軌跡の世界は、美食時代?   作:シャト6

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11話

キョウ達は大市に入ると、入り口付近で若い男と紳士服を着た男が掴み合っている。側には元締めの姿もある。

 

「お前がやったんだろ!!」

 

「なんだと!?そういう貴様こそ、私の店や商品を!!」

 

オットー「二人とも止めるんじゃ!!」

 

元締めも相当参ってる。

 

キョウ「こりゃ、簡単にはおさまりそうにねぇな」

 

リィン「そうだな」

 

エリオット「でも見てよ!お店がボロボロだよ」

 

言い合ってる二人の後ろにある店を見る。確かにボロボロだ。だが、あれだけ壊すとなると、一人ではとても無理である。

 

アリサ「非道いわね…」

 

ラウラ「だが、相手を殴っても壊れた物が元通りになるわけではあるまい」

 

「こ、こうでもしねぇと気が収まらないんだよ!!」

 

ラウラの言葉に、2人は気まずくなるが、そう答える。

 

「商品まで盗まれて、完全に商売上がったりなんだからな!」

 

「なにをぬけぬけと…!それも君がやった事だろう!!私の屋台と商品を元通りにしたまえ!!」

 

再び2人は取っ組み合いになる。

 

キョウ(やれやれ…ん?)

 

するとキョウは、数人の足音や声がに気づく。

 

「…い、そ…い…ぞ」

 

「りょ…」

 

キョウ「また面倒なのが来たな」

 

リィン「えっ?」

 

キョウの言葉に反応するリィン。すると、先程聞こえた声の主がやって来た。

 

「ーーそこまでだ」

 

振り返ると、青い軍服に身を包んだ連中が立っていた。

 

「りょ、領邦軍!?」

 

「こんな早朝に何事だ!」

 

隊長らしき男が、言い合ってた2人と元締めに聞く。

 

隊長「騒ぎを止めて、即刻解散しろ!」

 

「ぐっ、しかし…」

 

隊長「老人、貴方は大市の元締めだったな。説明してもらおう。一体何があったのだ?」

 

隊長は男の話を無視して元締めに話しかける。

 

オットー「う、うむ、それがですな…」

 

元締めは、昨夜起きた出来事を事細かく説明した。

 

隊長「ふむ、なるほどな…ならば話は簡単だ。おい、2人共引っ立てろ」

 

「「はっ!」」

 

バカ(隊長)は突然そんな事を言い出す。

 

「な、な、な…!?」

 

「そ、それはどういう…!?」

 

隊長「互いの屋台が破壊され、商品までもが盗まれた…いがみ合う2人の商人が、同じ事件を同時に起こしたーーーそう考えれば辻褄は合うだろう」

 

ラウラ「…捜査もしない内から、流石に強引ではないか?」

 

ラウラが領邦軍の隊長にそう言う。

 

隊長「フン、領邦軍にはこんな小事に手間を割く余裕などないのだよ。さて、どうする?このまま騒ぎを続けるなら、その様に処理するだけだが?」

 

キョウ「…アホらし」

 

キョウはついそんな言葉を漏らしてしまう。リィンを含めた全員が俺を見る。

 

隊長「なんだと?」

 

キョウ「アホらしって言ったんだよ。こんな小事に手間を割く余裕がねぇなら、来なきゃいいだろうが」

 

隊長「な、何だと貴様!!我々が、ここケルディックを護ってる事を忘れているのか!!」

 

キョウ「護ってるって言うなら、何で昨日の騒ぎには来ず、この騒ぎだけ来たんだ?しかも、領邦軍の隊長が直々に」

 

キョウの言葉に、領邦軍の隊長は顔を真っ赤にしている。

 

キョウ「なんだ?図星を言われて怒ったか?どうせ、バリアハートからケルディックが増税への陳情を取り消さない限りんなくだらない事を続けんだろ」

 

隊長「き、貴様…!!言わせておけば!!!」

 

キョウ「各地の治安維持を預かる領邦軍…こんな連中に預かられちゃ、さぞ各地は迷惑だろうな」

 

隊長「ええい!!この男をひっ捕らえろ!!」

 

『ハッ!!』

 

隊長の言葉に、兵士たちはキョウを取り押さえようとする。

 

キョウ「やれやれ…図星を言われ挙句に力づくか。なら、こっちも抵抗させてもらうぞ?」

 

隊長「ほざけ!!」

 

隊長も自ら出てき、キョウを捕まえようとする。

 

キョウ「喧しいから、少し黙ってな。音速移動」

 

キョウは素早く隊長の背後に回る。

 

隊長「なっ!?」

 

キョウ「ノッキング!!」

 

隊長「がっ!!」

 

キョウがノッキングすると、隊長の言葉と体の動きを封じた。

 

「隊長!!」

 

キョウ「安心しろ。暫く動けなくしただけだ。ま、数時間もすれば動けるようになる」

 

「クッ!!」

 

キョウの言葉に、兵士達は悔しそうな顔をする。

 

キョウ「さっさとそこの荷物を連れて帰りな。預かられたこの地を守る気がねぇならな」

 

『……』

 

そして兵達は、動けなくなった隊長を抱えて詰所に帰っていった。

 

キョウ「やれやれ、やっと煩いのがいなくなたな…ってどうした?」

 

振り返ると、リィン達は驚きの表情でキョウを見ていた。

 

リィン「いや…」

 

ラウラ「なんというか…」

 

アリサ「あ、相変わらず滅茶苦茶ね」

 

エリオット「もう、キョウの事で驚き疲れたよ…」

 

キョウ(失礼だなお前ら)

 

心の中でそう呟くキョウである。

 

オットー「またキョウ君に助けられてしまったね」

 

キョウ「元締め、気にしないでくれ。ただ俺が腹立っただけだし」

 

オットー「そうか…」

 

優しそうな顔でキョウを見ると、元締めは2人と大市の連中に指示を出していた。で、キョウ達は全員元締めの家に行き、話し合った結果、今回の事件を調べることにした。リィン曰く『これも特別実習の一環』だそうだ。

 

キョウ(ま、別にいいけどな)

 

そして、それぞれが事件の事を調べる為バラバラになり、キョウもいくつかの情報を集めて合流した。

 

リィン「…なるほど」

 

アリサ「領邦軍が、今回の事件に関わっているなんてね」

 

キョウ「ホントウザいな。…潰すか?」

 

キョウが冗談でそう言うと、4人は必死になって止めて来た。

 

キョウ(お前ら…流石に酷くないか?)

 

リィン「…とにかく、領邦軍が今回の“犯人”に関わっている可能性は高そうだ。何とか見つけ出して捕まえたいところだけど…」

 

キョウ「高いどころか、完全に同罪と思うけどな」

 

アリサ「本当だとしても今は言わないの」

 

ラウラ「あのプライドの高い領邦軍が、自らの手を汚してまで事を起こすとは考え難い」

 

アリサ「そうね。それに…犯人がまだこの町に居座ってる可能性も低そうだわ」

 

そして再び情報を集めてると、酔っぱらったおっさんが、昨夜《ルナリア自然公園》の管理人の服を着た男連中が、荷物を持って行ったそうだ。これで情報は集まったな。で、元締めに報告しキョウ達は《ルナリア自然公園》に向かったのであった。


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