魔法少女リリカルなのはStrikerS ENEMY Side   作:トータス

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思い浮かぶがままに、思い描けるがままに・・・


第十三話   行き違う思い

行き違う思い

 

 

 本体に意識を引き戻された。

何かを、思い出せそうな気もしたのだが。

クー姉から、こっちが忙しいから、こっちを優先する為に言われた。

 

 侵入して来た敵の迎撃。

今はそれを優先する!

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

 今度は、出来れば捕獲する様に言われた。

だったら、何が良いのか?

射出系(ランチャー)? 投網(レテ)? = ・・・ネット・ランチャー?

 

 でも、相手は速過ぎる・・・

 

 ・・・ポン!  仕掛罠(トラップ)!

 

 ・・・餌は?  ・・・ポン!  ドクター!

 

 だったら、準備しないと!

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

 一番の玩具箱? =スクラップ置き場でゴソゴソと、使えそうなモノを漁る。

 

 ・・・確かココに・・・有った!

 

 ・・・それと、コレと・・・コレ!

 

十分後

 

 ガサゴソと、あり合せのソレを組み合わせて行く。

・・・出来た! 即席だけど、良い考え!

 これなら、ドクター。大満足な・・・筈!

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

【ドクタ! コレ!】

「・・・何だい? ・・・それは」

 

 防弾チョッキの様なそれ。ボディ・アーマーにも見える。

 

【捕マエル! 作ッタ! 着ケテ!】

 

 何を言われているのか、今一判らないが、言われるがまま、白衣を脱ぎ、それを身に着ける《注!=極一部に対し》心優しいスカリエッティ。

その上から白衣を着る。

見た目、そんなに変わらない。

 

【・・・OK】

 

 そんな様子を微笑ましく思いつつ、スカリエッティは優しく諭す。

 

「・・・何をするのか判らないが、お前は気を付けていなさい。

病み上がりなのだからな」

【ハァイ!】

「フ、返事は良いな。だが、当てにしているぞ」

【オー!! ・・・オ?】

 

 

 後ろに何かが、見えた!

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

 フェイトはスカリエッティを補足した。

 

 居た、相手は百目鬼(ドウメキ)。向こうには、死角が無い。

こちらが見付けたと言う事は、既にこちらの場所も捉えられている筈。

だったら、一瞬で回り込んで、仕留める!

 

 ヴェロッサや、シャッハと逸れたのは、不味かった。

せめて二手からなら、何とか、確実に仕留められるのに・・・

 

 もう、不意を突いてどうこうと言う訳にも、行かない。

 

 再度確かめると、スカリエッティと同行している。

・・・ならば、スカリエッティに、止めさせるまで!

 

【ソニック・ムーヴ】

 

 相手の不意を突き、スカリエッティの後ろを取り、バルディッシュを突き付ける!

 

「・・・オヤ、随分と手荒い侵入者だね」

 

 驚きはしても、まだまだ余裕を見せるスカリエッティ。

直に落ち着き払い、泰然とした態度を崩さない。

 

「貴方を、世界規模のテロリズム・違法医学の実行。その他多数で、逮捕します!

・・・あと、それに動かない様に命令しなさい!」

「オヤオヤ、随分と警戒されているね。

だが、あの子は下がらせて貰うよ?」

 

 その言葉に眉を顰(ひそ)めつつ、平然としながら、そんな事を言うスカリエッティ。

 

「! ・・・それは、どう言う事かしら?」

「なに、あの子は病み上がりでね。アレが壊れたら、一日と持たずに死んでしまうだろう。

そんな事になったとしたら。私は娘達に嫌われてしまうからね。

それだけは避けねばならないし。アレは、私の可愛い孫だからさ」

 

 そう言いながらデュオの方へ顔を向け、落ち着き払った様子で、

 

「ココは危ないから、向こうに下がっていなさい」

【・・・イイノ?】

 

 咄嗟に動く事が出来なかったが、如何にか出来る手は残っている。

ただ、そう言うのであれば、もう暫くしてからの方が良いのだろうか?

 

「今は私の身より。お前の身に何かが有った方が、心配だからな。

だから、下がらせても良いだろうか?」

 

 フェイトは逆に問われ、逡巡する。だが、出せる答えは決まっていた。

自分も、親である事から・・・

 そんな姿を見せたくは無い、と言うのであれば、聞いてやっても良いのではないかと考えた。

 

「判ったわ、その代り。見える範囲で端によって、座っていなさい」

「言われたとおりにしなさい。

そうすれば、暫くは大丈夫なはずだから」

 

 言われたとおり、部屋の隅に身を寄せ、蹲(うずくま)る。

 

 スカリエッティを椅子に座らせ、その辺りのコードを引き抜き、縛り付ける。

それから、尋問した。

 

「・・・随分、良く言う事を聞くのね」

「・・・そりゃ、私の可愛い孫だからさ」

 

 それを無視し、その巨躯に問いかけた。

 

「・・・名前は?」

【・・・】

 

 帰って来たのは、沈黙。

 

「答えて上げなさい」

 

 スカリエッティの一言で答えた。

 

【・・・デュオ・J・スカリエッティ】

「! ・・・幾つ、なのかな?」

 

 何となく、幼子に問う様に声を掛けるフェイト。

 

「さぁな、そればかりは、私にも判り兼ねる。多分・・・3~4歳かな?

判っているのはそれ位だ」

 

 それを聞き、思い浮かべる。では、この、中身は?

顔をきつく引き締め、さらに問うた!

 

「・・・じゃぁ、この間の襲撃で、貴方達が攫って行った、ヴィヴィオとデュオは・・・何処?」

「・・・ヴィヴィオ陛下に関しては、揺り籠だ」

「デュオは!?」

「目の前に、居るが?」

 

 そう言い、指し示した。

 

「そ、そんな!」

「あー、間違っていたらアレだが、デュオに関してはあのままであれば、死を免れなかった。

だから、連れ帰った。

今は、アレで症状を抑え込んでいるに過ぎない」

 

 そう言われ、最後に別れた時の事が、浮かんだ。

 

「・・・デュ・・オ?」

【ナァニ?】

「私の事、覚えて無い?」

【・・・敵! 夜叉! ロシュツキョー! 鬼!】

 

 グッサリ! バッサリ! ハキハキと答えられた!

 

「ハッハッハッ・・・! イダダダァア!」

 

 その答えにスカリエッティは大受けし、大笑いするが、フェイトにバルディッシュでゴリゴリと、コメカミを抉られた!

 

「・・・どう言う事か。応えて、貰えるかしら?」

 

 凄味が五割増しになった!

 

【・・・オオウ! オッカナイ!】

 

 更に倍に!

 

「! イダダダ! タンマ! タンマ!」

 

 更にゴリッ! ガリッ! と、抉らんとするフェイトに待ったを持ちかける。

 

「おう・・・イツツ! これは結果としては、まだ良い方だ!

そのままであれば、全てを喪い、戻らなかったはずだからな。

だが、此方には記憶のバックアップが有り、その分の記憶だけは取り戻せたんだ!」

「じゃぁ、それ以後は?」

「・・・多少であれば、思い出せるだろうが・・・

全てを思い出せるかは、判らない。

・・・それに、まだ予断を許さない状況でもある」

「そう、でも、あなたを捕まえておけるのであれば、それは防げるかもしれないと言う事でもあるわね」

「そう、上手くいくかな?」

「それは? ・・・!」

 

 

 目前に迫って来た巨大なブーメラン!

フェイトは咄嗟に避けた事で大事は無いが、デュオが居ない!

 

「こう言う事だ!」《トーレ》

 

 声がする方を見ると、離れた所で、抱き抱えられられた姿。逆の方が似合うだろう姿が、目に飛び込んできた!

俗に言う、お姫様抱っこされて離れて行くデュオ!

トーレに抱えられ、満更でもなさそう。《=楽が出来るから!》

 

「あ! 待ちなさい!」

「・・・おぉい、私は如何なるんだ?」

 

 置いてけぼりを食らうスカリエッティは、そんな事を小声で言う。

 

「そうだった!」

 

 フェイトは、スカリエッティをそのままにする事も出来ず、椅子ごと引き摺ってでも追おうとする!

 

「ギャヤアアァァァァァア!」

 

 後ろ向きに、猛スピードで椅子の足が削られて行く!

その事に、ある種の恐怖を覚えるスカリエッティ。

そのまま、引き摺られてしまうのではないか!?

そして、擦り下ろされてしまう!?

 

 だが、そうはならなかった。

代わりに椅子がバラけ、猛スピードで壁に激突!

 

 ドゴンッ!

 

 後頭部を抑え、ゴロゴロと転がるスカリエッティ。

頭部だけが痛み、体は痛くは無かった!

 孫から貰った初めてのプレゼント《?》に感謝していた。

だが、それも長くは続かない!

 

「ああ、有った有った!」《物扱い?》

 

 鬼《フェイト》が、還って来た!

 

「ふ! そんな事で、私をどうにか出来るのか?」

 

 そんな風に、一寸だけ強がって見た。

 

「してみせるわ! 私は、あの子の為なら、鬼にでも成って見せる!」(すでに鬼!)

 

 流石に頭部を強打した事もあり、直には動けないスカリエッティ。

傍まで来て掴み上げ、引き摺ろうとするフェイト。

そこへ、小さな声が聞こえて来た。

 

【・・・ポチットナ!】

 

 突如、スカリエッティの白衣が、ブッ飛んだ!

周囲にネットが張り巡らされ、スカリエッティを中心とした、クモの巣の様なモノが、形成された!

 

 それを真近で浴びた為、簀巻きにされたフェイト!

 

 

   ・・・   ・・・

 

 

 それを、離れた所で確認したセッテ。

ドクターは・・・無事そうだ。

怪我が無いと言う意味では・・・

 

「・・・それは?」

 

 そう、傍に居た甥っ子に尋ねた。

 

【敵サン・ホイホイ!】

「スゴイナ、それは・・・」

 

 棒読みになるトーレ。

流石に置き去りにする位で、ドクターがどうにかなるとは思わなかったが。

ドクターは自分を餌にする孫を、どう思うのかが心配になった。

イザと言う時には、自分たちが離反してでも守ろうと決めたとか、決定したとか?

 

 頼もしく、末恐ろしい甥っ子を撫でながら。

セッテは決めた、敵には回すまいと・・・

 

 ウーノは全てを見届け。そして、見なかった事にした!

 

 ドクターは、始めて貰ったプレゼントが爆発した時には、意識がぶっ飛んでいた!

・・・何も、覚えてはいなかった!

 

 ただ、孫のプレゼントが自分を救ってくれた事だけを、事実として受け止めた。

どんな方法で有ったかは、思い出せないし、思い出したくなかった?

 

 

   ・・・   ・・・




まぁ、こんな感じにフェイトは捕まり、ある程度の真相を知る事に・・・

次回 送迎

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