魔王少女の女王は元ボッチ?   作:ジャガ丸くん

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今回は少し駄文になってしまったかもしれません。

次話はもっとよく描けるように頑張りますm(__)m

また誤字脱字などあればご指摘お願いします。
コメント投稿してくれました方々本当にありがとうございます。
コメントがあるだけで頑張れる気になるので今後ともよろしくお願いします。






元ボッチ主導♪始まる特訓

「私はヴィザ、八幡殿の眷属で駒は騎士、悪魔です。皆様以後お見知り置きを」

 

「僕はユウキ、八幡の眷属で同じく騎士、悪魔だよ。みんなよろしくね」

 

「私はシノン、同じく八幡の眷属で駒は僧侶、悪魔よ。10日間よろしく頼むわ」

 

 

 

 

 

『はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああああああああああ‼︎‼︎‼︎‼︎⁉︎』

 

ヴィザ達が自己紹介をし、俺が爵位と駒を持っていることを話すと辺りに絶叫が響き渡った。

 

「お前らうるせーよ、発情期か?」

 

片目を閉じ顔を顰めながら言う俺に彼らは揃って問い詰めてくる。

 

「いやいやいや‼︎ちげーよ⁉︎ってかなんだよ。ってことはあれかお前は自分だけのハーレムを作れるってことか⁉︎しかもそんな可愛い子を2人も連れて‼︎⁉︎死に晒せよ‼︎」

 

「何言ってんだ、お前は?こいつらは大事な仲間だぞ?手なんて出すわけないだろ?」

 

「「僕(私)は手を出されてもいいけどね(わよ)」」

 

呆れながら言う俺の言葉を消すようにユウキとシノンが横から口を出してくる。

 

「やっぱりハーレムじゃねぇか⁉︎」

 

イッセーはイッセーで膝を着き涙を流している。

 

「あらあら、てっきりセラフォルー様の眷属で八幡君の同僚かと思いましたが、まさか八幡君の眷属でしたか」

 

「セラフォルー様の女王ですし、持っていても不思議ではないけど……本当に持ってるなんて……」

 

純粋に驚き興味深そうにユウキ達を見る姫島先輩の言葉にリアス・グレモリーが反応する。

まぁ、彼女が知らなくても無理はない。2年半前といえばちょうど彼女はこの駒王学園の下見として既にこちらで住み始めていた頃だ。

それにタンニーンのように元々のスペックが桁外れな種族からの転生なら未だしも人から転生したものが持っていることが驚きなのだろう。

 

「八幡先輩が爵位持ち………っ……になればよかった」

小猫は小猫で何か言っているが所々聞こえない。

 

 

 

「っ⁉︎」

「…………」

 

「八幡さんってすごいんですね?」

「そうだね……」

 

視線を横にそらすとアーシアと木場が2人で話しているがその横にいる俺の元部活仲間は揃いも揃って目を見開き驚いたままでいる。

 

 

「それで誰がどの子で私たちはそれぞれどの子の面倒を見ればいいの?」

 

各々が驚いている中シノンが俺に疑問を向けてくる。その言葉を受け俺はグレモリーへと視線を移すと

 

「っ‼︎ごめんなさい。其方だけに紹介をさせて私達がしていなかったわね」

 

そう彼女が言うとまるで決まっている台詞の用に順々に挨拶をしてくる。

 

「私が彼らの主であり、悪魔でもあるグレモリー家のリアス・グレモリーよ。3年で爵位は公爵。よろしく頼むわ」

 

 

「僕は木場裕斗、年齢は比企谷君と同じ2年生で騎士だよ。えーと悪魔です。よろしく」

 

 

「えっと……1年生。……搭城 小猫です。戦車です。…悪魔です。よろしくお願いします」

 

 

「3年生、姫島 朱乃ですわ。一応、副部長も兼任しております。駒は女王。今後もよろしくお願いします。これでも悪魔ですわ」

 

 

「アーシア・アルジェントです。2年生です。最近悪魔に転生しました、元シスターで僧侶です。えっと、悪魔なのでよろしくお願いします」

 

 

「兵藤一誠です。ぐす、2年生で兵士です。悪魔です。よろじくお願いじます」

 

 

「えっと、由比ヶ浜結衣、2年生で戦車です。悪魔ですのでよろしくお願い……します」

 

 

「雪ノ下雪乃。2年で騎士。悪魔なのでよろしくお願い……するわ…………」

 

 

挨拶が終わると微妙な空気が場に流れる。

イッセーは終始涙ぐみながら話しているからスルーするとしてこの空気になった根源は……

 

 

「ユウキ、シノン。それにヴィザ」

 

俺が声をかけることで雪ノ下と由比ヶ浜に視線を向けていた3人がこちらを向く。

 

「ねぇ、八幡………」

 

「グレモリーの眷属だ。」

 

シノンが全て言い終える前に先に答える。

 

「でもさ……」

 

「かしこまりました。それならば致し方ないでしょう」

 

「「ヴィザ⁉︎」」

 

ユウキが追うように話そうとしたところで今度はヴィザが話を切る。話を切られたことよりもヴィザが納得したことに対し2人は責めるように声を発するがヴィザは全く動じない。

 

「今回の件はセラフォルー様にサーゼクス様、そしてグレイフィア殿、御3名から頼まれたことです。ならば納得するほかないでしょう。」

 

「「む~~~」」

 

ヴィザの言葉に2人はなんとも言えない表情で唸っている。そんな2人に対しヴィザは、それにと言葉を続ける

 

「八幡殿が気にしていないことを我々が気にして迷惑をかけることこそ、眷属としてあるまじき行為ではありませんか?おふたりの気持ちも充分わかりますが、今は抑えましょう」

 

そう言ってヴィザは俺の方へ視線を移す。

その視線に俺がうなづきで答えると2人はそれ以上は不快な顔を見せなかった。

 

「わりぃなうちの眷属が」

 

「い、いえ、別にいいのよ」

 

おれの謝罪にリアス・グレモリーは慌てて手を振る。

 

「さてと、んじゃ、そろそろ始めるか」

 

そう言って首を鳴らし全員の視線を集める。

 

「まずヴィザは雪ノ下と由比ヶ浜な。お前が適任だし、何よりユウキ達じゃ死にかねん。」

そういって俺は雪ノ下達へと視線を向ける

 

「かしこまりました」

 

俺の視線と言葉にヴィザは腕を体の前で曲げ頭をさげる。周りはというと俺の、死にかねん、という言葉に反応してか顔がやや青ざめている。

 

「次にユウキは小猫と木場だ。限界までふたりのこと追い込んでいいぞ」

そう言って今度は小猫と木場に視線を向ける。向けられたふたりは後ずさっていた。

 

「りょーかーい」

 

後ろに音符がつきそうなほど楽しそうにユウキは返事をする。

 

「追い込んでもいいけどやり過ぎるなよ……」

 

「わかってるよー」

 

一抹の不安は残るが次に行くか……

 

「んでシノンは姫島先輩とリアス・グレモリーだ。こっちに関してはやり過ぎなくらいでいいぞ」

 

「「ちょっ⁉︎」」

 

俺の言葉に2人が反応するが

 

「わかったわ」

 

シノンのまるで獲物を見るような怖い笑みを見ると黙ってしまう。

 

「そんくらいしなきゃメンタルなんて鍛えられねぇよ。姫島先輩は完全に巻き添えだけどな」

 

俺が付け足すと姫島先輩がリアス・グレモリーの方を見ていた。リアス・グレモリーは申し訳なさそうに姫島先輩のほうを見ていたが………

 

「最後にアルジェントは全員のところを回れ。んで怪我してるやつを治し続けろ」

 

「わかりました」

 

俺の言葉に素直に彼女は返事をする。

マジで純粋すぎるだろ………

 

あいつの任が終わったらしばき倒そう……

俺は心にそう誓った。

 

 

 

「ユウキ達は事前にやることは言ってあるから大丈夫だよな?」

 

「もちろん」

「ええ」

「心得ております」

 

三者三様の返事。

しかしそこには主に対する敬意も含まれている感じがした。

 

「よし、それじゃあ始め‼︎これから10日間みっちりやるぞ」

 

『はい』

 

と辺りにも響く声を張った瞬間、木場と小猫が吹き飛ばされた。

 

『はい?』

 

リアス・グレモリーの眷属は何が起きたのかわからないのか呆然としている。

そんな彼女らに2人を吹き飛ばした張本人は嗜虐的な笑みを浮かべながら囁く。

 

「ダメだよ、始めって八幡が言ったでしょ?そうしたらその瞬間に特訓は始まっているんだから。油断しちゃだめ」

そういうユウキの片手には腰の鞘から抜き放った剣が握られていた。

 

「ッガハッ」

「ケホッケホッ」

 

「ワンダウーン」

 

突然吹き飛ばされた2人が息を吐く中ユウキは楽しそうに呟く。

 

「ほれ、アルジェント。早速怪我人だ、治してやれ」

 

「…………は、はい⁉︎」

 

俺の言葉に少し遅れて返事をしたアルジェントは急いで2人の元に駆け寄ると怪我を治し始める。

 

「それじゃあ私も始めるわよ?」

 

シノンがそう発した瞬間、ビクッと2つの影がその場を離れそれを追うようにシノンが駆けていった。

 

「では、ここは危ないので我々は彼方でやりましょう」

 

そう言ってヴィザは雪ノ下と由比ヶ浜を連れ、既にユウキによる第2戦が始まりだしたこの場を後にする。

 

「お、おい。俺ら死なないよな?」

 

突然の開戦に戸惑っているイッセーは俺に問いかける。目の前にはユウキvs木場&小猫の戦闘が繰り広げられている。木場の魔剣創造で作られた大量の剣はユウキに届くことなく全て薙ぎ払われている。その魔剣の屍を小猫が超えていきユウキの側頭部に蹴りを入れようとするが逆に脚の側面を剣首で刺される。そうして巡ってきた激痛に顔を顰めた小猫は一瞬でユウキに蹴り飛ばされる。蹴られた小猫は木々を折りながら森の中へと消えていった。

 

「小猫ちゃんツーダウーン」

 

楽しそうに発したユウキは木場の方へ瞬時に移動し剣で薙ぎはらった。剣自体は自身の魔剣で防いだ木場だが勢いは止まらずそのまま小猫と同じ方角へと飛んでいく。

 

「木場くんもツーダウーン」

 

そう言ってユウキは血の付いた剣から血を払うように剣を振ると肩の上に剣を置く。

 

「ほら、アーシアさん。治しに行って」

 

「は、はい‼︎」

 

ユウキに促されたアルジェントは急いでふたりの飛んで行った方へと向かう。

 

 

「死なないギリギリのラインくらい、あいつらは見極めてくれるよ」

 

イッセーの問いに答えてやるもイッセーの顔から不安は消えるどころか益々増えていった……

 

 

 

八幡side out

 

リアス・グレモリーside in

 

 

「よし、それじゃあ始め‼︎これから10日間みっちりやるぞ」

 

『はい』

 

八幡の言葉に私たちが返事をした直後私の横に何かが素早く通ったようにかすかに風が吹いた。そんな風を感じた直後2つの轟音が響く。

 

『は?』

それがユウキが小猫と祐斗のことを飛ばした音だと気付いた私は呆然としていた。

 

 

 

「ダメだよ、始めって八幡が言ったでしょ?そうしたらその瞬間に特訓は始まっているんだから。油断しちゃだめ」

 

彼女の発言に身をこわばらせていると

 

「ッガハッ」

「ケホッケホッ」

 

吹き飛ばされた2人の眷属の息を吐く音が聞こえる。

 

 

「ほれ、アルジェント。早速怪我人だ、治してやれ」

 

「…………は、はい⁉︎」

 

八幡の言葉にアーシアは急いでふたりの元に向かっているが、私はまだ動くことすらできない。

 

 

「それじゃあ私も始めるわよ?」

 

その瞬間だった。

今まで動けなかった私とその隣にいた朱乃は身体を震わせ全力でその場を離れた。

とりあえずは距離をとる。

そう決めた私と朱乃はとにかく逃げた。

途中までは追ってくる気配があったが、それが消えた。

 

「だいぶ離れたかしら?」

 

「ええ、たぶん大丈ッカハッ⁉︎」

 

私の問いに返事をしようとした朱乃だったがその途中パンという音が聞こえたと思うと途中で崩れ落ちる。

 

「あ、朱乃⁉︎」

 

「魔力を帯びた弾丸で撃ったとはいえ、急所は外しているから大丈夫よ」

 

ゾクッと背筋が凍った。

突然話しかけられた私は思わず振り向き魔力弾を放とうとするが……

 

「気づくのが遅いわよ」

 

そういうと先ほどとは少し違い大きな銃を肩にさげ、ロングマフラーを身につけた女性は私のことを蹴り飛ばした。

 

「っつー」

重い一撃。戦車の駒を持っていると言われても不思議ではないほどの一撃をくらい私は地面と衝突する。その横では脇腹を抑えながら顔を顰めている朱乃もいた。

 

「んー、アーシアはなんだかんだでユウキのとこから離れられそうにないわね。相変わらず手加減が苦手みたい。しょうがないわね」

 

おそらくユウキ達がいるであろう方角を見た彼女はやれやれと首を振りながらこちらに手を向ける。その瞬間、私と朱乃の周りに魔方陣が展開された。

 

『っ⁉︎』

 

ダメージを負った上でさらに攻撃が来ると思った私達は瞬時に離脱しようとするが

 

「大丈夫よ」

 

シノンの声で止まった。

 

少しすると魔法が発動され私と朱乃が怪我をした部位に薄っすらと氷が張った。しかし、その氷は張ったと思ったらすぐに破れてしまう。

しかし、氷が割れた後怪我が跡形もなく消えている。

 

「私は僧侶。一応回復系の魔法も使えるのよ。ってことで、どんどん行きましょ」

 

そう言って彼女は肩にさげていた銃を降ろし始める。

 

そこからまた私と朱乃は離脱したのだった………

 

 

 

リアス・グレモリーside out

 

 

由比ヶ浜結衣side in

 

ヴィザという初老の男性に連れられ私たちは宿の中にまで戻ってきていた。

 

 

「あ、あのなんで宿の中に?」

 

「人が悪魔になってまず鍛えなければならないことが幾つかあります。1つ目は身体能力。2つ目が魔力の使い方。そして3つ目が飛び方です」

コツコツと靴の音をたてながら歩くヴィザさんは淡々と語っていく。隣ではゆきのんが静かにその話を聞いていた。

 

「身体能力、これは後ほど駒にあった動きをする上で鍛えますが、それほど重くおこうとは思っておりません。一朝一夕で伸びるものではありませんからね。飛行に関してもできなくても不便ではありますが、元々人間でしたら問題ありません。おいおい覚えていきましょう。ですのでまずはじめに魔力の使い方を覚えて頂きます」

 

そこまで話し終えると、ちょうど宿のリビングまで付いた。

 

 

「では始めましょうか」

席ついた私達の対面にヴィザさんは立ちそう呟くと胸の前に両手をかざす。すると両手のちょうど中心に光る丸い玉ができる。

 

「これが魔力です」

 

「これが……」

 

ゆきのんと揃って目を丸くしている私たちにヴィザさんは説明を続けていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「やっぱりだめだった……………」

 

あれから数時間。

ヴィザさんの指導のもと魔力をコントロールする練習をするものの、結局私はうまく扱うことができなかった。ゆきのんはすごくうまかったけど………

 

「大丈夫よ由比ヶ浜さん。少しずつ慣れればいいと思うわ」

 

「雪ノ下嬢のいうとおりですよ。最初からうまく扱える方など一握りです。少しずつ慣れていきましょう」

 

「うう、ありがとう」

 

フォローを入れてくれる2人に礼を言いながら私達は外へと向かっていた。

今度は飛行と身体能力を上げるらしい。

そうして歩いていると私はふと声に出してしまう。

 

「ヴィザさんって……ヒッキーの……眷属……なんですよね………」

 

「………ええ、そうですよ」

 

私の問いに足を止めヴィザさんは肯定してくる。

 

「なんで、ヒッキーの眷属になったんですか?」

 

私の言葉にゆきのんもピクリと反応する。

 

「何故……ですか。それを説明するには私と八幡殿の過去を話す必要がありますね」

 

ヴィザさんは何処か遠い方を見ていたため、語り始めてくれるかと思ったが、それは裏切られる形で終わった。

 

「しかし、貴方方にそれを話す理由がありませんね」

 

「何故かしら?」

 

ゆきのんも興味があったのかヴィザさんが答えてくれないことを知り聞き返す。

 

「今言ったとおり、私は八幡殿の眷属です。おいそれと主の過去を話したりはしませんよ。」

 

そう言われてしまえばこちらもこれ以上聞き返すことができない。ゆきのんも黙ってしまう。

 

「ああ、それとユウキ殿やシノン殿には聞かないほうがよろしいですよ」

 

「え?」

 

私たちが黙っているとヴィザさんが続けて発してくる。

 

「私とは違い御二方に聞いた場合、その場で殺されても仕方ないかと思いますので」

 

その瞬間世界が止まった気がした。

いや、止まってはいない。でもそう思えてしまうほどの恐怖が目の前にはあった。そこにいる男性は先ほどまでの紳士的で優しい者ではない。熟練の老兵の威圧がそこにはあった。

 

「八幡様は我々の主。その主に対する無礼や貶める行為、虐げなどをすることは、我々八幡様の眷属に対する最大の侮辱だと知りなさい。八幡様が貴方方のことを気にしていなくとも、眷属の中ではあなた方に対して、よろしくない思いを抱いているものが多いということも」

 

私もその1人だと……と続けるとヴィザさんから威圧が消えた。

そこで私は初めて知ったのだ。

あの時、自己紹介をした時に向けられた視線の意味に。そこに含まれていた眷属達の思いを。

おそらくそこには私たちが推し量れないほどの思いが込められているのだろう。

それほどまでヒッキーは慕われているのだ。

 

 

なのに私たちはどうなんだろう………

 

歩き出したヴィザさんの後を追いながら、私は今更ながら自分がしてしまったことと正面から向き合い出したのだった……………

 

 

 

由比ヶ浜side out

 

 

リアス・グレモリーside in

 

「それじゃあ、今日はここまでね。私は夕食を作ってくるから、ユウキ達のところに行って伝えてね」

 

どれくらいだったろうか。

まだ肌寒かった時間帯から始めた特訓は日が落ち始める時間帯まで続けられていた。

 

あの後逃げ………距離を取るたびに狙撃銃や魔力弾で攻撃され、その度に治されてはやられ、治されてやられ、治されてやられの繰り返しだった。

途中で心が砕けそうになったのは1度や2度ではない……なるほど。メンタル弱いわね…………

 

 

そんな地獄のような特訓が終えた後私達はヨロヨロとした足取りで小猫達の元へと向かう。正直、こっちがこれだけに向こうも心配だったのだが……特訓の途中ではそんな考えができる余裕などなかった………

 

「いた……みたいですわね」

朱乃が私よりも先に2人を見つけるが、そこにいたのは………

 

「こ、小猫、祐斗⁉︎」

 

「あ、部長?お久しぶりです」

 

「にゃにゃ………」

 

そこにいたの祐斗と小猫は明らかにおかしかった。目の焦点が合ってないし、久しぶりってなに⁉︎

 

「あれ?もう終わり?」

 

小猫と祐斗に駆け寄るとそばに立っていたユウキが声をかけてくる。

 

「え、ええ。シノンは夕食を作るって宿に行ったわ。それよりも……なにしたの?」

 

「そっかー。……ん?なにって?ずっとバトってただけだよ?」

 

「ずっとですか?」

朱乃が顔を引きつらせながら聞いてくる。

 

「うん、ずっと。でもダウン数は100超えたあたりから覚えてないや」

 

100⁉︎

 

「ユウキさん、正確には176ダウンです……」

 

176⁉︎

 

アーシアの治癒の休憩時間もあるのに176ダウンもするなんて正気の沙汰とは思えないダウン数である。

っていうかアーシアは数えてたのね。

 

「ぐへぇぇぇえええ」

 

あまりのダウン数に私達が戦慄している中、聞き覚えのある情けない声がこだましながら、これまた見覚えのある少年が転がってきた。

 

「いっ、イッセー⁉︎」

 

「ぶ、部長、来ちゃダメです‼︎」

 

転がってきた少年の元に思わず駆け寄ろうとするよイッセーが声を上げる。その言葉に私が足を止めた直後、イッセーの周囲を囲うように複数の魔方陣が展開される。

 

「どわぁー」

慌てて飛び退くイッセー。

先ほどまでイッセーがいた場所には複数の剣が刺さっている。

 

飛び退いたイッセーはそのまま前転し体制を立て直すがそんな彼の元に黒い影が訪れ、一撃がイッセーに振り下ろされる。すんでのところで籠手のついた左腕をイッセーは前に出しガードすると、ガキンッという金属音と共に刀を手にしている八幡の姿があらわれる。

 

「だいぶ見えるようにはなってきたな。今日はこんなもんか」

 

「こんなもんかじゃねぇ‼︎⁉︎なったよ‼︎なったけども、何度も死にかけたけどな⁉︎」

 

「フッ……このくらいさっさとこなさねぇとライザーには勝てねぇよ……クク」

 

「おい待て⁉︎八幡てめぇ、笑ってんじゃねぇか‼︎」

 

八幡の終了の声に反発するイッセー。

そんなイッセーを笑いながら彼は手に握っている刀を腰の鞘へとしまう。するとその刀は消えていった。

なんなのだろう。刀身が黒と鮮やかな緑の刀だったが………

 

っと、そんなことを考えるよりも彼には

いろいろと言いたいことがあった………

いくらなんでも厳しすぎないかと………

いくらなんでも詰め込みすぎではないかと……

 

だが、まるでじゃれ合うように冗談混じりで話すイッセーと八幡を見ると、そう問い詰める気も失せてしまう……………

 

 

「おやおや、ちょうどいいところでしたかな?」

 

「おお、ベストタイミングだぜ」

 

まるでタイミングを見計らったようにヴィザさんがやってきた。

ヴィザさんならば紳士的であったし大丈夫だろうとおもったのだが……

 

「ゆ、雪乃⁉︎」

 

彼の後ろには結衣に担がれたグロッキー状態の雪乃がいた。

何処もトレーニングはまともではないのだろうか……

 

「んで、各々どうだったよ?」

 

私が1人混乱する中、八幡は冷静に自身の眷属達に問いかける。

 

「うーん。僕のところは今後に期待かな。少しずつ対応できるようにはなってきたけど、まだまだって感じだよ。まぁ、初日だから仕方ないっちゃ仕方ないけど……」

 

そう言ってユウキはアーシアに治療され終えた祐斗と小猫を見る。そんな2人の様子を見たからか八幡は小猫の頭を撫で始める。

すると不思議なことに生気が戻ったように小猫は喉を鳴らしていた。

なんなのだろう。八幡の手には癒し効果でもあるのだろうか………

その横で言葉を発した張本人のユウキはうぅーとその光景を見ながら唸っている。

 

「私の方は少しばかりまずいですね。」

 

ユウキに続きヴィザが語り始める。

 

「由比ヶ浜嬢は魔力の扱いが少しばかり手こずっています。逆に雪ノ下嬢は魔力の扱いはかなりうまいのですが………」

 

そこまで言うとヴィザさんは雪乃の方へ視線を落とした後告げる。

 

「問題なのは駒の………騎士の性能を使うのは良いのですが……その、あまりにも体力がなさすぎるためすぐに力尽きてしまうのです……」

 

ヴィザさんのその一言で場になんとも言えない雰囲気が漂う………

騎士の駒を持ちながら、その性能を使うとすぐに体力的に力尽きる………

 

「ざんね………不憫だね……」

 

皆の心をオブラートにつつんだ一言にまとめ上げたユウキは雪乃に対して告げた。始めにやや本音が漏れていた気もする。

それよりも良かった。やはりヴィザさんの特訓はまともだったようだ。雪乃の体力がないだけで…………

 

 

「まぁ、そんなもんか。リアス・グレモリーと姫島先輩のことは後でシノンに聞くとして、とりあえずはこのままだ。ただし、アルジェントお前は明日から別メニューな」

 

「はい?」

 

八幡の言葉にアーシアは首をかしげる。

なにかしら?

 

「かなり治癒の魔法を使ったはずなのに、あまり疲れが見て取れない。それならお前に取っておきのアイテムがあるんだよ」

 

「とっておきですか?」

 

「ああ。」

 

そういうと八幡の横で魔方陣が展開され、その中から1つの拳銃が出てくる。

 

「これだよ」

 

「拳銃……ですか?」

 

「ああ、とはいえこの拳銃に殺傷能力はない」

 

そういうと八幡は銃口を未だ座ったままのイッセーに向けて魔力を込め始める。すると銃の側面につけられた丸い翠色の宝石のようなものが輝き始める。

 

「え?ええ?」

 

銃口を向けられたイッセーは戸惑っているが八幡はそれを気にせず引き金を引いた。パンっと乾いた音と共に発された弾はイッセーにあたり弾けた。するとイッセーの体を緑色の光が包見込んでいく。それと同時に傷ついた彼の身体から怪我が消えていった。

 

「うお、すげっ⁉︎」

 

弾を当てられたイッセーは突然の回復に目を見開く。

当然これには私達も目を見開いてしまう。

いったい彼に会って何度おどろかされているのだろう……

 

「これはなんなの?」

 

「うちの開発マニアが作った銃。心弾銃って拳銃さ。中には実弾は入ってない。あるのは空の薬莢だけだ。側面についた精霊琥珀っていう特殊な鉱石の力を借りて治療用の弾を空の薬莢に生成する。そうしてできた弾丸を打ち込むとこにより、当たった相手を治癒する特別な銃だ。この銃の優れてるところは複雑な魔方陣を必要としない。必要なのは治癒の技術だけで、それを弾に変えるのはこの琥珀がやってくれる。この銃ならアルジェントがわざわざ危険な戦闘に加わらなくても遠くから仲間を治癒できるだろ?」

 

「じゃ、じゃあ私も戦闘中に皆さんの役に立てるんですか⁉︎」

 

八幡の説明にアーシアは眼をキラキラ輝かせている。

それはそうだろう。

アーシアは戦闘には向いていない。故に戦闘中は近寄らない。だが、この銃があれば仲間が戦っている途中でもみんなを回復させることができる。そうなれば、アーシアの需要は計り知れない。

 

「まぁな。とはいえ扱いの練習をしないと敵に当たって敵の傷が回復ってことになっちまうから残りの9日間はこの銃で治療しろ。始めの3日間は今日と同じようにやられた奴らを、次の3日間は戦闘中の奴らを。んでもって最後の3日間は自分も攻撃を避けながら仲間に当てる練習な。ってもアルジェントに対してはそんなにエグい攻撃はしないが」

 

八幡がそこまで言い終えると頑張ります‼︎とアーシアは早速渡された拳銃を胸元で握っている。

 

「銃の扱いはシノンに聞け。あいつが1番銃の扱いに長けてるから」

 

「はい‼︎」

 

八幡が全て言い終えるとアーシアは勢いよく返事をする。

 

んじゃ今日はここまで解散解散と手を振ると八幡はちょっと散歩してくるわーと何処かに行ってしまう。

そんな彼の背中を見つめながら私は思わずにはいられない。

 

いったい彼の眷属にはどれだけの規格外がいるのかと……

今日会った3人にアーシアが握る心弾銃を作った者。

いずれも規格外であった………

そして何よりも、それを束ねる彼が何処まで規格外なのか。今の私ではそれを推し量ることはできなかった………

 

 

 

 




うーん。今回は微妙だったかな(-。-;

次話はようやく書きたかった場面を書けるo(^_^)o
なのでより一層頑張ります( ´ ▽ ` )ノ

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