虹の実を捕獲してから数日、今日はグラウンドで実技テストが行われていた。
サラ「それじゃあ予告通り《実技テスト》を始めましょう。前もって言っておくけど、このテストは単純な戦闘力を測るものじゃないわ。『状況に応じた適切な行動』を取れるかを見る為のものよ。その意味で、何の工夫もしなかったら短時間で相手を倒せたとしても、評点は辛くなるでしょうね」
ユーシス「フン……面白い」
アリサ「……単純な力押しじゃ、評価には結びつかないわけね」
サラの言葉に各々理解する。
サラ「ふふ―――それではこれより、4月の《実技テスト》を開始する。リィン、エリオット、ガイウス。まずは前に出なさい」
そう言われて、3人はキョウ達より一歩前に出る。
サラ「それじゃあ、とっとと呼ぶとしますか」
そう言うと、サラは指を鳴らす。すると目の前に機械人形が現れた。
『!!』
いきなり現れたので、キョウ以外は驚いていた。
リィン「これは…!?」
エリオット「ま、魔獣!?」
ガイウス「いや…命の息吹を感じない!」
サラ「ええ、そいつは作り物の“動くカカシ”みたいなもんよ。そこそこ強めに設定してるけど、決して勝てない相手じゃないわ」
その機会について軽くだが説明するサラ。
キョウ「だろうな」
サラ「例えば―――ARCUSの戦術リンクを活用すればね」
エリオット「あ…」
リィン「それが狙いですか…!」
そして3人は、それぞれ愛用の武器を取り出し構える。
サラ「―――それでは始め!」
リィン達VS動くカカシの戦が始まった。結果はリィン達の勝利だ。上手くARCUSの戦術リンクを活用していた。
ガイウス「…よし」
エリオット「な、なんとか勝てたぁ…」
3人は武器をしまい、サラは拍手をしていた。
サラ「うんうん、悪くないわね。戦術リンクも使えたし、旧校舎地下での実戦が効いてるんじゃないの?」
リィン「はは…そうかもしれません」
サラの言葉リィンはそう答える。
ラウラ「ほう…?」
マキアス「むむ、いつの間にそんな対策を…」
後ろからそんな声が聞こえてきた。
サラ「―――それじゃあ次!ラウラ、エマ、ユーシス、前に出なさい!」
そして次々と実技テストが行われ、最後はキョウを残すだけとなったのだ。
マキアス「はあはあ…」
アリサ「お、思った以上に苦戦させられたわね…」
エマ「やっぱり、《戦術リンク》が鍵になるみたいですね…」
戦ったメンバーはそんな事を言っている。
キョウ「で、俺の相手は誰になるんだ?」
サラ「アンタの相手はね…」
サラの言葉に全員が息をのむ。
サラ「ハッキリ言えば、
『!!』
その言葉にキョウは口角を少しだけ上げる。
アリサ「サ、サラ教官自ら!?」
ガイウス「キョウはそれだけの相手だということか」
フィー「ま、キョウなら当然かも」
マキアス「し、しかしいくら彼が強いとはいっても…」
エリオット「うん、サラ教官相手は流石に…」
それぞれがそんな事を言っている。するとサラが
サラ「アンタ達、今からやる試合…しっかりと見ておきなさい。これが本当の戦いというのをね」
キョウ「大袈裟だな。さて、久々にお前が相手をしてくれるんだ。また簡単にくたばるなよ?
サラ「上等!昔とは違うところみせてあげるわ!!」
ラウラ「ならば、私が審判を引き受けよう」
少し離れた場所からラウラが審判を引き受ける。
ラウラ「―――それでは始め!」
そして、最後の実技テストが始まった。
サラ「アンタ相手に手は抜かないわ!最初から全力よ!!電光石火!!!」
サラは空中に飛び上がり、キョウ目掛けて雷のごとく落下して来た。そのスピードはかなり速い。
キョウ「昔より更にスピードをあげたな」
そんなサラをキョウは感心しながら見ている。
キョウ「だが…まだまだ遅いな。音速移動」
そう呟くと、キョウの姿が消えた。
ユーシス「消えただと!?」
エマ「ど、どこに行ったんですか??」
フィー「違う」
その子言葉に、全員がフィーを見る。
エマ「フィーちゃん、何が違うんですか?」
フィー「あれは消えてない。目で追えない速度で移動してる」
アリサ「う、嘘でしょう!?」
リィン「フィー、君には見えるのか?」
リィンの言葉に首を横に振る。
フィー「私にも見えない。昔本人から教えてもらった」
マキアス「ほ、本当なのか…」
その言葉に、キョウの強さを改めて理解した一同であった。
サラ「クッ!アンタも昔より更に速くなってんじゃない!!」
キョウ「当然だろ。ただ美味い物食ってた訳じゃないんだぜ?」
サラ「だったら…これならどうかしら!!はああああああっ!!!」
するとサラは、自分の体に何かを纏わせた。
サラ「オメガ…エクレール!!!!!」
キョウ「それは少し厄介だな。フォークシールド&音壁!!」
自分を守るようにフォークシールドを張り、それに音壁を合わせて強度を上げる。
ドォォォォォォォォォォォォォォン!!!!!!!!!!!!!
技がぶつかり、周りに衝撃波がおこった。
マキアス「ふ、2人はグラウンドを破壊する気かね!!」
ユーシス「そんなのはあの2人に聞け!!」
リィン「皆!踏ん張るんだ!!」
エリオット「うわああああ!!」
それぞれが吹き飛ばないように地面に踏ん張っていた。やがて衝撃波は収まる。
アリサ「ど、どうなったの?」
エマ「土煙で何も見えません」
フィー「でも、もうすぐ晴れる」
フィーの言う通り、視界を遮ってた土煙は徐々に晴れていく。
ガイウス「2人が見えたぞ!」
戦っていた2人を確認する。サラは大技を出した為か、肩で息をしている。一方のキョウは無傷だった。
サラ「この…少しは喰らいなさいよね」
キョウ「いや、流石にあれはまずいだろ?」
サラ「全く…で、あんたの攻撃は?」
キョウ「ん」
そう聞かれてキョウは、上を指差す。見上げると、上空で何かが浮いていた。
サラ「アハハ…」
それを見てサラは乾いた笑いを出す。
キョウ「安心しろ、威力は弱めてある。少し痺れるだけだ」
サラ「少しって…」
キョウの言葉にげんなりするサラであった。
キョウ「サンダーノイズ!!」
そう叫ぶと、上空で浮かんでいた物体がサラ目掛けて落ちてきた。
サラ「きゃああああああ!!!!!」
見事に命中して、サラは倒れたのであった。
キョウ「俺の勝ちだな♪」
笑顔で倒れているサラにそう言うのであった。