軌跡の世界は、美食時代?   作:シャト6

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第二章
15話


初めての特別実習が終わったが、それ以外はごく普通に学院生活を送っているリィン達。しかし、その中でも驚きの出来事はあった。まず、キョウがあのIGOの上層部と繋がりがあったこと。ケルディックでの領邦軍に請求した5000万ミラが、後日キョウ宛に現金で届けられ、リィン達と1人辺り1000万ミラを手渡しで渡したこと。それを見たⅦ組のメンバーは驚いており(流石に、四大名門のユーシスは驚いてはいなかったが)、マキアスに限っては、口を魚のようにパクパクさせていたのだった。その後、トワにも話が行き、驚いていたのは言うまでもなかった。そして、今日も学院で学業に励んでいた。

 

ナイトハルト「―――変化をもたらした代表的なものは4つある。まずは導力銃、導力砲に代表される『導力兵器』の発明だ。それ以前にも火薬式のものはあったが、生産性、命中精度、整備性の面で導力式のものに取って代わられた。2つ目―――それと関連する『軍の機甲化』だ。戦車や装甲車に代表される、導力車両で構成された《機甲師団》……高い機動力、攻撃力、防御力と三拍子揃ったこの戦術単位は、正に戦場に“革命”をもたらした」

 

ナイトハルトが、Ⅶ組で授業を行っており皆真剣に聞いていた。…1人を除いて。

 

キョウ「Zzz…」

 

『……』

 

思いっきり夢の中のキョウに、リィン達は呆れていた。ナイトハルトも、最初は叩き起こしたりしていたのだが、質の悪い事にキョウは寝起きが悪い。それで一度、サラが起こした時に思いっきり吹き飛ばされたのだ。それ以降、寝てるキョウに誰も近寄らなくなったのだ。教官達でさえ…

 

ナイトハルト「……3つ目は『飛行船』。飛翔機関による重力制御によって空を翔ける艦艇の発明だ。それは空中をも視野に入れた立体的な戦術・戦略を可能にした。―――そして4つ目。導力技術の進歩によって、戦場に大きな革命をもたらした新たな分野が存在する」

 

キョウ「ふあぁぁ…」

 

すると、キョウが目を覚ました。

 

ナイトハルト「…起きたかキョウ・キサラギ。ならば、この問題を答えてみろ」

 

キョウは寝起きながら、黒板に書かれてる事を見て理解した。

 

キョウ「ああ…『導力通信』ですね」

 

ナイトハルト「…正解だ。答えは『導力通信』―――導力波を使った無線通信技術だ。これによって、指揮官は戦場において正確な情報を得ることが可能になり、的確に部隊を動かせるようになった。最も、通信傍受や通信妨害等対抗技術も生み出されたのだが…。後、出来れば寝るな」

 

キョウ「努力します」

 

そしてナイトハルトの授業は終わった。次は男女別れての授業だ。女子は料理、男子は導力端末入門の授業である。

 

リィン「導力端末…何とかコツは掴めてきたな」

 

ガイウス「ああ…最初はどういうものか、まるで見当も付かなかったが」

 

エリオット「う~ん、帝国(エレボニア)でも最先端の技術みたいだからね。でも、マキアスとユーシスはすぐに操作を覚えたみたいだね?」

 

キョウ「ま、あいつらはそうだろうな。俺の方は、ウチで使ってるものより古いから、逆に覚えなくてもって感じだな」

 

キョウ達は、リィンがいる場所で導力端末について話していた。

 

リィン「けど、キョウのお陰で導力端末に困らなくて済みそうだ」

 

ガイウス「ああ、分かりやすくて助かる」

 

キョウ「これくらいならお安いご用だ」

 

リィン「そう言えば、先月のB班の実習じゃ相当酷くやり合ったんだって?」

 

リィンは、先月の特別実習についてガイウスに聞いた。

 

ガイウス「ああ…危うく殴り合いになる所だった。何とか止めたが、サラ教官が来なかったら危なかっただろう」

 

キョウ「アイツが行って止まったか。一応教官の仕事してんだな」

 

その言葉に、リィン達は苦笑いしていた。

 

エリオット「はぁ…どうしたもんだろうね」

 

キョウ「さぁな。こればかりは本人達の問題だ。ま、同じ班になって鬱陶しかったら黙らすけどな」

 

その言葉に、3人は冷や汗を流すのであった。そして放課後になり、サラから自由行動日の事を言われHRは終了した。その時、マキアスがリィンに対しての態度が変わった事を嘆く。

 

キョウ「くだらねぇな」

 

リィン「まぁそう言わないでくれ。俺がはっきり言えば済んでた話なんだ」

 

キョウ「お前がそう言うならいいけど、明らかに態度を出すのはどうかと思うがな」

 

そしてキョウは教室から出ていった。

 

キョウ「さて…待ちに待ったフグ鯨の捕獲だな。明日は」

 

そう、明日の自由行動日にキョウは、以前から楽しみにしてたフグ鯨を捕獲に行くのだった。既にサラやヴァンダイクにも伝えてある。

 

リィン「さて、明日の準備ができてるし、今日は戻るか」

 

そして校舎を後にした。翌日、朝早くからキョウの姿があった。腹ごしらえの為、宿屋で朝食を食べている。すると、トワが紫の短髪の女子とやって来た。

 

トワ「おはようキョウ君」

 

キョウ「む?モグモグ…ゴクン。おおトワ、おはよう」

 

食べてた物を飲み込み、挨拶する。

 

トワ「こんな朝早くに起きてたんだ」

 

キョウ「ああ。今日はフグ鯨を捕獲しに行くんだよ」

 

「フグ鯨だって!?」

 

隣にいた女子が叫ぶ。

 

キョウ「ん?あんたは?」

 

「ああ、申し遅れた。私はトワの一番の親友の《アンゼリカ・ログナー》だ」

 

キョウ「ログナー?もしかして、ログナーのおっさんの…」

 

アンゼリカ「ああ、一人娘だ」

 

キョウ「へ~…あのおっさんに、こんな娘がいたとはな」

 

アンゼリカを皆がらそう言うキョウ。

 

アンゼリカ「フフ、まさか父上をそんな風に言うとはね。私こそ、有名な美食屋である君に会えるとはね」

 

キョウ「そうか?ま、トワの親友ならよろしくな。アンゼリカ」

 

アンゼリカ「ああ」

 

お互い握手をする。

 

キョウ「悪いが、俺は敬語が苦手でな」

 

アンゼリカ「気にすることはない。それに、学年は上でも君の方が歳上なんだ。それと、私の事はアンと呼んでくれ」

 

キョウ「分かった。アンも気軽にキョウと呼んでくれ」

 

アン「フフ、ならキョウと呼ばせてもらおうか」

 

すると、アンゼリカは真剣な顔でキョウを見る。

 

アンゼリカ「キョウ…私とトワも、そのフグ鯨捕獲に同行していいだろうか?」

 

トワ「ア、アンちゃん!?」

 

その言葉にトワは驚く。

 

キョウ「…何でだ?」

 

アンゼリカ「なに、美食屋の仕事に興味があるのだよ」

 

キョウ「興味ねぇ…確かに美食屋の仕事は、一般人からしたら興味あるわな」

 

アンゼリカ「そうだろ?」

 

キョウ「別に来るのはいいが、腕の方はどうなんだ?行って死なれちゃ気分が悪い」

 

その言葉に、トワはオドオドする。

 

「なら、私も連れていきなさい」

 

すると、サラがキョウ達の前にやって来た。

 

トワ「サラ教官」

 

アンゼリカ「これはこれは」

 

キョウ「珍しいな。お前がこんな時間に起きてるなんて。こりゃ、10年に1度来るフグ鯨より貴重かもな」

 

笑いながら、サラに向かってそう言うキョウ。

 

サラ「煩いわね!フグ鯨捕獲に行くんでしょ。フグ鯨のヒレ酒飲みたいのよ♪」

 

『やっぱり酒か』と思った3人であった。

 

キョウ「まぁいい。思い立ったが吉日。それ以外は全て凶日だ。行くぞ!」

 

そして3人は、フグ鯨が産卵に訪れる洞窟に向かったのだった。




少し設定&ヒロインアンケートを更新しましたので、報告します。

後、キョウの特典2つのアンケート、どしどし書いてください。お待ちしてますw

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