魔法少女リリカルなのはStrikerS ENEMY Side   作:トータス

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知らないままに、書き始め、知らないままに、書き終わり・・・

かなり変わったモノと相成りました。

他に無いモノを書こうとしていると非難された事も・・・
書きたいモノがこうだったから、こうなっただけだったのだが・・・

その事を楽しみ、思い浮かぶがままに、書き綴ったモノです。

偶に、これは何処へと向かっているのだろうか?
何処へと着地して行くのかが、見えなくなった事も・・・

何故こうなったのか、判らなかった事もあるが、それも湧くがままに任せ、汲み上げて見て、形へと・・・


最終話   終わりと始まり・・・

最終話 終わりと始まり

 

 

 ハヤテ達は、帰りの目途が立ち、その帰る為の機内。

ヴィヴィオは、なのはとの激戦の疲れが出たのか、眠ってしまっている。

 

 目の前では、ヴィータが深々と頭を下げ、仕切りと謝っている。

 

「ワリィ、謝っても、如何にもならねェし。

謝り切れねぇんだけど。

だけど、ゴメン!」

「なのはちゃん、私からも、謝らせて。

結果として、こうなって、しもうたんやけど・・・

デュオが、こん中に、居ったかもしれへんの・・・

それを・・・」

「アタシが、殺しちまった!」

 

 何を言われたのか、判らなかった。

ヴィータちゃんが担いでいる、それに、デュオが・・・

 

「・・・うう?」

 

 ヴィヴィオが起きて来た様だ。

 

「・・・ア、起きた?

ゴメンね、もう少しだけ、寝ててね」

 

 ヴィヴィオの目に、ソレが触れない様に、映らない様に、覆い被さる様に抱き締め、隠した。

 

「・・・ムー! ムー!」

 

 強く抱きしめ過ぎ、苦しくなってしまった様だ。

 

「プハ!」

 

 もがき、何とかその束縛から逃れる事が出来たヴィヴィオ。

その目の端に、見覚えの有る、大きな足が見えた。

 

「あ! デュオ! アレ? また寝てるの? ソロソロ起きなきゃ!」

「ヴィヴィオ。デュオは、もう少し、寝かせてあげよ!」

「でも! もう大丈夫だって、言ってたモン!」

 

 その一言で、大人達は胸を突かれ、項垂れ沈黙が流れる。

 

「ドクターが! アレが壊れない限りは、大丈夫だって!」

 

 その言葉に反応し、ビクン! と、身を震わせるヴィータ。

 

「・・・ヴィヴィオ、ゴメン。アタシが・・・!」

 

 それを聞き、遮るハヤテ!

 

「ヴィータ! 止めるんや!」

「・・・良いんだ。どっちにしろ、何時までも、このままじゃ・・・」

「ヴィータちゃん・・・でも」

「あの、な。ヴィヴィオ」

 

 ヴィヴィオはその事を、信じたくない、知りたくない、そんな気持ちに満たされた。

 

「・・・嘘、嘘だもん! そんなの! 絶対に! 信じない!」

 

 そう言って、それが嘘で有ると思いたいが為に、その足の有る方へと、向かおうとするが、なのはが、放さない!

酷い事になっているだろう、それを。

せめて、きれいにしてからでも、遅くないと思い。決して、放さない。

 

「放して! ママ! 絶対に、そんな事は! 絶対に! ・・・う、うぁぁぁぁあああああ!」

 

 泣き崩れ、二人で抱き合い、その慟哭が、悲壮が、機内を満たした。

 

「ハン! 良い子ぶって! 何が正義よ! そんなの、悲しむ事?」

 

 それは、奥で拘束された、クアットロの口から放たれた。

 

「・・・おい。今、何て言った?」

 

 ヴィータは、その事を聞き咎め、詰め寄る。

その様を鼻で笑いながら、なお、相手の癇に障る事を言い放つクアットロ。

 

「ええ! 言ったわよ! そんなモノ。壊れただけで、また直せばいいのよ!」

 

 それを聞き、苛立ちを抑えられないヴィータ。

 

「テメェ!!」

「ヴィータ! 止めときぃ! そないな事しても! 返って来る訳でもない!」

 

 そんなヴィータを、ハヤテは怒りを抑え込んで言い放った!

 

「えぇーえ、言ったわよ? 何遍でも、言って上げる!

そんなモノ、また作れば良いって!」

「・・・ヴィータちゃん、退いて」

 

 機内から、なのはが顔を出し。無表情で、あの時の魔王発言の時の様に、感情が無い様に見えた。

 

「な、なのは?」

「なのは、ちゃん?」

「ナノハママ?」

 

 何と無く、何をしようとしているのか、気付き。

全員で、羽交い締めにして抑え込む!

 

「ダ、ダメだ! なのは! それをしたって! 如何にもならない!」

「そ、そうや! そんなんしても! 相手を喜ばすだけや!」

「でも、でも!」

「ナノハママ! 駄目!」

 

 訳も判らず、それでも、それをさせてはいけない気がし、ヴィヴィオも止めに入る!

 

「う、うぁぁぁっぁぁあああ!」

 

 何処にも、ぶつけられない怒りを、声に替えるかの如く、なのはは叫ぶ!

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

 途中、スターズとライトニングの4人に合流し、あった事を説明する。

 

 泣き崩れはしないものの、涙を溜めたまま。

ジッと、その話を聞いていた。

聞き終えると、キャロは泣き出し、エリオと抱き合った。

スバルはティアと共に、声も無く泣いた。

 

 そんな場面でも、クアットロは高らかに笑い、反感を買う。

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

 そして、最後。フェイト・シグナム・シャマルと合流した。

 

 その顛末を話すが、不思議に思った。

泣きもしない、喚きもしない。ただ、不安そうでは有った。

 

「そ、そう、判った。でも、そんなに嘆かなくても・・・」

「・・・そうだな、気にし過ぎるのも、如何かと思うぞ?」

「そうね、取敢えず、落ち着いてから。後の事を、話しましょ?」

 

 三者三様、曖昧であった。上からフェイト、シグナム、シャマル。(真相を知っている×3)

 

「何を、言ってるんだよ! デュオが、死んじまったんだぞ!」

 

 その様子に、憤るヴィータ。

 

「そうや! 何でこんな、冷静でおるんや!」

「ヴァァアァァァアア!」

 

 ハヤテもヴィヴィオも、その事を如何かと思い、泣き出しもした。

 

「フェイトちゃん、ショックなのは、判るけど。

・・・それは、親として、どうかと思うの」

 

 なのはは、そんな反応に憤りを隠せない。

 

「ゾ、ゾウでず! フェイドざん!」

「ナ゛、ナ゛ンデ、ぞんな風(ぶう)に!」

 

 涙声で、言葉に成らないライトニング。

 

「そうです! フェイトさんは、情に厚いと思っていたのに!」

「何で! そんなに冷静で居られるんですか!」

 

 憤るスターズ。

 

「イ、イヤ、そうじゃなくって!」

「皆、冷静に成れ!」

「そうよ! また、ヒョッコリ顔を出すかもしれないんだし!」

 

 そう言って落ち着かせようとする三人。焦る!

 

「シャマル(先生・さん)!」×8!

 

 その様子を見て、更に大笑いするクアットロ!

 

 それを見た、なのはは問答無用で終息《集束》砲を撃とうとする!

皆、流石にそれはやり過ぎだと、止めに入るが、有る報告がもたらされた。

 

 それをクアットロも聞き付け、目撃して、蒼白になった。

 

「ちょっと! それは!? どう言う事!?

・・・何で、それがココにあるのよ!」

 

 喚くクアットロの眼に、見覚えが有る部品の一部が、映った。

黝い、太い左腕。そこにある筈もなく、そう簡単には、外れない筈のモノ。

 

 暴れまわり、出来得る限り、近付き。

それが、有る筈の無い、ソレなのかを、確かめようとする。

 

 その剣幕に押された局員は、良く見える様にと、目の前に差し出されたそれに食い入るように見入るクアットロ。

 

「・・・間違い、無い。・・・コレ、何処に?

・・・アジトから、持って来たんでしょ? ねぇ、そう、でしょ?」(予備パーツだと、思いたい)

 

 一縷(いちる)の望みを掛け、問い質した。

 

 違った。

答えは、地上本部の長官室で、バラバラになって、発見されたと言う事だった。

それとは別に、本局にも、抜け殻じみた物が有ったと言われるが・・・

 耳には、入らない様だ・・・

 

「嘘、よ。ねえ、ウソって、言って! 嘘の筈よ! 言いなさい! 言いなさいよ!

・・・ねぇ、そうだって、言ってよ・・・」

 

 半狂乱になるクアットロ!

即座に抑え込まれるが、意に反さない。

 

「放せ! 私か! ドクターじゃなきゃ!」

 

腕の関節が外れ様が、抑え込まれ様が、気にしないで暴れまわる!

仕方なしに無理矢理拘束し、護送車に放り込まれるが、尚も暴れ、叫び続ける!

 

 それに不信感を持った皆が、その部品を見た。

 

 フェイトは卒倒し、シグナムに倒れ掛り。

シグナムは、何とか冷静を保とうとするが、足元が、覚束ない。

シャマルも、その意味を悟り、蒼白に成り、ヘタり込んだ。

 

 ヴィータとハヤテは、些かその事を不審に思うが、とくに何とも思わずに居た。

ライトニングとスターズも、特に、その事を不審に思いはしても、別段何とも考えなかった。

 

 ただ、一人、その事が理解出来てしまった。

ヴィヴィオは、それを見るなり、ヴィータが連れてきたモノを確かめ、確信した。

 

 ・・・デュオは・・・未だ・・・この近くに居ると。

 

 だから、走り出した!

何処かで、寂しい思いをして、誰かが来るのを、待っているのではないかと、考え!

 

「あ! ヴィヴィオ! 何処に行くの!?」

「あ! おい! あぶねぇぞ!」

「・・・・・・!!」

 

 そんな声も聞こえずに、瓦礫の中を走る。ただひたすらに、走る!

 

 唯、闇雲に走っていた。

何処へ行けばいいのかすら、判らず・・・

ただ、只管に、走り続け、見付けた・・・手掛かりかもしれない、何かを。

 

 そんな時に、ホンの少しだけ、何かが、詠われている様に、聴こえた。

 

 何処!?

 

 何処から、聴こえたの!?

 

 焦りに似た思いを募らせ、聴こえた所を探す!

 

 ! ・・・この、瓦礫の向こう!?

今にも崩れそうな瓦礫から、それが聞こえた気がした。

 

 足元には、自分一人なら、通れるかもしれない隙間が有った。

躊躇せず、入り込み、潜り込む!

 

「! ・・・アブねぇ!」

 

 傍を通り掛った局員が、ヴィヴィオの足を掴み、引き摺りだした!

 

「放して! この向こうに! デュオが居るかもしれないの! 放して!」

 

 そうこう言っている内に、瓦礫が崩れ出す!

 

「・・・ダメだ! 崩れる!」

「デュオ! 放して! あの中に!」

 

 羽交い締めにされ、尚も暴れるヴィヴィオ!

それでも、その様子に、尚更に放してはならじと、崩れ始めたそこから少しでも遠ざかる局員達。

そこへやっと追い付いて来た六課のメンバー。

 

 何が有ったのかは、判らないが、ただならぬ様子に、話を聞いた。

 

「うっ・・・ひっぐ、えぐ・・・あの、瓦礫の、下・・・歌が、聴こえ、たの!

デュオ、あ、れじゃ、無い!」

 

 その言葉を聞き、周囲の人々は一丸となった!

 

「! 急げ! まだ間に合うかもしれん!」

「死なせるな!」

「これ以上、死なせるんじゃないぞ!」

 

 何処からか、生存者がまだ居るかも知れないと、聞き付け。

集まる局員。

中には、局員ではなく、一般市民も混じり、瓦礫の撤去を手伝う!

・・・手伝いを申し出る!

 

 野太い女言葉の人も、喫茶店の店員も、その客達も、手伝い、撤去する!

 

 

 数時間後

 

 

 絶望感しか無い中、瓦礫が全て取り除かれた。

 

 残ったのは、大きな岩だけしか、残っておらず。

 

 その岩を中心に、ドーナッツ状に除けられた、瓦礫。

皆が、絶望しかけた。

 

 ポツポツと、雨が降り出し、瞬く間に、大降りになった。

埃を被り、灰色にしか、見えなかったそれが、洗い流された。

それは翡翠の如き緑色をしていて、透明度が高く、中が透けて見えた。

 

 その中に、子供を抱(いだ)く、母親が、見えた。

 

 それを見て、皆、間に合わなかったと、諦めた。

ただ一人だけ、諦めず。諦めきれず、傍に駆け寄り、叩く!

ただ、それだけで。

大して力が入らぬ、それだけの力で。それは、砂礫の如く、崩れた。

 

 足元に拡がるそれを、掻き分け、その母子の元へと、ヴィヴィオは急ぐ。

呆気に取られながら、確かめようとする、周囲の人々。

自分達のそれが、間に合わなかったのか、そうでは無いとしても、せめて、結末を見届けようと・・・

 

 何人かは、絶望した。

母親の胸に、赤い、血の跡を見て。

もう、流れてはおらず、少なからぬ量の血が出ている事が判って・・・

 

 何人かは、奇跡を願った。

せめて、子供だけでも、助からないかと。

有り得ないかもしれないが、せめて、それが、救いには成らないだろうかと。

 

 何人かは、何も出来なかった。

考えられず、如何すればいいのすら、分からず。

ただ見届ける事しか、出来ない。出来なかった、自分を呪う。

せめて、冥福を祈る事位しか、出来ない。自分を、恨んだ。

何か、出来たのではないか。

何か、出来る事が有るのではないか。

何か、何か・・・答えが、出ない。出せない、自身を、呪い、恨み、妬んだ。

 

 ただ、その母親の顔は、不思議と穏やかであった。

せめて、この子を守り切れた事を、そう有れた事を、誇りとしていた。

その事を、見てとれた者は居たであろうか?

居ないのかも、しれない。

それでも、その事を、その結果を、残す事が、出来た。

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

 風が・・・頬を撫でた。

頬が・・・濡れた。

・・・寒い。

     ・・・ココは、寒い。

           ・・・さっきまでは・・・温かった・・・筈なのに。

                ・・・急に・・・寒い。

 

何か・・・聴こえる。

      さっきまでは・・・何も・・・聞こえなかった。

 

・・・誰?   聴こえなかった   ・・・筈の声が       ・・・聞こえる。

 

呼ばれてる?

 

   呼んで・・・くれてる?

 

         その名前は・・・私のモノ。

 

               私の、名前。

 

だから、私は、貴女の、名前を、呼ぼう・・・【ビビオ姉】

 

「! デュオ!」

 

 その声が、聞こえた。

 

「まだ! 生きてる!」

 

 歓声が、喝采が、挙がった!

 

 ・・・その場に居る、全ての人が、聞いた。

 

 ・・・声鳴き声を、喪われたモノを、嘆く声を・・・

 

 ・・・鳴り止まぬ、その慟哭を・・・

 

 

【ただ、聞く事しか、出来ない。

 

 受け止める事しか、出来ない。

 

 喜びと共に、悲しみが有る。

 

 悲しみが有るからこそ、喜びも有る。

 

 悲しんで居るからこそ、次に喜びが訪れん事を、願わずには、居られない。

 

 喜べる事が有るからこそ、悲しみも、また、哀しい。

 

 出会いが有り、別れが有り、楽しみが有り、辛さが有る。

 

 それを、忘れたくは無い。

 

 どちらかしか、無いのではなく。どちらも、有るからこそ、それを、感じる事が出来る。

 

 だから、私は、まだ生きている事を喜び、その為、喪ったモノを、悲しむ】

 

 

 それを、その場に居た全員が、声無き声を、耳にした。

 

 それを、喜び、悲しみ。泣きながら、笑い。笑いながら、涙した。

 

 それは、その場に居た、全員の記憶に、刻まれた。

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

「って、こんな事が有ったのに!

肝心の本人は、何も覚えて無い!」

 

 病室にて、大声を上げ、手振り身振りで説明する、ヴィヴィオ。

 

【ワッカンナーイ!】

「まぁまぁ、ヴィヴィオも落ち着いて!」

「そうよ、ヴィヴィオは、お姉ちゃんだから、もう少し落ちつこうね!」

 

 ヴィヴィオがその事に触れ、問い質すが、空と呆けるデュオ。

それを諌め様とする、なのはとフェイト。

 

「・・・でも、良かった。

そないに酷くも無いし、もうじき出られるんやろ?」

「まったく、アイツ(クアットロ)が、何であんなに減らず口が叩けるのか、合点(がてん)が行ったけどさぁ。

アレをやったのがお前だって事は、言い逃れは出来ねぇよな?」

【何(ナァニ)? ソレ?】

 

 ハヤテは、その事に安堵し、ヴィータは、それ以前の事を問い質す。

その事は覚えていないと、惚けるデュオ。

 

「まぁまぁ。それよりも、私達の事は覚えてるの?」

「そうだな、その事は、確かめておかないとな」

 

 そう聞いたのは、シャマルとシグナム。

呼ばれ方が気になる様だ。

 

【・・・敵! ・・・誰? ・・・バカ舌(じた)? ・・・爆ニューン?】

 

 愕然としながら、ヨロメク二人。

周囲は、笑いを堪えつつ、如何反応すれば良いのか、悩む。

 

「マァマァ、じゃあ、私は?」

「あ、私も!」

「じゃあ、アタシは?」

「私は?」

 

 なのは、フェイト、ヴィータ、ハヤテが問う。

 

【・・・悪魔? チガウ・・・マオー? ・・・! 大マオー!

・・・敵? ・・・夜叉!? ロシュツキョー? ・・・! 鬼!

・・・ビー? ・・・蜂(ハチ)? ・・・ロータリー? ・・・! ビータママ!

・・・豆狸? ・・・綺麗デ美人ナハヤテオ姉チャン!】

 

 怒るに怒れなくなった、なのは。怒れば、それで確定するだろうから。

 ヘタり込むフェイト。

 一喜一憂し、思わぬ答えを貰い、感激するヴィータ!

 口の端が上がりかけたが、意外な答えに、顔を赤く染め、病室を飛び出すハヤテ!

 

【・・・綺麗デ美人ナハヤテオ姉チャン? ・・・綺麗デ美人ナハヤテオ姉チャンハ、ドコイッタノ?】

 

 素の表情で、言ってのけた!

 

「じゃあ、私達は?」

 

 そう言う、ティアナとスバル、エリオとキャロとフリード。

 

【・・・ブランコ(ブラコン)? ・・・魔人? ・・・エロオ! キャオ! クリーム!】

 

 何だか判らない様子の二人、落ち込むエリオ、以前も呼ばれた事も有り、納得するキャロ。

フリードは・・・逃げた!

 

「・・・良い? 私は、ティアナ。で、こっちが・・・食欲魔人・・・でいっか!」

 

 スバルの顔を見て、何と無く、納得して言うティアナ。

 

「ひ、酷い! ティア! じゃあ、この人は! ・・・水色縞々!」(何が!?)

「へ?」

【オー、水色縞々?】

「何て事教えてるの! スバル!」

「えー? だって、今日それでしょ?」

「ち! 違わないけど・・・違うの! 良い! こっちは! 鉄拳! 鉄拳ね!」

 

 スバルの口を塞ぎつつ、訂正するティアナ!

 

【石鹸?】

「んー、一寸違うな、鉄拳ね、てっけん!」

【鉄拳?】

「そう、良く出来ました! じゃあ、私は、ティアナね!」

【オォウ! 水色縞々ト鉄拳!】

「「ち、違う!」」

 

 軽く落ち込むティアナとスバル。

 

「じゃあ、私は?」

「あ! ギン姉! ズルイ!」

【・・・キンカン? ・・・金貨? ・・・! 銀杏!】

 

 匂いが良くなり、近付き、綺麗になり、一気に臭う!

よよよ! っとばかりにふらつくギンガ。

 

 それを見て、それ見た事かと笑うが、人の事を言えない二人。

 

「まぁまぁ。私は、キャロ・ル・ルシエ、キャロって呼んでね!」

【オー! ・・・Karotte = カロッテ = 人参?】

 

 ビキッと固まるキャロ。

 

「アハハハッ! た、確かに、ニンジンだよね!」

「プッ! わ、笑っちゃ、ダメよ! スバル!」

「・・・良いです、縞々水色さん、鉄拳さん」

「じゃぁ、私の事、覚えてますか?」

 

 リィンも気になるのか、会話に参加して来た。

 

【・・・ツォイ? ・・・リー?】

「うーん、近いですけど、ハッキリして無いみたいですねぇ。

私は、リィン・フォース・Ⅱ《ツヴァイ》です! ヨロシク!」

 

 そう言って、小さな手を差し出す。

 

【オー、ヨワイ《ツヴァイ》! オボエタ!】 =誤認

 

 それを聞き、がっくりするリィン・フォース。

 

「じゃあ、私の事は、覚えてる?」

【・・・チャーリー!】

「あ、はははは・・・私はシャーリーね。よろしく」

 

 そう言って、そそくさと出て行く。これ以上、酷くはならない内に、出て行く事に決めたシャーリー。《賢明な判断?》

入れ違いに、リンディ提督が入って来て。何が有ったのかを聞いて、尋ねる事に。

 

「私は、誰だか判るかな?」

【・・・オバアチャン?】 =正答?

 

 ピキッ! 合ってはいるが、そう言われたくは、まだ無い。

周囲の温度が十度下がった!

 

「・・・私は、リンディ・ハラオウン。フェイトのママで、ママママって呼んで貰える?」

【オー、ママママ?】

「ウン♪ 良い子ね♪ 良い子にはお菓子を上げましょう♪」

 

 そう言うと、ドッサリと、大量のお菓子を手渡す。

大喜びする子供たち!

 

「・・・母さん、それはやり過ぎじゃあ」

 

 そう言って入って来たクロノ。

 

【アッ!】

「ん? 覚えてるのか?」

 

 一寸だけ期待するクロノ。

 

【悪人! 悪代官! 黒幕(ふぃくさー)!】

 

 悪化しただけだった!

 

「ク、クロノ。災難ね!」

 

 リンディが慰め様とするが、顔が笑っている!

 

 

≪ここからは甘ったるい、会話です。耐性が無い方は、飛ばして下さい! ・・・私も無いが・・・楽しみます!≫

 

 

「プッ! あははは! そんな風に呼ばれてたの? アナタ!」

「エ、エイミィ! 何で! !・・・まさか!」

「ああ、あの子達は、預けて来たから聞いてはいないわよ?」

「そ、そうか」

 

 それを聞き、あからさまにほっとするクロノ。

 

「でも、アナタ次第でね?」

「・・・何が、欲しいんだ?」

「ヤァネェ! そんなに物欲しげに見えた?」

「そ、そうか・・・」

「デ・モ・アナタの誠意しだい、かしら?」

「!・・・何が欲しいんだい、エイミィ?」

「ヤーネー、そんな他人行儀だ・か・ら!」

「・・・判った。・・・ハニー、何が、欲しいんだい?」

「んー、もう一声! ダーリン!」

「・・・ハニー、何が望みだい? 何でも言ってごらん?」

「うん、あのね? ゴニョゴニョゴニョ(ご想像にお任せ!)」

 

 耳元で囁く様に話す、周囲には、余り聞こえない! ったら聞こえない!

 

「・・・判った、努力しよう」

「じゃぁ、約束ね♪」

 

 

≪終了?≫

 

 

 置いてけ堀を食らった周囲を余所に一人、全てを聞きとっていた!

 

「私の事は、覚えてるかな? 一回位しか会った事は無かった筈だけど・・・」

【・・・オツトメ? モウ一人? 頑張ル?】

「え? ・・・キ、聞こえてた?」

 

 コク!   力強く頷いた!

 

「そ、そっか! じゃあ、今の事は内緒に、しててくれるかな?

・・・私は、エイミィ。君の伯母さんに当たるの。そ、それだけ、覚えててくれればいいから!」

 

 それだけ言うと、クロノを引っ攫って駆け出した!

 

『ちょ! 待て! エイミィ! まだ訂正が・・・』

 

 そんな声を残し、慌しく消えた!

 

「あらあら、行ってしまったわね。

じゃあ、私もソロソロ行くわね。あの子達を預からないといけないし♪」

 

 リンディ提督は逃げた、酷くなる事を恐れ。

 

「じゃ、じゃあ、コレは・・・覚えてる?」

「そ、そうだな! 我々だけでは無い筈だ!」

 

 シャマルとシグナムが、一人だけ逃げる事は許さんと、ザフィーラを強引に連れて来た!

廊下には、延々と爪跡が残っている!

 

 

『な、何だ!? この傷痕は!?』

 

 そんな叫びが廊下から聞こえて来るが、病室の皆は誰も気にしては居ない。

今はこちらが気になる様だ・・・

 

 

 ヴィータは感激の余り、未だ呆けている!

 

【・・・モフモフ? ワンワン?】

 

 ガーン! とは思ったが、まだ、平然としていられたザフィーラ。

 

【・・・サフーラ!】

 

 ふっ! とばかりに胸を張るザフィーラ。近いが、覚えて貰えたから満足げだ。

語彙がまだ、乏しいからと理由を付け、納得する。

 

「我が名は、盾の守護獣、ザフィーラ。以後、お見知り置きを」

【サフラ、デ良イ?】

「・・・結構」

 

 そう言うと、去って行った。足取りは軽かった!

 

 それでも納得が行かず。シャマルは旅の泉を発動!

アルフを召喚! 子供モードで有った!

 

「なら、こっちは!?」

「そ、そうだ!」

 

 イキナリ召喚され、何が何だか判らない様子のアルフ。

 

「な、なんだよ! イキナリ! お? デュオじゃねーか、元気?」

【アウフ!】

「オー、相変わらずだな! でも、元気そうでなにより!」

 

 そう言って、デュオの髪をクシャクシャとかき混ぜるアルフ。

それを見ていたフェイト。

 

「ア、アルフ? 何で、そんなに、親しげに?」

「え? だって、フェイトが忙しそうだったから、代わりに顔出してたんだけど?」

「ふ、ふふふ!」

「な、なんだよ! コエェよ! ・・・フェイト?」

「チョット、イイ?」

「コエェゾ!?」

【オー、鬼ダ!】

 

 フッと、我にかえり、静かに部屋を後にするフェイト。

 

「な、一体何が?」

 

 その後、直に帰って来た。

フェイトは、ある小動物を手に。

その手のモノを見て、なのはは、一言。

 

「・・・あ、そっか。私達だけじゃ、無いモンね!

グッド・アイデアだよ! フェイトちゃん!」

「・・・デュオ、コレは、判る?」

 

 その気勢いに圧され、ジッとしている小動物。

 

【・・・誰?】

「ははは! なのは!」

「う、うん! フェイトちゃん!」

 

 何となく、勝った気分になれたなのはとフェイト。

だが、デュオはじーっと見た挙句、抱き上げ、問い掛けた。

 

【オバーチャン、誰?】

「ははは・・・は?」

「ふふふ・・・え?」

「オ、オオ! その年で良くゾ、ワシの歳を当てられたナ! 褒美を取らソウ!」

 

 外から、急いで走る音が複数、聞こえて来た。

 

 ダダダッ! 『コラー! 廊下を走るな!』『済みません! 急ぎなんです!』

『長老(ちょうろー)! 何処ですかぁー!』『長老(ちょうろー)!』

 

 聞き覚えのある声と、違う声が幾つも・・・

 

「え、えっと」

「あ、え?」

 

 戸惑いを隠せない、なのはとフェイト。

 

「ア、長老じゃん! 如何したの? 今日は」

 

 アルフは、誰であるかを知っている様で、普通に会話をする。

 

「ウム、ユーノの奴が如何して居るか、見物に来たのじゃが。

ソコのに拾い上げられての。ココに、連れて来られたんじゃ」

 

 そう言ってフェイトを指し示す。

 

「・・・そっか、ユーノと毛並みが似ているモンね!」

「フォフォフォッ! そう言われると、まだまだ若い者(もん)には、負けてはおれんな!」

 

『こっちに反応が有る!』『者ども続け!』『長老を、奪還するんじゃァ!』

 

 そんな声が聞こえる!

 

【エット、デュオ、デス。・・・オバーチャン、オ名前ハ?】

「フォフォフォ! ワシか? ワシの名はナ、こうじゃ」

 

 そう言って、デュオの額に手を当てる。

そこに、名前が伝えられる。

みだりに、口にはしない事、口にするのであれば、呼び出す事になる事。

普段呼ぶ時は、長老(エルダー)と呼んで欲しい事が伝わる。

 

【オー! エルダー!】

「何じゃナ?」

【ヨンデミタァ!】

「そうかそうか! フォフォフォッ!

めんこい子ぉじゃナァ、母親に似ズ!」

 

 フェイトは、痛恨の一撃を受けた!

 

【・・・デモ、今ノ、ママ】

「そうかぁ、ええこじゃナァ」

「あ! こちらにいらっしゃいましたか! 長老!」

 

 そう言って、飛び込んできたユーノ。

 

「なのは! フェイト! ココに不審な奴が来なかった?

長老を誘拐した奴なんだけど!」

「にゃ、にゃははっは!」

「う!」

 

 なのはは、笑って誤魔化すしかないかと笑って見る。

フェイトは息を詰まらせ、どう弁解しようか戸惑っている。

救いの手は、斜め向こうからやって来た。

 

【ア! インジュー!】

 

 ビキッと固まるユーノ。

 

「ホォ、そんな呼ばれ方をしておったのカ。ユー坊」

「ちょ、長老? それより、犯人を!」

「もう、ええ。そんな事より。お主に躾をせなアカンからナ!」

 

 そう言うと変身し、真っ白な髪の絶世の美女と化し、ユーノの耳を引っ張り、退出して行こうとする。

 

【バイバーイ!】

「ああ、また、顔を見せておくれヤ」

 

 そう言って、引き返して来て、額に祝福を施し、出て行った。

 

『チョ、長老! それは!』『・・・黙っておレ!』 ゴン! と鈍い音も。

 

「スゲーよなぁ。アレでそーとー長生きしてんだって!

偶に顔出す位で、滅多に会えねぇし、会えても、フェレットのままだから。

あの姿が拝めるのは、極限られた人だけだから、見れたら幸運(ラッキー)だってさ!」

 

 そう語る、アルフ。

 

 その病室は、何時も、賑やかであり、笑顔が絶えない部屋で有った。

 

 ただ、夜になると、声なき泣き声が、その部屋を満たす。

喪われたモノを、嘆き、悲しみ・・・

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

思い浮かぶがままに、思い描けるがままに・・・




これで、一応の終りとさせていただきます。

ENEMY Side は完結とさせていただきます。

一応、続きがございますので、継続してそちらも楽しんで頂ければと・・・


次回 Mimic!?


号外編へと、続きます。
小ネタや、短編じみたモノと相成ります。

Vivid編までのつなぎとして、空白期を便宜上、Mimic編とさせていただきます。
人を食った様なお話しで、良い子(?)に擬態した悪い子(?)なので・・・
子供らしく(?)、イタズラ三昧!

ワタグラVivid?に載せていたお話しを、こちらに統合する事も考えております。

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