魔王少女の女王は元ボッチ?   作:ジャガ丸くん

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お先に言っておきます。

原作と幾つか食い違ってくる設定が何個か出てくるかもしれませんのでその辺はご了承下さい。

暖かい目で見守っていただければ幸いですm(__)m



実は○な元ボッチ⁉︎

八幡side

 

暖かくなり始めたこの季節でも、山を登っているとなれば、早朝の日が出始めるこの時間帯にもまだ肌寒さが残っている。周りに生い茂る木々のざわめきとこの肌寒さがただの山に不思議な雰囲気を纏わせ、俺の心に僅かながらも安らぎを与えてくれる。

思えば悪魔になって長いことが経つ。

悪魔になってからというもの魔王の女王としての仕事に励んでいたせいか、こういった風景や雰囲気に安らぎを求めることが増えた気がする。

とはいえ、今日は1人で来ているわけではないので後ろを振り返り後続の者にも声をかける。

 

「おーい。イッセーバテるの早過ぎるぞ。」

 

「うるせぇ‼︎なんでお前は荷物持ってないんだよ⁉︎」

 

俺の声にイッセーは理不尽とばかりに反論する。その背には普通の人からすれば恐ろしさすら感じる量の荷物がある。

 

「イッセー先輩遅いです。先に失礼します。」

 

イッセーが俺に文句を言っている中そのイッセーを横からひょいっと小猫が抜いていく。

その際に小猫が持つ荷物の量にイッセーは目と口を盛大に開く。その量は軽く見積もってもイッセーの10倍はある。戦車の性能を加えているとはいえ結構な量だ。しかしあの量……予想以上にお菓子を持ってきやがったな小猫のやつ…………

 

「ほら、イッセー。駒の性能があるとはいえ、その量で小猫に負けるなよ」

 

「鬼か⁉︎」

 

「そもそも、悪魔になりたて以前にお前は身体が全然出来上がってねぇ。悪魔になったからある程度は上がってても今のままじゃ神器の有る無しに関わらず瞬殺されるぞ。今は少しでも身体を作りやがれ」

 

「ぐっ……」

 

俺に全くの正論を言われ、イッセーは歯を食いしばりながら歩いていく。

 

「中々に厳しいんだね?」

 

イッセーの相手を終え歩き始めた俺に木場が笑いながら話しかけてくる。背には必要最低限のみ入れられているであろう荷物がある。

 

「不本意だがサーゼクス様やセラフォルー様、それにグレイフィアに頼まれたからな。やるからにはしっかりやるさ。それに、イッセーの奴が筋トレできるのは今のうちだけだ」

 

「どういうことかしら?」

 

木場の発言に対して答えた俺に、更に尋ねて来たのはリアス・グレモリーだった。

 

「そのままの意味だよ、リアス・グレモリー。これから10日間、あいつには筋トレなんかしてる暇はない。」

 

「どうして?基礎を鍛えることは悪魔にとっても重要なことでしょう?」

 

「ああ、もっと時間があればな。今回は時間が足りなすぎる。まぁ、詳しくは着いたら話すさ。」

 

リアスの尤もな言葉を俺は軽く流す。

どうせこの後説明するのだ。

ならここで話すのはただの2度手間である。

 

「あらあら、ところで彼女達はいいんですか?」

 

「何がだ?」

 

俺たちが話しているところに入ってきた朱乃の問いに俺はわかっていながらもしらをきる。

 

「雪乃ちゃんと結衣ちゃんのことですよ」

 

「「「っ⁉︎」」」

 

朱乃さんの一切気遣いのない言葉にリアスと木場、それと少し離れたところにいる小猫が身を震わせる。

 

「リアス・グレモリーの眷属なんだろ?なら出来る限り鍛えるさ。転生して間もないが少しは使えるようにした方がいいだろ?」

 

特に深い反応はせず答える俺に朱乃さんが目を伏せながら首を振る。

 

「そういうことではなくてですね。昨日あなたが帰った後いろいろと彼女達に……「関係ありませんね」聞い……って、え?」

 

朱乃さんの言葉を消すように言う俺に周囲の者たちは驚きの色をみせる。

 

「あいつらがどうしてリアス・グレモリーの眷属にいるのかなんて、俺にはどうでもいいんですよ。あいつらが俺のことをなんて言っていようと、ましてやあいつらが俺にどんな感情を向けようと、俺には全く関係のないことですから」

そういう俺の視線の先にはイッセーより更に遠くにいる3人の姿がある。疲れ果てグロッキー状態の黒髪長髪の女性を真ん中に置き、金髪の元シスターとピンク髮の少女が肩を貸している形だ。それを見る俺の瞳には何も宿っていない。他の奴らから見れば知り合いを見る目ではないと言われるだろうな。

 

 

そんな俺の言葉と瞳に宿るものを感じ取ってか、朱乃もリアスも木場も目を伏せている。

ただ、小猫だけは俺と同じ方を見ていた。

 

 

「俺が今やるべきことはお前達を鍛えること。それだけのために俺は今ここに来てるんだよ」

 

そう言って俺は再び歩を進めながら腕につけた時計で現在時刻を確認する。

グレイフィアに言われた万全の体制を作る為の時間確認を………

 

 

 

八幡side out

 

 

イッセーside in

 

 

 

目的地に着く頃には俺は完全にグロッキーだった。服は水の中に飛び込んだかのようにビショビショになり、肩を激しく揺らしながら呼吸を整える。隣では荷物を一切持っていなかったはずの雪ノ下が俺と似た様な形で地に伏している。その近くには背中を摩っている由比ヶ浜と心配そうに見るアーシアがいる。

 

「……………」

 

正直言って彼女達2人にどう接すればいいのかわからない。俺は元々八幡と友人であり、八幡が悪い奴だとは思っていない。むしろいい奴である。そんな彼と複雑な過去を持つ2人に対し俺はどう接すればいいのだろうか。一方は友人でいい奴。もう一方は大切な仲間で、でも俺たちに多くの嘘をついていた。結局昨日は部長によって彼女達に対する暫定的な処置は決まったものの、それだけだった。今彼女達の側にいるアーシアは2人のことをどう思っているのだろう……

 

「ほい、それじゃあ荷物置いて動きやすい服に着替えたらまたここに集合な」

 

俺がそんなことを考えていると八幡はそう言って木造りの建物へと入っていく。俺も考えるのを1度やめ、木場の肩を借りながらやや遅れてそれに続いていった。

 

 

「はぁ、まだ始まってもいないのに疲れた」

 

「あはは、お疲れ様イッセー君」

 

廊下を少し歩きながらボヤく俺に木場が笑いながら労いの声をかけていると自分達の部屋につきドアを開ける。

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ」

 

そこには上半身裸の八幡がいた。

その身体は普段の様子からは想像できないものだった。細マッチョという言葉がピタリと当てはまるであろうその体型は本当に八幡なのか疑ってしまうほどだが……………

 

 

「なんで上半身裸で携帯弄ってんだよ⁉︎」

 

「あ?別にいいだろ。ただの最終確認だよ」

 

そう言って携帯をポケットにしまい服を着始める。いや、最終確認がなにかは知らないけど上半身裸の必要は絶対になかったよね⁉︎

 

「ねぇ、イッセー君」

 

「なんだ木場?」

 

「僕は向こうで着替えるけど……覗かないでね?」

 

「死ねぇぇぇぇぇえええええええ」

 

八幡の姿を見た木場が何やら血迷ったこと、それも僅かに頬を紅くさせながら言い出し、俺の絶叫が宿舎に響き渡った。

 

 

 

 

「さてと、まずお前らのこの10日間やることを説明するぞ」

 

着替え終えた俺たちは宿前の少し開けた場所に集合している。着替え終えた部長たちの姿は体育着だ………あ、やばい。眼福すぎて血が……

 

「変態……」

 

俺の鼻から垂れる男の血潮を見た小猫ちゃんから辛辣な言葉が飛んできた………

 

「おーい、イッセー。興奮してないで話聞けよ?」

 

やや呆れ気味に俺に注意してくる八幡に対して俺はサムズアップで答えると八幡は溜息を吐いてしまう。

 

「はぁ、まぁいいか」

そう言って一呼吸おいた後、八幡はゆっくりと今回のやることを端的に告げていく。

 

「まず最初に小猫と木場は技術の向上な」

 

「「技術の?」」

言われた2人は首をかしげながら返す。

 

「ああ。バイザー戦とレイナーレ戦を見ても2人は技術の質が浅い。基礎は出来ていてもあくまで人としての延長線上でしかねぇ。悪魔として今の戦法を続けるなら、今持ってるものを昇華させていく必要がある。例えば……」

 

そこまで言った瞬間に八幡の姿が消える。

 

あれ?マジでどこに行った。

 

「ほらな?急にとはいえ一切反応できてねぇ」

 

次に聞こえてきた声は俺の右後ろからだった。その声につられ振り向くと、そこには木場の喉元に拳を置いてる八幡がいた。

 

「っ⁉︎」

 

木場だけでなくその場にいる全員が目を見開く。

 

「ま、今は反応できなくても構わねーよ。10日後には反応できる様に鍛えてやる。」

 

そう言って木場の喉から手を離し今度はその手を近くにいた小猫ちゃんの頭に乗せる。

 

「お前のこともな」

 

そう言ってクシャクシャと小猫ちゃんの頭を撫でると、彼女は気持ちよさそーに喉を鳴らしている。

ってかちょっと待って小猫ちゃん。

前に俺がやろうとしたら腹パン食らわしてきたのに何その扱いの差⁉︎

 

 

 

ってかさらっと流してたけど……

 

「なんでお前がバイザーとレイナーレのこと知ってんだよ⁉︎」

 

「俺の任はリアス・グレモリーとソーナ・シトリーにもしもの際があった時の護衛だぞ。遠いところからずっと監視してた。」

 

マジかよ⁉︎

 

「次にアルジェント、お前はひたすら全員の回復だけしろ」

 

あ、そのまま監視の件は流して行きやがった

 

「それだけですか?」

 

「ああ。まぁ、とりあえず今日はってとこだな。今日やってみてどれだけ回復の数をこなせたかによって残り9日間の内容が変わってくる。」

 

「わかりました。」

 

八幡の言葉にアーシアは平然と答える。

純粋すぎるよ……質問とかないのかな………

 

「んで、姫島先輩は回避技術と戦闘での動きの特訓」

 

「あらあら、回避と動きですか?」

 

「ええ。時間があれば新しい魔術とかも教えてもよかったんですが……今すぐに直さなきゃいけない場所はそこだけですね。」

 

「どういうことかしら?」

 

自分の女王が遠回しに駄目出しされたからか部長がやや不機嫌そうな問いかけに

 

「単純に経験が少なすぎるんですよ。レーティングゲームでは1人1人役割があります。姫島先輩はウィザードタイプ。できることなら側に補助を置いた上での遊撃が望ましいんですが……こちらは人数で劣っているのでそれができません。ですので常に距離をとりながら戦う動きと敵の攻撃の回避技術を上げます」

 

八幡は特に言い淀むことなく答える。

恐らく言い返されることも予想できていたのだろう。八幡の答えに部長はうっと顔を顰めるがしょうがないことだ。事実数では劣っているし……………

 

「次リアス・グレモリー。お前はメンタル強化だ。」

 

『メンタル?』

 

その言葉に全員が反応を示した。

 

「お、おい八幡。なんでメンタルの強化なんだ???」

 

部長が問う前に俺が問いかけてしまう。みんなも同じことを思っていた様で頭にクエッションマークが浮かんでいる。

 

「甘すぎるからだよ」

 

「どういうことかしら?私敵に甘さなんてかけた覚えはないわよ?」

 

八幡の言葉に先ほどよりも不機嫌になった部長の額には青筋が浮かぶ。

 

「甘いよ……眷属にな」

 

「え?」

 

八幡の予想外の言葉に部長はポカンと口を開いてしまう。

 

「その甘さはお前の美徳でもある。でもな、レーティングゲームにおいてはそれが弱点になるんだよ」

 

「どういうこと?」

 

「レーティングゲームは戦闘不能になった瞬間ゲームから退場させられる。逆に言えば戦闘不能にならなければ永遠にゲームは続くんだよ」

 

「それがなんだっていうの⁉︎」

 

八幡の回りくどい言い方に部長の言葉が強くなるが、次の言葉を聞き部長の勢いは消え失せてしまう。

 

「もし、相手が敵を戦闘不能にさせず、ただ痛ぶるような戦いをしてきた時、そしてそれをお前自身がなんとかすることができなかったら、お前は耐えられるか?」

 

「っ………」

 

その言葉に黙ってしまったのは部長だけではない。周りもその言葉に息を呑んでいる。

 

「お前は優秀な王だよ。恐らく俺がこうして訓練に付き合わなくてもライザーとの戦いはいいとこまでは行くだろう……でもな」

 

そこまで言って八幡は一呼吸おく。

そのおかれた間で部長と八幡の目が合っている。

 

「だからこそ、お前は自分の眷属が酷い目にあった時耐えられない。そうなったらお前は自分の全てがかかったこのレーティングゲームでも容易く降参するだろう?」

 

その八幡の言葉に部長は反論できない。

恐らく八幡の言ったとおりになることが想像できてしまったからだろう。

 

「でもなそれはお前の勝手だ。もしも降参なんてしてみろ?その時は眷属は助けられたかもしれない。でもな、ここにいる奴らはお前が婚約するのが嫌だから、ライザーに取られるのが嫌だから戦おうって意志を持ってるんだよ」

 

その言葉を聞いた部長は自分の眷属を見渡す。

視線の合った眷属1人1人は頷いていく。

その頷きには1人1人別の思いが乗っている気もした。

 

「だから、お前の課題はメンタル強化だ。降参なんてくだらねぇ思いがわかなくなるぐらい、強靭なメンタルに鍛えてやるよ」

 

そう言って八幡は一息つく。

 

「わかったわ……お願いするわ」

 

部長も納得したのか八幡の言葉に頷く。

 

「はぁ、説明つかれた……さてと。それでイッセー」

 

そう言って今度は俺の名前を呼ぶ。

いや、疲れたってまだ説明全員分はおわってないんじゃ…………

 

「お前に関しては個人レッスンな」

 

「はい?」

 

何故か俺だけ目的の見えないメニューを言い渡される。

 

「個人レッスン?」

 

「ハッキリというぞ」

 

え?なにこの真面目な雰囲気。

いや、さっきから真面目だったけども他のメンバーとは明らかに説明する時の感じが違う。

 

「今回の相手……ライザーを倒せる可能性があるのはイッセー。お前だけだ」

 

 

「………」

 

what!?

八幡のやつ今なんて言った⁉︎

 

「不死ってのはさ、破る方法が限られてるんだよ。相手の精神が崩壊するほどの大量の攻撃を喰らわすか、不死殺しの系統の攻撃を使うか、或いは再生できないほどの重大な損傷を喰らわせるかの3択だ」

 

 

俺の驚きを無視して八幡は淡々と語っていく。

 

「この中でそれができるのはお前だけなんだよイッセー」

 

その言葉に何処か顔が緩んでしまう。俺だけ……俺がライザーを倒して部長を助けられる。八幡から告げられた事実が俺の中でこだまする……

 

「だからこれから10日間、お前はひたすら俺と殺り合ってもらうぞ?」

 

が、八幡のその後に続いた一言に感じた喜びも消えていく。殺し合い?八幡と???最強の女王と呼ばれていたあのグレイフィアさんに勝ち越すほどの八幡と‼︎⁉︎

 

「え?」

 

「覚悟しろよ?」

 

「……はい…………」

 

「あ、あとそれ以外は悪魔の力になれること」

 

俺が諦めた後、付け足すように八幡は告げる。

それ以外のやつら……すなわち雪ノ下と由比ヶ浜である。しかし、そんな八幡の雑とも言える扱いに2人はただ俯くだけだ。

本当なら何か言いたいのだろうが、言い返すことができない。それは昨日八幡が帰った後に決めたことだ。嘘をついていたことについては後日きっちりとした処分が下されるらしいがこの10日間、まずは八幡と揉め事を起こすなと部長から注意されている。

 

「でもそれだと先輩は私達のこと見れないんじゃ……………」

 

「ああ。そうだな小猫。確かに俺はお前たちを見れない。」

 

「は?」

 

「昨日グレイフィアが言ってたろ。万全の体制でやってくれって」

 

ニッと小猫に微笑みかけた八幡が指をパチンと鳴らす。すると八幡の背後に魔法陣が現れる。

あれなにこれデジャヴ?

なんかこれ見たことある気がする……

いやというかこれって昨日………………

 

そんなことを俺が感じていると魔方陣から黒い影が生み出され風を切りながら螺旋状に魔方陣の周囲を包み込んでいく。

 

魔方陣を完全に包み込み終えると影はフッと霧散し、魔方陣を中心に1つの強い風が俺たちのそばを駆け抜けた。

あまりの風に思わず目を閉じた俺たちが再び目を開いた時そこには3人の人物がいた。

 

1人は中央に立つ初老の男性。

175、6はある見た目に似合わない長身で白髪オールバックのこの人物。

悪魔になりたての俺でもわかる。

一本の杖に両手をおき、黒いローブを纏っているが、飄々としつつもこちらのことを観察するように見ているその瞳に宿る気配からは、この人物が普通の人間では無いということが見て取れる。

 

 

2人目はその初老の男性の右横で片足に体重をかける形で立っている女性。水色の綺麗な短髪の両脇をリボンで結んでいて、アーシアと同じくらいあるその胸だが何よりも着眼すべきはその服。少し前に流行っていたロングマフラーを身につけた女性の服装は腹と太ももを見事にさらけ出している。簡潔に言えば軍人が着るような服装を破廉恥に改造した感じ。

や、やばい止まっていた俺の熱き血潮(鼻血)が再起動し始める。

 

このままでは再起動することが確実なのでその女性から目を離し最後の1人へと目を向ける。

 

3人目の左側にいる少女は体育座りの片足を伸ばした形で座っていた。腰まで伸びている長髪に頭につけた朱色のリボン。紫色の服に身を包んでいる少女。その胸には黒い鎧が付いているのだが、長年女子の胸を見続けてきた俺にはわかる。幼い顔立ちとその体型には似合わず、そのプレートが圧迫している胸の大きさが。それは先ほどの女性とほとんど変わり無いものなのだが、その幼い顔立ちでその大きさとなれば将来の胸(夢)が大きくなっていく。

 

「い、イッセーさん大丈夫ですか⁉︎」

 

気がつけばアーシアが俺の鼻を治癒している。

 

「ど変態……」

 

ああ、再起動してしまったことにより小猫ちゃんの視線が更に残酷なものになってしまった……

 

 

 

「ひっさしぶりーはちまーん‼︎」

 

俺がアーシアに鼻を治癒して貰っている最中、声を上げたのは長髪の少女だった。

 

「っと、久しぶりだなユウキ」

 

そう言って八幡は飛びついてきたユウキを抱きとめ、頭を撫で始める。なでられているユウキはふふふふーん、と鼻歌を交えながら気持ちよさように目を閉じた。

 

「あんた、たまには帰ってきなさいよ」

 

「仕方ないだろシノン。任についてる状態じゃあなかなか帰れないんだよ」

 

次に話しかけてきたのは水色の髪のシノン。

シノンはゆっくりと八幡の元へ行くと指をさしながら文句を言う。

 

「それでも、よ。みんな待ってるんだから」

 

「はぁ、わかったよ今度の夏は帰るさ」

 

その文句を渋々八幡が受け入れると彼女は嬉しそうな顔をする。

マジなんなんだよ八幡。

お前リア充だったのかよ⁉︎

 

「御二方共その辺にしてあげなさい。八幡殿が困ってらっしゃる。それに今はサーゼクス魔王様の妹君であるリアス・グレモリー様の前ですよ?相応の態度でいなさい。」

 

そんな女子2人に注意の声をあげたのは残る初老の男性だった。

 

「悪いなヴィザ。忙しい中呼び出して」

 

「いえ、八幡殿のお呼びとあらばいつでも。」

 

ヴィザの言葉でユウキとシノンが離れたことで自由になった八幡は労いの言葉を述べた。

 

「それよりも八幡殿」

 

一区切り、とばかりに八幡の名を呼んだヴィザは呼んだ八幡の方ではなく俺たちの方を見ていた。

 

「え、ええ。出来れば紹介してくれれば助かるわ」

 

ヴィザの意図に気づいた部長がいちはやく答える。

 

「ああ、そうだったな。」

 

そう言って八幡は3人に視線で促す。

 

そしてそこから知らされた事実は俺たちの予想をはるかに超えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私はヴィザ、八幡殿の眷属で駒は騎士、悪魔です。皆様以後お見知り置きを」

 

「僕はユウキ、八幡の眷属で同じく騎士、悪魔だよ。みんなよろしくね」

 

「私はシノン、同じく八幡の眷属で駒は僧侶、悪魔よ。10日間よろしく頼むわ」

 

 

 

 

…………………………は?

 

……………………HA!!???

 

今なんと言った?

 

「し、失礼するけれども。今眷属って言ったかしら?」

 

部長もどうやら慌てているようで、噛みながらも3人に問いかける。

 

「ええ」

「うん」

「はい」

 

三者三様の答え方だが、その結果は全員が一緒だ。

 

あまりのことに絶句している俺たちの視線が八幡へと集まる。

 

 

「ん?ああ、言ってなかったな。俺はセラフォルー様の女王だが、だいたい2年半くらい前に爵位を貰ってるぞ?それと同時にセラフォルー様に連れられて悪魔の駒を貰うための石碑にも行ったからな。セラフォルー様の女王であり俺自身が王でもあるんだよ。」

 

そう言って八幡は彼自身の手に複数の駒を出現させる。

 

 

『はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああああああああああ‼︎‼︎‼︎‼︎⁉︎』

 

その瞬間この山にオカルト部全員の絶叫が轟いた………………………

 

 

 




自分アニメのみの人なので原作の細かい設定がちょくちょくわからないのですが、食い違っていても、この作品の中ではこういう設定ってことなのでご了承下さい。

原作も読もうかな………

八幡が既に爵位を持ち眷属がいたのはどうだったでしょうか?

ではでは


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