誰かが言った… 大粒のいくらがぶどうの実のようになる森 があると…
鍾乳石の先から超濃厚な牛乳がしたたりおちて溜まった泉の淵に極上のバターが出来る洞窟、 牛乳洞 があると…
世はグルメ時代…いくなる味を求めて、探求する時代…
キョウ「さて、群れのボスはどいつだ?」
トロルコングの群れの中からボスを探し出さないといけない。しかし、かなりの数がいるので苦労する。
「ヴオオオ」
「ゴルル」
「バルアアア」
トロルコング達は、俺達から目を離さない。
キョウ(本気で威嚇しても無駄だな……今の俺には、下っ端の臭いが染みついている。中途なく襲ってくるだろうな。戦闘はさけれないか……)
そう思いながらキョウは戦闘態勢に入る。
キョウ「さて、虹の実を捕獲したら皆で前祝をするか」
「「えっ?」」
突然そんな事を言い出したキョウに、2人は驚いた。
キョウ「さて……2人は俺の体に全身全霊でしがみつけ!!少しでも気を抜けば死ぬぞ」
「「は、はい!!」」
そしてアリサとエマは、キョウの背中と肩にしがみつく。
アリサ「ていうか、生きて戻れるのコレ!?」
キョウ「知らん!祈ってろ!!」
そしてキョウにしがみつく2人であった。トロルコングの群れに突っ込んでいく。すると当然攻撃してくる。
「ゴアアアアア!!!!」
キョウ「厄介だな……ノッキング!!」
「ゴアッ!?」
ノッキングして一匹戦闘不能にする。
エマ「キョ、キョウさん!ノッキングって……」
アリサ「それじゃあ、また動き出しちゃうじゃない!!」
キョウ「言っただろ。俺の目的はあくまで《虹の実》だけだ。それに、トロルコング肉は筋っぽくて食えたもんじゃない」
「「……はい?」」
キョウから返ってきた言葉に、2人は素っ頓狂な声を出した。
アリサ「食べれないって……」
キョウ「俺は食う以外で獲物は極力殺さねぇ!!それが俺のルールだ!!!」
「「……」」
その言葉に2人は何も言えなくなった。すると、等々雨が降り出した。
キョウ「雨だ!これで臭いが落ちる!」
「ゴアアアアアアアアアア!!!!!!」
再びトロルコングの群れがキョウ達に襲い掛かる。
エマ「き、来ました!!」
キョウ「ノッキング!!」
次々とトロルコングをノッキングしていく。すると雨でぬかるんだ地面に足をとられる。
キョウ「しまった!?」
体勢を整えようとした瞬間、キョウの右腕が掴まれた。
キョウ「ぐうっ!!」
「「キョウ/さん!?」」
キョウ「トロルコングの握力は1tを軽く超える。仕方ない……正当防衛だ」
そう決めた瞬間、キョウは殺気を籠める。するとそれに気が付いたのか素早く掴んでいた手を離した。
キョウ「やはりな。この雨で下っ端の臭いが消えた。なら、後は簡単だ!!ようし……いいぞ」
トロルコング達は動くことが出来なかった。すると、雷がキョウ達の近くに落ちる。
アリサ「きゃあああ!!」
キョウ「危っぶねェ~!虹の樹に落ちてたら終わりだ!!急いでボスを探さねぇと。さっきの雷で真っ先にビビった奴はどれだ?」
エマ「えっと、ボスは普通一番びっくりしないのが普通なのでは?」
その言葉にキョウは首を横に振る。
キョウ「逆だ。群れのボスで一番必要な能力は、強さ以上に危機管理能力だ。トロルコングに限らず、危険を真っ先に察知する奴がボスの器だ!」
アリサ「……だったら」
するとアリサが丘を指差す。
アリサ「あの白い毛をしたのが、一番初めに逃げてたわ」
エマ「はい。私も見ました」
見ると、群れの中から1頭だけ白い毛のトロルコングがいた。
キョウ「《シルバーバック》!!見つけたぜ……《
エマ「えっと……」
アリサ「何でか知らないけど、急に視界が広がった気がするの」
2人が言う理由。それは、キョウがトロルコングを威嚇しているのでその後ろにいる2人は自然と落ち着いていたのだ。その間にもキョウはゆっくりと虹の樹に近づく。
ボス「カアアアアア」
突然そこにやって来たキョウを食うために、シルバーバックは襲い掛かる。しかし……
キョウ「……」
ボス「……」
『……』
耳を澄ますと聞こえるのは雨の音だけ。キョウの後ろには赤鬼が出ており、シルバーバックの頭を優しく撫でていた。その時トロルコング達はこう思った。『俺達の負け』だと……
エマ「なんて静かな決着なんでしょう」
アリサ「ええ……こんな決着初めて見たわ」
こうしてキョウは無事に虹の実を捕獲し1つだけ持ち帰ったのであった。
キョウ「さて、これからヘイルダムに行って虹の実を実食だ!!お前達も来るか?」
アリサ「いいの?」
キョウ「ああ。皆で食った方が美味いからな。ついでだから、《Ⅶ組》の連中やサラとトワも呼んでやれ」
エマ「フフッ、分かりました」
そしてエマとアリサは、クラスの皆に連絡するのであった。夜になりヘイルダムのとある高級レストラン。表には『本日は貸し切りとなっております』という看板が出されていた。
カチャカチャ…………
キョウ「モグモグ……う~ん♥デリシャス♥久々に食べたな蟹ブタ」
支配人「さ、さようでございますか。蟹ブタのローストを羽衣レタスで巻いたものでございます」
キョウ「美味いもっとくれ!」
支配人(ど……どんどん追加しろ!)
次々と料理が運ばれてくる。それを次々と食べていくキョウ。
『……』
その光景を見たリィン達は、言葉を失ってた。
エリオット「も、物凄い食欲だね……」
リィン「あ、ああ……」
ユーシス「物凄いではすまんだろ……」
アリサ「一体、何十人分食べてるのよ……」
エマ「いえ、何十というより……」
マキアス「何百だろう……」
ガイウス「見事な食べっぷりだ」
ラウラ「うむ、変わらないなキョウは」
フィー「昔より食欲旺盛」
サラ「久々に見たわね。あんだけ食べるのを」
トワ「あ、あははは……」
驚いている光景を見て、トワは苦笑いしていた。その間にもキョウは食べてる手を止めなかった。
キョウ「ング……ング……」
トワ「ってキョウ君!!お酒は駄目だよ!!」
酒を飲んでいたキョウを止めるトワ。
サラ「大丈夫よ。こいつ年齢20歳超えてるから」
『え……えええええええええ!?』
今日一番の驚きがあがった瞬間であった。
アリサ「キョウ!あんた20歳超えてたの!?」
キョウ「ん?ああ、言ってなかったな。俺の年齢は23歳だぞ?」
マキアス「ほ、本当かね!?」
改めて聞いた瞬間、マキアスは驚いていた。
トワ「私より年上だったなんて……」
本人から聞いた事により、トワはブツブツ何かを呟ていた。
サラ「しっかし、相変わらずの酒豪よねあんた」
キョウ「そうか?」
サラ「そうよ。普通アルコール度数40度のブランデーを5本も空けておいてよく言うわよ」
既にテーブルには、カラになったブランデーの瓶が5本置かれていた。
キョウ「そうだ。あとコニャックとチェイサーにビールをくれ」
支配人「か、かしこまりました」
暫く食事をし、ようやく全て食べ終わった。
支配人「そ、それで今日のメニューは全てでございますキサラギ様……」
キョウ「……」
葉巻樹を吸い一服するキョウ。そして一言………
キョウ「……ま、腹二分目ってとこだな」
『あれだけ食べて二分目!?』
流石にサラも言葉を失ったのであった。
キョウ「さて……ここからがメインだ」
すると、部屋中に芳醇で甘い匂いに包まれる。
料理長「お、お待たせしましたキサラギ様……
よだれを垂らしながら出てきた料理長。それと同時にキョウは立ち上がる。そしてよだれを垂らす。
キョウ(この店は―――五つ星と呼ばれるクオリティがある。むしろそれ以上の食材も揃えている。《キャラメル海老》《孔雀うずらの卵》《クリーム松茸》……そして、《白毛シンデレラ牛》に高級ブランデーの《エナジーヘネスィー》……しかし、その全てが引き立て役といってもいい!それ程に格が違う存在感!!)
そして、蓋を開けた瞬間虹があらわれた。
キョウ(おいおい冗談だろ!?果汁が蒸発して虹が出てる!!)
そしてスプーンを手に取る。
キョウ「さあ……いただくぜ」
ひとすくいすると、スプーンに重量感が伝わる。
キョウ(やわらかい……プリンのようだ!だが……重い!まるで金の重量―――!!)
そしてゆっくりと口に運び食べた。
キョウ「……うおっ!?」
食べた瞬間、キョウは驚く。
キョウ(マジかよ!口の中で味が4回も変化したぞ!!完熟マンゴー数百個を凝縮したような糖度!!時折顔を出す酸味はレモンやキウイの比じゃない!!)
そして5回目の味の変化。
キョウ(甘栗のような香ばしさ!!あ、味のデパートかよ!!!)
そして飲み込むと6回目の味の変化が起きたのであった。
キョウ「……」
トワ「キ、キョウ君?」
立ち上がったまま動かないキョウを見て、トワが恐る恐る話しかける。
キョウ「……うめぇ」
『えっ?』
キョウ「デザート……決まりだ。俺の人生のフルコースのデザートは虹の実だ!!」
そしてキョウのデザートのメニューが決まった瞬間だった。
キョウ「支配人!従業員を全員集めろ!!皆で虹の実を食おうぜ!!お前らも食おう!皆で食った方が美味い!!」
『やった~!!』
既に《Ⅶ組》のメンバーもよだれを垂らしていた。女性達はサラを除いて全員がハンカチ等で隠していたが。そしてレストランは宴へと変わったのであった。
キョウの人生のフルコース
オードブル・???
スープ・???
魚料理・???
肉料理・???
メイン・GOD
サラダ・???
デザート・虹の実
ドリンク・ドッハムの湧き酒