軌跡の世界は、美食時代?   作:シャト6

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7話

虹の実を捕獲してから数日、今日はグラウンドで実技テストが行われていた。

 

サラ「それじゃあ予告通り《実技テスト》を始めましょう。前もって言っておくけど、このテストは単純な戦闘力を測るものじゃないわ。『状況に応じた適切な行動』を取れるかを見る為のものよ。その意味で、何の工夫もしなかったら短時間で相手を倒せたとしても、評点は辛くなるでしょうね」

 

ユーシス「フン……面白い」

 

アリサ「……単純な力押しじゃ、評価には結びつかないわけね」

 

サラの言葉に各々理解する。

 

サラ「ふふ―――それではこれより、4月の《実技テスト》を開始する。リィン、エリオット、ガイウス。まずは前に出なさい」

 

そう言われて、3人はキョウ達より一歩前に出る。

 

サラ「それじゃあ、とっとと呼ぶとしますか」

 

そう言うと、サラは指を鳴らす。すると目の前に機械人形が現れた。

 

『!!』

 

いきなり現れたので、キョウ以外は驚いていた。

 

リィン「これは…!?」

 

エリオット「ま、魔獣!?」

 

ガイウス「いや…命の息吹を感じない!」

 

サラ「ええ、そいつは作り物の“動くカカシ”みたいなもんよ。そこそこ強めに設定してるけど、決して勝てない相手じゃないわ」

 

その機会について軽くだが説明するサラ。

 

キョウ「だろうな」

 

サラ「例えば―――ARCUSの戦術リンクを活用すればね」

 

エリオット「あ…」

 

リィン「それが狙いですか…!」

 

そして3人は、それぞれ愛用の武器を取り出し構える。

 

サラ「―――それでは始め!」

 

リィン達VS動くカカシの戦が始まった。結果はリィン達の勝利だ。上手くARCUSの戦術リンクを活用していた。

 

ガイウス「…よし」

 

エリオット「な、なんとか勝てたぁ…」

 

3人は武器をしまい、サラは拍手をしていた。

 

サラ「うんうん、悪くないわね。戦術リンクも使えたし、旧校舎地下での実戦が効いてるんじゃないの?」

 

リィン「はは…そうかもしれません」

 

サラの言葉リィンはそう答える。

 

ラウラ「ほう…?」

 

マキアス「むむ、いつの間にそんな対策を…」

 

後ろからそんな声が聞こえてきた。

 

サラ「―――それじゃあ次!ラウラ、エマ、ユーシス、前に出なさい!」

 

そして次々と実技テストが行われ、最後はキョウを残すだけとなったのだ。

 

マキアス「はあはあ…」

 

アリサ「お、思った以上に苦戦させられたわね…」

 

エマ「やっぱり、《戦術リンク》が鍵になるみたいですね…」

 

戦ったメンバーはそんな事を言っている。

 

キョウ「で、俺の相手は誰になるんだ?」

 

サラ「アンタの相手はね…」

 

サラの言葉に全員が息をのむ。

 

サラ「ハッキリ言えば、こいつ(動くカカシ)じゃあ相手にならないわ。だから、私自身が相手になるわ!」

 

『!!』

 

その言葉にキョウは口角を少しだけ上げる。

 

アリサ「サ、サラ教官自ら!?」

 

ガイウス「キョウはそれだけの相手だということか」

 

フィー「ま、キョウなら当然かも」

 

マキアス「し、しかしいくら彼が強いとはいっても…」

 

エリオット「うん、サラ教官相手は流石に…」

 

それぞれがそんな事を言っている。するとサラが

 

サラ「アンタ達、今からやる試合…しっかりと見ておきなさい。これが本当の戦いというのをね」

 

キョウ「大袈裟だな。さて、久々にお前が相手をしてくれるんだ。また簡単にくたばるなよ?()()()()()()()()で相手してやるよ」

 

サラ「上等!昔とは違うところみせてあげるわ!!」

 

ラウラ「ならば、私が審判を引き受けよう」

 

少し離れた場所からラウラが審判を引き受ける。

 

ラウラ「―――それでは始め!」

 

そして、最後の実技テストが始まった。

 

サラ「アンタ相手に手は抜かないわ!最初から全力よ!!電光石火!!!」

 

サラは空中に飛び上がり、キョウ目掛けて雷のごとく落下して来た。そのスピードはかなり速い。

 

キョウ「昔より更にスピードをあげたな」

 

そんなサラをキョウは感心しながら見ている。

 

キョウ「だが…まだまだ遅いな。音速移動」

 

そう呟くと、キョウの姿が消えた。

 

ユーシス「消えただと!?」

 

エマ「ど、どこに行ったんですか??」

 

フィー「違う」

 

その子言葉に、全員がフィーを見る。

 

エマ「フィーちゃん、何が違うんですか?」

 

フィー「あれは消えてない。目で追えない速度で移動してる」

 

アリサ「う、嘘でしょう!?」

 

リィン「フィー、君には見えるのか?」

 

リィンの言葉に首を横に振る。

 

フィー「私にも見えない。昔本人から教えてもらった」

 

マキアス「ほ、本当なのか…」

 

その言葉に、キョウの強さを改めて理解した一同であった。

 

サラ「クッ!アンタも昔より更に速くなってんじゃない!!」

 

キョウ「当然だろ。ただ美味い物食ってた訳じゃないんだぜ?」

 

サラ「だったら…これならどうかしら!!はああああああっ!!!」

 

するとサラは、自分の体に何かを纏わせた。

 

サラ「オメガ…エクレール!!!!!」

 

キョウ「それは少し厄介だな。フォークシールド&音壁!!」

 

自分を守るようにフォークシールドを張り、それに音壁を合わせて強度を上げる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドォォォォォォォォォォォォォォン!!!!!!!!!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

技がぶつかり、周りに衝撃波がおこった。

 

マキアス「ふ、2人はグラウンドを破壊する気かね!!」

 

ユーシス「そんなのはあの2人に聞け!!」

 

リィン「皆!踏ん張るんだ!!」

 

エリオット「うわああああ!!」

 

それぞれが吹き飛ばないように地面に踏ん張っていた。やがて衝撃波は収まる。

 

アリサ「ど、どうなったの?」

 

エマ「土煙で何も見えません」

 

フィー「でも、もうすぐ晴れる」

 

フィーの言う通り、視界を遮ってた土煙は徐々に晴れていく。

 

ガイウス「2人が見えたぞ!」

 

戦っていた2人を確認する。サラは大技を出した為か、肩で息をしている。一方のキョウは無傷だった。

 

サラ「この…少しは喰らいなさいよね」

 

キョウ「いや、流石にあれはまずいだろ?」

 

サラ「全く…で、あんたの攻撃は?」

 

キョウ「ん」

 

そう聞かれてキョウは、上を指差す。見上げると、上空で何かが浮いていた。

 

サラ「アハハ…」

 

それを見てサラは乾いた笑いを出す。

 

キョウ「安心しろ、威力は弱めてある。少し痺れるだけだ」

 

サラ「少しって…」

 

キョウの言葉にげんなりするサラであった。

 

キョウ「サンダーノイズ!!」

 

そう叫ぶと、上空で浮かんでいた物体がサラ目掛けて落ちてきた。

 

サラ「きゃああああああ!!!!!」

 

見事に命中して、サラは倒れたのであった。

 

キョウ「俺の勝ちだな♪」

 

笑顔で倒れているサラにそう言うのであった。


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