魔法少女リリカルなのはStrikerS ENEMY Side   作:トータス

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ノリでポンポン書いていたので、今一判り辛いかもしれません。

それでもお楽しみ頂ければと考えます。


第六話   誤認  保護?or拉致?

誤認  保護? or 拉致?

 

 

 あの恐怖の夜から数日・・・

 

 今日はお出かけ!

ルー姉とゼットン、アキト《アギト》と会う日!

ウー姉と一緒にお出かけ!

ゴエーニンム(護衛任務)! 武器は十分! 今度は負けない!

 

 

 とある、街角に有る喫茶店《バール》。

小さな声で、こんなやり取りが交わされる。

 

 

《聞き耳モード? でお楽しみを!》

 

 

「おい、来たぞ!」

「ああ、クソッ! 俺は外れだ!」

「やった! これでアレが買える!」

「ま、まぁ! あれが新しいママ(初見)なのね! くやしぃーい! でも、あの子が幸せなら!」《野太い声》

「ウゥ、今月苦しいのに! 畜生! 持ってけ!」

「それにしても、アイツ。何者だ?」

「それに、あの子供《ルーテシア》の父親《ゼスト》には見えないが。・・・どんな関係なんだ?」

「さぁな、取り敢えずは、アイツの一人勝ちって事だろ?」

「・・・そうだな、取り敢えずは、俺はあの子が幸せで居る事を、願おう」

「まあ、それ位が良いか。アイツ《野太い声》が母親になるよりかは、幸せそうだ」

「だな。おぉい!」

 

 店員を呼び付ける。

 

「はい、何でしょう」

「・・・これで、あの子に何か美味いモンでも」

 

 そう言って、小額紙幣を手渡す。

 

「イエ、それには及びません。もう既に、何名かの方が・・・」

 

 そこに示されたのは、テーブルの上に、所狭しと並べられた品々。

困惑した様子で、礼を言うウーノとゼスト。

目を輝かせながら、パクつくデュオ。その姿は、年相応に可愛らしい。

そのご相伴にあずかるルーテシアも、顔が綻んでいる。

 

「・・・なら、手土産に成りそうなモンを、見繕ってやってくれ」

「・・・では、そのように致します」

「あ、じゃあ、俺も!」

「よし、俺も!」

 それに釣られてか、他にも数名。

 

 そう言って押し付けられた紙幣。額は小さいが、それなりの額にはなった。

 

 

 

 テーブルを、食べ物と土産物に占拠され、移動せざるを得なくなったウーノとゼスト。

二人(+1)はそのままのテーブル(お土産の陰から)で、美味しく頂いている。

 

「まさか、こんな事になるなんて」

「ああ。だが、ああして見ると、良いモノだな」

 

 美味しそうに食べている様子を、何か眩しいモノでも見る様に眺める二人。

 

「・・・そうね。それには同意見ね。

それで、これからの事は、コレに」

 

 そう言って、手渡される封筒を受け取るゼスト。

 

「・・・了解した」

 

 

 その遣り取りを、遠目で見ていた別の客達の、小声での遣り取り。

 

 

「・・・おい、見たか?」

「ああ、ありゃあ。アレだな」

「そうだな、だが・・・」

「まぁ、なんだ。あの恰好じゃなぁ」

「確かに、だが・・・」

「みっともねぇ、なぁ」

「ああ、言える事じゃねえが」

「ああは、成りたくはないねぇ・・・」

「・・・そうならざるを得なかったって、事でも有るんだろうなぁ」

「それにしても、元カミさん《ウーノ》に、養われるとは・・・」

「絶対(ぜってえ)、浮気がバレて、勘当されて。着の身着のまま、放り出されたんだぜ・・・」

「それで、どうにもならなくなって、泣く泣くカミさんに泣き付いたと・・・」

「そう思うと、あの子も不憫だなぁ」

「だが、あの子供《デュオ》は、あの子供《ルーテシア》と中よくしてるって事は」

「蟠(わだかま)りは無いが、旦那《ゼスト》の行為は、許せないと言う事か!」

「だとすると、あの子は、あの旦那の犠牲になっているのか」

「・・・いや、あの子供《ルーテシア》の服装を見るに、それなりに良い物を着せてるって事だぜ。

オレは仕立て屋だからな。その辺は判るさ」

「だったら?」

「自分の事は棚上げしてでも、子供には、良い物を与えているって事さ!」

「・・・成程」

「そうだったのか!」

「見直したぜ! ダンナ!」

 

 ゼストに向かって、そんな尊敬の眼差しが送られているとは知らずに、更に話し込む二人。

その距離が僅かに近づく。

 

「おい! 旦那が、また口説き始めたぞ!」

「おお! 今度は裏切らないってか!」

「いやいや! 今度もそうなるとは、限らねえ!」

「いや、それはお前だろ!」

「そう言うなよ! 俺は何時でも本気なんだぜ!」

「そう言って、叩き出されたのは何度目だ?」

「・・・ふっ! 忘れた!」

「・・・忘れるほどに追い出され、また入れてもらってるのか」

「気の毒に」

「何だよ、その目は! 良いだろうが。カミさんは、俺に惚れてんだから!」

「・・・・・・」

「な、何だよその目は!」

「・・・・・・」

「だ、黙ってないで何とか言えよ! あん? 後ろ?」

 

 振り返ると、にっこり嗤(わら)ってはいるが、喜んでいる様には、決して見えない女性が居た。

 

「ひっ! な、何だ! 脅かすなよ! 心臓止まるかと思ったじゃないか!」

「・・・・・・」

 

 その女性は、ゆっくりとした動作で、男性の耳を掴むと。そのまま、笑顔のまま、無言で帰ろうとする。

 

「イダダダダッ! み、耳が!」

「ご愁傷さま!」

「お幸せにな!」

「この幸せ者が!」

「もう戻って来なくても良いぞ!」

「ひぃぃい! 出来心だったんだ! 許してくれ!」

「・・・・・・」

「あ、愛してるのは、母ちゃんだけだから!」

「・・・・・・」

「も、もうしません! もうしませんから、ご勘弁を!」

「・・・・・・」

 

 そう言って、消えた。

 

 見えなくなった所で、パパパパパパァァーン!

と、機銃の如き音が聴こえたのは、幻聴だろう!

その場にいた全員、そう思う事に、決めた!

その直後に、猛烈な暑さが訪れた事も、錯覚だろう!

何かが、物凄い勢いで、吸い取られる様な音も、誰も耳にはしていない!

バキューム音も、聴こえなかった!

 

 返って来た彼は、顔は真ん丸、唇は腫れ上がり、別人と化していた!

モザイクは、掛らなかった。

 

 それから、そいつの字名(あざな)は、(鱈子とタマゴみたいだから)タマゴ王(キング)と呼ばれたとか、呼ばれなかったとか?

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

 それは兎も角、粗方食べ終え、一服していた二人(+1)。

大人組は、まだまだ話は長引きそう。

だから、邪魔にはならない様に、食後の散歩へと(気を利かせ、黙って)出る事に。

お土産は店員に頼み、預かって貰う。

 

 そんなこんなで、出歩く二人(+1)。

あっちを冷やかし、こっちを覗き。

幼い弟を連れた姉の様に、幼い弟を見守る姉の如く、当たり前に過ごしている。

そんな事には、終ぞ気付かずに居るルーテシア。

 

 自分が不完全だと、自身は思っていても、周囲の目にはそうは見えない。

弟思いの面倒見の良いお姉さんにしか見えていない。

 

 そんな時間も、終わりを迎える。

 

 

 つい先ほど、連絡が入った。

レリックを運搬中のトレーラーが、事故を起こしたと。

荷物を奪取する為、それぞれが、それぞれの目的とする場所へ・・・

 

 片や地下へと潜り、片や廃墟の街へ・・・

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

廃墟ビル・屋上

 

 

 そこには誰の姿も無いが、声だけが響く。

 

「・・・何か、来る」

「え? こんな所に?

一寸待って。今、連絡が入った。・・・はぁ? 判りました。

見付け次第、また連絡をします。

・・・デュオが、またどこかへ行ったって、ウー・・・」

 

 そう言いながら振り返ると、居ない筈の姿が目に飛び込んだ。

 

「・・・もうココに来てる」

【手伝ウ! コノ間ミタイニハ、行カナイ!】

 

 そこには、フル装備で立つ、アーマード・ブリアレオス。

重機関銃(ガトリング・ガン)とミサイル・ランチャー、ハンドガン、サブマシンガン、各種グレネード、発射筒(ランチャー)も・・・

 そんなモノ、持たせた覚えも無ければ、手配した覚えもないクアットロ。

 

「どこから、そんなモノを?」

【落チテタ!】

「・・・イヤ、そんなモノ、何処で拾ったの?」

 

 そう言われ、別のビルを指さす。

 

 良く見れば、骨董品の様なモノが多く、それでも、手入れがされている様子が窺える。

どうやら、何処かのビルの一角が、どこぞの組織か、金持ちの趣味の武器庫と化している様だった。

 

 黙っていたディエチは、その装備を見定め。親指を立てた!

手入れが良くされているのと、物のチョイスが良い、と言う事らしい!

 

 ヤル気満々で居る相手に、水を差すのも如何かと思い。参加する事は許可された。

その代り、危険な目に遭わない様に。十分注意する事と、イザとなったら形振(なりふ)りに構わず、逃げる事が条件とされた。

 

 

・・・数分後

 

「あぁ、そうなりましたか。では、ルーお嬢様。

こう、お伝え願えますか? ≪また、あの時の様に、アナタは守れない≫と。

そうお伝えして貰えれば、後は、こちらにお任せを。では」

「・・・どうなった?」

「どうもこうも、こっちも計画通りにアレを試す事にしましょう。

ドクターが言うには、アレが考え通りの物なら。これ位ではどうにもならないだろうと言う事ですわ」

 

 

 そんなやり取りの後、ターゲット接近!

 

「・・・イノーメス・カノン、へヴィ・バレル」

【発射ァー!】

 

ボソリと呟かれ、ヘリへと向かう橙色(オレンジ)の光芒。

同時に、複数のミサイルも、時間差で殺到!

 

 命中! 爆煙に包まれるヘリ。

 

「やった・・・かしら?」

「瓦礫が、無い。ダメ ! 来る!」

【オー! 出番!】

 

 足元を魔力で固形化、踏ん張りを効き易くし、ガトリング・ガンを構えるデュオ=ブリアレオス。

 

ヴォォォォオオオォォン!  ヴォォォォオオオオォォオオオォォォン!

 

 煙の向こう側へ向って、弾丸を撒き散らす!

 

 

 足元に転がる夥(おびただ)しいまでの薬莢。

周囲に広がる硝煙の匂い。

そう在る事が、自然に思えて来る姿。

 

 

 その煙の向こうから飛び出してきたモノを、それで足止めしている。

 

 それを見て取ったクアットロは、

「じゃあ、デュオ。後は任せても良いのね?」

「必ず帰る事」

【オォー!】

 

 そう言いながら、弾の尽きたソレを煙の向こうに投げつける!

 

 切り払われる!

追い撃ちとばかりに、グレネードも各種、魔力で一塊りにし、投げつける!

 

「なっ!」

 

 フェイトは切り払ったモノの陰から現れたソレを、まともに受ける事に!

 

 閃光・爆音、爆煙、火焔の順に炸裂した!

 

 それでもなお、無傷で向かって来るが、目眩ましにはなったようだ。

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

 煙と、火焔が晴れ、視界が開けた。

 

「クッ! 何処に!?」

 

 すでに、ビルの上には誰も居らず、二手に別れ逃走中!

不可視・迷彩の状態で、ビルの隙間を縫いながら逃走するモノ。

ビルからビルへと、飛び移りながら逃走するモノ。

 

 どちらを追うべきか。この場合は逃がすリスクが少ない方を優先し、確保するべきと考え。

ビルの上を渡る方を優先した。

 

 

 

「待ちなさい! 貴方達には質量兵器の使用及び、不法所持、騒乱罪の現行犯で逮捕します!

無駄な抵抗は止めなさい!」

 

シュポン!   ジャカッ! キン!  ズッ!  ジャコ!  シュポン!

 

 間の抜けた音と共に、飛来する榴弾。

見当外れの方向だった為、無視して進む!

 

 だが、狙いが違った。

当たった先には大きな看板が有り、それが崩れて視界を塞ぐ!

 

 上昇し、回避!

 

「え?」

 

 さらに、頭上が陰り。上から別の瓦礫が降り注ぐ!

 

「クッ! こんな子供騙しに!」

 

 アッサリとそれらをかわし、後を追う!

 

 その間に、さらに離れた所を進む標的(ターゲット)=百目鬼。

 

「フォトン・ランサー!」

 

 複数の雷光の槍が標的に向かい、降り注ぐ!

ソレを、降り返りもしないで迎撃!

 

タァン! タン!  タタン!  シュポン!

 

 見当外れの方向に、又も榴弾を撃ち出す。

 

 先ほどの事も有り、警戒しつつ追い掛ける!

 

 速度的に、直ぐに追いつけるのだが、その目前に榴弾が落ちて来る!

 

「クッ! 厄介ね!」

【フェイトちゃん。今、何処に居るん?】

【あ、はやて、こっちは百目鬼を追い駆けてるわ】

【判った! じゃあこっちは、別口を殲滅するわ!】

【・・・ウン、お願い!】

 

 眼の端に、広範囲に亘って、殲滅魔法が広がって行くのを確認した。

 

「そっちがそうなら。こっちも、本気で行かないとね!」

 

 さらにスピードを上げ、追い詰める!

ビルとビルの間、行き止まりになる処へと追い詰めた。

 

「・・・もう、逃げ場は無いわよ! 抵抗は、諦めて!」

 

 そう言いながら、さらに追い詰める!

背を向け、こちらに正面を見せない相手。

 途中、バインドを掛けたが、直ぐに解かれ。足留めにもならない事から、直接的に取り押さえる事に。

その相手が、ゆっくりと振り返る。

 

 その腕の中には、まだ幼い、小さな子供が居た。

 

「なっ!」

 

 その子供の両手には、ピンが外された手榴弾が握られている。

 

「クッ! その子を! 放しなさい!」

 

 そう言いながら、斬り掛る!

が、その前に、子供を投げ付けて来る!

 

「あ!」

 

 フェイトは、咄嗟に子供を優先し、その手榴弾を手放させ、離脱する!

強く抱き抱える!

 

 直後、モクモクと立ち上る煙。爆発は無い。

 

「・・・え?」

 

 想定しない事態に驚くが、その直後に、それとは別の原因により周囲のビルが崩れて行く。

 

「え、ええっと。怪我は?」

「・・・・・・」

 

 ・・・返事は返って来ない。

 

「ど、何処か怪我を!?」

 

 外傷は無い、ただ、顔が真っ青になっていた。

意識は無い様子。

 急激な上昇に伴う、血液の移動に、血圧の低下、さらに窒息(何となく、察して頂きたい)。

・・・チアノーゼになっていた。

 

 その子供は、着古した感じの衣類を身につけ。所々、裂けている。

それなりに汚れが目立ち(武器の調達・移動の時の汚れ)。

何処かから逃げて来たようにも、見えなくは無かった。

 

 髪は白く長く、肌は浅黒い。

不衛生ではないが、かと言って、この幼さでこんな所に居る事は無さそうな感じでも有った。

 

「た、大変! 直ぐに、病院に連れて行ってあげるからね!」

 

 そんな感じに、連れて行かれる事に・・・

 

 

 計画に、狂いが生じた。

計画では、迷子を装い、巻き込まれた風に偽装。

管理局に保護され、直に迎えに来て貰う予定、だった。

 その為の、戸籍の偽造・改竄等は、依頼済みであったり。

まだ、実行されてはいないが・・・

 

 

   ・・・   ・・・




思い浮かぶがままに、思い描けるがままに・・・

この様に、保護されました。
が、もう片方からしてみれば、拉致された様な感じかと・・・

実際にこの様な窒息騒ぎは有る様で・・・

羨ましいと感じるか、ザマァと思うかは、それぞれかと・・・

もう少し、続きます。

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