魔法少女リリカルなのはStrikerS ENEMY Side   作:トータス

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三部作です。

まだまだ力不足だと思いますが、手直しをしています。


第二話   上 ホテル・アグスタ

ホテル・アグスタ

 

 

 ホテル裏手に、その姿は有った。

髪は一時的にブラウンに染め、長い髪は後ろで束ねた。肌は白く見える様に細工。

キッチリとした服装で、ホテルの宿泊客の子供に見える。

 

 今回は確認任務、ドクターが興味を持った物が、ココに運び込まれるか。

それを確かめる。

有ったら、連絡を入れ、様子を伺う。

奪取は、ルー姉がやってくれる見たい。

 

 万が一、オークションに出てきたら、競り落として良いって。

有る程度までは掛っても良いって。でも、後ろのウー姉、コアカッタ!

駄目なら、誰が落としたか、確認出来れば良いって言ってたし。

 

「あ、君。親御さんは?」

 

 フロント・ロビーで、男性コンシェルジュが声を掛けて来た。

入口の向こうを指さし、後から合流する事を伝え、カードを差し出す。

 

 それを見て、一寸困った様子では有ったが、丁寧に対応してくれる。

 

「えっと、困ったな。一寸、見せて貰うよ?」

 

 そう言い、カードを読み込む。

 

「はい、ありがとうね。

えっと・・・え? こ、これは・・・失礼しました。

少々、お待ち願えますでしょうか?」

 

 コク

 

 そう言うと、足早に走っているとは決して見えない様に、大急ぎで奥へと消えて行った。

そのまま辺りを見回してみる。

 きらびやかな衣装に身を包んだ、様々な大人達。

そんな中、ただ一人場違いであるかのように佇む子供。

 それが奇異にその人々の目には映るのか、不躾な目線や、胡乱なモノを見るかのように見られていた。

 

 数分後

 

 初老の老人、とは言え、背筋もピンとし、服装の乱れも、髪の乱れもない。

紳士然とした、貫禄の有る人物を伴い、コンシェルジュが戻って来た。

 

「大変、お待たせしました。

当ホテルの支配人を務めます。ギルバート・G・ガーランド(通称・G3=ジィサン)と申します。

以後、お見知りおきを」

 

 コク

 

「では、お部屋へと、ご案内させていただきます」

 

「お荷物を、お持ちします」

 

 年若な方がそう言って来たが、

 

フルフル

 

「あ、申し訳有りません。

ですが、お手を煩わせる訳にもいかないので、ご容赦を」

 

 ・・・コク

 

 納得はいかないが、そうするのが当たり前なら、仕方が無い。

 

 

 部屋へ案内された。

 

 絢爛とまではいかないが、十分に手間と費用が掛っていそうな部屋に通された。

 

「こちらが、お部屋でございます。

何か、御用がお有りでしたなら。そちらでお呼びいただければ、直に伺わせていただきます。

なお、本日、オークションを開催しておりますので、ご見学されるのでしたら、お声掛け願います。

直に手配いたします」

 

 そう言い、直に下がって行った。

 

 仮の身分として、与えられたのは。

 

 偏屈で、孫を可愛がる爺馬鹿の、たった一人の可愛い孫、という設定。

久しぶりに母親と出会う予定で、ここで合流する為。

孫の為なら、願いなら。金に糸目はつけない、らしい。

目に入れても痛くはない、みたい?

迎えには、誰が来るかは判らない。都合がつき次第だと言う事だった。

 

 今回は、オークションと言う場の雰囲気を学ばせる為、ビッター(競売の代理人)として参加と言う事に、一応なっている。

 

 

 一通り、部屋を検分すると、特に怪しい物は無さそう。

秘密通路とか、覗き穴とか。

盗聴器とか、監視カメラとか、[フリフリのフリルの]女中(メイド)さんとか、[羊頭の]執事(メリー)さんとか。

無かったし、居なかった、残念。

 

 

 取敢えず、地下駐車場を確認してっと。

例の物が来てるか、確認しないと。

偵察任務だし。

 

 

              ・・・            ・・・

 

 

ホテル・裏手付近

 

 こんな所、初めて。   あ、敵だ。

                        ・・・あ、こっち来た。

 

 自分の背丈と、同じ位のキャリー・カートを運んでいる子供を見て、気になったらしい。

目線を合わせる様に、屈み込んで来た。

カートの陰に隠れよう。

 それでも、そんな所に子供が居る事自体が不自然なのか、

 

「あっれぇ? どうしたのかな? 迷子?」

 

 フルフル!

 

「んー、恥ずかしいのかな?」

 

 そうしていると、もう一人が離れた所から声を掛けて来た。

 

「何か有ったの? スバル?」

「ア、ううん。何でも無い、この子が一人でいたから。迷子かと思ったんだけど、違うみたい」

「そう、気を抜かない様にね。

・・・その子も、こんな所に居ると何が有るか分からないわね」

「うん! じゃあ、ココは危ないから、お姉ちゃんと一緒に、皆が居る所にいこっか!

ティアー!

私、この子連れて、ロビーに行って来るね!」

 

 ティアナは周囲を警戒しつつ、応える。

 

「ああ、うん。早く戻って来るのよ!」

「わかったぁ!

じゃ、行こっか! あ、これは、お姉ちゃんが持ってあげるね!」

 

 フルフル!

 

「ん? 大丈夫! こう見えても、お姉ちゃん力持ちだから! それ!」

 

 そう言うと、易々と持ち上げて見せた。

 

「ん? 結構、重いね。 君、お父さんか、お母さんは?」

 

 そう言われ、正面入口の方を指さした。(管理局本局の方角と一致)

手を繋ぎ、ゆっくりと歩く速度を合わせて歩き出した。

 

「ああ、(親の)お仕事で来てるのかな?」

 

 コクコク!(自身の仕事)

 

 嘘は付いてない。

 

「それで、退屈したから、冒険に出たと」

 

 フルフル!

 

「え? 違うの?」

 

 コク!

 

「んー? 冒険が、お仕事?」

 

 コクコク!

 

「アハッ! そうなんだ!

でも、今日は一寸、お休みして貰っても良いかな?

一寸今日は、君みたいに小さな子がお外で遊ぶには向いてない日だから。

もう少し、大きくなったらね!」

 

 ・・・コク

 

「ん! じゃあ、約束ね!」

 

 コク!

 

 そうこうしている内に、正面ロビーに着いた。

 

「じゃあ、今日は中で遊んでいてね。退屈かもしれないけど、我慢してね!」

 

・・・コク

 

「それじゃ、またね!」

 

 そう言うと、元の所へと戻って行った。

それを見送りながら、手を振って見送った。

 

 また裏手に行ったら、見付かる。

だったら、アレを使おうかな?

 

試作デバイス   遠隔操作(リモート)型   = コットス

 

 自動で地下駐車場まで移動するよう設定し、そのまま走らせた。

 

 これで良し!

 

 

   ・・・    ・・・

 

 

ホテル・オークション会場

 

 

 偵察の為、オークション会場の下見。

 

 あ、一杯。人が!

 

あ、敵!

     あ、まおーだ!

              あ、豆狸だ!

                      あ、金色の鬼だ!

あ、覗き魔。

       あ、いんじゅーだ!!!

 

 インジューって、何だろ?  ま、いっか!

 

「あら? 如何したのかな?」

 

 金色の鬼が、こっちに!

傍に来てしゃがみ込んで来た!

 

「君、迷子・・・かな?」

 

 ・・・フルフル!

 

「お父さんか、お母さんは?」

 

 そう言われ、上を指さした。

保護者というか、護衛というか、身を守るモノは、部屋に置いて来た。

 

「ん? ああ、そっか、上の階に居るんだね?」

 

 コクコク!

気付いてはいない、よし!  大丈夫!

 

「フェイトちゃん? どないしたん?」

 

 あ、豆狸も来た!

 

 はやては少し離れた所で挨拶を終え、フェイトが居る所へ戻って来た。

 

「あ、ハヤテ。一寸、ちっちゃい子が居て。一人だったから、迷子かと思っちゃって」

「ふぅん、なら、ええんやけど。

それにしても、この間の新型。エライ凄かったらしいね」

 

 アレは自分がやった!   ドヤ!   ・・・見て無い。

 

「ああ、あれは、流石に対処は難しかったと思う」

「それで、アレ、何てするん?」

「うん、確認出来た映像から。一応、複数の目と言うか、カメラが確認できたんだ」

「ああ、後ろを向いたまま発砲して、魔力球を撃ち抜いたって奴?」

「うん、角みたいに見える所と、後頭部、耳の辺りにも。確認できただけでも、九個」

「正面にも有る言う話やったな。

それだと、もっと有ったとしても、おかしくはないんやな?」

「うん、だから、アレは百目鬼(ドウメキ)って仮称する事になったの。

多分、全方位を見渡せるようにしてあると思うから」

「アレが相手だと、流石に新人メンバーにはキツイかぁ。

・・・だとすると、ぶつけるとしたら、シグナムか、ヴィータ、ザフィーラかな?

イザとなったら、フェイトちゃんか、なのはちゃんに出張ってもらわな、アカンかな?」

 

 止(ヤ)めて、止(よ)して、オッカナイカラ!    アレを相手取る自信は、まだ無い!

 

「あ、いたいた! フェイトちゃん! はやてちゃん!」

 

 あ、まおー!

もう駄目かも!

 

 クイックイッ!

そっと両方のスカートの裾を引っ張って注意を引いた。

 

「ん? 如何したのかな?」

「ん? 何や、もう行ってしまうんか?

もっとゆっくりしてってもええんやで?

こないな美人に一遍に囲まれる機会なんて、滅多にあらへんで?」

 

 ハヤテはそう言いながら、屈みこんで来た。

お偉方や、大人ばかり相手にして来たので、一寸だけ休憩のつもりなのかもしれない。

大人を遠ざける意味も込めた防壁代わり?

 そうして何やら思い付いたのか、

 

「おお! そうや! 記念撮影してかんか?

ええ記念になると思うんやけどー、どうや? 自慢できると思わん?」

 

 フルフル!   カチャカチャカチャ   ピッ!

 

 手持ちの端末を操作し、言葉を紡ぎ出し、それを指し示した。

それを覘き込み、ハヤテは震えしだした!

 

「・・・な、何やて!? ソレ、嘘やないんか!?」

 

 ハヤテは子供の肩を、逃がすまい、逃がしてはなるまいと、ガッシリと掴む!

 

「?・・・如何したの、はやてちゃん?」

「あ、なのはちゃん!! 聞いてや!!

この子! こない美人な私達と同じ位、美人な親戚が!

十一人もおるんやって! 信じられへんやんか!?」

 

 周りの人も何事かと注目する中、ハヤテ絶叫す!!

 

「ハ、ハヤテ? そんな、大袈裟すぎるよ」

「そ、そうだよ。そんな興奮しなくても・・・」

「う、羨ましい! そんな、そないなハーレムじみた所に居るなんて!

はっ! という事は!?」

「ど、どうしたのかな?」

「どうしたの? ハヤテ」

 

 身悶えている、ハヤテ。

 

「この子のお母さんも含め! 12人姉妹!? それも、美人揃い!?

こ、これは是非確かめないと! 色々と! 主にチチを! (父? それとも別のチチ?)

是が非でも! お近付きになって、紹介して貰わんと!」

「は、はやてちゃん?」

「ハヤテ、一寸落ち着こうか」

 

 そう言いながら、そっと後ろに回り、絞め落とすフェイト。

そのまま、グッタリとしたままのハヤテと共に、皆で記念撮影。

 

「さて、これで証拠写真は撮れたし、もう大丈夫。はい、これ」

 

 写真は撮ったから、後で文句を言われても大丈夫!?   ・・・誤魔化せる?

目は虚ろで、何処を見て居るか分からないが・・・一応、立っているし、何とか?

記憶が飛んでいれば、なお良し! の様だ。

 

 ついでに端末に転送して貰った。

 

「さ、もう行った方が良いね」(また捕まると煩いから。捕まると、色々な意味で危険そうだから)

「一人で大丈夫かな? 一緒について行ってあげようか?」

 

 フルフル!

 

「そっか、気を付けてね?」

「見つかると大変だから、・・・主にコッチが」

 

 コク!  ブンブン!   トテテテッ!

 

 足早に去る事にした。

 

 怖かった!

まおーよりも、あの迫力が!

 

 一旦、会場から出て。静かな廊下へ向った。

 

 あ、確認しなきゃ。

あれ? あ、ルー姉からメール。

 

 

Mail

 

 対象は分割された模様。

片方は奪取する。

もう片方を競り落として。

 

 宝飾品として出品する為、外されたみたい。

後は、危険性を誤魔化す為に、そうした可能性も否定できない。

後付けで、付加価値を付け、値上げを行うという思惑らしい。

 

 

 向こうの方が早かったみたい。

 

 

以下、交信中・Text only

 

 

りょーかい!

あ、何か手伝う?

 

 

大丈夫、そっちは?

 

 

こっちは問題・・・ない!

 

 

何? その間は。

 

 

えっと、まおーよりコアソウなのが居た。

 

 

・・・どんな?

 

 

んっと、鼻息荒かった!

 

 

逃げろ、その場から。 《ゼットン》 (趣向が怪しい意味で)

・・・逃げなさい。 《ルーテシア》 (怪しすぎる為)

待ってろ、直に行くから! 《アギト》 (自分の様な眼に合うかと危惧)

 

 

でも、それじゃ、競り落とせない!

 

 

・・・分かった。今からそっちに行く! 《ゼットン》

・・・もう暫くの間、持ちこたえて! 《ルー姉》

今すぐ行くから、隠れてろ! 《アギト》

 

 

ガロー(ガリュー)とゼットン(ゼスト・グランガイツ)とアキト(アギト)は?

 

 

一緒に来て貰うから、大丈夫。

 

 

りょーかい! 待ってる!

 

 

直ぐ行くから、目立たない様に。

 

 

りょーかい! でも、もう色々有った!

 

 

何が?

 

 

えっと、裏手で、敵のホロトタイフ?(プロトタイプ)・セコンド?(セカンド)に、荷物運んで貰た。

あと、たいちょー達と記念撮影した!

 

 

・・・判った、後で再教育。 《ルー姉》

・・・そこから動くな! 《ゼットン》

まだ無事なのか!? 《アギト》

 

 

何で!?

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

続く!




思い浮かぶがままに、思い描けるがままに・・・

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