ユイを預かって1週間。時間は穏やかに流れ、三人は本当の親子の様に幸せな日々を送っていた。キリト達三人は湖へ釣りへと出かけた。
「パパ!釣れてるよ!」
「おっと、逃げられる所だった。ありがとなユイ」
「キリトくん、それを釣ったらお昼にしましょうか」
グンとキリトの釣り竿がしなり小魚が釣れる。キリトは未だに上がらない釣りスキルに半ば諦めながら小魚を湖に戻しユイを連れてアスナの所に行く。
「今日も収穫はゼロ?」
「しかたないよ、釣りは一昨日始めたばかりなんだから」
一緒にサンドウィッチをパクつきながら陽気な昼下がりは穏やかに過ぎていく。そんな陽気のなか
「ぎゃあああああああああああああああ!!!!!!」
誰かの断末魔が響き渡る。
「アスナ!」
キリトがそう叫ぶや否やアスナがユイを背負い家まで走っていく。キリトは、いつもの装備を着こみ断末魔が聞こえた森の中へ入っていく。
少しばかり森の中を走っていくと不自然に立っている男を見かける。キリトは警戒しながら恐る恐る男に近寄る。男はギロリとキリトを睨み優しい笑顔を作る。
「良かった、助けてくれないか。先ほどの悲鳴を聞きつけたのだろう?PKギルドに追われている。先ほど仲間が殺され、俺は逃げてきたんだ」
男はキリトの元へ歩み寄りながら右手を差し出す。キリトはいったん警戒を解き握手に応じる。
「ッ痛!」
握手するも男はキリトの手を握りつぶさんばかりの力を込める。
「いったいどういうつもり・・・・・!!」
キリトは手を握られたまま右に体を反らし剣先を避ける。キリトは強引に手を振りほどき男と距離を取る。男は刀を一振りし、ゆっくりとキリトに詰め寄る。
「見事。今のを避けたのはいなかったぞ」
キリトが男のカーソルを見るとそこは犯罪者の証であるオレンジカーソルだった。
「しかし、今ので死ねなかったのが貴様の運のつきと言えよう。俺の刀は楽に死ねんぞ」
「手加減はしない。俺はそうやって人を簡単に殺そうとする奴を許さない」
「馬鹿な男よ。せめて命乞いでもすれば可愛げのあるものの・・・そらもう一人」
キリトが後ろを見るとアスナがレイピアを腰から抜き構えていた。
「どうしてきたんだ!」
「そんなことよりキリトくん。アイツかなり強い、血盟騎士団のブラックリストにも載ってた。たしか、辻斬り サツキってあったよ」
サツキはクツクツを笑いもう一本刀を取り出す。
「そういえば貴様ら確か血盟騎士団のアスナとキリトだな。丁度よい、誠も強者の血を欲していた所だ。貴様らを妖刀 誠の錆びとなってもらおう」