IS Striker   作:アーヴァレスト

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逃げるわけではなく、仲間を守るために自らを犠牲にする主人公
最初の敵はある意味で正義である者たち、自分が崩したバランスを戻そうとする者達との戦い


VSディメンジョンオーダー

「お前か、この世界のバランスを崩したのは!?」

「・・・」

 

逃避行開始からわずか数日、俺は敵と遭遇した

この世界のバランスを取り戻すべく、俺の前に現れた審判者達・・・

 

「なんであろうと、お前には死んでもらうしかない!!」

「そうか・・・俺もまだ、死ぬわけにはいかないんだ」

 

まだ死ねない、死ぬわけにはいかない

俺が死ぬのは、死んでいいのは、由宇とイセリアのいる場所だけだ!!

 

「うおぉぉぉ!!」

「はあぁぁぁ!!」

 

敵の機体と俺のブラックフレームは同時に展開を終了し、そのままもつれ合うように戦闘を始める

 

ディメンジョン(別次元)から、神の(オーダー)によりこの世界に来たのか?」

「そうだ!!世界を壊そうとするものがいるから、と!!」

「そう、か・・・」

 

その意味はおそらく違う、敵であった他の転生者たちと同様にこの世界をいいようにしたい神なのだろう

それはおそらく人間が起源より持つ大罪の神・・・闘争の神にほかならない

ただただ、戦え、戦え、戦えと・・・

 

「これで!!」

「ぬぅ・・・!!」

 

それゆえにこれまでとは違う、装甲にこそ留まりはしたがブラックフレームが破損した

それは驚きにこそ値するが撤退にはいかないモノだ

 

「俺はな、そうやって他人から決められた事にホイホイついて行く奴が大嫌いなんだよ」

「つっ!?何を!!」

「そう言う奴に限って、いつもいつも、見ても聞いても感動なんて出来る記憶(モノ)なんて一つもねぇ」

「ふざけるな!!全てを失ったことがあるのか!?」

 

全てを失った?あぁそうか、お前も俺と同じなんだな

 

「あるさ、あるから言ってるんだ!!」

「つっ!?」

「過去しか見てないのかお前は!?」

「それの何が悪い!?だからおまえを殺すしかないんだ、過去を見ないお前を、世界を壊そうとするお前を!!」

 

あぁ、そうか、そうかよ!!

 

「いい加減残像にすがりつくなっ!!例えソレを何度見ようと、返ってこないんだよ!!何も、何も!!何一つだ!!」

「そんな事、お前に言われる筋合いはない!!」

「神様に頭下げて!!摩訶不思議な神通力でも恵んでもらって!!そんな奴が、強いから、すごい使命を持っているとでも思っているのかてめぇ!?」

 

ふざけるな、結局他者頼りじゃねぇか、それのどこが孤独と言える?

 

「ふざけんなボケ、酔っ払ってんじゃねぇ!!」

 

俺もそうだ、誰も彼もが死んでいった、真の意味での孤独・・・己を知る者が誰もいない恐怖を味わったとも

それでもやはり、前を向けたのは最後まで愛していた者との約束があればこそだった

今もそうだ、俺はあの二人(由宇とイセリア)を愛している

 

「一丁前に吠える力はあるくせに、神ごときに頼り俺を殺すだと!?いいだろうやれるものならばやってみろ!!」

 

だから巻き込みたくなくて、置いていった事に後悔しながらこうして戦っている

彼女達の抱える苦悩を、決断を、生き様を失くす事など許さないし許せない

だからせめて結果は残そう、永劫残るものとして。

この思いは、決して色褪せずに輝き続けるのだから

 

「うおぉぉぉ!!」

 

俺の言った言葉を敵は否定できない。出来うる材料を持ち合わせていないからだ

だから無様にも戦う選択をする、自分は善だと思う続けたいがゆえに

そもそもそこから間違えているとも気づかず

 

「おぉぉぉぉ!!」

 

俺もそれに答えるかのように振舞う

敵は確かに強い、それは認めよう。先ほど俺は"神ごときに頼り"と言ったが、実際には彼も研鑽したのだろう、貰った上で俺を確実に倒せるように

でもそれは紛い物の宝石を磨くのと一緒で偽物でしかないのだ、本物というのは誰かから貰うものではない、自力で掴みとるものであるはずなんだ

 

「虚空より、陸空海の透明なる天使たちをここへ呼ばわん。この円陣にて我を保護し、暖め、防御したる火を灯せ」

「つっ!?」

 

詠唱か!!ならばこちらも同等の力で!!

 

「幸いなれ、癒しの天使」

「幸いなれ、義の天使。 大地の全ての生き物は、汝の支配をいと喜びたるものなり。さればありとあらゆる災い、我に近付かざるべし。我何処に居れど、聖なる天使に守護される者ゆえに」

 

おそらくこれは同じ世界の力だろう、転生特典は往々にして火力一辺倒なモノを選択する者が多い、特にこの世界では

 

「斑の衣を纏う者よ、AGLA・・・来たれ太陽の統率者」

「黄衣を纏いし者よ、YHVH・・・来たれエデンの守護天使」

 

それこそ、終わりの一撃にあるかもしれないモノが

 

「「アクセス、マスター!!モード"パラダイスロスト"より・・・」」

 

ゆえに俺は、無理やりソレを使っている

本来は神格域に達した存在にしかできないソレは、俺という人間が、人類の罪の結晶であるからこそ出来る

 

「ウリエル、実行!!」

「ラファエル、実行」

 

敵の攻撃は、数億トン以上の瓦礫等を凝縮・溶解し、十数メートル程の球体にまで圧縮することで作られる疑似太陽だった。太陽と喩えられる通りに、その威力はフレアの爆発にも匹敵する

対する俺の攻撃は、竜巻の旋風を巻き起こしそれに触れた一帯を空間ごと削り取り別次元へと放逐、それによって開いた傷痕が"世界を縮めて"接着することによって歪曲空間断層を引き起こす・・・つまりは攻撃を消し去る攻撃というモノだった

しかも敵は加減してないにも関わらずこちらは敵の攻撃だけを消し去るように加減している

 

「な・・・!?」

「"運命は繰り返させない"・・・お前を転生させた神にそう伝えろ。ではな」

 

斬首して終焉させ、俺は再び敵を追うことにした

敵を追い続ける日々がどれほど続くのわからないが・・・




主人公一強の状況は次話にて崩れます。次話は(もしかしたら)主人公の視点ではないかもしれません


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