軌跡の世界は、美食時代?   作:シャト6

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17話

誰かが言った…つるつるしこしこの歯ごたえでこの上ないほど上品な香りを放つ絶品の蕎麦が葉っぱのように生える柳の木、 蕎麦柳 があると…

水気を帯びると濃厚で深い味が染み出てふんわりとした食感、柔らかい喉越しの最高の味わいとなる豆腐が果てしなく広がる荒野、 荒野豆腐 があると…

世はグルメ時代。いくなる味を求めて、探求する時代…

サソリゴキブリの巣を抜けて、更に奥に進んでいくキョウ達。フグ鯨が産卵に来る砂浜はまだ先である。

 

アンゼリカ「だんだん勾配がキツくなってきたね。大丈夫かいトワ?」

 

トワ「うん。大丈夫だよアンちゃん」

 

キョウ「無理はすんなよ」

 

サラ「キョウ、ここから100mくらい真下に大きな穴が広がってるわ」

 

サラが穴の中を覗きながら説明する。

 

トワ「こ、ここを下りるの!?」

 

キョウ「しゃあない、ロープで下降するしかないな。長さ足りるか?トワ、俺にしがみつけ」

 

そう言いながら、キョウは壁の出っ張りにロープを結びつける。

 

トワ「ええっ!こんな細いロープで大丈夫なの!?」

 

キョウ「安心しろ。炭素繊維を配合したワイヤーロープだ。100人ぶら下がっても切れねぇよ」

 

トワ「で、でも…」

 

キョウがそう言うが、やはり不安になるトワ。

 

サラ「安心なさい。このロープはIGOが開発した物だし、既に色んな国が使ってるわ。そして、未だにロープが切れて事故が起きたって聞かないしね」

 

キョウ「大丈夫だ。何かあれば守ってやるからよ」

 

トワ「う、うん…」

 

そしてトワはキョウの背中に抱きつく。

 

アンゼリカ「くっ!キョウ、なんと羨ましい!!願わくば、私が代わってほしいくらいだ!しかし、流石の私もトワをおぶりながら降りれる自信がない。なので!今回は諦めよう!!」

 

キョウ「何言ってんだ?お前…」

 

トワ「アンちゃん…」

 

サラ「相変わらずね」

 

アンゼリカの言葉に、呆れる3人であった。そして4人はロープをつたって下に降りていく。すると、途中で辺りに明かりが浮かび上がる。

 

トワ「あっ!見て見てキョウ君!蛍がいるよ!!」

 

キョウ「ああ、“海蛍”だな。多分海から洞窟内に紛れ込んだんだろ」

 

トワ「綺麗…」

 

アンゼリカ「そうだね。これは本当に美しい」

 

幻想的な光景に、トワとアンゼリカは感動していた。

 

サラ「ん?」

 

すると、先頭にいるサラが何かに気がついた。

 

サラ「これは…キョウ!“アゲハコウモリ”よ!一気に下まで降りるわよ!!」

 

キョウ「ああ。今一匹捕まえたとこだ。ムシャムシャ…」

 

既にキョウは、飛んできたアゲハコウモリを食っていた。

 

トワ「た、食べてる!?」

 

アンゼリカ「それ以前に食べれるのかい!?」

 

そのまま食べてるキョウを見て、2人は驚いていた。そして一番下まで降り、背負ってたトワも降ろす。すると、奥からアゲハコウモリが群れで襲いかかってきた。

 

トワ「あわわわっ!!」

 

キョウ「フン…いい度胸だコウモリども」

 

するとキョウは、手を合わせてお決まりの台詞を言う。

 

キョウ「いただきます」

 

そう言うと、飛んできたコウモリを数匹食べ始めた。

 

キョウ「うん!うまい!」

 

トワ「……」

 

そのままアゲハコウモリを生で食べるキョウを見て、トワは言葉を失ったのだった。

 

アンゼリカ「キョウ…それ生で食べれるのかい?」

 

キョウ「ん?ああ。こいつの羽に付着してる鱗粉はスパイシーな味で、香辛料として使われてるぞ」

 

アンゼリカ「そ、そうかい…」

 

キョウ「しかし…流石に数が多いな」

 

サラ「そうね」

 

そう言うと、サラはブレードと導力銃を取り出し、キョウは手に毒を溜める。

 

サラ「電光石火!!」

 

キョウ「ポイズンドレッシング!!」

 

そして全てのアゲハコウモリを退治した。

 

サラ「やれやれね」

 

そう言いながら武器をしまうサラ。

 

サラ「それにしても、私とかはともかくアンタにも襲い掛かるなんてね」

 

キョウ「いや、襲いかかってきたってより、何かから逃げてきたって感じだな」

 

サラ「何かから?…まさか!?」

 

「ロ"ロ"ロ"ロ"ロ"ロ"ロ"ロ"」

 

すると、コウモリ達がやって来た方から出てきたのは…

 

「「デ…デビル大蛇!!」」

 

この洞窟最大の難関、デビル大蛇だった。

 

アンゼリカ「ん?トワ?」

 

先程まで横にいた筈のトワの姿が見えない。

 

アンゼリカ「キョウ!トワの姿が見えないんだ!!」

 

キョウ「なんだと!?」

 

サラ「嘘でしょ!?」

 

アンゼリカの言葉に、キョウとサラは驚く。

 

キョウ「くそっ!急いでトワを探しにいかねぇと…」

 

サラ「…キョウ。アンタはトワを探しに行きなさい。ここは私が何とかするわ」

 

キョウ「んだと!?」

 

サラの言葉に、キョウは驚く。いくらサラが遊撃士A級でも、1人でデビル大蛇を相手にするのは難しい。

 

キョウ「バカ言え!いくらなんでもお前1人じゃ、デビル大蛇の相手は危険だ!!」

 

アンゼリカ「安心したまえ。私も残ろう」

 

すると、サラの横にアンゼリカが立つ。

 

キョウ「アン…」

 

アンゼリカ「流石に、この猛獣相手にサラ教官1人では難しいが、2人ならどうかな?」

 

キョウ「……」

 

その提案に、キョウは黙る。

 

サラ「安心なさい。アンタとの約束を果たすまで死ぬつもりはないわ。それに、死相が見えてるわけじゃないんでしょ?」

 

その言葉にキョウはハッとする。確かに、キョウ達4人には誰も死相は出ていない。

 

キョウ「分かった。死ぬなよ」

 

サラ「もちろんよ!」

 

アンゼリカ「まだまだ出会っていない、可愛い子猫ちゃん達を見なければならないしね。ここで死ぬつもりはないよ」

 

キョウ「なら、ここは任せたぞ!!」

 

そしてキョウはトワを探しに走っていった。

 

サラ「さて…デビル大蛇、捕獲レベル21ね。いけるかしら?アンゼリカ」

 

アンゼリカ「もちろん…と言いたいところですが、私が戦ったことがあるのは、精々捕獲レベル10ですね」

 

サラ「あらそう。けど、だから無理ってそんな甘い事言える状況じゃないわよ?」

 

アンゼリカ「当然!引くつもりはありませんよサラ教官」

 

アンゼリカは拳に武器を付け構える。

 

サラ「いいわね♪それじゃあ…行くわよ!!」

 

そして、サラとアンゼリカvsデビル大蛇の戦いが始まったのだった。


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