軌跡の世界は、美食時代?   作:シャト6

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9話

キョウ「とにかく、ここで話してても仕方ない。下にいる馬鹿に直接文句を言いに行け。どうせ下で酒でも飲んでる筈だ」

 

アリサ「うぅ…分かったわよ」

 

エリオット「でも、いくらなんでも引率なんだし飲まないんじゃ…」

 

キョウ「下に行きゃ嫌でも実感するぞ」

 

キョウの言葉に渋々納得するアリサ。リィンとエリオットはホッとし、5人は下に下りて行った。下に行くと既にビールを飲んでおり、そこそこデキ上がってるサラがいた。

 

キョウ「な、俺の言った通りだろ?」

 

「「「「……」」」」

 

キョウの言葉に4人は何も言えなかったのであった。

 

サラ「んくっ、んくっ、んくっ…ぷっっはあああああ!!この一杯の為に生きてるわねぇ!」

 

ラウラ「キョウの言った通りだな」

 

エリオット「完全に満喫してるし…」

 

アリサ「しかもまだ昼前なんですけど…」

 

キョウ「こいつにそんな言葉は言っても意味ないぞ」

 

その言葉に、もう誰も何も言わなかった。

 

サラ「あら君達、まだいたの?あたしはここで楽しんでるから、遠慮なく出かけちゃっていいわよ?」

 

キョウ「勝手に纏めるな!この飲兵衛が!!」

 

キョウはサラの頭に拳骨を落とした。

 

サラ「いっっったああああああ!!!!!何すんのよキョウ!!」

 

キョウ「『何すんのよ』じゃねぇよ!一応お前は教官だろが!少しはそれらしい姿を見せろ!!」

 

サラ「別にいいでしょ!私だって、少しくらい息抜きしたいのよ!!」

 

キョウ「お前の場合は、その息抜きが多すぎるんだよ!!お前、俺が教頭とナイトハルト教官と会うたびに、小言言われる俺の身にもなれ!!普通お前が注意する立場だろうが!!生徒である俺に注意されんな!!そんなんだからいつまで経っても彼氏の1人も出来ないんだよ!!」

 

その言葉にムカついたのか、サラも反論して来る。

 

サラ「なによなによ!そこまで言わなくてもいいでしょう!!あの髭や堅物なんて知らないわよ!!こっちは一生懸命やったって、なにかしらブチブチ文句言って来るんだから。それと、出来ないんじゃなくてあいつらが早すぎるだけよ!!私だって、本気になれば男の1人や2人くらい…」

 

そこまで言うと、何故か突然落ち込みだしたサラであった。

 

キョウ「やべっ…地雷踏んだわ」

 

アリサ「ちょっ!?どうするのよキョウ!!」

 

キョウ「こうなるとこいつ長いんだよな…悪いリィン、今日の実習俺抜きでやってくれないか?」

 

リィン「そうだな」

 

落ち込んでいるサラを見て、リィンはキョウの考えに賛同した。

 

リィン「分かった。今日は俺達だけで行うよ」

 

キョウ「悪いな。明日は必ず俺も参加するから」

 

ラウラ「気にするでない」

 

エリオット「そうだよ」

 

アリサ「その代わり、サラ教官をキチンと元通り使い物にしておきなさいよ」

 

「「「「俺(キョウ)も大概だが、お前(アリサ)も何気に酷いな(よ)」」」」

 

思わずそう言いたくなった4人であった。リィン達はキョウを残して実習に出かけて行った。そして、残ったキョウはサラの横に座る。

 

キョウ「おばちゃん、悪いけど俺にもビールくれ」

 

「あいよ」

 

そしておばちゃんはキョウにビールを出す。

 

「しかし大変だね。サラちゃん、随分と拗ねちゃって」

 

キョウ「まぁ、俺も言い過ぎたと思いますよ。だからこうしてこいつの機嫌取りに残ってるんですよ」

 

「おやおや、優しいこって」

 

キョウ「ま、それなりに長い付き合いですしね」

 

そう言いながらビールを飲む。

 

キョウ「ほらサラ、俺が悪かったから機嫌直せって」

 

サラ「…知らないもん」

 

キョウ「駄目だ。口調まで変わってら。こりゃ時間がかかるな」

 

どうしたもんかと考えるキョウ。すると、拗ねてるサラが抱き着いてくる。

 

キョウ「はぁ…おばちゃん悪い。部屋別で借りていいか?」

 

「ああいいよ。丁度隣の部屋を一応念のために空けておいたからそこを使いな」

 

キョウ「すんません。ほらサラ、いくぞ」

 

キョウはサラを抱き上げる。所謂お姫様抱っこだ。サラはサラで、キョウの服をギュッと握り締めていた。そのまま2人は二階に上がっていった。それを見届けた客達は、一斉にブラックコーヒーを注文したことをここに記しておこう。二階に行き、リィン達の隣の部屋に入る。キョウはサラをベットに座らせようとするが、当の本人は離れてくれない為、仕方なく抱きかかえたまま椅子に座る。

 

キョウ「いい加減機嫌直せって。偶々リィン達がいなかったからよかったけど」

 

サラ「…うるさい」

 

キョウ「はいはい…俺が悪かったって」

 

そう言いながら、子供をあやす様にサラの頭を撫でる。

 

サラ「…もっと撫でて」

 

キョウ「分かりましたよ」

 

身体も前後に軽く揺らしながら頭を撫でる。やれやれとため息をつくキョウ。改めて口は災いの元ということを認識したキョウであった。


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