軌跡の世界は、美食時代?   作:シャト6

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約3か月ぶりの投稿です。

お待たせしまして申し訳ありません(;´д`)


10話

あれから暫くサラをあやしてたキョウは、今現在実習から帰って来たリィン達と夕食を食べていた。サラはというと、B班の実習先に向かったのである。

 

エリオット「ふう、ご馳走様。う~ん、流石に野菜とか新鮮で美味しかったねぇ」

 

リィン「ああ、流石に地の物の料理は違うな」

 

ラウラ「ライ麦を使ったパンも、中々の美味だった」

 

キョウ「ここいらは、農場で作られた野菜が素早く販売されてるからな。新鮮さは帝国で1、2を争うだろな」

 

アリサ「う~ん、こんな楽しみがあるなら《特別実習》も悪くないけど。今頃、B班のエマ達はどうしてるのかしら?」

 

その言葉に、キョウ達は一瞬だが朝の出来事を思い出す。

 

リィン「そうだな…」

 

キョウ「ま、少なくとも俺達みたいにこんな感じで飯は食ってないと思うぞ?ユーシスとマキアスの奴は当然だが、フィーの奴も食ったらそのまま部屋に戻ってんだろ」

 

エリオット「あはは…確かにそうかもね」

 

『……』

 

エリオット「本当、僕達《Ⅶ組》って何で集められたんだろうね?」

 

恐らく全員が思ってる事を言うエリオット。

 

キョウ「確かにそうだな。サラの奴はARCUSの適正って言ってたが、どうもそれだけじゃない気が済んだよな」

 

ラウラ「うん、それは間違いあるまい。それだけならば、今日のような実習内容にはならぬだろうしな」

 

アリサ「どうやら、私達に色々な経験をさせようとしてるみたいだけど…どんな真意があるのかまでは、現時点ではまだ分からないわね」

 

リィン「……」

 

すると、リィンが何か考える表情になる。

 

(リィンの奴、あいつ(サラ)に何か言われたな)

 

リィン「…士官学院に志望した理由が同じという訳でもないだろうし」

 

エリオット「士官学院への志望理由……」

 

アリサ「その発想はなかったわね」

 

ラウラ「ふむ…私の場合は単純だ。目標としている人物に近付く為といったところか」

 

キョウ「誰だそれ?」

 

キョウは単純に気になりラウラに聞く。

 

ラウラ「ふふ、それが誰かはこの場では控えておこう。アリサの方はどうだ?」

 

アリサ「そうね…」

 

どうやらアリサも訳ありみたいである。

 

アリサ「色々あるんだけど…自立したかったかな。ちょっと実家と上手くいってないのもあるし」

 

リィン「そうなのか」

 

エリオット「う~ん…その意味では僕は少数派なのかなぁ。元々、士官学院とは全然違う進路を希望していたんだよね」

 

キョウ「そういえばそんな事言ってたな」

 

リィン「確か音楽系の進路だったか?」

 

キョウとリィンは、以前教室で話していた事を思い出す。

 

エリオット「あはは、まぁそこまで本気じゃなかったけど…リィンはどうなの?」

 

どうやら聞かれたくない話らしい。

 

リィン「俺は…そうだな…自分を見つける為かもしれない」

 

『……』

 

リィンの言葉に、キョウ達は黙って聞く。

 

リィン「いや、その…大層な話じゃないんだ。敢えて言葉にするならそんな感じというか…」

 

キョウ「えらいロマンチストなんだなお前」

 

リィン「い、いいだろ!なら、キョウはどうなんだ?」

 

キョウ「俺か?俺は悪いが理由はないぞ。サラの奴に『あんた学院に通って見ない?』って言われたから来ただけだしな。入学式当日も、トワから連絡くるまで飯食ってたし。アイツから連絡なかったら完全に忘れてたな」

 

エリオット「えっと…」

 

リィン「なんというか…」

 

アリサ「その~…」

 

ラウラ「キョウらしい理由だな」

 

キョウ「そうか?ま、ここに来るまでは基本美食屋や調理人だったしな。それで十分食えて行けるし」

 

ビールを飲みながらキョウは入学した理由を話す。夕食も終わりレポートをまとめて眠りについた。翌朝、女将のマゴットから今日の依頼が書かれた封筒を受け取る。

 

アリサ「あら?思ったよりも少ないわね」

 

エリオット「僕達、今日中には帰るから元締めさんが気を遣ってくれたのかな?」

 

キョウ「お前ら、元締めと会ったのか?」

 

ラウラ「ああ、昨日色々あってな」

 

「女将さん、大変大変!!」

 

そんな話をしてると、ルイセが慌ててやって来た。

 

マゴット「なんだい。朝っぱらから騒がしいねぇ。ていうかルイセ、出るのが遅すぎるよ」

 

ルイセ「ご、ごめんなさい…ってそれどころじゃないんですよ!大市の方で“事件”ですよ!!」

 

キョウ「何があったんだ?」

 

ルイセに事情を聴く。なんと昨夜に屋台が二件壊され、そこの置かれてた商品も盗まれたそうだ。

 

『!!』

 

キョウ「屋台って、昨日お前達が話してたやつか?」

 

リィン「そうだ」

 

ラウラ「…流石に気になるな」

 

キョウ「なら、すぐそこだし様子を見に行ってみようぜ」

 

リィン「そうだな」

 

そしてキョウ達は、大市に向かうのであった。到着すると、大市の入り口で人が入らないように村の人が立っていた。

 

「おっとすみませんね。今日の大市はまだ…」

 

キョウ「ようギブソンさん」

 

ギブソン「ん?おぉ、キョウくんじゃないか!それに、昨日の学生さん達じゃないですか」

 

キョウ「で、どうなってんだ?」

 

ギブソン「ああ。被害者の商人達が随分と揉めていましてな…」

 

「…この野郎!!」

 

すると、奥の方で声が聞こえた。

 

キョウ「どうやらお互いかなりヒートアップしてるみたいだな」

 

ギブソン「そうなんです。元締めが仲裁に来てましたが…どうも抑えれてないようですね。流血沙汰なんかにならなきゃいいんですが…」

 

キョウ「とにかく中に入れてくれ。俺は昨日いなかったが、リィン達がいれば少しはマシになるだろ。殴り合いになってもな」

 

ギブソン「…分かりました」

 

そしてキョウ達は、大市に入っていった。果たして、上手く喧嘩を仲裁できるのだろうか?


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