Fate/Rage   作:ぽk

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永遠に

 

 

 

 思えばそう...懐かしいものだ。

 私は生まれ墜ちた瞬間から消えてしまう。否、封じられてしまう。

 

 祝福を受けることもなく、愛も、自我も、意志さえもなく。

 

 けれど...だからこそ私は求めた。

 

 その愛を、その手を、その心を。

 

 欲したものを望めば、欲したものが朽ちて消える。

 何故だ。

 

 愛したものから、壊れていく。

 どうして。

 

 近づいてみれば、狂っていく。

 嫌だ。

 

 生まれ墜ちた瞬間から一緒なのに、なぜ私が置いて行かれる。

 何故私だけが取り残される。

 

 如何して私だけが欲してはならないのか。

 私達は変わらない筈なのに。私たちは同じく愛される筈なのに。

 

 何故私は何も掴めないのだ。何も望めない。何も愛せない。何も求めれない。何もない...生まれ墜ちた瞬間から、私は全てを殺された。

 

 意志も自由も祝福も。

 

 唯一私が出来る事はただ深く、眠るのみ。

 

 私が起きてしまわない様に。私が見つけてはいけない様に。

 深い深い、何も見えない黒へと。

 

 成らば私は私を愛そう。

 私の元へと近づく者へ祝福を、愛を、そして私を捧げよう。

 

 私と一緒に永遠の世界を共に行こう。

 

 生まれ出、全ての命。愛おしき命。輝く光。祝福、恩恵、加護。ああ愛しい。愛しい。私と共に生まれたものよ。私は愛す。例え、私が全ての▬▬だとしても。私は私を愛する。

 

 生きとし生けるものの全てに『 私の 』愛を...

 

 

 

———————————————————

 

 

 

 

 その光景はまさに赤い流星群。

 赤き尾を残し描く光。

 

 アレに触れたらこの身体(データ)の権利が剥奪されてしまう。

 

 こんな絶望的な状況だというのに、隣に立つ彼女は酷く冷静だ。

 何故彼女に拘るのか未だに理解できていない。

 

 どこにでもいる平均的な能力だというのに、何故彼女は前に進むのか。

 

 分からないけれど、彼女は私の愛を受けた者。

 

 成らばこそ、此処に居る誰よりも愛を捧げよう。

 

 

 

 

———————————————————

 

 

 

 

 あの時。

 いつもの様に私は微睡んでいた。

 

 眠ればいいものの、私は眠るのが嫌だった。いや怖かった。

 

 だって寝てしまえば傍に居る事さえもできず、愛を囁くことも出来ない。

 ましてや手を握る事さえも不可能。

 

 ずっと隣にいるのに。

 ずっと後ろに居るのに。

 ずっと愛しているのに。

 

 だからこそ、眠ってしまえば終わりなのだ。

 

 

 

 そんな時だ。

 

 私が微睡んでいるときに彼女は、私に触れた。

 

 

 

 私は恐ろしかった。

 私に触れてしまったら消滅か狂気に呑まれるどちらかだ。

 

 なのに...。

 

 それなのに彼女だけは壊れなかった。

 

 

 初めてだった。

 初めて、触れた。

 

 彼女はとても暖かかった。

 

 初めて命の暖かさに触れた。

 

 嬉しい。幸せ。喜び。笑い。祝福。光栄。

 ああ、愛おしいものに触れることが出来たのがとても嬉しかった。

 

 

 ようやく愛し合うことが出来るのだと、そう思ったのに...

 

 

 何故、何故、何故何故何故何故...

 彼女を連れて行くのか。

 

 どうして私の元から連れ出すのか。

 

 幾度となく繰り返される選択の中、彼女は眩しい笑顔で笑っている。

 

 その隣にいる過去の英霊と共に、幸せを分かち合っている。

 

 

 どうして。どうして気が付いてくれるのだろうか。

 こんなにも近くに居るのに。

 こんなにも傍で見ているのに。

 

 私は生まれた時から一緒だというのに。

 

 なぜ、彼女の隣には私が居ない?

 私がいなければならないのだ。

 

 彼女には私が。

 私には彼女が。

 

 そうだ。いつだって私達は久遠の時を共に居た。

 そうだ。いつだって私達は対等であれた。

 

 いつの日か、対立する日が来ようとも。

 私達は同じ存在。

 

 なのになぜ、彼女の隣には私が居ない。

 

 

 

 そうだ。

 私は彼女を知らない。だから彼女も私を知らないのだ。

 ならば私が彼女を知り、彼女が私を知ればいい。

 

 

 

 私はようやく愛する事が出来るのだと、彼女を抱えながら思うのだった。

 

 

 

 


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