魔法少女リリカルなのはStrikerS ENEMY Side   作:トータス

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こうなったのではないか、こうは成らないだろうかと、想像し、連想し、捏造しております。


初対面

 と有る儀式に参加する為。

部隊長、隊長×2は、ある管理外世界を訪れていた。

前回の様な事が有っても困る為、十二分以上に警備が厳しい場所へと連れられた二人。

 

 

 その儀式に参加する事を知った、現地の儀式参加者(モブキャラ)達の声。

 

「おい、聞いたか?」

「あん? 何を?」

「おお! 俺は聞いたぞ!」

「だから、なんだよ!」

「あの三人も、今回は参加するらしいぜ!」

「な! そ、それ! ガセじゃねえよな?」

「確かな筋からの情報らしいぜ」

「おお、あの二人からの情報だって言うのなら、信憑性は高いな」

「だけど、三人とも卒業してから滅多に見掛けなくなったよなぁ」

「ああ、俺も、居るかどうか確かめるのに結構、散財(カフェに入り浸り)したよな」

「だな。何度か勘違いして。

毎度、マスターに叩き出された事もあったっけ」

「・・・お前も?」

「何だよ、ワリィか? もって事は、お前達もそうじゃねぇのか?」

「・・・」×?

「・・・まぁ、間違えるよなぁ」

「・・・あぁ」×?

「・・・なぁ、じゃぁ、この噂は聞いたか?」

「どんな?」

「ああ、あの二人が結婚して、子供が出来てるって、話」

「・・・あり得ないだろ」

「だが、海外に出ていたのが、その為の準備だとしたら?」

「まっさかぁ!」

「ナイナイ!」

「ねぇ、聞いた?」

「え? 何を?」

「あの二人、ついに(性別の)壁を越えたらしいわよ!」

「・・・嘘でしょ?」

「でも、何でも子供がもう居るって話よ!」

「・・・だったら、どっちがどっちなんだろ?」

「そうよね、どっちもそれらしいし、どっちでも構わない気もする」

「でも、見てみたいかな?」

「どっちを?」

「・・・ん。二人の子供」

「あ、私はどっちがどう変わったのかを!」

 

 

 憶測は憶測を呼び、絶えず変化を繰り返す。

元の情報に、尾鰭が付き、背鰭が付き、鱗までもが付いた。

真実に近い情報のまま、何処までも変化を続ける。

 

 そんな憶測が流れる中、皆の心中は決まった。

 

「こうなったら。直接、問いただすまで」

「あの二人に、手を付けた奴が居るのなら、諸共に・・・」

「でも、あの二人なら、十二分に有り得るのかも・・・」

「・・・せめて、私達だけでも祝福して上げないとね」

「そうね、二親が同性なんだもの。

せめて、成り染めなり、どれだけ仲が良いのかは教えてあげないと!」

「そうよ! 壁をブチ抜いてまで、結ばれたんだって事を!」

 

 

 一人、途中から忘れられている存在《ハヤテ》も・・・

 

 

 

初対面

 

 

 

 何かを叩く、トントントントンという、断続的な響きで、目が覚めた。

目を覚ますと、見知らぬ天井が目に飛び込んできた。

 

 見覚えは無い。

だが、隣にはビビオ姉が寝て居る。

だから、大丈夫?

 

 まず起きたら、ママ達に挨拶。

目が覚めた事を知らせないと・・・

 

 音がする方の扉を開き、後姿からその音を立てているのが誰であるのかを見極めて、言った。

 

【・・・魔王ママ、オアオウ】

 

 まだ寝惚けている。

 

 聞こえている筈なのに、何時ものが来ない。

・・・アレ(最弱のアクセル・シューター)が来ない。

 

 今ではそれを避け切る事が、日課で課題だ。

(未だに避け切れてはいないが、幾つかはかわせるかな?

・・・次弾で撃墜される事が多い。

避けたら避けたでオヤツが増える! 次は、弾も増えるが・・・)

 

 アレ?

 

 偶々、聞こえて居なかったのか。

反応が無い。

 

 傍によって、スカートの裾を引っ張って見る。

そうすると、包丁を持つ手を止め、こちらを伺って来た。

 

「アラ? 起きたのね。

お早う、早いのね」

 

 一寸だけ体を屈め、目線を合わせてくれた。

 

【・・・ナノハママ?】

 

 何時もと調子が違う。

ほんのりと、甘い匂いが漂って来る。

何時もは、血と硝煙の如き匂いと雰囲気なのに。(注・あくまで印象として=悪戯をし続けた為、警戒されている)

 

 こちらの様子を見て、何か言いたげな事を見て取ったのか、

 

「あらあら、何が言いたいのかな?

ゴメンね。私じゃ、貴方が言いたい事は判らないの」

 

【・・・魔王ママ?】

「うーん、どうしよっか?」

 

 小首を傾げ、悩みながら鍋の火を止め、どうするべきかを思案している様だ。

 

「そうだ。まず、起きたら顔を洗わないとね。

こっちよ、洗面所は」

 

 そう言うと、手を引かれ、洗面所へと連れていかれた。

そこで、優しく洗顔して貰い、そっと水気を拭きとって貰う。

椅子に座り、優しく髪を梳(くしけず)る。

 

 段々と目が覚めて来た。

何時もと違う、朝の目覚め方だった。

 

 目が覚めて来る間に、長く白い髪は解き梳かれ、後ろに一纏めにし、三つ編みお下げに。

 

 だが、それはとても心地が良い目覚めだった。

何時ものアレだと、眠気が吹き飛ばされる様な刺激が有るが、これはコレで快適だ。

だが、これはまだ自分が眠っているからに違いない!《断言》

こんな事は、夢に違いない。

もう一度眠れば、何時もの様になる筈だ!

 

 そう思い、また布団に戻ろうとすると、ビビオ姉が起きて来た。

 

「ふぁ、おはよー。デュオ、なのはママ」

「あらあら、まだ寝惚けているのかしら?

洗面所は、判る?」

「うぅ・・・多分、大丈夫」

 

 そう言うと、一寸だけ決まり悪げに、まだ寝惚けた様子で目的地へと向かう。

その後について、ビビオ姉に話しかける。

 

【ビビオ姉! ナノハママガ変!】

「うぇ? あー、一寸、待って」

 

 そう言うと、顔をバシャバシャと洗い。

シャッキリとした様子で、こちらを見返して来た。

 

「で、何が?」

【ママ、何時モノ出サナカッタ!】

「ああ、私もさっきは間違えちゃったけど。

あの人は、なのはママじゃ無くて、なのはママのママなんだって。

だから・・・」

【フェートママノママ? =ママママ?】

「そうそう。昨日は、デュオが寝ちゃってたから、初めてだよね」

 

 コクコク!

 

「じゃ、もっかい挨拶にいこっか!」

 

 コクコク!

 

 

 

ヴィヴィオ姉 意訳

 

「えっと、初めまして、デュオです。

なのはママのママだから、ママママで良い? って言ってます」

 

 その聞き慣れぬ言葉に、疑問を持ち、聞き返す。

 

「その・・・ママママって?」

「えっと、フェイトママのママのリンディママが、自分の事はそう呼んでって、以前・・・」

「そっか。じゃあ、私もそう呼んで貰える?」

 

 即答だった。

 

【・・・ママママ?】

 

「なぁに?」

 

 ビクッ!

 

 聞こえない筈のそれに返事が返って来た事に驚き。

ビビオ姉の後ろに隠れる!

 

【ビビオ姉! 本当ニ聞コエテ無イノ!?】

「え!? 聞こえてたのかって?

えっと、聞こえました?」

 

 ビビオ姉に、その事について聞いて貰える様に言った。

 

「うぅん、聞こえてはいないわよ。

ただ、何か、言ってそうだったから」

「えっと、ママママって。呼んで見ただけだったんですけど。

まさか、返事が返って来るとは思って無くて・・・」

 

 それを聞き、大体の事態が呑み込めたようだ。

 

「そっかぁ、驚かせちゃったかな?

聞こえてはいないけど、貴方が言いたい事は、何となくなら、解るかな?」

【・・・本当ニ、魔王ママノママ?】

「・・・えぇ、私は、高町なのはのママよ」

 

 その様子を見て、

「スッゴイ! 合ってる!」

「あら、そうだったの?」

「ウン! ピッタリ! 一寸違ったけど、大体有ってる!」

「あら? どの辺りが?」

「・・・えっと」

 

 答え様としていたら、離れた所から聞き覚えのある声が、剣呑な響きで聞こえて来た。

 

「ヴィヴィオー、そこから先は言わなくても良いよねー!」

 

 その声は段々と近付き、その姿を見せた。

 

「あ! なのはママ! おはよー!」

【マオーママ、オハヨー!】

「はい、おはよう! 二人とも。

デュオもお早う。

何時もの《アクセル・シューター》、要る?」

 

 フルフル!

 

 大急ぎで否定する!

何時もの調子でつい。

折角、気持ちよく目が覚めたのに、寝起きならまだしも。

起きているのに、アレは辛い。

 

「アハハ、なのはママは厳し過ぎるよねー、デュオ」

「あ! フェイトママもおはよー!」

【オハヨー、フェートママ!

アレハ、目ハ覚メルケド、今ハ要ラナイ!】

「そうだよねぇ。ナノハママ、優しいんだけど、容赦が無い・・・事も無いから」

 

 ヴィヴィオ姉の言っている事が途中から変わった。

 

「そっかぁ、そんな風に見られてたんだね。・・・良く判ったよ」

「な、なのは、子供の言う事だから、ね?」

「うぅん、こういう所はしっかりしておかないと、後々に響いて来るんだよ、フェイトちゃん。

だから、キチンと、O・HA・NA・SHIしなきゃ」

 

 割と本気!

 

「だ、ダメ! 早まらないで! なのは!」

「・・・フェイトちゃん。そこを、退いてくれないかな?

一寸、デュオとO・HA・NA・SHIしなきゃ、いけないから。

直に終わるし、そしたら、良い子になるんだよ?」

(人はそれを砲撃洗脳、または洗脳光線・摺り込みと呼ぶ!)

 

 その場に居た、それぞれの顔が曇る。

一人、その言葉の意味を知らない人が、不思議そうにその様子を見詰めている。

 

 ど、如何したら!

そ、そうだ!

こういう時こそは、ママママを頼っても良いのかも!?

 

 そう思い立ち、ママママの顔をじっと見詰めた。

ついでに、【タッケテー! 魔王ノ手ノ届カナイ所二!】とも。

どこぞのお姫様の様な事も伝えて見る!

 

「あらあら、今度は何が言いたいのかしら?」

 

 そう言って、目線を合わせる様に屈んでくれた。

ジッと見つめ合う二人。

 

 二人掛りで、暴挙を食い止めようと奮闘するモノ達(フェイト、ヴィヴィオ)。

(流石に洒落にならないと、身をもって知る二人)

 

 一度はそうするべきだと感じているモノ(なのは)。

(何時ものは、挨拶変わりだと思い込んでいる様子。本気のアレ《スターライト・ブレイカー【リミッター・オール・リリース+フル・ドライブ】》で有れば流石に・・・更生の余地は、あるのかな?)

 

 その間、数秒・・・

 

「・・・かっわいー!」

 

 抱き締められた! 振り回された! 連れ去られた!

狙いとは違ったが、この場を逃れる事には成功した!

 

「お母さん! 何処へ連れて行くの!?

それじゃ、お話し(O・HA・NA・SHI=砲撃)できないよ!!」(な)

「そ、そのままで! 暫くお願いします!」(フェ)

「逃げてー!」(ヴィ)

 

 そんな言葉は耳には入らないとばかりに、抱き締めたまま、何処へと立ち去って行った。

 

 

 最初に立ち寄ったのは、道場。

扉は固く閉まっている。

 

 その扉を、中に居る人に気が付いて貰える位の力で叩く。

 

 

「ハァイ! 一寸、待ってて!」

 

 中から若い女性の声がして、

「・・・じゃあ、今日はこれまで」

それとは別の、男の声がした。

 

「はぁ。やっとか」

「なんなら、もう少しつづけるか?」

「うぅん、もう良い」

 

 そんな声と共に扉が開き、中から若い男女が出て来た。

 

「もー、汗びっしょりだし。なのは達も、もう起きたよね」

「ああ、あの子もソロソロ・・・」

「ねぇ、士朗さん、見て見て!」

「なんだい?」

 

 そう答えながら、目を向けると、そこには妻が幼子を抱き締めている姿が目に入った。

一寸窮屈そうに身動(みじろ)ぎしているが、イヤイヤという様子では無い。

 

「オヤ、目が覚めた様だね」

「わ! 如何したの、その髪!」

 

 緩く三つ編みにされたソレが気になったらしい。

 

「ね、似合うと思わない?」

「うんうん! 似合ってる! かわいいねぇ!」

「・・・男の子、だったと聞いていたんだが・・・」

「ええ、そうよ。でも似合うでしょ?」

「ウン、そうだね。でも、これはコレで」

「まぁ・・・似合ってはいるが、それで良いのか?」

「何を言ってるの、お父さん。可愛いは正義なんだよ!」

「そ、そうなのか?」

「ええ、それに、家の子同然ですし。折角、男の子が居るんだから、こういった楽しみも・・・」

「そうそう、これはこれで・・・キョウちゃんはその辺、判って無いし」

「・・・そういうものなのか?」

「「そういうものです」」

 

 二人で声を揃えて言い切った!

 言い切られた!

為すがまま、抱き締められるしか出来ないで居る。

 

「ねぇ、そろそろ私にも抱っこさせてよ、母さん」

「ええ、いいわよ」

「はぁい、今度は、お姉ちゃんの所にこようねぇー。

うわっ! 思ってたより重いね!」

「ね、なのはの時とは違うけど、子供って重いわね」

 

 そこへ、士朗はふと疑問に思った事を口に。

 

「なぁ、なのはの子供なら、美由紀は・・・」

「はいはぁい! お姉ちゃんね! 美・由・紀・オ・姉・チャン!」

 

 それを遮る様に捲し立てる美由紀。

 

「私はママママよぉ」

 

 それに負けじともう一声。

 

「え? なに? それ?」

「なのはママのママだから、ママママだって!」

 

 照れているのか、一寸顔を赤らめ、かなり嬉しそうだ。

 

「じゃあ、こっちの男の人が・・・士朗お爺ちゃんね!」

「な! 確かに、その通りなんだが・・・」

 

 釈然としない様子の士朗さん。

 

「いーからいーから! 孫なんだし、お爺ちゃんは大らかでないと!」

「むぅ。だったら、私にも抱かせて貰おうか?

ほぅら、こっちへおいで」

 

 そう言いながら、両手を伸ばすが、プイッと顔を疎向けられてしまった。

 

「な!? 何故?」

「んー? 如何したのかなぁ?」

 

 そこで、何かに気が付いた。

 

「あら? 士朗さん、今朝もコーヒー豆を?」

「ん? ああ、それが?」

「焙煎臭と、発酵臭と、汗の臭いで・・・」

 

 そう言われ、自分の匂いを嗅いでみる。

 

「・・・そんなに、臭うか? 自分では分からないが・・・」

「「うん」」 コクコク!

 

 三者三様、肯定した。

人は、自身の匂いについては鈍感である。

美由紀姉は慣れている為、気にはならなさそう?

 

「・・・判った。汗を流して来る」

 

 そう言って、その場を後にして行った。

その後姿が、もう見えなくなったのを確認した二人は、

「・・・行ったね」

「・・・行ったわね」

 

 同時に呟いた。

 

 良く見知った笑顔【注・クアットロ】を、浮かべていた。

逃げる為の対価はデカかった事を、この後、知る事となった。

 

 

 そんな事が展開されていた頃。

大分怒りも治まったのか、なのはも落ち着きを取り戻していた。

そんな時に、扉越しに聞こえて来た会話が耳に入った。

 

「ウンウン、良く似合ってる!」

「アラ、それよりこっちは?」

「それも捨てがたいけど。こっちの方が似合うんじゃない?」

「そうねぇ。でも、これも、良くない?」

「あぁー、それかぁー。でも、こっちも・・・良いと思うんだけど」

「良いわねぇ。それなら、ヴィヴィオちゃんにも合いそうかしら?」

「そうだね! 一寸捕まえて来る!」

(捕獲する事が前提らしい!)

 

 その会話に、何となく不穏なモノを感じたのか、何がどうなったのかを確認しようと、扉を開いて見た。

 

 ・・・知らない子供が居た。

その子供は、こちらを見ると、

【・・・ナノハママァー タッケテ!】

と、助けを求めて来た。

 

 ・・・黙って、戸を閉めた。

深呼吸して、今度はフェイトとヴィヴィオを呼んで、レイジングハートも待機させ。

再度、開いた。

 

 また、さっきとは違う、別の子供が居た。

その子供は、綺麗に着飾られ、薄っすらと化粧まで施され、フリフリで駆け出した。

 

【フェートママァ! ビビオ姉ェ! ココハコァイ!】

 

 そう言いながら、今度は半泣きで抱きついて来た!

フェイトは、赤いモノを撒き散らしながら、抱き締めつつ、倒れた!

ヴィヴィオは、捕まった!

なのはは、その様子をレイジングハートに記録させ続けた!

(後に、その様子が六課内で公開され、別の被害者《エリー=エリオ》が生まれたとか生まれなかったとか?)

デュオは、抱き締められた為、それ以上逃げられなくなった!

 

 汗を流し終え、さあ今度こそはと、探し求めるモノと対面した士朗は、硬直した。

着飾られた、壊れモノの人形の如き存在に、本来の目的(抱き上げる)が果たせなくなり、困惑した。

 

 着せ替え人形の如き扱いを受け、憔悴しきっていた。

 

「・・・あー、二人とも。程々にな」

 

 そう言うと、そっとその場を後にした。

その背中に、恨めしそうな、助けを求める視線を浴びつつ。

勝ち目が無いと、諦めた様だった。

インターホンが鳴っているからであって、見捨てた訳ではない! と、その背中は語っている・・・筈!

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

 玄関では、ある夫婦が、新しい姪と甥の顔を見に、実家を訪れていた。

 

「どんな子なんだろうね!」

「さぁな。それより、その格好」

「え? おかしい?」

「・・・いや。おかしくは無いんだが・・・どうして?」

「え! 初めてコッチに来るんだよ! 異文化に触れさせてあげるべきだよ!

・・・それに、あ・と・で、良い事もあるわよ?」

「・・・」

 

 そっと耳打ちされ、黙る事しか出来なかった。

 

 振り袖姿で、ピッチリと着こなされ、着飾られている。

・・・既婚なのに。

 

「それに、着付けも教えてあげないとね!」

「・・・まぁ、な」

「帯の締め上げは手伝ってあげてね!」

「な! 出来るか! そんな事!」

「あら、私のは手伝ってくれるじゃない」

「それとこれとは、別だ!」

「でも、緩いと途中で解けちゃうわよ?

それでも、いいの?」

「・・・判った。ただし、それだけだからな!」

「はいはい。じゃあ、初対面と行きましょうか!」

 

 そうこうしていると、奥から人影が見えて来た。

 

「おお、来たね。さぁ、上がっていきなさい」

「こんにちは!」

「・・・ただいま」

「二人とも、今は奥に居る筈だから。

・・・ただ、見ても驚かないでやってくれ」

 

 そう、意味深げな言葉を残し。一人、リビングのソファーに腰掛けた。

二人は、言われた事の意味が掴めないで居ると、小さな足音が此方へと向かって来た。

 

「あら?」

「お?」

「ん?」

 

 束縛を抜け出し、安全な場所へと逃げ出すデュオ。

ヴィヴィオ姉を尊い犠牲(または生贄)とし、何とか抜け出した。

服装までは変えられなかった!

 

「あらあら! かっわぃー!」

「へぇ」

「おぉ、抜け出せたのか。

こっちへおいで。二人を紹介しよう」

 

 恨めしそうな目で見ながら、言われたとおりにソファーへ。

 

「そんな目で見ないでくれ。

あれは流石に、私には対応できない」

 

 そんな風に攻める目線を、何とか避けようと弁明する士朗。

 

「えっと、ヴィヴィオちゃんで、良いのかな?

私は、忍。こっちの恭也の連れ合いね!

気軽に、忍お姉ちゃんって、呼んでね。こっちは恭哉伯父ちゃんで良いから」

「な! おい! 一人だけそんな・・・」

「い・い・で・しょ?」

 

 強い口調で言い切られた。

 

「・・・まぁ。あー、その、だな。

なのはの兄貴に当る、恭也だ。よろしくな」

 

 そこへ、気まずそうに、士朗が口を挟んだ。

 

「・・・まぁ、その、何だ。

勘違いしている様だから、言っておくんだが・・・」

 

 ドタドタと、小さな足音が響いて来た。

 

「デュオォー! よくも、私を置いて、逃げたわねぇ!」

 

 その叫び声と共に、飛び込んで来た相手を指さし、言った。

 

「その、な。

こっちが、ヴィヴィオちゃんだ。

こっちが、デュオ君だ」

「は?」

「え?」

 

 飛び込んで来たのは、ボーイッシュな格好となったヴィヴィオ。

対象的に、乙女チック(お姫様とも捉えられる)に着飾られたデュオ。

 

 その二人を見比べ、勘違いに気付いた二人。

 

「・・・そ、そうか。

こんにちは、なのはの兄の恭也だ。

こっちは、俺の連れ合いの忍だ。

忍伯母さんとでも、呼んでやってくれ、ヴィヴィオ。

ヨロシクな、デュオ。ここでは、男損女媛(だんそんじょひ) (×)で男の立場は弱い。・・・強くなれ、デュオ」 (【嘘】)

「恭也! なんて事を!

違うからね! 私は、忍お姉ちゃん! お姉ちゃんだから! まだ!」

 

 それを聞き、こう言う時はどう応えるべきか、教えられた通りに返すヴィヴィオ。

 

「えっと、高町 ヴィヴィオです!

こっちは、弟のデュオ・S・ハラオウンです!

弟は喋れませんので、代わりに宜しくお願いします!」

 

 そう言いながら、二人で頭を下げる。

 

「えっと・・・恭也伯父さんに、忍・・・」

「オ・姉・チャンって、呼んでくれると、お姉ちゃんは嬉しいなぁー」

 

 強い口調で押し切った!

 

「・・・忍・・お姉さん?」

「はぁい! んー、素直で宜しい!

お姉さんが抱きしめてあげる!」

「おいおい・・・それはやり過ぎじゃ」

「んー! 二人ともかわいいねー!」

「キャー!」

【キャー!】

 

 聞こえませんとばかりに、二人を抱き上げ、抱き締め、振り回す忍。

親子で、如何したモノかと途方に暮れる二人。

振り回され、目を回すヴィヴィオとデュオ。

 

「なぁ、恭也。こういう時、男は無力だな」

「ああ、如何したら、良いのかな?」

【タッケテー!】

 

 その二人に、目で助けを求めるも、伝わらないデュオ。

暫くの間、次なる来客が訪れるまで、そのまま振り回されたのだった!

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

「で。これは如何言う事?」

 

 次なる来客の第一声が、これだった。

知り合いのお姉さんに抱き締められ、振り回される二人の子供達。

その様子を、遠目にハラハラと見詰める男性陣。

この子達が、なのはとフェイトの養子になったという子供達だろう事は、容易に想像が付いた。

 

「デュオ!? ブフワッ! な、何が有ったんや!」 

 

 こっちは、何時ものハヤテお姉ちゃん。

お腹を抱えつつ、何かを堪えつつ、尋ねて来た。

でも、何だか癇に障る!

 

「わぁ! 可愛らしい!

こんにちは。私は、なのはちゃんとフェイトちゃんのお友達で、月村 すずか。

そのお姉ちゃんの妹ね。

それで、こっちのお姉ちゃんが・・・」

「アリサ。アリサ・バニングスよ。

宜しくね」

「あ! ハイ!

高町 ヴィヴィオです!

こっちが弟の、デュオ・S・ハラオウンです!」

「・・・ああ、そう言う事」

「・・・そっか、それで・・・」

 

 二人は紹介され、何となく事情を察した様だ。

その顔が曇ったのは、次の一言からだった。

 

「・・・えっと、お話は、良く・・・」

「・・・なに?」

「えっと、怒らせると怖くて、犬で一杯な、アリサさん?

それと、ホンワカしてるけど意外と策士で、猫で一杯な、すずかさん?」

 

 それを聞き、間違ってるとは言えない二人。

 

「な! 間違ってはいないと思うけど・・・そっか、そんな風に思われてたんだ」

「ふぅん・・・そんな風に見られてたんだね、アリサちゃん」

 

 一寸だけ、影が差した様子で、報復に思いを馳せる二人。

 

「じゃあ、私達があなた達のママについては、教えてあげないとね。

ねぇ、すずか?」

「そうだね、アリサちゃん」

「そうね。なのはとフェイトがどんな感じの子供だったのかとか・・・色々ね」

「そうだね。ついでに、はやてちゃんの事も、教えてあげようよ」

「良いわね!」

「な! 何でウチの事まで!?」

「だって、一緒よねぇ? すずか?」

「そうだね。なのはちゃんとフェイトちゃんの事だけじゃ、不公平だよね。

ココは平等に、はやてちゃんの事も教えてあげないと、ねぇ?」

 

 二人とも、一寸だけ黒かった。

 

 そして、三人の恥ずかしい秘密が暴露されたとかされなかったとか?

 

 その話を聞いて、ニャー、キャー、ワー! とかの叫びが上がったとか上がらなかったとか?

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

思い浮かぶがままに、思い描けるがままに・・・




ヴィヴィオ =ビビオ =美々雄? =美しく、雄々しく育つ?
デュオ =二 =一の後 =一後 =イチゴ

とまぁ、遊んでおります。

男尊女卑(だんそんじょひ) ()
 =男を重んじ女を見くだす態度・思想。
男損女媛(だんそんじょひ) (×)
 =男が損をしても女性を(ひめ)の如く崇める態度・思想。

後々、エリーも登場します。
シロさんもシャルさんも・・・

美々雄君は・・・どうかな?

再登場は出来るだろうか?


次回 小ネタ・事実集?

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