「まさか、本人が会いに来るとはな」
「いや、君の行動に問題があってね。こっちのミスではあるが、君が行動を起こすのが早すぎるのも計算外だった」
夜の草原にユルトとローブを着た男が話し合う。男は広場で今回のゲームの説明した人物だ。
「君はまだこの世界ではプレーヤーではない。君の参加が急に決まったものだから、君の状態はまだ詳しく決まっていないんだ」
「で、私をどうするつもりだ」
「君にペナルティはない。ただ君への依頼に追加の条件をしたい」
男はユルトの反応をうかがう。ユルトは沈黙を貫き、男はそれを肯定と取り話を続ける。
「依頼への追加条件は、街中での暗殺の禁止、もし街中で暗殺をした場合君の装備全てとレベルを消去する。たったこれだけではあるが、このルールはゲームの秩序を保つ大事なモノだ。そして、この条件が今後の君の動向を変えるものだ。君は、他のプレーヤーから暗殺の依頼を受ける事が出来る。ただ手当たり次第に暗殺するのでは、君もつまらないだろう。ゲーム終盤になればプレーヤーの質も上がり、暗殺はよりやりにくくなる。もし、依頼を受けていれば、君は依頼主から援助や情報を無償で受ける事が出来るだろう。そうそう、君の正式なプレーヤー登録は私がしておこう。明日の夜には君は正式にこの世界の住人になる。それと、今君は正式なプレーヤーではないから今日の暗殺は犯罪に追加されない。明日からは暗殺をすれば君は犯罪者になり、街に入れなくなる。暗殺の方法を考える事だ。しかし、犯罪者を殺しても罪には成らない。
分かってくれたかな?この世界の事、君の依頼の条件」
一瞬の静寂が二人の間を流れユルトが口を開く。
「依頼の条件は理解できた。気になるのは戦闘だ。俺の認識ではソードスキルと呼ばれる物があるらしいな」
「独学で良く気が付いたね。このゲームには魔法が存在せず、ソードスキルという言わば必殺技が存在する。まあそこら辺は君のパーティにでも聞けばいいさ。私はここで失礼させてもらうよ」
男は転移のアイテムを使い姿を消す。ユルトはただ一人草原に立っていた。