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あれから暫くサラをあやしてたキョウは、今現在実習から帰って来たリィン達と夕食を食べていた。サラはというと、B班の実習先に向かったのである。
エリオット「ふう、ご馳走様。う~ん、流石に野菜とか新鮮で美味しかったねぇ」
リィン「ああ、流石に地の物の料理は違うな」
ラウラ「ライ麦を使ったパンも、中々の美味だった」
キョウ「ここいらは、農場で作られた野菜が素早く販売されてるからな。新鮮さは帝国で1、2を争うだろな」
アリサ「う~ん、こんな楽しみがあるなら《特別実習》も悪くないけど。今頃、B班のエマ達はどうしてるのかしら?」
その言葉に、キョウ達は一瞬だが朝の出来事を思い出す。
リィン「そうだな…」
キョウ「ま、少なくとも俺達みたいにこんな感じで飯は食ってないと思うぞ?ユーシスとマキアスの奴は当然だが、フィーの奴も食ったらそのまま部屋に戻ってんだろ」
エリオット「あはは…確かにそうかもね」
『……』
エリオット「本当、僕達《Ⅶ組》って何で集められたんだろうね?」
恐らく全員が思ってる事を言うエリオット。
キョウ「確かにそうだな。サラの奴はARCUSの適正って言ってたが、どうもそれだけじゃない気が済んだよな」
ラウラ「うん、それは間違いあるまい。それだけならば、今日のような実習内容にはならぬだろうしな」
アリサ「どうやら、私達に色々な経験をさせようとしてるみたいだけど…どんな真意があるのかまでは、現時点ではまだ分からないわね」
リィン「……」
すると、リィンが何か考える表情になる。
(リィンの奴、
リィン「…士官学院に志望した理由が同じという訳でもないだろうし」
エリオット「士官学院への志望理由……」
アリサ「その発想はなかったわね」
ラウラ「ふむ…私の場合は単純だ。目標としている人物に近付く為といったところか」
キョウ「誰だそれ?」
キョウは単純に気になりラウラに聞く。
ラウラ「ふふ、それが誰かはこの場では控えておこう。アリサの方はどうだ?」
アリサ「そうね…」
どうやらアリサも訳ありみたいである。
アリサ「色々あるんだけど…自立したかったかな。ちょっと実家と上手くいってないのもあるし」
リィン「そうなのか」
エリオット「う~ん…その意味では僕は少数派なのかなぁ。元々、士官学院とは全然違う進路を希望していたんだよね」
キョウ「そういえばそんな事言ってたな」
リィン「確か音楽系の進路だったか?」
キョウとリィンは、以前教室で話していた事を思い出す。
エリオット「あはは、まぁそこまで本気じゃなかったけど…リィンはどうなの?」
どうやら聞かれたくない話らしい。
リィン「俺は…そうだな…自分を見つける為かもしれない」
『……』
リィンの言葉に、キョウ達は黙って聞く。
リィン「いや、その…大層な話じゃないんだ。敢えて言葉にするならそんな感じというか…」
キョウ「えらいロマンチストなんだなお前」
リィン「い、いいだろ!なら、キョウはどうなんだ?」
キョウ「俺か?俺は悪いが理由はないぞ。サラの奴に『あんた学院に通って見ない?』って言われたから来ただけだしな。入学式当日も、トワから連絡くるまで飯食ってたし。アイツから連絡なかったら完全に忘れてたな」
エリオット「えっと…」
リィン「なんというか…」
アリサ「その~…」
ラウラ「キョウらしい理由だな」
キョウ「そうか?ま、ここに来るまでは基本美食屋や調理人だったしな。それで十分食えて行けるし」
ビールを飲みながらキョウは入学した理由を話す。夕食も終わりレポートをまとめて眠りについた。翌朝、女将のマゴットから今日の依頼が書かれた封筒を受け取る。
アリサ「あら?思ったよりも少ないわね」
エリオット「僕達、今日中には帰るから元締めさんが気を遣ってくれたのかな?」
キョウ「お前ら、元締めと会ったのか?」
ラウラ「ああ、昨日色々あってな」
「女将さん、大変大変!!」
そんな話をしてると、ルイセが慌ててやって来た。
マゴット「なんだい。朝っぱらから騒がしいねぇ。ていうかルイセ、出るのが遅すぎるよ」
ルイセ「ご、ごめんなさい…ってそれどころじゃないんですよ!大市の方で“事件”ですよ!!」
キョウ「何があったんだ?」
ルイセに事情を聴く。なんと昨夜に屋台が二件壊され、そこの置かれてた商品も盗まれたそうだ。
『!!』
キョウ「屋台って、昨日お前達が話してたやつか?」
リィン「そうだ」
ラウラ「…流石に気になるな」
キョウ「なら、すぐそこだし様子を見に行ってみようぜ」
リィン「そうだな」
そしてキョウ達は、大市に向かうのであった。到着すると、大市の入り口で人が入らないように村の人が立っていた。
「おっとすみませんね。今日の大市はまだ…」
キョウ「ようギブソンさん」
ギブソン「ん?おぉ、キョウくんじゃないか!それに、昨日の学生さん達じゃないですか」
キョウ「で、どうなってんだ?」
ギブソン「ああ。被害者の商人達が随分と揉めていましてな…」
「…この野郎!!」
すると、奥の方で声が聞こえた。
キョウ「どうやらお互いかなりヒートアップしてるみたいだな」
ギブソン「そうなんです。元締めが仲裁に来てましたが…どうも抑えれてないようですね。流血沙汰なんかにならなきゃいいんですが…」
キョウ「とにかく中に入れてくれ。俺は昨日いなかったが、リィン達がいれば少しはマシになるだろ。殴り合いになってもな」
ギブソン「…分かりました」
そしてキョウ達は、大市に入っていった。果たして、上手く喧嘩を仲裁できるのだろうか?