軌跡の世界は、美食時代?   作:シャト6

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2話

誰かが言った…濃厚で口どけまろやかなバニラやミント、チョコアイスの山が連なる アイスクリームの山脈 があると…

かつ丼、天丼、牛丼とほくほくの美味なるどんぶりものがなる どんぶりの実 があると。世はグルメ時代…いくなる味を求めて、探求する時代…Ⅶ組のオリエンテーリングが始まっていたが、全員未だに戸惑っておりそこから動いていなかった。

 

「え、えっと・・・」

 

「・・・どうやら、冗談という訳でもなさそうね」

 

「フン・・・」

 

そんな話をしてると、金髪の男が1人で出発しようとする。それを眼鏡をかけた男が止める。

 

「ま、待ちたまえ!いきなりどこへ・・・1人で勝手に行くつもりか?」

 

「馴れ合うつもりはない」

 

男の言葉にバッサリと言う。

 

「それとも“貴族風情”と連れ立って歩きたいのか?」

 

「ぐっ・・・」

 

その言葉に、黙ってしまった。

 

「まあ、魔獣が恐いのであれば同行を認めなくもないがな。武を尊ぶ帝国貴族として、それなりに剣は使えるつもりだ。貴族の義務(ノブレス=オブリージュ)として、力なき民草を保護してやろう」

 

物凄く挑発する言葉を平然と言う男。当然それを聞いた眼鏡をかけた男は黙っているはずもなく・・・

 

「だ、誰が貴族ごときの助けを借りるものか!!」

 

そう言うと、扉の前まで移動する。

 

「もういい!だったら先に行くまでだ!!旧態依然とした貴族などより、上であることを証明してやる!」

 

そう言い放ち、男は先に行ってしまった

 

「・・・フン」

 

その後を追いかけるように、金髪の男も行ってしまった。

 

「・・・えっと」

 

「ど、どうしましょう」

 

「とにかく、我々も動くしかあるまい」

 

キョウ「くだらねぇな」

 

そう言いながら、キョウも1人で出発しようとする。

 

「ちょ、ちょっと待ってよ!?君も1人で行くの!?」

 

キョウ「そうだが?別に、ここにいる魔獣や猛獣相手に負けやしないさ。それに、既にフィーの奴も行ってるぞ?」

 

見ると、フィーが既にこの部屋にいないことにようやく気がついた一同であった。

 

キョウ「じゃあな。1階で会おうぜ♪」

 

笑みを浮かべてその場を後にしたキョウであった。1人で悠々と進んでいると、魔獣に出会う。

 

キョウ「あれは・・・飛び猫じゃね~か。あいつは食えないからな~」

 

そんな事を言ってると、こちらに気が付いたのか飛び猫がキョウに襲い掛かる。

 

飛び猫「ニャアアアアアア!!」

 

キョウ「食わない奴は極力襲わない主義なんだがな」

 

そう言うと、懐から何かを取り出す。

 

キョウ「ノッキングガンだ。悪いが少し大人しくしててくれ」

 

そして飛び猫をノッキングして動かなくした。

 

キョウ「じゃあな」

 

そしてその場を後にした。そこからまた暫く歩いてると、今度は猛獣が現れた。

 

キョウ「こいつは《ルビークラブ》じゃねぇか!?なんでこんな所に!?」

 

滅多にお目にかかれないので、捕獲レベルが高い食材である。捕獲レベルは46である。当然そんな高級食材を見れば、キョウの行動は決まっている。

 

キョウ「丁度腹も減ったし、ここいらで飯にするか。この世の全ての食材に感謝を込めて、いただきます!」

 

そして食事を始めるのであった。

 

キョウ「うめ~!!さすがはルビークラブ。この身のプリプリ感・・・たまんねぇ!」

 

既にキョウの横には、中身が無くなったルビークラブの殻が積まれていた。すると、後ろから誰かがやって来た。

 

「む、そなたは」

 

キョウ「ん?さっき会ったな」

 

「そうだ。改めて、あの時の礼を言わせてほしい」

 

キョウ「気にすんな♪それより、お前らも食うか?美味いぞルビークラブ」

 

笑顔で女子達にそう言うキョウであった。

 

「えっと・・・」

 

「と、取り敢えずいただきましょうか」

 

そして女子達も、キョウと一緒にルビークラブを食べるのであった。食べ終わり一息つく。

 

キョウ「く~!美味かった!!」

 

「ホント、初めて食べたわ」

 

「はい。物凄く美味しかったです」

 

それぞれが感想を言ってると、青髪の女性が話す。

 

「そういえば、そなたの名前を聞いてなかったな」

 

「そういえばそうね」

 

「でしたら、ここで自己紹介をしませんか?」

 

眼鏡をかけた女子がそう提案する。

 

「いいわね」

 

「なら、遅ればせながら名乗らせてもらおう。ラウラ・S・アルゼイド。レグラムの出身だ。以後、よろしく頼む」

 

キョウ「アルゼイド・・・もしかして、ヴィクターのおっさんの娘か?」

 

ラウラ「父を知っているのか?」

 

その言葉に、ラウラはキョウに聞く。

 

「っていうか、ヴィクターというと《光の剣匠》って言われている人物じゃない!それをおっさんって……」

 

「あ、あはは・・・」

 

金髪の女子はそう言い、眼鏡をかけた女子は苦笑いをしていた。

 

ラウラ「父をそのように呼ぶ輩は初めてだな」

 

「でしょうね」

 

キョウ「いや、昔旅してた時にレグラムにも寄ってな。一度手合わせしたっけ」

 

『!?』

 

その言葉に3人は驚く。

 

「そ、それってホントなの!?」

 

キョウ「ああ、結構前だが手合わせしてもらったな」

 

その言葉に、ラウラはある事を思い出す。

 

ラウラ「まさか・・・!?」

 

「ラ、ラウラさん?」

 

ラウラ「キョウ・・・なのか?」

 

その言葉に、ラウラ以外の女子2人も反応する。

 

キョウ「ん?俺の名前を知ってるのか?何処かで会ったか?」

 

ラウラ「ああ。父と手合わせしている時に、一緒に稽古場にいたのだが・・・」

 

キョウ「稽古場に・・・」

 

そう言われて、その時の事を思い出すキョウ。

 

キョウ「・・・ああ!!あの時、爺さんの横にいた奴か!!」

 

ラウラ「その通りだ」

 

キョウ「そっか~!久々だな。あの時は、お前の名前は聞いてなかったからな」

 

ラウラ「フフッ、確かにそうだったな」

 

ようやく思い出し、2人は笑っていた。

 

「あの~・・・」

 

「そろそろ私達にも自己紹介させてほしいんだけど」

 

キョウ「おっと悪かったな」

 

そして残りの2人も自己紹介する。

 

「私はエマです。エマ・ミルスティン。私も辺境出身で……奨学金頼りで入学しました」

 

「アリサ・Rよ」

 

2人の自己紹介に、今度はキョウが反応する。

 

キョウ「エマにアリサ……何処かで聞いた名前だな」

 

エマ「そうですか?」

 

キョウ「ああ。どこだったかな・・・」

 

再び昔の記憶を思い出すキョウ。

 

キョウ「・・・思い出した!!エマ、お前の知り合いにヴィータって奴いなかったか?」

 

エマ「!?」

 

出てきた名前に驚くエマ。

 

エマ「た、確かにヴィータという名前は知っていますが・・・」

 

キョウ「そうか!お前があいつの言ってた妹か。よくお前の事を聞かされてたぜ」

 

突然の事実に、エマは動揺が隠せなかった。

 

エマ「それで・・・姉さんは今何処に?」

 

キョウ「悪いな。俺も会ったのはかなり前だ。今何処にいるかは分からねぇ」

 

エマ「そう・・・ですか」

 

残念そうな表情になるエマ。そのエマの頭を撫でるキョウ。

 

キョウ「何かあったかは知らないが、いずれ会えるさ。心配しなくても」

 

エマ「・・・はい!」

 

その言葉に笑顔で答えるエマであった。

 

アリサ「さて、そろそろ行きましょうか」

 

エマ「そうですね」

 

ラウラ「それで、キョウはどうする?」

 

キョウ「なら、俺も一緒させてもらうかな」

 

こうして、キョウはラウラ達と一緒に1階に向かうのであった。進みながら、途中で出会った魔獣達を倒しながら進んでいくと、扉の前にたどり着いた。

 

アリサ「どうやら、ここが終点みたいね」

 

ラウラ「うむ。向こうから微かに風を感じる」

 

エマ「他の方達はまだ来ていないみたいですね」

 

キョウ「だな」

 

中に入り確認するが、キョウ達以外誰も来ていない。

 

アリサ「じゃあ先に行きましょう」

 

エマ「そうですね」

 

5人は最初にいた旧校舎1階へと向かおうとする。

 

キョウ「・・・!?動くな!!」

 

『!?』

 

キョウが叫びラウラ達は立ち止まる。すると、目の前に何かが現れる。

 

アリサ「こ、これって・・・!!」

 

ラウラ「先程まで、あそこに座っていた石造か」

 

エマ「古の伝承による石の守護者(ガーゴイル)です!」

 

ガーゴイルは、階段の前に立ち塞がる。

 

キョウ「邪魔だな」

 

ラウラ「どうやら、この魔獣(ガーゴイル)を倒さないといけないようだな」

 

アリサ「ほ、本当に戦うの!?私達だけで!」

 

エマ「ですが、他に方法はありません!」

 

アリサ「もう・・・分かったわよ!!」

 

エマの言葉で腹をくくったアリサであった。

 

キョウ「来るぞ!!」

 

そして戦闘を開始する。

 

ラウラ「ゆくぞ!!」

 

アリサ「くらいなさい!!」

 

アリサが矢でガーゴイルを牽制し、ラウラが大剣で攻撃する。

 

エマ「回復は任せて下さい!」

 

すかさずエマがアリサとラウラを回復する。

 

キョウ「フライパンチ!」

 

そしてキョウがガーゴイルの顔面を殴る。すると、ガーゴイルが動かなくなる。

 

ラウラ「やったか?」

 

アリサ「どうかしら?」

 

ゆっくりと動かなくなったガーゴイルに近づく。

 

キョウ「!!まだだ!!」

 

その言葉に反応し、すぐに2人は離れた。すると、ガーゴイルは復活する。

 

アリサ「嘘でしょ!?」

 

エマ「力を取り戻しています!」

 

キョウ「厄介だな」

 

そう思っていると、後ろから声が聞こえた。

 

「下がるんだ!!」

 

そしてガーゴイル目掛けて銃弾が命中する。そこから次々と攻撃が加えられる。

 

ガイウス「なんとか間に合ったみたいだな」

 

アリサ「あ、貴方達は・・・」

 

エリオット「遅くなってごめんね」

 

ラウラ「どうやら追いついたようだな」

 

やって来たのは、出発付近であった男子達だ。

 

マキアス「どうやら無事みたいだな」

 

エマ「あ、ありがとうございます」

 

リィン「石の守護者(ガーゴイル)・・・暗黒時代の魔導の産物か。どうやら、物凄く硬いみたいだな」

 

キョウ「ああ。しかもダメージを与えても再生されるんだよ。けど、これだけの人数がいれば、勝機はある!!」

 

「まあ、仕方ないか」

 

するとまた後ろから声が聞こえた。

 

キョウ「遅いぞフィー」

 

フィー「キョウが早いだけ・・・」

 

ユーシス「どうやら間に合ったみたいだな」

 

マキアス「君は・・・」

 

やって来たユーシスを見て反応するマキアス。

 

キョウ「いくぞフィー!!」

 

フィー「了解(ヤー)

 

2人は、素早くガーゴイルに突っ込む。

 

フィー「やぁ」

 

キョウ「てやぁ!」

 

両足を攻撃し、体勢を崩す。

 

リィン「今だ!!」

 

そう言った瞬間、全員の体が光に包まれる。それぞれ攻撃をしガーゴイルを弱らせる。

 

リィン「とどめだ!!」

 

その言葉に、ラウラとキョウが攻撃する。

 

「「はあああああああ!!!!!」」

 

そして無事にガーゴイルの首を吹き飛ばして勝利した。

 

エリオット「や、やった!!」

 

アリサ「勝ったわ!」

 

ガイウス「何とかなったみたいだな」

 

それぞれ感想を言う。しかしそれもすぐに終わる。

 

『グロロロロロロロ!!!!!!!』

 

『!?』

 

突然巨大なワニが現れた。

 

エリオット「え、ええっ!!」

 

アリサ「ななな、なんなのよこれ!!」

 

ガイウス「て、帝国にはこんなモノまでいるのか!?」

 

マキアス「そんな訳ないだろう!!」

 

ガイウスの言葉に、マキアスは思わずツッコミをしてしまった。

 

キョウ「こいつは・・・《ガララワニ》!!」

 

『ガララワニ!?』

 

キョウが言った言葉に、全員が驚く。

 

リィン「ガララワニって、ジャングルや森の奥に生息してるはずだろ!?」

 

ラウラ「うむ。父がたまにレグラムに紛れ込んだのを倒したのは見たことがあるが・・・」

 

キョウ「おそらくそいつは、年齢が150歳程度だ。本来ならそれくらいが普通だが、こいつのデカさは異常じゃねぇ。どうやら子供の時に紛れ込んで、それいらいずっとここで生きてたみたいだな。年齢はざっと300ってとこか」

 

エリオット「さ、300!?」

 

ユーシス「150ですら、滅多に見る事ができないんだぞ!」

 

その言葉に、更に驚く表情になる。

 

キョウ「けど、その分旨味が濃縮されてる筈だ。美味そ~!」

 

涎をダラダラ流しながらそう言う。

 

アリサ「この状況で、よくそんな事が言えるわね」

 

エマ「あ、あはは・・・」

 

キョウの事を見ながら、アリサは呆れておりエマは苦笑いしていた。

 

キョウ「なら、早速捕獲するか」

 

するとキョウは、手を交互に擦り合わせる。そこから金属音が響く。

 

マキアス「手から金属音だと!?」

 

キョウ「・・・ナイフ!!」

 

そう叫ぶと、ガララワニの鱗が数枚剥がれる。

 

リィン「鱗が剥がれた!?」

 

ガイウス「凄まじいな」

 

『グアアアアアアアア!!!!!!!』

 

鱗を剥がされて、ガララワニは怒りキョウに襲い掛かる。

 

エリオット「うわわわ!!」

 

ラウラ「キョウ!!」

 

エリオットはびっくりして腰を抜かし、ラウラは大剣を持って駆け寄ろうとする。しかしそれをフィーが止める。

 

フィー「心配ない」

 

ラウラ「何故だ!そなたは心配ではないのか!!」

 

ラウラの言う事は尤もである。しかし、フィーはキョウの実力を知っている。

 

フィー「キョウは、あの程度じゃ負けない」

 

『えっ』

 

その言葉に、全員がフィーの方を見た。

 

マキアス「ど、どう言う事だ」

 

フィー「見てれば分かるよ。そろそろ終わりそうだし」

 

その言葉に再び全員がキョウを見た。

 

キョウ「悪いが、もう終わらせてもらうぞ」

 

そう言うと、キョウは手を合わせる。

 

キョウ「この世の全ての食材に感謝を込めて・・・いただきます!」

 

『グロロロロロロ!!!!!』

 

キョウ「フォーク!!」

 

『ガアアアアアアア!!!』

 

キョウ「ナイフ!!!」

 

するとガララワニは、見事に真っ二つに切れたのであった。

 

キョウ「・・・ご馳走様でした」

 

そして見事にガララワニを捕獲したのであった。その光景に、フィー以外の全員が言葉を失っていた。


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