Fate/Rage   作:ぽk

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ブックマーク&ご感想ありがとうございます。
一話一話がものっそい短い作品です。

それでも読んでくださってありがとうございます。


迷える意思

 

 

 

また、夢を見た。

 

酷く苦しい夢を見た。

 

 

失ってしまった悲しい夢。

止めることが出来なかった悲しい夢。

裏切られた悲しい夢。

奪ってしまった悲しい夢。

 

 

楽しかった筈なのに、期待が深く、重く圧し掛かる。

 

 

止めてくれ、と叫んでも、誰も止めはしなかった。

 

その結果がアレだ...なんて悲しいんだろう。

 

 

楽しかった筈なのに...どうしてああなったんだろう?

 

最高の友を...どうして、自らの手で消さなければならなかったのだろう?

 

 

ああ、苦しい。

痛い、何処も怪我はしていないのに、身体が痛い...

 

ああ、憎い。

世界の全てが憎い。

 

理解者を...友を...

 

 

 

——————返せ!!!

 

 

 

———————————————————

 

 

 

と言う夢を見たんだ。

何か心当たりがあるのなら言って見ると良いよ、サモナー。

 

 

「はあ?心当たり...無くは無いんだけど、多過ぎてどれがどれだか分からないな。」

 

 

…サモナーって、敵が多そうだよね...。

何でこんなサーヴァント呼んだんだろ...。

 

 

「いや~、照れるじゃないか。」

 

 

褒めてないから。

 

 

「酷いな...それよりも、怪我は大丈夫?身体はもう動かしても平気なの?」

 

 

心配性だな...

そんなに心配しなくても大丈夫だよ。

 

ダン卿のサーヴァントの攻撃を受けて、私は瀕死の状態…だったらしい。

らしいと言うのも、攻撃を受けた影響で、私の記憶が一部吹っ飛んだ。

 

ただでさえ、記憶が曖昧だと言うのに...なんてこった。

 

 

「記憶障害…ねぇ。二回戦の事、何処まで覚えてるの?」

 

 

えーっと...確か、アーチャーの宝具開帳...までは覚えてる...かな?

それ以降があやふや...いや、全く思い出せない。

 

 

「な、なんてこった!?それじゃあ、僕の超絶カッコいい決め台詞とか、決め技とか覚えてない?!それは絶対に思い出して!大事だから、テストに出ていい位大事だから!!!」

 

 

はて?全く持って知らないな。

あー、私記憶喪失だからしょうがないかなー。

そんな重要そうな記憶、思い出さなくても良い。

 

 

「ひ、酷い...。」

 

 

項垂れるサモナーを何事も無かった様に通り過ぎ、マイルームを出る。

扉を開けて、待っていたのは...何故か。

 

 

「待っていたわよ。ちょっと貴女と話がしたいの。良いかしら?」

 

 

マドンナ...いや、遠坂凛。

一番会いたくない人物に出会ってしまった...

 

だって、ほら...うちのサモナーが、彼女のサーヴァンの真名暴露しかけた時があって...申し訳ない罪悪感があるんですよね...。

 

 

「あ~、遠坂のお嬢さん。白野に何か用事かな?」

 

 

私に圧し掛かりながら、顔を見せるサモナー。

重い...物凄く重い...

 

 

「えぇ、まあそんなところよ。」

 

「そっか。なら行ってらっしゃい白野。僕は部屋でのんびり過ごしとくから、ガールズトークを楽しんでねー。」

 

 

はあ?!

ちょ、サモナー?!

 

意義を申し立てようとしても、背中をぐいぐい押され、部屋から完全に追い出された。

帰って来たら、サモナーの心臓本気で潰そう。

 

廊下に残された私の選択肢は...

 

 

逃げる

逃げる

観念する

 

 

のどれか...だが。

 

 

「さ、此処は人が多いから、屋上に行きましょうか。」

 

 

私に選択肢など無かったのだ...

畜生...サモナーの心臓潰してやる!!!

 

涙と共に決意を握りしめ、屋上へ向かう。

ここは一応学校なので、屋上も存在する。

 

 

そんな時だ...

 

 

「ごきげんよう。ミス遠坂...それと、初めまして。岸波白野さん。」

 

 

何故今まで気が付かなかったのだろう?

これほどまでに、逸脱して、人の中に獅子がいるかの様な存在感を放つ、彼に...

 

 

「レオナルド・ビスタリオ・ハーウェイ...!!!」

 

「レオで構いませんよ、ミス遠坂。」

 

 

遠坂の彼に対する嫌悪が凄まじい...

あ、あのー...二人は知り合い、ですかね?

 

 

「そうね...敵、と認識しておきなさい。」

 

「おやおや、酷い言われようですね。僕は貴女の事、嫌いではありませんよ。」

 

「地上では散々な体制を取っている西欧財閥の御曹司様が、よく言うわね。」

 

 

西欧財閥・・・?

 

 

「え、貴女...もしかして、記憶が無いの?」

 

 

そうなんですよ...全く持ってないんですよね~。

しかも、二回戦の本戦の最中、相手サーヴァントの攻撃を受けて、記憶がぶっ飛んでしまったんだ。

此処までくると...泣けてくるよ。

 

 

「そんな状況で、良く泣けるわね...。いいわ、ある程度の事は教えてあげる。」

 

 

あれ?敵であるはずの私に、どうして?

 

 

「別に...何も知らない相手を倒したら、癪なだけよ。」

 

 

...あ、なんか涙が出て来そう。

ちょっとした優しさに私は弱いんだ。

 

 

「泣かなくていいから!いいから、行くわよ!」

 

「おや、もう行かれるのですか?」

 

 

レオ(以下略)が声を掛けると、遠坂の表情が一気に険しくなる。

あ、これ修羅場だ。

 

 

「ええ、地上での借りは此処で返させてもらうわ。」

 

「それは楽しみですね。では、ガウェイン行きますよ。」

 

「御意」

 

 

白銀の鎧を身に着け、王に使える騎士はその後に続く。

 

あの、なんだか聞き覚えのある名前だったんですけど...気のせい?

 

 

「気のせいなんかじゃないわ。ガウェインは、あのアーサーもう伝説に出て来る円卓の騎士の一人。太陽の加護を持つ最優のセイバー。」

 

 

真名って、明かしたら拙いものですよね?

 

 

「絶対的な自信があるのよ、ムカつくぐらいのね!」

 

 

成程...未だに、自分のサーヴァントの真名すら知らない私ってどうなるのかな?

如何して私が、あのダン卿に勝てたのかも不思議でならない。

 

 

「それも詳しく知りたいから、行くわよ。」

 

 

屋上へと続く階段を上る。

迷っていては駄目だと分かってはいる。

 

だけど...

 

 

 

 






2000文字以上書ける人を尊敬する。
文才と言語力が欲しい。

頭えらくなりてぇ。


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