プロローグ
「あぁ、死んだなぁ」
そう愚痴るのは一人の少年だった、普通の人間なら死んだことでちょっとおかしいテンションやら泣き叫ぶのが普通だが、少年はどちらでもない
「これで何度目?今回こそ確実に死んだんだろうな?」
それもその筈、何度も臨死体験をしていれば生死の感覚など薄れてしまう
その経験を少年は幾度もなくしてきたのだ、つまり彼は
「軍人だったからしょうがないとは言え、最後はあったかいベッドの上でみんなに看取られながら死にたかったなぁ・・・」
軍人・・・いわゆる少年兵だったのだ、どうやら何かの作戦中に死んだ模様だ
「
つまりは最低でも中尉であったらしい、これはあくまでも海外での認識で、彼の生まれた国では・・・
「二尉から進んでなかったからしゃあないか、上からは圧力かかって昇官できないし、かと言って佐官になったら前線に立ちにくくなるからどうでもよかったけど」
案外世知辛い内情だったようである、ほかの軍人が聴いたら問題が起きているかもしれない
「所で、そろそろ出てきてくれない?神様とかそんなのどうでもいいから」
周りには誰もいないのに彼はそう言い放つ、実は本人が認識していないだけで頭でもおかしくなっているのだろうか?
否、彼はおかしくなっていなかった、正常である。そこには確かに、彼以外の存在がいたのだ
「気づいていましたか」
「当然だろう、俺は軍人だ。隠している方がむしろわかりやすいんだよ」
ちょっとおかしい、普通の人間じゃあ分からない。よくある転生系の小説だと大体の主人公は驚くのだ、現に気づかれた方の存在が驚きに何も言えなくなっている
「あの、貴方は少しおかしい気がしなくもないですが・・・」
「うん、それが?どうせDNAレベルでおかしい人間なんだしょうがないさ。それでアンタは誰?」
しかも、どうでもいいとばかりに本題に切り込み、さっさと要件を済ませて欲しいと言わんばかりの態度と表情である。
ふてぶてしい、あるいは図太いと言える人間だと理解できるし実際彼はそういう性格だ
「神様です、こう見えても」
「ほー、どーでもいー、で?転生とかさせてくれんの?」
「え、えぇ・・・まぁ」
しかも、先に言葉を奪う始末である
「でも世界は選べませんよ?どの世界も転生者で溢れてて・・・」
「神界も世知辛いなぁ、あんた、階級どれくらいよ?」
「人間の階級で判断するなら課長くらいですね」
さらっと自分の階級をそう言う神(?)である、ちなみに課長の階級を軍事に置き換えると
「俺と同じかぁ、案外話が合うかもなぁ?」
「そうですね、少し話し合いますか?」
「いいねぇ」
それから少し話し合う二人、その会話は小一時間に及んだ
「あんたも苦労してるな、じゃあ転生の特典無しでいいわ、苦労かけられんし」
「ありがとうございます、じゃあ肉体とかのスペックは今現在ので?」
彼はそれを聞いて少し笑いながら返事をする
「あぁ、頼むわ」
「はいです、最優先でしますね」
「別にゆっくりでもいいんだぞ?」
それに神は苦笑いしながら答える
「他の転生者だと、やれ特典増やせだのチートなスペック欲しいだとか、身の丈に合わない事をするんですよ」
「あぁ・・・馬鹿だなソイツら、自滅パターンだろ」
身の丈に合わない事をするとどうなるかよく知る彼は、苦笑いしながら同情した
「だから、貴方のように話のわかる人は最優先にしているんです」
「ありがたい事だ、あぁ、ところで転生先は?」
「貴方の使っていた武装に似ているマルチフォーム・スーツが抑止力となっている世界、インフィニット・ストラトスです」
それを聞いて彼は・・・
「ほう・・・?面白いな」
「あれ、驚かないどころか興味が湧いている?」
それもその筈、何故なら彼は
「俺はもう二度と自分が作ってしまったアレを戦争には使わないと決めている、それに似たモノが抑止力?ちゃんちゃらおかしい」
「え、えぇ?」
「戦争を起こすことも出来る、危険物だよ」
そう、彼は過去、自分が作ったモノで戦争の原因を作ってしまったのだ。だから、似たモノが抑止力など言われている時点で彼の中ではオカシイだろ馬鹿か?という認識に変換されている
「だから俺は物語に関わりません、普通に一般人A、あるいはモブとしてノンビリとセカンドライフを堪能します」
「はぁ、あなたがそう言われるのならばそれでも構いません、私は転生させるだけなので」
あくまでも、転生したあとは自己責任という事だ。つまりは自由にどうぞという意味である
「ほーい、そんじゃさいならー」
「えぇ、よいセカンドライフを」
少年の意識はそこで途絶えた
新作開始ぃぃ!!
次の話は、意外な人物登場のお知らせ。