品を提供していたから

 

「では、見せてもらおうか?」

「いいの、反対しないでよ?」

「もう驚かん、お前の事だから」

 

何をしでかすかわからんのを相手にするのはしんどい

 

「では、見てもらいましょう!!」

 

彼女の後ろの扉が開き、その部屋の室内灯が点灯する。そこにあったのは・・・

 

「IS-RX0、いや・・・フェネクス」

「そう、IS"ユニコーン"の三号機だよ」

 

ユニコーン・・・IS-RX0は現在行方不明だ

あの子(・・・)物語(・・)に干渉する気はない、あの子ならどんな辛いことでも克服できるはずだと、信じている

 

「バンシィはワザと流したんだね?」

「何の事かな、俺は知らん」

 

困難な事を共に歩む仲間と共に克服するのは人間だけにしか出来ない事だ

可能性という内なる神(・・・・・・・・・・)を持つのは人類だけだから

 

「可能性を超える少女の物語だ、そこに干渉するほど俺は愚か者ではないよ」

 

あの物語は俺の入る必要のないものだ、俺はあくまでもゲストキャラに過ぎない

 

「さて、どうしようか?」

「ふぇ?」

「外に出てみる?」

「ふえぇ!?」

 

彼女をここに閉じ込めていたのは俺だ、必ず陽の光を浴びさせると誓っている

かつて由宇をして強引だと言われたが、それだけの事をしないといけない時もある

 

「でも・・・私は・・・」

「"でも"も"だけど"も聞きたくないし聞きません」

 

これは決定事項だ、揺るぐことはない

 

「いい・・・の?」

 

恐る恐る・・・といったように彼女は質問してくる

それに俺は

 

「たどり着く場所も分かりはしない、でもきっと、届くものはあるはずだ」

「だから、自分に負けるな・・・って事なんだね?」

 

戦争に全てを狂わされ、人を殺す方法しか学ばなかった彼女はそれが間違いだと知り、自らを地の底に封じる事を選択した

それを意思を俺は汲み、これまでここに居させていた

それももう、限界になりつつある

 

「君はもう、一人になることなんてない。そこ(・・)に立ち止まる必要なんてない」

「・・・」

 

自分が殺してきた人の命の重さ、それに彼女は今も縛られている

殺された人物たちはきっと、そんな事を望んでないはずだ

望んでいるのは忘れない事、忘れる事なく、殺した分以上の命を救う事を願っている

 

「そうだね・・・」

「それにそろそろ陽の光を浴びろ」

 

希望という光は諸人を照らすべきだと俺は思っている

かつてそれに抱かれ旅立った者を俺は知っている

 

「私にその資格があるの?」

「資格なんてどうでもいい、必要なのは進む一歩(・・・・)だ」

 

迷ってもいい、苦しんだって、その先には答え(・・)がある

答えの先にはまた問題があって、人生はソレの繰り返しなんだ

 

「だからこそ、今こそ出るときじゃないのか?」

「そうだね・・・うん」

「でも名前がなぁ・・・」

 

単なる単語・・・いや、それですらない、記号で呼ばれていた少女

その子に俺は・・・

 

「名前、つけてくれる?」

 

そう言われた、軽く混乱するがなんとか平常に戻し・・・

 

「俺でいいのか?」

「貴方だから頼むのよ?」

「わかった少し待て」

 

俺は彼女の人生を一部であるとは言え知っている

だから・・・

 

「シルヴァーナ・エクスカリバー」

「後ろの、聖剣の名前?」

「あぁ、君の名前にはいいだろう?」

 

銀の聖剣、彼女の名には良いものだと思う

人の罪の中にいてもなお、その運命に抗い続けようとし続ける勇気を持つ彼女には

 

「でも、聖剣というよりしょ・・・ゃん!!」

 

娼婦と言おうとしたのでハリセンで頭を叩いた

 

「お前はどちらかというと天秤(ライブラ)だろうが」

女神(アストレア)じゃあ、ないけどね」

「確かに」

 

可憐ではあるが、冷徹さも秘めている

例えるなら、磨き上げられた戦いの女性像か

 

「それでもお前は誰よりも人の事が分かる、それでいいじゃないか」

「出れるように、努力するね」

「そうしろ、でないと無理やり引きずり出すからな?」

 

そうして俺はその部屋から去る

これまでは鍵をしてきたが、今日からは不要だ

どのみち抜けて出るのだから意味がない

 

「これでピースは揃った」

 

これから始まるであろう争乱を最後の戦いにしよう、そう決意し日常に戻る




原作で名前だけ出ているキャラが次の話で大暴れの模様。
しかも外伝の存在(らしき)ものを匂わせる感じだ!!


感想ください、作者のテンションが跳ね上がります

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