誰かが言った…灼熱の太陽にこんがり焼かれ、香ばしいソースが香る焼きそばの砂漠、 焼きそばく があると…あふれ出るチョコの樹液が果実を覆い、とろりと甘いデザートが生る木、 チョコレートフォン樹 があると…世はグルメ時代…いくなる味を求めて、探求する時代…見事にガララワニを討伐したキョウ。それを見てからか、上からキョウ達を落としたサラがやって来た。
サラ「皆お疲れ~♪少し予定外な出来事があったけど、無事に特別オリエンテーリングが終わってよかったわ」
リィン「貴方は…サラ教官」
やって来たサラを見て、キョウを除いた全員がそっちを見る。
サラ「これで入学式の特別オリエンテーリングが終了したんだけど…何よ君達。もっと喜んでもいいんじゃない?」
マキアス「よ、喜べる訳ないでしょう!」
アリサ「正直、疑問と不信感しか湧いてこないんですが…」
サラ「あら?」
返ってきた言葉に、サラは疑問を抱く。
ユーシス「単刀直入に問おう。特科クラス《Ⅶ組》…一体何を目的としているんだ?」
エマ「身分や出身に関係ないというのは、確かに分かりましたけど…」
ラウラ「何故我らが選ばれたのか、結局のところ疑問ではあるな」
それぞれ思うことをサラにぶつける。
サラ「ふむ、そうね。君達が《Ⅶ組》に選ばれたのは色々な理由があるんだけど…一番分かりやすい理由は、その《ARCUS》にあるわ」
その言葉に、全員が入学案内と一緒に送られてきたARCUSを出す。
リィン「この戦術オーブメントに…」
サラ「エプスタイン財団と、ラインフォルト社が共同開発した最新鋭の戦術オーブメント。様々な
アリサ「《戦術リンク》・・・」
エリオット「さっき、皆がそれぞれ繋がっていたような感覚・・・」
先程の出来事を思い出す。
サラ「ええ。例えば、戦場においてそれがもたらす恩恵は絶大よ。どんな状況下でも、お互いの行動を把握できて最大限に連携できる精鋭部隊・・・仮にそんな部隊が存在すれば、あらゆる作戦行動が可能になる。まさに、戦場における“革命”と言ってもいいわね」
ラウラ「ふむ、確かに・・・」
フィー「・・・理想的かも」
その言葉に、ラウラとフィーは同意する。
サラ「でも現時点では、ARCUSは個人的な適正に差があってね。新入生の中で、君達は特に高い適性を示したのよ。それが、身分や出身に関わらずに君達が選ばれた理由でもあるわ」
ガイウス「・・・なるほど」
マキアス「な、なんて偶然だ」
サラの説明に、ガイウスは納得しマキアスは驚いていた。
サラ「さて、トールズ士官学院はこのARCUSの適合者として、君達10名を見出した。でも、やる気のない者や気の進まない者に参加させるほど、予算的な余裕があるわけじゃないわ。それと、本来所属するクラスよりもハードなカリキュラムになるはずよ。それを覚悟してもらった上で《Ⅶ組》に参加するかどうか・・・改めて聞かせてもらいましょうか?」
その言葉にどうするか、それぞれ互いの顔を見ながら考える。そして、一番最初に答えたのは・・・
リィン「リィン・シュバルツァー・・・参加させてもらいます」
その言葉を筆頭に、次々とⅦ組に参加していく。そして残ったのは・・・
サラ「で、あんたはどうするのキョウ?っていうか、話聞いてた?」
キョウ「んだよ。早く調理して食いてぇんだけど・・・美味そうだな~」
サラの言葉を聞いていないキョウ。既に彼の頭の中は、ガララワニをどうやって美味しく調理して食うかのみである。
サラ「全く・・・あんたも参加でいいわね?」
キョウ「ああ。元々そのつもりだしな」
こうしてキョウも参加し、10名全員がⅦ組に参加したのであった。
サラ「それでは、この場をもって特化クラス《Ⅶ組》の発足を宣言する。この一年、ビシバシしごいてあげるから楽しみにしてなさい!」
こうして、トールズ士官学院に特化クラスⅦ組が発足されたのであった。
サラ「因みに、《Ⅶ組》の寮も別にあるから。この紙に場所が書いてあるから」
そう言うと、サラは1枚の紙をリィンに渡す。
サラ「一応掃除とかはしてるから綺麗だけど、食料とかは何もないから帰りに買い出ししておきなさい。
キョウ「ん?」
既に倒したガララワニを担いでいるキョウ。それを見て苦笑いするリィン達であった。
フィー「ねぇキョウ」
キョウ「どしたフィー?」
フィー「ん・・・久々にキョウの料理が食べたい」
その言葉に、キョウは笑みを浮かべて頭を撫でる。
キョウ「そうだな・・・久々に再会したんだ。俺が今日は腕によりをかけて作ってやるよ」
サラ「マジ!?じゃあ今日は私も早めに帰るから、お願いしてもいいかしら♪」
その言葉に、一目散に飛びついたのはサラであった。
キョウ「今回は全員分用意するから心配すんな」
サラ「やった~!お酒に合うおつまみもお願いね」
そしてサラは、ウキウキとしながら旧校舎を出て行ったのであった。
エリオット「えっと・・・」
アリサ「キョウ、貴方そんなに料理が上手なの?」
リィン「だな。サラ教官のあの態度は異常だったぞ」
フィー「キョウの料理を食べたら、多分普通の食事食べれなよ?」
マキアス「そ、それは大げさだろう」
フィーの言葉に、流石に大袈裟と思う一同であった。
ラウラ「いや、そうでもない」
会話に割り込んだのはラウラであった。
エマ「ラウラさん?」
ラウラ「以前キョウが私の父に手合わせを挑んだ時に、そのお礼と言って手料理をご馳走になった事があってな」
アリサ「どうだったの?」
おそるおそる聞く。
ラウラ「・・・父も私も、旅立つキョウを必死に引き止めたな」
その言葉にアリサは驚いた。
キョウ「そう言えばそうだったな。あの時は大変だったな」
ラウラ「仕方あるまい。そなたの作る料理は、この世の物とは思えない程美味なのだからな。3日間くらいは、屋敷の料理人が作った料理が口に合わなかった」
ガイウス「それほどのものなのか?是非味わってみたいものだ」
ガイウスの言葉に、全員が頷いていた。
キョウ「だから振舞ってやるよ。その代わり、町で食材を調達しないとな」
リィン「だったら、俺達が買い出しに行ってくるよ」
エリオット「そうだね。作ってもらうなら、それくらいはしないとね」
キョウ「じゃあ頼むわ」
こうして男子達は買い出しに行き、女子達はキョウと一足先に寮に行き準備をするのであった。寮に向かう道中、町の人達にガララワニを担いで歩くキョウの姿をマジマジと見られており、フィーを除いた女子達は恥ずかしそうに歩いていた。これから住む寮に到着し、早速ガララワニを解体する。当然血とか出るので前もってシートは敷いてます。そして解体も終わり食材を厨房に運ぶと、丁度リィン達が返ってきた。
リィン「ただいま」
キョウ「よう。以外に早かったな」
エリオット「これだけの人数だしね」
ガイウス「食材はこれくらいで足りるだろうか?」
そう言いながら、袋一杯の食材をキョウに見せる。
キョウ「十分だ。じゃあ早速調理に取り掛かる。お前らは悪いけど外で待っててくれるか?」
アリサ「えっ、でも私達も手伝った方が・・・」
フィー「ん、分かった」
ラウラ「ならば、食堂の外で待ってるとしよう。皆も行くぞ」
ラウラとフィーに言われて、残りの連中は渋々出て行った。
キョウ「じゃあ、調理開始だ!!」
調理に取り掛かるキョウ。一方外ではアリサ達がラウラ達に質問していた。
エマ「本当に手伝わないでいいんでしょうか?」
フィー「大丈夫。むしろ手伝った方がキョウの足手まといになる」
エリオット「そうなの?」
その言葉にエリオットが言う。そしてラウラが会話に混ざる。
ラウラ「うむ。以前私の屋敷でご馳走になった時、屋敷の料理人や爺が手伝おうとしたが、その時も今回のように皆を厨房から出していた」
マキアス「や、屋敷の全員をだと!?」
ユーシス「フン…それだけ言うんだ。余程自信があるようだな」
相変わらず上から目線のユーシスであった。すると、食堂からいい匂いが漂って来た。
リィン「ん?この匂いは…」
フィー「まずい」
エマ「何がまずいのフィーちゃん?」
ラウラ「そうだな。皆、ここから気をしっかりと持っていなければ、すぐに意識が飛ぶぞ!!」
アリサ「大袈裟じゃないかしら?」
そう言うアリサだが、すぐにその言葉を撤回したいと思った。徐々にいい匂いに誘われて、皆が食堂の方に歩み寄る。しかし、フィーとラウラが必死に止める。
ラウラ「駄目だ!今その扉を開けてはならぬ!!」
フィー「開けたら、この匂いの食べ物が食べれなくなる」
エリオット「そうなの!?」
その言葉に、扉にかけられかけた手を引いた。そして各々励ましながら待っていると、サラが帰っていた。
サラ「ただいま~!って、やっぱりこうなったわね」
リィン「サラ教官も、ラウラとフィーみたいに平気なんですね」
その言葉にサラは首を横に振る。
サラ「そんな訳ないでしょ!鼻栓してるのよ。こんなことでもしないと、すぐに食堂に飛び込むわよ!」
無駄に自信満々なサラに、リィンは呆れていた。そうこうしていると、料理が出来たのか食堂の扉が開いた。
キョウ「待たせたな!飯できたぞ!!」
そして中に入ると、物凄い数の料理がテーブルの上を占めていた。
リィン「これは…」
エリオット「凄く美味しそうだよ!」
キョウ「席に座れ」
全員が席に座り、今か今かと待ちわびる。
キョウ「美味いか分からんが食べてくれ。この世の全ての食材に感謝を込めて…」
『いただきます!!』
そして各々好きな料理に手を伸ばす。
リィン「美味い!」
エリオット「うん、凄く美味しいね!」
ガイウス「これほどの料理、初めて食べたな」
マキアス「これ、普通に料金を支払っても構わないレベルだぞ」
ユーシス「ウチの料理人等比べ物にならないな…」
以上男子達の感想である。
アリサ「ありえないわ…シャロンよりも美味しいわ」
エマ「私も、こんなに美味しい料理を食べたのは初めてです」
ラウラ「うむ…腕が更に上がったなキョウ」
フィー「はぐはぐ・・・モグモグ」
サラ「プハ~ッ!アンタが用意してくれた《エナミルビール》が合うわ!!」
以上女子&教官の感想である。食べる光景は、貴族でない連中はまるで猛獣のように料理にかぶりついていた。女子達は、多少周りの視線を気にしていたのか、ガッついてはいないがそれでも食べるスピードは普段より早い。こうして、キョウの料理は好評に終わり、寮の食事はキョウがたまに作る事になったのはお約束である