更にもう一人の人物により戦端は開かれる
その戦いには世界を超えた友情、そして報恩と、覚悟と勇気を試す意味がある
「俺は・・・何してるんだろうな・・・」
俺は一人で敵を殲滅した直後、そう呟いた
既に学園から離れて一ヶ月が経過し、敵対してきた無数の組織や個人を潰している
「戦わなくても良かったはずなのにな・・・」
最初からそうだったのかもしれない、でも、あの時あの場での自分の行動は今でも正しかったのだと思っている・・・きっとこれからも
「それなのに、戦ってしまった・・・」
それなのに後悔している。そもそもどこから後悔しているのか自分でも分からないのだが
「何のために・・・」
それはもちろん、守るためだ
「何を・・・」
それは当然、自分の大切な人を
「自らの未来・・・」
それすらも捨てている自分がいる。他者にあんだけ言っておきながら、自分の中は存外にも空なのだ
今もそうだし、昔から変わらない。それでも、藍澤・ミナト・・・母さんは良いと言った
"空だと言うのなら、幾らでも中に入るという事。幾らでもつぎ込んでいって、溜めきれなくなったら誰かに肩代わりしてもらいなさい"と
それでも・・・
「誰かを討たねば守れぬ未来・・・」
自分もやがては討たれる存在だ、そうなるしそうしてみせる
そうなるように仕向けてもいるのだから
それなのに俺はどうして後悔しているのだろうか・・・
「そして、討たれた者にはない未来・・・」
「そして、それだけの数、討った者にも未来は消える・・・とでも言うつもりかね、我が息子」
「つっ・・・!!」
その声に弾かれて俺は後ろに振り返る
「クソ親父・・・!!」
「あぁ、全く。
「お前が、母さんのことを言えるのか!!」
俺はそう叫び返す。母さんを捨てて、俺の事も一度は捨てさせた張本人がそんなことを言ったのだ
「言えんが、父親らしい事はしないといけないだろう。それが彼女との約束に反していてもな。故に、お嬢さん。君も手伝ってくれるかい?」
「親子喧嘩ぐらい他所でやってくれよ、マジでどうでも良いし」
「つっ・・・!?」
聞き覚えのある声がその背後から聞こえる、出てきたのは・・・
「天羽・・・奏!!」
「すまねーな、カズマ。今回ばかりはお前をブン殴りてぇ」
立花・響のシンフォギア・ガングニールの元の持ち主にして、俺の何回目かの転生で救ったはずの人物だった
「どうして・・・君が」
「お前、もうわかっていて聞いてるだろ?それが私のイライラするとこなんだけど理解してるか?」
「つっ・・・」
「では、行こうか」
戦闘はキャストを変えて再開される、ここから先は世界を超越した"戦争"だ
「Croitzal ronzell Gungnir zizzl・・・」
「ブラックフレーム、全リミッターリリース!!」
彼女は救ってから数ヶ月の間、俺が真剣に鍛えた唯一の人物だ
あの世界での俺は完全でないことから性格にも違いが出ていたのもあり、記憶がほんの少し断絶している
それでも危険であるのは分かっている、何故なら・・・
「お前に救って貰った事で、私はアレ無しでもギアを纏えるようになった。それには感謝しているし、迷っていた時に進む勇気をくれて嬉しかった・・・」
「だから・・・か」
「あぁ、そうだ!!だからっ!!」
LAST∞METEORによる攻撃が来る
それを躱して・・・
「甘いな、僕が攻撃しないといつ言った?」
「ちぃ!!」
クソ親父からの挟撃にみまわれる。しかもソイツが纏うのは
「エクセリオンストライカー!!」
「その通り。かつて纏い、神となってまでも持つ物だ」
人間として存在していた時に纏っていた機体・・・ゼロフレームよりも古い時代の制作物でありながら全性能で追いつけすらしない機体だった
「く・・・このぉ!!」
「どこ見てやがる!!」
「しまっ!?」
その間に天羽奏が視界外から攻撃してきた
連携が・・・上手すぎる!!
「予想外か?」
「クソッ!!」
その連携は一夏に俺が教えてきた事の完成形に等しかった。それだけに俺自身が今、詰まされている状況になっている
「そして俺は君の上位互換だよ」
「貴様ッ!!」
俺の能力を使ってくる!!俺に出来ることが敵に出来るだけでどれだけ大変な事は承知しているが・・・!!
「あー、カズマの親父さん」
「何かな、奏君」
「俺に任せてくれや、第六天波旬に奪われっぞ?」
「それはマズイ、では戻るか。後は君に任せるよ」
「あーはいはい」
クソ親父はあっさりと去っていった、残るのは奏だけだが
「あの時と、似てるな・・・」
「あぁ・・・本当に」
あの世界で、ある時期のある一日だけ彼女は俺と翼、響を裏切った
俺も完全状態でなかったことから破れ、地に伏したが
「あの時の言葉、そのまま返すぜ・・・」
「・・・」
あの時の言葉を、今度は俺に返してくれるのか・・・
「さあ、お前の正義・・・貫いてみせろ!!」
「
あの時の彼女は泣いていた。俺が全力を出してないと出せない事を知って、同時に本気で止めようとした事も分かっていたら
「なぁ、なんでお前はシンフォギアを纏えたんだ?」
「転生時の問題で、女性体だけでの転生になっていたからだ」
「なんで自分は動けて他の人間は動けないようにできたんだ?」
それは・・・俺の後悔と悲しい祈りからだ
「俺のようにさせないために、敵は全て凍り付けと、思ったからだ」
「そうか・・・お前の芯は空だけど。その思いだけは真実だと思うぜ」
「では、奏、今のお前はとても嬉しいのか?」
「そう、とても嬉しい。お前の救ってもらって、あいつらと沢山の思い出を作れて、色鮮やかな世界にいる自分・・・あぁ」
歓喜の表情と声で、奏は以前、この世界で俺が叫んだ言葉を、同じだけの音量で叫んだ
「私は今、生きているッ!!」
「ならッ!!」
俺もそれに答えよう、その言葉だけである意味救われた
俺の行為が間違っていないのだと、思えたから
「はははは、あーはははははっ!!はあぁぁ!!」
それは正しく豪笑をかき消すかのように、熾烈極まる破壊力を持つアームドギアによる1選が迫る
「乙女の笑い方じゃないぞ今のは!!」
「あいにくと、
「言われればキレるくせに!!」
さっきまでのギスギスした雰囲気から一転、ただの痴話喧嘩に成り下がっている
彼女との本気での戦いは初めてであると同時に、ある意味救われた
さっきまでの色を感じなかった風景が、今は鮮やかに見える
「なんかおかしい気がするよなぁ、カズマ!!」
「無論、さっきからすべておかしいぞ!!」
俺は彼女の攻撃を躱し、逸らし、いなす。彼女も俺の攻撃を躱し、逸らし、いなす
そんな戦いの中でも、様々に技を応用して使い、自在に立ち位置を変え続ける
「感謝するぞ奏!!君のおかげで、今は色鮮やかに輝いて見える!!」
「つぅ!!」
最大限まで発揮されている両者の戦闘技能。それは・・・
「見ろっ!!なんだこの滑稽な戦いは!!」
戦術すらない、ただ一発ごとが全身全霊を叩き込む行為の繰り返しになっていた
これはまるで子供同士の殴り合いだ。無駄と無策の塊のような攻と攻のぶつかり合いでありながら同時に極限の攻め合いである
「なぁ、これがお前の以前言っていた、極限に近くなるほど陳腐になる事なんだろうな!?」
「ならばどうする?」
答えは同時、同じ言葉を叫ぶ
「「だから更に搾り出すまで!!」」
理由は簡単、続けるしかない
お互い、既に防御なんて頭にない大ぶりの攻撃で、逆を言えば一撃すべてが乾坤一擲。小賢しい真似をしようものなら即終わる
だからこの場で勝つのは・・・
「俺か・・・」
「私か・・・」
わからないからこそ無心になり・・・
「行くぞォ!!」
最後まで駆け抜けると決めたのだった
主人公の闇落ち寸前からコレよ、期待させない作者で済まない
にしても最近、マンネリ化しつつあるなぁ・・・
アレだけ嘯きながら、結局主人公視点だったしね
感想ください、作者がエキサイトします