軌跡の世界は、美食時代?   作:シャト6

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12話

キョウ達は、犯人がいるであろう《ルナリア自然公園》に到着した。

 

キョウ「ここが《ルナリア自然公園》か」

 

リィン「そうみたいだな」

 

周りを見回していると、アリサが何かを見つけた。

 

アリサ「これ……」

 

エリオット「ブレスレット…だね」

 

ラウラ「アリサ、この腕輪がどうかしたのか?」

 

落ちてた腕輪を見てるアリサに、気になったラウラ達が話しかける。

 

アリサ「これ、あの帝都の商人が扱ってたのと同じデザインよ」

 

エリオット「ホ、ホント?」

 

リィン「分かるのか?」

 

アリサ「ええ。同じデザインが手掛けた物に違いないわね。ラウラもそう思わない?」

 

アリサは、同じ女子であるラウラに話しかける。

 

ラウラ「最近の流行には疎いが・・・うん、確かに装身具としてのデザインは共通性はあるようだ」

 

キョウ「そんなモンが、こんな場所に転がってるって事はだ……」

 

全員がルナリア自然公園の方を見る。

 

リィン「“犯人達”がこの中に潜んでいる可能性は高そうだな」

 

アリサ「ええ……」

 

するとラウラが門に近づく。

 

ラウラ「…この南京錠は、内側から掛けたというわけか。ならば―――」

 

少し下がり、自分の武器である大剣を取り出した。

 

エリオット「こ、壊すの…」

 

アリサ「大丈夫なの?」

 

ラウラ「ああ、かなり頑丈そうだが、私の剣ならば何とか」

 

リィン「いや…俺がやろう。その大剣よりも静かにできるはずだ」

 

キョウ(ほう…八葉一刀。生で見たことはないが、いい機会だ。どんなモノか見せてもらおうか)

 

ラウラは自分の武器をしまい、リィンは自分の武器である刀を取り出す。

 

リィン「―――八葉一刀流。四の型、《紅葉切り》」

 

キョウ(あの構えは…居合い切りか)

 

すると、南京錠は切れ音もなく地面に落ちたのだった。

 

アリサ「ええっ!?」

 

エリオット「凄い…!真っ二つだ…!!」

 

リィン「ふぅ…上手くいったみたいだな」

 

ラウラ「見事!八葉の妙技、この目でしかと見届けさせてもらった」

 

キョウ「へぇ…ああ言ってた割りには、大したものだな」

 

それぞれが、リィンの技を誉める。

 

リィン「はは…初伝クラスの技だけどね。…時間もない。犯人達の追跡を始めよう」

 

『おお(うむ)(ええ)(うん)!!』

 

そしてリィン達は、自然公園の奥へと進んでいった。公園内は木で覆われており、昼間でも薄暗かった。

 

エリオット「ず、随分暗いね」

 

アリサ「そ、そうね」

 

キョウ「あのさ……」

 

ビクビクしてる2人に、キョウが話しかける。

 

キョウ「ビビるなとは言わんが、俺の服を掴むなよ!

 

アリサ「だって…」

 

キョウ「いや、アリサはいいとして…エリオット!!お前は男だろうが!!!」

 

リィン「あはは…」

 

その光景を見て、リィンは苦笑いするのだった。

 

キョウ「ったく……ん?」

 

するとキョウは、何かに気づく。

 

ラウラ「どうしたキョウ?」

 

キョウ「いや、どうやらこの公園の終点に犯人はいるみたいだ」

 

『えっ!?』

 

アリサ「わ、分かるの?」

 

キョウ「ああ。少し集中すれば、奥から話し声が聞こえてきやがる」

 

エリオット「は、話し声?」

 

キョウの言葉に、全員が耳をすませる。

 

ラウラ「…何も聞こえぬぞ?」

 

アリサ「本当に聞こえたの?」

 

キョウ「本当だ。言っとくが、俺の聴覚は数十キロ先のコインの音も聞き取れる」

 

『す、数十キロ!!?』

 

キョウの言葉に、4人は驚いている。

 

キョウ「ああ。少しだけ集中すればだがな」

 

アリサ「いや、集中しただけでそんなに聴覚よくならないから」

 

アリサの言葉に、キョウを除く3人は頷いていた。

 

キョウ「ま、だろうな。他にも、嗅覚とかも同じだがな」

 

ラウラ「つくづく驚かされるな。キョウには」

 

ラウラも少しだけ呆れていた。そして公園の一番奥に進むと、人の気配と話し声が聞こえてきた。

 

ラウラ「いたか…」

 

奥には、この公園の管理員の服を着た4人がいた。

 

「へへっ…何気にいい稼ぎになったな」

 

「これでも連中が陳情を取り下げなけりゃ、もうちょい稼げるってことか」

 

「ま、程々にしとけ。報酬だって用意されてるんだ。普段の稼ぎからしたら十分だろ」

 

男連中は、奪った品物の前でそんな話をしている。

 

「しっかしあいつら、一体何者なんだろうな?領邦軍の兵士にも顔が利いてるみてぇだし」

 

「さてな…何を考えてるのか、さっぱり判らん男だったからな」

 

エリオット「どうするの?」

 

リィン「そうだな」

 

キョウ「俺が隙を作る」

 

『!!』

 

キョウの言葉に、4人は振り向く。

 

アリサ「けどどうやって?」

 

キョウ「俺がここから声を飛ばす。その隙にお前らは連中を囲め」

 

エリオット「ええっ!?」

 

アリサ「こ、声を飛ばす?」

 

ラウラ「ふむ…」

 

リィン「……出来るんだな?」

 

『!?』

 

リィンの言葉に、キョウは頷く。

 

リィン「なら、それでいこう」

 

ラウラ「そうだな」

 

2人は自分の獲物を構える。

 

エリオット「え、ええっ!!」

 

アリサ「ちょ、ちょっと2人とも!」

 

キョウ「いくぜ!」

 

アリサ達の言葉を聞かず、作戦が始まった。

 

「まあいい、いつでもここを離れるように準備を―――」

 

『おい、チョーシにのるなよ?』

 

『!?』

 

何処からともなく聞こえてきた声に、男達は動揺する。

 

「な、なんだ今の声!?」

 

「ど、どこから…!」

 

リィン「甘いな」

 

『!!』

 

その言葉と同時に、リィン達は男達を囲む。

 

「てめぇら、昨日の…!?」

 

「ちゃ、ちゃんと門に鍵はかけてたはなのに…」

 

アリサ「この場合、現行犯逮捕が認められる状況なのかしら?」

 

「くっ…」

 

すると男達は武器を構える。

 

「ハッ、やっちまうぞ!」

 

「所詮はガキどもだ!一気にブチのめしてやれ!」

 

「クク、幸い目撃者もいないことだしなぁ…」

 

『ほう…随分チョーシにってるなぁ。てめぇら!!』

 

その言葉と同時に、野盗達の前にキョウの幻影が表れ、男達を巨大な手で掴み締め上げる。

 

「ぐっ…」

 

『大人しく捕まるか、今ここで俺に絞め殺されるか、どっちか選ばせてやる』

 

「わ、分かった…大人しく投降する」

 

そう言ったと同時に、キョウの幻影は消えた。そして、キョウ本人も登場する。

 

キョウ「ったく、世話かける連中だな」

 

『キョウ!』

 

キョウ「悪いな。面倒だったから、吠え弾跳ばしちまった」

 

「……」

 

笑いながら謝るキョウに、リィン達は何も言えなかった。すると…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ピィ~…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エリオット「…?」

 

キョウ「ああ?」

 

リィン「エリオット?」

 

ラウラ「キョウ?」

 

アリサ「2人ともどうしたの?」

 

エリオット「う、うん…何だか笛のような音が聞こえたような気が―――」

 

キョウ「いや、気のせいじゃねぇな」

 

「ウキャアァァァァァァァァァ!!」

 

すると、公園にこだまする猛獣の叫び声がする。

 

リィン「!?」

 

アリサ「こ、これって…」

 

ラウラ「大型の獣か!?」

 

リィン「みてぇだな…ほら、来るぞ!!」


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