キョウ達は、犯人がいるであろう《ルナリア自然公園》に到着した。
キョウ「ここが《ルナリア自然公園》か」
リィン「そうみたいだな」
周りを見回していると、アリサが何かを見つけた。
アリサ「これ……」
エリオット「ブレスレット…だね」
ラウラ「アリサ、この腕輪がどうかしたのか?」
落ちてた腕輪を見てるアリサに、気になったラウラ達が話しかける。
アリサ「これ、あの帝都の商人が扱ってたのと同じデザインよ」
エリオット「ホ、ホント?」
リィン「分かるのか?」
アリサ「ええ。同じデザインが手掛けた物に違いないわね。ラウラもそう思わない?」
アリサは、同じ女子であるラウラに話しかける。
ラウラ「最近の流行には疎いが・・・うん、確かに装身具としてのデザインは共通性はあるようだ」
キョウ「そんなモンが、こんな場所に転がってるって事はだ……」
全員がルナリア自然公園の方を見る。
リィン「“犯人達”がこの中に潜んでいる可能性は高そうだな」
アリサ「ええ……」
するとラウラが門に近づく。
ラウラ「…この南京錠は、内側から掛けたというわけか。ならば―――」
少し下がり、自分の武器である大剣を取り出した。
エリオット「こ、壊すの…」
アリサ「大丈夫なの?」
ラウラ「ああ、かなり頑丈そうだが、私の剣ならば何とか」
リィン「いや…俺がやろう。その大剣よりも静かにできるはずだ」
キョウ(ほう…八葉一刀。生で見たことはないが、いい機会だ。どんなモノか見せてもらおうか)
ラウラは自分の武器をしまい、リィンは自分の武器である刀を取り出す。
リィン「―――八葉一刀流。四の型、《紅葉切り》」
キョウ(あの構えは…居合い切りか)
すると、南京錠は切れ音もなく地面に落ちたのだった。
アリサ「ええっ!?」
エリオット「凄い…!真っ二つだ…!!」
リィン「ふぅ…上手くいったみたいだな」
ラウラ「見事!八葉の妙技、この目でしかと見届けさせてもらった」
キョウ「へぇ…ああ言ってた割りには、大したものだな」
それぞれが、リィンの技を誉める。
リィン「はは…初伝クラスの技だけどね。…時間もない。犯人達の追跡を始めよう」
『おお(うむ)(ええ)(うん)!!』
そしてリィン達は、自然公園の奥へと進んでいった。公園内は木で覆われており、昼間でも薄暗かった。
エリオット「ず、随分暗いね」
アリサ「そ、そうね」
キョウ「あのさ……」
ビクビクしてる2人に、キョウが話しかける。
キョウ「ビビるなとは言わんが、俺の服を掴むなよ!
アリサ「だって…」
キョウ「いや、アリサはいいとして…エリオット!!お前は男だろうが!!!」
リィン「あはは…」
その光景を見て、リィンは苦笑いするのだった。
キョウ「ったく……ん?」
するとキョウは、何かに気づく。
ラウラ「どうしたキョウ?」
キョウ「いや、どうやらこの公園の終点に犯人はいるみたいだ」
『えっ!?』
アリサ「わ、分かるの?」
キョウ「ああ。少し集中すれば、奥から話し声が聞こえてきやがる」
エリオット「は、話し声?」
キョウの言葉に、全員が耳をすませる。
ラウラ「…何も聞こえぬぞ?」
アリサ「本当に聞こえたの?」
キョウ「本当だ。言っとくが、俺の聴覚は数十キロ先のコインの音も聞き取れる」
『す、数十キロ!!?』
キョウの言葉に、4人は驚いている。
キョウ「ああ。少しだけ集中すればだがな」
アリサ「いや、集中しただけでそんなに聴覚よくならないから」
アリサの言葉に、キョウを除く3人は頷いていた。
キョウ「ま、だろうな。他にも、嗅覚とかも同じだがな」
ラウラ「つくづく驚かされるな。キョウには」
ラウラも少しだけ呆れていた。そして公園の一番奥に進むと、人の気配と話し声が聞こえてきた。
ラウラ「いたか…」
奥には、この公園の管理員の服を着た4人がいた。
「へへっ…何気にいい稼ぎになったな」
「これでも連中が陳情を取り下げなけりゃ、もうちょい稼げるってことか」
「ま、程々にしとけ。報酬だって用意されてるんだ。普段の稼ぎからしたら十分だろ」
男連中は、奪った品物の前でそんな話をしている。
「しっかしあいつら、一体何者なんだろうな?領邦軍の兵士にも顔が利いてるみてぇだし」
「さてな…何を考えてるのか、さっぱり判らん男だったからな」
エリオット「どうするの?」
リィン「そうだな」
キョウ「俺が隙を作る」
『!!』
キョウの言葉に、4人は振り向く。
アリサ「けどどうやって?」
キョウ「俺がここから声を飛ばす。その隙にお前らは連中を囲め」
エリオット「ええっ!?」
アリサ「こ、声を飛ばす?」
ラウラ「ふむ…」
リィン「……出来るんだな?」
『!?』
リィンの言葉に、キョウは頷く。
リィン「なら、それでいこう」
ラウラ「そうだな」
2人は自分の獲物を構える。
エリオット「え、ええっ!!」
アリサ「ちょ、ちょっと2人とも!」
キョウ「いくぜ!」
アリサ達の言葉を聞かず、作戦が始まった。
「まあいい、いつでもここを離れるように準備を―――」
『おい、チョーシにのるなよ?』
『!?』
何処からともなく聞こえてきた声に、男達は動揺する。
「な、なんだ今の声!?」
「ど、どこから…!」
リィン「甘いな」
『!!』
その言葉と同時に、リィン達は男達を囲む。
「てめぇら、昨日の…!?」
「ちゃ、ちゃんと門に鍵はかけてたはなのに…」
アリサ「この場合、現行犯逮捕が認められる状況なのかしら?」
「くっ…」
すると男達は武器を構える。
「ハッ、やっちまうぞ!」
「所詮はガキどもだ!一気にブチのめしてやれ!」
「クク、幸い目撃者もいないことだしなぁ…」
『ほう…随分チョーシにってるなぁ。てめぇら!!』
その言葉と同時に、野盗達の前にキョウの幻影が表れ、男達を巨大な手で掴み締め上げる。
「ぐっ…」
『大人しく捕まるか、今ここで俺に絞め殺されるか、どっちか選ばせてやる』
「わ、分かった…大人しく投降する」
そう言ったと同時に、キョウの幻影は消えた。そして、キョウ本人も登場する。
キョウ「ったく、世話かける連中だな」
『キョウ!』
キョウ「悪いな。面倒だったから、吠え弾跳ばしちまった」
「……」
笑いながら謝るキョウに、リィン達は何も言えなかった。すると…
ピィ~…
エリオット「…?」
キョウ「ああ?」
リィン「エリオット?」
ラウラ「キョウ?」
アリサ「2人ともどうしたの?」
エリオット「う、うん…何だか笛のような音が聞こえたような気が―――」
キョウ「いや、気のせいじゃねぇな」
「ウキャアァァァァァァァァァ!!」
すると、公園にこだまする猛獣の叫び声がする。
リィン「!?」
アリサ「こ、これって…」
ラウラ「大型の獣か!?」
リィン「みてぇだな…ほら、来るぞ!!」